2012年12月29日、埼玉県本庄市銀座1丁目にある上町踏切に行った。
この踏切で、2012年11月24日午後3時35分ころ、男性(70歳)と、女性(60歳)が列車に撥ねられて亡くなった。列車は高崎発小田原行きの上り特別快速列車(10両編成)だった。
踏切は、JR高崎線の第1種踏切で、警報機、遮断機が設置されている。また、車両を検知する障害物検知装置と、踏切の異常を運転士に知らせるため、特殊発光器を発光させる非常ボタンが踏切の2か所に設置されている。
本庄署は、列車の運転士の目撃情報から、女性が男性を助けようとして、下りていた遮断機をくぐって踏切内に入り、事故に巻き込まれたと見ている。
同署の調べによると、列車の運転士は走行中、前方で踏切内にしゃがんでいる男性を発見し、ブレーキをかけた。その直後に、女性が遮断機をくぐって男性にかけより、背後から男性の両脇をかかえて線路の外に運び出そうとしていたという。しかし、電車はブレーキが間に合わず、二人を撥ね、二人は亡くなったとしている。通行人が非常ボタンを押した形跡はないという。
本庄市銀座1丁目にある上町踏切。2012年12月29日撮影 |
この踏切には、線路わきの車道のほかに、5つの方向から道路が集まってきており、自転車に乗った通行者も多い。NHKの「クローズアップ現代」(2012年12月12日放送)によると、事故のあった午後3時ころは、車両の通行が多く、1時間に100台あまりが通行した。歩行者や自転車の通行人は、車両をよけて通るのが大変で、現場を通ったお年寄りは、危険を感じたという。
踏切の路面は凹凸があり、路面の木をとめる ボルトが出っ張ったりしていた。線路に向かって路面がゆるやかな坂になっており、自転車に乗って踏切を渡ろうとすると、足の力が要るかもしれない。歩行者と車両のとおる道路が分離されていないので、歩行者は、ひっきりなしに通る車両の脇すれすれを、おそるおそる通らなくてはならない。
路面に浮き出た鋲は、つまづきやすい。2012年12月29日撮影 |
舗装した跡が、盛り上がっており、歩きにくい。踏切右側に非常ボタンがある。 |
自転車に乗って横断していると、路面が悪く自転車がはずんで荷物を落とすこともあるかもしれない。通行者が、そんな荷物などをとりに引き返したりすることもあるだろうと思う。通行する人が転んでけがをしたり、踏切内に取り残されたりすることのないよう、路面を整備してほしい。また、非常ボタンの位置や利用のしかたが案外、通行人に知られていないのではないだろうか。
また、踏切内に閉じ込められたお年寄りや車いすの人や子どもでも手が届くように、非常ボタンを設置する場所や高さを検討してほしい。
上町踏切を通過する高崎線の上り快速列車。 2012年12月29日撮影 |
そして、この踏切を通過する列車の速度は100km前後になると思う。列車の本数を増やし、高速化するなら、それに見合った安全対策がすすめられるべきだ。また、鉄道の周辺の都市開発がすすみ、マンションやそこに住む人が増え、商業施設が増え、踏切を通行する人や車両が増えている。
そういった環境の変化を、事業者も行政も、迅速に的確に把握して、鉄道の安全対策を考えなくてはならないと思う。
《参考記事》
NHKクローズアップ現代「繰り返される踏切事故~高齢者をどう守るか~」2012年12月12日放送http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3287.html