2013年1月19日土曜日

埼玉県本庄市JR高崎線上町踏切~二人が亡くなった踏切

  2012年12月29日、埼玉県本庄市銀座1丁目にある上町踏切に行った。
  この踏切で、2012年11月24日午後3時35分ころ、男性(70歳)と、女性(60歳)が列車に撥ねられて亡くなった。列車は高崎発小田原行きの上り特別快速列車(10両編成)だった。
 踏切は、JR高崎線の第1種踏切で、警報機、遮断機が設置されている。また、車両を検知する障害物検知装置と、踏切の異常を運転士に知らせるため、特殊発光器を発光させる非常ボタンが踏切の2か所に設置されている。

 本庄署は、列車の運転士の目撃情報から、女性が男性を助けようとして、下りていた遮断機をくぐって踏切内に入り、事故に巻き込まれたと見ている。
 同署の調べによると、列車の運転士は走行中、前方で踏切内にしゃがんでいる男性を発見し、ブレーキをかけた。その直後に、女性が遮断機をくぐって男性にかけより、背後から男性の両脇をかかえて線路の外に運び出そうとしていたという。しかし、電車はブレーキが間に合わず、二人を撥ね、二人は亡くなったとしている。通行人が非常ボタンを押した形跡はないという。

本庄市銀座1丁目にある上町踏切。2012年12月29日撮影
 上町踏切は、本庄駅から歩いて10分ほどのところにあった。踏切から歩いて3分ほどの所には、大きなショッピングセンターがあり、この方面からの車両が一方通行で踏切にひっきりなしにはいってくる。また、ショッピングセンターと反対の側には、病院や老人施設がある。
 この踏切には、線路わきの車道のほかに、5つの方向から道路が集まってきており、自転車に乗った通行者も多い。NHKの「クローズアップ現代」(2012年12月12日放送)によると、事故のあった午後3時ころは、車両の通行が多く、1時間に100台あまりが通行した。歩行者や自転車の通行人は、車両をよけて通るのが大変で、現場を通ったお年寄りは、危険を感じたという。

 踏切の路面は凹凸があり、路面の木をとめる ボルトが出っ張ったりしていた。線路に向かって路面がゆるやかな坂になっており、自転車に乗って踏切を渡ろうとすると、足の力が要るかもしれない。歩行者と車両のとおる道路が分離されていないので、歩行者は、ひっきりなしに通る車両の脇すれすれを、おそるおそる通らなくてはならない。

路面に浮き出た鋲は、つまづきやすい。2012年12月29日撮影
 
舗装した跡が、盛り上がっており、歩きにくい。踏切右側に非常ボタンがある。
 
   2013年に入って、1月11日、JR東日本は、お年寄りを助けようとして亡くなった女性の勇気を顕彰する碑を踏切のそばに設置したという。それと同時に、二度と同じような事故が起きないよう、早急に安全対策も検討してほしい。

 
 自転車に乗って横断していると、路面が悪く自転車がはずんで荷物を落とすこともあるかもしれない。通行者が、そんな荷物などをとりに引き返したりすることもあるだろうと思う。通行する人が転んでけがをしたり、踏切内に取り残されたりすることのないよう、路面を整備してほしい。また、非常ボタンの位置や利用のしかたが案外、通行人に知られていないのではないだろうか。
 

 また、踏切内に閉じ込められたお年寄りや車いすの人や子どもでも手が届くように、非常ボタンを設置する場所や高さを検討してほしい。
上町踏切を通過する高崎線の上り快速列車。 2012年12月29日撮影
   JR高崎線では、高崎から湘南・小田原方面に走る特別快速電車が運行されるようになり、高崎方面から神奈川西部方面に行くのが便利になった。
 そして、この踏切を通過する列車の速度は100km前後になると思う。列車の本数を増やし、高速化するなら、それに見合った安全対策がすすめられるべきだ。また、鉄道の周辺の都市開発がすすみ、マンションやそこに住む人が増え、商業施設が増え、踏切を通行する人や車両が増えている。
 そういった環境の変化を、事業者も行政も、迅速に的確に把握して、鉄道の安全対策を考えなくてはならないと思う。
《参考記事》
NHKクローズアップ現代「繰り返される踏切事故~高齢者をどう守るか~」2012年12月12日放送http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3287.html

2013年1月18日金曜日

秩父鉄道の踏切事故(埼玉県行田市)~警報機・遮断機のない第4種踏切

 報道によると、1月18日午後4時半ころ、埼玉県行田市の秩父鉄道の踏切で、近くに住む小学5年生の男子児童が列車に撥ねられて亡くなった。列車は、影森発羽生行きの普通列車で、列車の運転士は、何かにぶつかるような音がしたため、急停車したという。
 
