2010年10月30日土曜日

JR阪和線杉本町駅踏切事故から1年

 「JR阪和線杉本町駅(大阪市住吉区)北側の「開かずの踏切」の事故を減らすため、JR西日本と大阪市が、新たに同駅ホーム東側に改札を設けるなどの改良工事を、2010年度から行う検討をしている」という記事を見たのは、今年の1月だった。

 杉本町駅は、東側に大阪市立大学があるが、東側には改札口がなく、駅構内の「開かずの踏切」を渡って西口に行かないと駅改札に入れないそうで、朝夕など通勤・通学の乗客や付近の住民で踏切を待つ人があふれる状況になっているそうだ。
 JRなどによると、付近では2006年4月以降4件の事故が起き、3人が死亡、1人が重傷を負っているという。

 このような「開かずの踏切」の問題を解消するため、駅に東口を設置してほしいと、大阪市立大学関係者や地元町内会や住民、障害者団体などで「JR杉本町駅東口設置推進の会」(以下推進の会と略)をつくり、JRや大阪市に対して東口設置の要望をつたえてきた。
 今年1月の報道は、その「推進の会」に、大阪市が今年1月26日、改良工事は2011年度までに完工し、駅東口や、駅の東西にエレベーターを新設する計画で、高架化も意識した設計にするという回答をしたという内容だった。

 その後どうなっただろうかと思っていたら、JRの所有地に囲まれた三角形をした大阪市の所有地に、契約なしでショベルカーをおいて占拠している住民がいて、工事の進行のめどが立っていないということが「推進の会」などからの情報でわかった。用地の明け渡しに関する問題で、計画が進んでいないのだという。

 このような中、10月8日、杉本町駅の踏切事故から1年がたち、踏切の東西の町の住民や大学関係者や大阪市担当係長、JR駅長など80余名が参加して、追悼の会を催されたという。

 2009年10月8日は、事故当時、台風の影響で、列車運行が乱れ、日頃から開かずの踏切だった踏切が一層開かない状況だったという。そのため、踏切が開くのを待つ通勤・通学の人の中には、待ち切れず踏切の遮断機をくぐって西口へ渡る人が何人かいて、その中の一人の若い女性が、列車に撥ねられて亡くなるという惨事が起きた。

 追悼の会の中で読まれた追悼文の中には、女性が「東から踏切を渡って、杉本町駅から通勤に向かう途上でした。この事故は、杉本町駅東口設置の要望活動のさなかでもあり、東口設置が間に合っていれば起こり得なかったこと」として、「私たち多くの者は悔しさと悲しみで一杯」だと書かれている。
 そして、「2度とこのような痛ましい事故が起こらないよう、東口工事の一刻も早い完工を犠牲者の御霊に誓いたく思います」と、一刻も早く駅改良工事を進めることを訴えている。

 さまざまな所で、多くの方々が、悲惨な踏切事故を目の当たりにして、踏切の改良や駅などの改善を訴え、踏切事故をなくそうと取り組んでおられることに、心より感謝したいと思う。
 そして、一刻も早く、大阪市やJR西日本によって駅改良工事が進められ、住民のみなさんが安心して駅を利用できるようになることを願いたい。

 最後になりましたが、昨年事故に遭われた女性をはじめ杉本町駅踏切事故の犠牲者の皆さまのご冥福を祈ります。 

《参考記事》
「開かずの踏切」問題解消へ 杉本町駅の改良工事を検討 」2010年1月27日
http://www.asahi.com/kansai/travel/news/OSK201001270070.html
《参考にしたブログ》
「JR杉本町駅北踏切死亡事故の1周忌追悼集会」(ブログ「どこにでも行こう車イス」)
http://kurumaisyu.exblog.jp/15255909/

2010年10月27日水曜日

私立大学の4割が赤字

 報道によると、15日、日本私立学校振興・共済事業団のまとめで、私立大学の226校で、赤字だったことがわかった。2009年度、経営状況をしめす帰属収支差額が赤字の大学は、私立大学の4割に近く、1997年度に比べ、5倍近く増加したという。

 調査は、私立大学595校のうち580校が回答しており、大学の規模が小さい大学ほど、経営が厳しく、学生数1000人未満の大学では、65%の大学が赤字だそうだ。
 私立大学580校の収入合計(約3兆2334億円)の内訳は、学生の納付金が77%をしめる。国などの補助金11%、入学検定料などの手数料収入は3%となっている。

 私立大学・短期大学は、大学・短大の約80%を占め、大学生のおよそ75%が学んでいる。私立大・短大が教育と学術研究において重要な役割を担い、国民の高等教育を受ける権利を保障してきた。
 9月に発表されたOECD(経済協力開発機構)の調査によると、教育費の私費負担の割合は、日本は33.3%、各国の平均は17.4%で、日本は平均の2倍近くにのぼる。また2007年、日本は、教育機関への公的支出(奨学金をのぞく)が国内総生産(GDP)に占める比率が、3.3%だった。(今回発表されたのは、2007年の調査のため、10年度からの高校授業料実質無料化などの公的支出はふくまれない)

