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2022年6月6日月曜日

東大阪市 近鉄奈良線 瓢箪山第2号踏切~電動車いすの方が亡くなった事故

  2021年12月9日午後4時ころ、電動車いすに乗って瓢箪山2号踏切を渡ろうとしていた高齢の男性が、下りてきた遮断機に電動車いすがあたり、踏切内に横転し、大阪発奈良行きの普通電車に撥ねられて亡くなった。

  この踏切には、警報機・遮断機がある。車両が通行できないせいか、障害物検知装置はない。踏切の長さ約8m、幅約2m。国土交通省が指定する「踏切安全通行カルテ」で、「事故多発踏切」として抽出されている。

 この踏切道はカーブ上にあるため、線路のカーブ外側が内側より高くなっている。そのため路面が凸凹している。12月の夕暮れ時は、足元が暗く凹凸がわかりにくいと思う。また、瓢箪山2号踏切のある瓢箪山駅から枚岡駅までの間は勾配が大きい。

 そして、通行止めのポールが設置されているが、遮断桿が下りると、ポールよりも下に来る。そのため、閉じ込められたとき、棹を向うに押して出ようと思っても、向こうに動かないので、出られないことが分かった。

 車に乗っていて、「踏切内に閉じ込められたら、棹をゆっくり押して外に出てください」と踏切に掲示されているが、ここでは、外に出られない。


          東大阪市 近鉄奈良線 瓢箪山2号踏切   2022年5月23日撮影

 近所にすむ小学生の母親は、踏切を通学路として使っているという。凹凸があり、歩きにくい踏切では、高齢者や障害のある方々にとっては、危険度が大きいと思う。一刻も早く対策を考えてほしい。

 高齢者は自動車の免許を返納するよう求められ、自動車の運転をやめる人が増えている。その結果、自動車に代わる移動手段として電動車いすが普及してきているせいか、電動車いすの事故は増えているという。安全に乗って、自由な移動ができるよう、踏切も対策が求められると思う。

 最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

《参考》

2021年12月9日毎日新聞

電動車椅子の男性が電車にはねられ死亡 東大阪・近鉄奈良線踏切 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

  





2019年5月15日水曜日

長さのある第4種踏切の事故~JR東横須賀線山の根踏切

 報道によると、2019年3月21日夕方、逗子市逗子にあるJR横須賀線「山の根踏切」で、横浜市港北区の高齢の男性が、歩いて渡っていたところ、電車に撥ねられて亡くなった。男性は、ポータブルラジオなどを持っていたことから、警察は、男性が電車の音に気付かなかったのではないかとみている。男性は、墓参りに来ていたらしい。
 踏切には、車両の入れ替え線を含む計9本の線路が通っているが、警報機や遮断機のない第4種踏切だという。長さは35メートルもあり、利用者は自分で電車が来ないかどうか、確かめながら渡らねばならない。
 
 この踏切を避けて線路を渡るには、約280メートル離れた別の踏切に迂回しなくてはならいので、地元の住民はこの踏切を渡るという。JR東日本と逗子市は、山の根踏切を廃止する方向で協議しているが、見通しは立っていないという。
 また、警報機・遮断機のない踏切は、神奈川県内に27箇所あるといい、対策が急がれる。

 今年2月26日の記者会見で、運輸安全委員会の中橋和博委員長は、
「例えば、時速100キロで走行する列車は200m先から7秒ほどで踏切に到達します。このような高速で列車が走行する路線においても遮断機のない踏切が存在しており、高速道路で信号のない横断歩道を渡るようなものだと感じるところですが、列車はブレーキをかけて停止するまでの距離が自動車の数倍も必要であることを考えると、高速道路よりも危険だと言えるかと思います。」
「踏切の見通し状況や列車の速度などを把握している鉄道事業者が、積極的に関係者に働きかけて協議を進展させることにより、踏切の廃止や遮断機等の整備の早期実施につなげることも重要だと考えます。」と語っている。
 
 鉄道周辺の宅地化が進み、人口が急速に増え、第4種踏切を取り巻く環境が大きく変わっているのに、鉄道事業者はいつまでも警報機や遮断機を設置しないまま、踏切を通行する人に負担を強いているのではないだろうか。
 危険な踏切を放置せず、一刻も早く対策にとり組んでほしい。