    この踏切には、昨年12月に行った。
 東行田駅から約100mのところにあり、警報機や遮断機が無い。単線で、踏切にはポールが立てられており、車両は通行できない。人が踏切に近づくと、踏切があることを音声で知らせる装置がある。踏切の幅は線路のあたりでは約1m、長さは約6mで、線路に向かって下り坂になっている。線路が両脇の道路から下にあるため、線路を横断すると、また坂を上って、踏切を出ることになる。そのため、踏切のそばに住む男性が、踏切は危険だと話していた。路面も悪く、凸凹していた。(下の写真は、東行田No.2踏切 2012年12月9日撮影 )

 また、照明もないため、今の時期は夕方は、暗くて足元もよく分からないかもしれない。それは、運転士からも踏切を渡る人が見えにくいということでもある。

   人が近付くと音声装置が、踏切であることを注意喚起するが、列車が近付いているわけではないので、この音声装置に慣れてくると、列車が来ないだろうと渡ってしまいかねないと、男性は話していた。  また、踏切を見て感じたのは、坂道になっているので、自転車だと線路に滑り込んで行きかねないということ。付近は駅に近いせいか住宅が並び、高校も近くにあるので、高校生も通行する通学路である。

 桜町には、東行田No.5踏切(事故当時は警報機や遮断機がなかった)が近くにあり、4年前に中学生が、翌年には幼児が事故で亡くなっている。ふたつの事故後、この踏切には警報機や遮断機が設置された。
 先日行ったときは、このような事故のあった踏切のすぐ近くに、まだ、警報機や遮断機のない第4種踏切があることに驚いたばかりだった。再び事故が起きて、尊い命が奪われ、何といってよいかわからない。

 昨年は通学路で、痛ましい交通事故が相次いだため、通学路として利用されている踏切についても点検して、緊急に安全対策をとるべきだといわれていたはずである。

路面が悪く、つまづきやすい。線路のあたりは幅も狭いので、自転車が脱輪しやすい。
自治体や、鉄道に関わる行政、鉄道事業者のみなさんには、早く踏切の安全対策に取り組み、このような痛ましい犠牲を無くすようにつとめてほしい。

《参考記事》
「踏切で小5男児はねられ死亡」NHK首都圏ニュース 2013年1月18日 20時21分
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20130118/0117fb2110240701cdd46066a3cde001.html

「踏切ではねられ小5死亡、埼玉 秩父鉄道」2013年1月18日 21:29 共同通信

2013年1月9日水曜日

踏切事故、5年前に比べ倍増 行政評価局、安全対策状況調査へ

 報道によると、東京都や埼玉県内では、昨年度、踏切事故が5年前に比べ倍増していることが、国土交通省関東運輸局(横浜市)のまとめでわかった。
 昨年11月、埼玉県本庄市では、JR高崎線の踏切で、男性(70歳)と、男性を助けようとした女性(60歳)の2人が列車にはねられて、亡くなった。こうした事態をうけて、総務省関東管区行政評価局(さいたま市)は、安全対策の実施状況について、自治体や鉄道事業者を調査することになった。
 
 関東行政評価局は、「踏切に安全な歩道が確保されているかをはじめ、自治体や鉄道事業者による安全対策が十分に実施されているか調べ、問題点を明らかにして事故の再発防止につなげたい」としている。
 今年3月まで調査し、同月中に結果を公表することにしている。

  東京都内や埼玉県内の事故のほとんどは、警報機・遮断機付きの第1種踏切で発生しているという。安全装置は設置されていても、歩道が確保されていなかったり、路面が悪くお年寄りが歩きにくいこともあるかもしれない。

 行政評価局には、自治体や事業者によってどんな安全対策が実施されているか調査して、問題点がないか検討してほしい。そして、事故を減らすため、十分な対策をとるよう、鉄道行政、自治体や鉄道事業者を指導してほしいと思う。

《参考》
「踏切道の安全確保に関する行政評価・監視」 関東管区行政評価局 平成24年12月7日
http://www.soumu.go.jp/main_content/000190459.pdf
《参考記事》
「踏切事故:昨年度、5年前に比べ倍増 行政評価局、安全対策状況調査へ /埼玉」
   毎日新聞 2013年01月07日 地方版【合田月美】
http://mainichi.jp/area/saitama/news/20130107ddlk11040089000c.html