 政府は、私立大学等経常費補助金(私立大学助成)を削減するのではなく、増やすことで、私立大学の研究・教育の質を向上させ、国民の学費負担を減らし教育をうける機会を保障する必要があると思う。
 
《参考記事》
「私大の4割、226校赤字 97年度の5倍、不況が影響」
http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010101501000933.html

2010年10月24日日曜日

柏崎市の地元町内会長ら、警報機・遮断機の設置を要望

 9月27日、柏崎市の地元町内会長でつくる西中通地区総代会が、同市の会田洋市長に、8月19日近くに住む小学5年生の児童が亡くなったJR越後線第2下原踏切に警報機と遮断機を設置することや地区内の踏切5か所の安全対策の強化をもとめる要望書を提出していたことがわかった。

 報道によると、同総代会はJR東日本と新潟県にも文書で要望したということだ。小学生が亡くなった踏切は第4種踏切で、警報機や遮断機もない。また地区内にある小学校近くの通学路に使われている踏切も第4種で、警報機や遮断機もないという。

 総代会は「踏切を改善し、事故の再発防止を果たすことが地区の役割」だとして、事故のあった踏切や地区内の第4種踏切を遮断機と警報機付きの「第1種踏切」に格上げするよう要望した。

 これに対して、JR東日本は、同踏切に警報機などを設置する予定はなく、最終的には廃止したい方針だという。

 しかし、地域住民の生活に必要な道路や小中学生の通学路になっている踏切は、廃止するのではなく、安全対策を高めていってほしいと思う。宅地化がすすみ学校や幼稚園などができるといった鉄道を取り巻く環境の変化を、鉄道会社は十分に把握して、踏切の安全対策を進めるべきだと思う。

《参考記事》
「『警報・遮断機を』男児死亡の踏切、地元が要望」 柏崎  2010年9月28日 (清水康志)
http://mytown.asahi.com/areanews/niigata/TKY201009270323.html

2010年10月19日火曜日

食品安全委員会「エコナ」検証チーム発足

 報道によると、16日までに、内閣府の食品安全委員会は、昨年販売中止となった花王の食用油「エコナ」について、含有成分などを科学的に検証するワーキンググループを立ち上げた。
 
 花王の食用油「エコナ」は、昨年9月、発がん物質「グリシドール」に変化する可能性のある「グリシドール脂肪酸エステル」を多くふくむため、花王は昨年9月に販売を停止し、10月には特定保健用食品の表示許可も返上していた。

 食品安全委員会は、これまでに花王からグリシドール脂肪酸エステルにかんする情報や試験結果などの資料の提出を要求した。

 今年8月のラットにグリシドール脂肪酸エステルを投与する実験では、体内にグリシドールが確認されたとされているが、人体への具体的な影響はわかっていない。

 花王の食用油「エコナ」の問題は、特定保健用食品についても見直すきっかけになっている。私たちは、健康に過ごしたいと願っている。だから、すこしでも健康によいとうたわれれば、「特定保健用食品」を選ぶこともある。メーカーは、そうした消費者の期待に答えて、食品の安全性を十分検討して、安全な食品を提供してほしいと思う。

《参考》当ブログ記事
「花王『エコナ』出荷一時停止、安全性は?」 
http://www.blogger.com/post-edit.g?blogID=4405889452910222518&postID=5791812876519384529

《参考記事》
食品安全委、「エコナ」検証へチーム 発がん物質との関連評価  2010/10/16 21:55
http://www.nikkei.com/news/article/g=96958A9C93819695E3E7E2E6808DE3E4E3E2E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2?n_cid=DSANY001

2010年10月14日木曜日

JR山田線盆景踏切、事故から1年、遮断機・警報機設置へ

 2009年10月20日、JR山田線の盆景踏切(岩手県宮古市八木沢)で、列車と乗用車が衝突し、乗用車に乗っていた高校生と母親の二人が亡くなった。この踏切には、警報機や遮断機はなく、2006年にも死亡事故が起きていた。
 
 報道によると、12日、宮古市は、盆景踏切に遮断機などを設置する工事が間もなく終わり、事故からちょうど1年となる20日から供用すると発表した。
  
 同踏切には遮断機と警報機が設置される上、私道だった道路を市道にして幅員を2・5メートルから5メートルに拡幅。また、同じように事故が起きていた近くの竹洞踏切にも警報機・遮断機が設置される。
 
 事故が起きる前の昨年8月、宮古市はJR東日本と協議して、盆景踏切をふくむ市内4か所の踏切を2010年度に計画、2011年度に整備する予定だったという。
 しかし、昨年10月盆景踏切で親子二人が亡くなったことから、遮断機と警報機の設置を求めて、付近の住民がJR東日本盛岡支社に、1131人分の署名を提出、宮古市は、2010年度に踏切の整備費を予算化、事故から一周忌になるのを前に踏切の整備をすすめた。