《参考》
2019年2月26日運輸安全委員会委員長会見要旨

http://www.mlit.go.jp/jtsb/kaiken/kaiken20190226.html

「危険な踏切 『こわいけど』渡る 住民『生活に必要』」毎日新聞2019年5月12日
https://mainichi.jp/articles/20190512/k00/00m/040/019000c

 

2018年9月19日水曜日

電動車いすの男性が死亡~神戸市灘区阪急神戸線畑原踏切~

 2018年9月16日午後7時15分頃、兵庫県神戸市灘区にある阪急神戸線の畑原踏切で、電動車いすに乗って踏切を横断していた男性(73歳)が普通電車に撥ねられて亡くなった。

 MBSの報道によると、畑原踏切は神戸線王子公園駅と六甲駅の間にある踏切で、ニュースの映像からを見ると、カーブしている線路上にあるようだ。線路の路面に凹凸があり、カーブの外側が高くなっている。また、線路と道路の交差角度が直角ではないように見える。このように、路面が凸凹していたりすると、電動車いすや自転車では渡りにくい。車輪が線路の溝に入ったり、自転車のハンドルを取られたりすることがあるという。

 そうすると、踏切内で車いすなどが動けなくなる可能性がある。車いすに乗っていた男性がどのような状況だったのか、委細はわからないので断定はできないが、踏切の路面の状況が良くないことも、事故の原因につながると思う。

 阪急電鉄の他の踏切では、電動車いすの事故が過去にも起きている。カーブ上の踏切や車いすで渡る人のへの安全対策を検討してほしい。

 踏切はいろいろな方が通行する。健康な若者ばかりではない。年老いた方が手押し車を引きながら渡ったり、ベビーカーを押しながら渡る人もいる。さまざまな人に目を向けた対策を講じて、悲惨な事故で無くなる人のないように努めてほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

《参考記事》
「電動車いすで踏切横断中の男性はねられ死亡」毎日新聞2018年9月16日


 

2018年8月24日金曜日

新たな跨線橋の建設へ~横浜市・生見尾踏切


 
    2013年8月23日午後6時50分頃、横浜市鶴見区生麦3、京浜東北線鶴見‐新子安間にある生見尾(うみお)踏切で、88歳の男性が亡くなった。男性は、つえをついて踏切を渡ろうとしたところ警報機が鳴りだし、出る側の遮断機にたどり着く前に電車に撥ねられた。男性はまもなく死亡が確認された。
 いっしょに渡っていた妻は、電車と遮断機の間で間一髪、助かった。
 事故のあった生見尾踏切は、京急生麦駅の北西側にあり、横須賀線、京浜東北線、東海道線の線路計6本が通っている。また、貨物線の線路が2本、高架で走っている。貨物線の手前、東海道線の遮断機を出た所までの踏切の長さは約40mで、道路幅は5,6m、歩行者と車両の通行するところを区別するため、色分けされている。路面は写真左から右へ上り坂になっており、歩きにくい。
 京浜東北線と東海道線の間には、退避場所があり、踏切を渡りきれないときは、そこで東海道線の遮断機が開くのを待つことになる。


生見尾踏切を岸谷川から見る 2018年8月15日撮影

 警報機が鳴っている間に、渡り切れずに電車に高齢の男性が撥ねられ死亡したことを受けて、横浜市は、バリアフリーの跨線橋を建設することを決め、地元自治会や商店街などと話し合いを重ねた。
 その結果、現在の跨線橋と踏切の間に、新たにバリアフリーの跨線橋を建設することがきまり、工事が始まろうとしている。また、横浜市は現在の踏切を廃止しその上に跨線橋を設置するとしていたが、踏切を廃止しないでほしいという地元の要望で、設置場所を踏切から鶴見よりに変更した。

 2018年8月23日、事故から5年がたった。踏切の脇には跨線橋のエレベータなどの用地が確保され、ようやく工事が始まろうとしていた。
 事故直後、横浜市長が言っていたように、「スピード感をもって」対策をすすめてほしい。
二度と同じような悲惨な事故が起きないよう、一刻も早く工事を進めてほしいものだと思う。

《参考》
事故については、拙ブログ
「88歳の男性死亡、踏切渡り切れず~JR京浜東北線生見尾踏切」2013年8月25日



生見尾踏切に設置された新しい跨線橋の完成図と説明 2018年8月15日撮影
 
 

