この踏切は、同市内に唯一残っていた第3種踏切で、それまで警報機しかなく、遮断機は設置されていなかった。(上の写真は中大和踏切、2008年11月23日撮影)
また、中大和踏切は住宅街にあり、近くの小学生やお年寄りも渡る踏切で、住宅街から坂道を下ったところにある。自転車に乗って、右に曲がる坂を下りるとスピードが出てそのまま踏切に入り渡ってしまいかねない場所にある。諏訪市内、中央東線は単線だが特急スーパーあずさが走る。
(真ん中の写真、2008年11月23日撮影)
2008年5月、中学1年生が、警報機はあるが遮断機のない武津踏切で、特急あずさに撥ねられて亡くなった。ここは、諏訪市内に、二か所残っていた第3種踏切のうちのひとつ。中学生を亡くした両親や小中学校のPTAなどが、JR東日本に対して武津踏切に遮断機の設置を要望し、事故から半年後の11月、武津踏切に遮断機が設置された。
その後、両親は、諏訪市内にもう一か所、遮断機のない踏切があり、1996年に小学4年生が列車に撥ねられて亡くなる事故が起きていたことを知り、ここにも、遮断機が必要だと感じた。
亡くなった生徒の母親は、「子どもは警報機が鳴っていても遮断機がないと、列車が近づいていても踏切を渡ってしまい、事故に遭うことがある、だから警報機だけでなく遮断機も必要だ」と、JRや諏訪市、教育委員会などに訴えてきた。翼君と同じように子どもが犠牲になることのないようにと、中大和にも遮断機の設置を求めてきた。
JR東日本長野支社管内には、踏切が610か所あり、今年度末で、第3種踏切(警報機はあるが遮断機はない踏切)は59か所、第4種踏切(警報機も遮断機もない踏切)は69か所になる予定だという。
鉄道事業者の方々には、沿線の宅地化が進むといった周辺の環境の変化や、特急など速い列車が増加するといったダイヤの変更などに応じて、踏切の安全対策に取り組んでほしい。
また、過去に事故が起きた踏切は優先的に対策を講じてほしい。第1種踏切にするか、踏切を廃止するかは、周辺自治体や住民の方々とも協議する必要があるだろう。しかし、事故が起きても、踏切に有効な安全装置をつけずに放置すれば、また事故が起きる可能性がある。
子どもの踏切事故を防ぐためには、おとなが注意をうながしたり注意喚起の標識をたてるだけでは不十分で、事故を防ぐため実効性のある対策を早急に検討してほしいと思う。
左の写真は、遮断機が設置された中大和踏切。
(2010年3月31日撮影、諏訪市大和)