 事故で亡くなった高校生(当時17)は宮古商高の野球部員だった。チームメートだった高校生は、踏切の整備が完成することに、「彼は帰ってこないけれど、後輩たちも通るところなので良かった」と話しているそうだ。
 
 しかし、今回、盆景踏切と竹洞踏切の整備は終わるが、宮古市内には遮断機も警報機もない踏切が、まだ26カ所残っているという。宮古市は、今後もJR東日本と協議を進めていく予定。

 JR東日本には、踏切を取り巻く環境、宅地化による住民の増加や学校・幼稚園開設などの変化を把握して、踏切の安全対策を検討してほしい。

《参考記事》
「2人死亡の踏切 遮断機と警報機の設置」 2010年10月13日 朝日新聞
http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001010130001

2010年10月13日水曜日

消費者団体が食品事故・偽装表示の情報のデータベース構築

 6日、日本消費者連盟(東京)、食の安全・監視市民委員会(同)などの消費者団体が、食品の事故や偽装表示など、消費者からよせられた食品関連の情報のデータベースを構築すると発表、ホームページ上で誰でも見られるようにする。重大事故や悪質な事例は、事業者名を公表したり、刑事告発を検討することもあるという。

 消費者団体による本格的なデータベースの構築ははじめてで、データベースの名称は「食の安全・市民ホットライン」http://www.fsafety-info.org/
 16日から、ファクスやメールなどで情報の収集を始める。
 一般の消費者には、事業者名などを公表しないが、データベースの作成に協力する8団体は、具体的な事業者名や商品名、発生場所などの情報に常にアクセスできるようにするという。
 
 今年4月から、消費者庁は、製品事故や食品事故などの情報を集めた「事故情報データバンク」を運用している。しかし、事故情報の公表内容が不十分だとの指摘もあり、消費者に役立つ情報の公開がもとめられていた。

《参考》
「食の安全・市民ホットラインご参加の呼びかけ」(食の安全・市民ホットライン)http://www.fswatch.org/2010/10-06.htm
《参考記事》
「食品事故・偽装表示の情報、消費者団体が収集」  (2010/10/6 23:24 )
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E2E4E2E1E58DE2E4E3E2E0E2E3E29180EAE2E2E2;at=ALL

2010年10月8日金曜日

踏切は減っているのに、なぜ踏切事故は減らない?

 国土交通省の「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成21年度)」によると、鉄道の高架化や廃止などにより踏切の数が減っているにもかかわらず、通行者が犠牲になるなどの踏切事故が昨年度は、増加に転じたことがわかった。

 報道によると、非常停止ボタンなど踏切の安全装置が使われていないケースがあり、利用が大幅に減った鉄道会社もあったという。識者は「ボタンの数が足りない」「わかりにくい」などと指摘しているという。

 9月19日には、東京都府中市の京王線東府中駅近くにある「東府中2号踏切」で、女性(67歳)が準特急電車にはねられて亡くなる事故が起きた。また、その約1か月前の8月23日には、世田谷区の東急大井町線等々力駅構内にある踏切で、踏切を横断していた71歳の女性が急行電車にはねられ亡くなった。いずれも警報機と遮断機がある踏切だが、遮断機の脇に設置された非常停止ボタンは使われていなかった。
 
 写真は東府中2号踏切。踏切入口にある非常ボタンのところから、府中方面をみる。(2010年9月25日撮影)

下は等々力駅構内にある踏切。駅に入るには、踏切を渡らねばならないため、遮断機が下り初てからも、急いで駆け込んで渡る人が多い。事故当時、駅構内が混雑していたのか、当時の状況はよくわかっていないが、女性は遮断機内に取り残されて亡くなった。(2010年9月29日撮影)


 東府中2号踏切では、事故の後、非常ボタンを2か所から4か所に増やした。先月東府中2号踏切をたずねたら、秋の交通安全キャンペーンなのか、踏切では京王電鉄の駅員が、「踏切事故防止」を訴えるチラシなどを配布していた。

 京王の駅員は、「踏切で非常の事態が起きた際に、非常ボタンを押してくれれば運転士に連絡がいき、非常停止できるので、非常ボタンを押してください」と言っていた。しかし、自分が何らかの原因で踏切に取り残されたとき、踏切の周辺に他に人がいなければ、非常ボタンを押してもらえない。また、通行人に非常ボタンの設置場所もすぐわかるようにしておく必要があるのではないだろうか。

 子供や高齢の方が踏切内に取り残された際、自動検知できる設備や、踏切内でつまずいたりレールに挟まれたりしないよう路面を整備するなど、交通弱者に配慮した安全対策が必要ではないかと思う。

《参考》
「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成21年度)」について、当ブログでは
http://tomosibi.blogspot.com/2010/09/21.html
参考記事》
踏切減ってるのに事故増非常ボタン足らない?
(2010年10月8日17時31分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101008-OYT1T00939.htm