7月6日、衆議院予算委員会で、九州電力が関係会社に、県民向けの原発説明番組「放送フォーラムin佐賀県『しっかり聞きたい、玄海原発』~玄海原子力発電所 緊急安全対策 県民説明番組~」(経済産業省主催)に玄海原発再開を容認するメールを送るよう指示していたことがわかった。
6月26日開かれる説明番組に、九州電力は再開に賛成する意見をメールで自宅から送るよう指示、賛成意見を増やしたいという九州電力前副社長らの意向を受けて、組織的に世論操作が行われていたことがわかった。
7月14日、九州電力日名子泰通副社長は、この「やらせメール問題」の調査報告書を、経済産業省へ提出した。経産省は、過去に同様の問題がなかったか、追加調査をもとめた。また外部有識者による原因究明を行うよう指示した。
経産省は、東京・中部・中国などの電力6社にも、過去5年間に原発建設などの住民説明会で、やらせがなかったかどうか調査するよう指示を出した。
報告によると、6月26日の番組にメールを送るよう指示されたのは、約2900人で、このうち、実際にメールを番組に送ったのは141人だった。番組にメールやファクスで寄せられた意見は、賛成286反対163で、やらせメールで賛否が逆転したことになる。
九州電力佐賀支社は、メールを依頼する際に「例文」も渡していたこともわかった。「太陽光や風力発電などは代替電力としては無理」「安全対策は十分実施され、再開は問題ない」といった内容の例文がある。
本来は、原発に不安を抱く県民の疑問や意見に、誠実に答えなくてはならない番組が、一企業の世論誘導に使われたことは残念だ。原発について問題をかくさず、情報を公開することが、信頼を回復するための第一歩だと思う。
《参考》
九州電力が経済産業省主催に報告した内容については
「経済産業省主催の県民説明番組への意見投稿呼びかけに関する事実関係と今後の対応(再発防止策)について」
http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0036/3022/notice110714.pdf 九州電力ホームページ(2011年7月14日)
《参考記事》
「『弱者が犠牲に』九電やらせメール、例文も提示 調査報告で明らかに」 2011/7/14 18:25 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819891E3E6E2E3878DE3E6E2E5E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;bm=96958A9C93819696E3E7E2988B8DE3E7E2E5E0E2E3E38698E2E2E2E2
「『やらせメール』141人 九電が社内調査結果発表」 2011年7月14日22時33分 朝日新聞
http://www.asahi.com/special/10005/SEB201107140057.html
0 件のコメント:
コメントを投稿