2018年5月20日日曜日

西武池袋線池袋第8号踏切の事故~人も検知する装置を

 2017年2月9日、西武池袋線の池袋と椎名町の間にある池袋第8号踏切で、お年寄りが電車に撥ねられて亡くなった。手押し車を押しながら、踏切を渡っていたところ、転倒したとみられている。
 特急や急行はスピードを出すため、遠心力で脱線しないように、カーブの外側を高くしてある。そのため、踏切がカーブの上にあると、傾斜ができる。また、線路が複線だと、この傾斜が二回出来る。踏切道が波打つようになる。高 齢者、車いすに乗る人、ベビーカーを押す人、自転車に乗る人らにとって、歩きにくいところだ。
 国土交通省関東運輸局が作成した「踏切通行安全カルテ」によると、池袋第 8 号踏切は、過去 5 年間に 2 回事 故が起きている「事故多発踏切」である。
写真1 2017年2月15日 池袋第8号踏切

 池袋第 8 号踏切は幅約 6 メートル、長さ約 10 メートルである。踏切は、警報機・遮断機のある 第 1 種踏切。非常ボタンも設置されている が、事故当時は押されなかった。また、障害物検知装置も設置されていたが、倒れた人を検知しなかった。
 昨年(2017 年)事故直後の 2 月 15 日、私が踏切を訪れた際には、 作業員が踏切の白線などの塗り替えをしていた。(写真1)


写真2 2018年5月15日池袋第8号踏切に設置されている新しい検知装置
  西武鉄道によると、2017 年 6 月から、池袋第8号踏切に、新しい障害物検知 装置を設置して実証試験を行っているという。この装置は踏切道の地面から 13 センチメートル の高さにレーダを設置し、転倒した人も面で検知 しようというもの。実証試験を 1 年間実施し、安全対策に活かそうとしている。(写真2)

 踏切を利用するのは、自動車だけではない。池袋第8号踏切のように、生活道路として周辺の住民が買い物に行ったり、病院に行ったりする際に利用されているところも多い。(写真3)
写真3 2018年5月15日 池袋第8号踏切 路面に凹凸がある
 踏切を通行する人が凹凸につまずいて転んだり、動けなくなった時、踏切の異常を検知して、電車の運転士に知らせる方法をぜひ、考えてほしい。
 運転士が電車を減速したり、踏切の前で電車を停止させることができれば、踏切に取り残された人は助かるかもしれない。
 
 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福をお祈りいたします。
2018年5月15日 池袋第8号踏切に設置されている非常ボタン(右)


《参考》
〇西武鉄道「踏切の安全対策について」 西武鉄道 第 17-021 号(2017 年 6 月 13 日)

  https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2017/20170613fumikirianzen.pdf
〇「 踏切事故 高齢者に危険 浮き彫り」東京新聞2017年12月27日
  http://www.tokyo-p.co.jp/article/tokyo/list/201712/CK2017122702000137.html#print



 
  

2018年3月31日土曜日

電動車いすも検知を~兵庫県高砂市JR神戸線東川踏切~

 2月11日、高砂市米田町島にあるJR神戸線の東川踏切に行った。
 ここの踏切で、1月12日午後3時半ころ、ハンドル型電動車いすに乗って、踏切を渡っていた女性が普通電車に撥ねられて亡くなった。報道によると、近くにある防犯カメラには、女性が遮断機の下りる前に踏切に入り、線路上で約30秒間、車いすの操作をしたり、手を上げたりして立ち往生しているような姿が映っていたという。

 
JR神戸線東川踏切 女性は向こう側からこちらへ渡ってきた。
こちら側の上り線の線路上で立ち往生していたという。
2018年2月11日撮影
東川踏切は、第1種踏切で警報機、遮断機、障害物検知装置、非常ボタンが設置されている。長さは約10mで幅は2.4mから2.9mある。JR西日本によると、障害物検知装置はループコイル式で、電動車いすが小さいため、この検知装置が検知しなかったという。

 ループコイル式の検知装置というものをはじめて見た。雪の多い地方などで、車を検知するために埋設されるというが、雪があまり降らない関西の高砂市でなぜループコイル式が埋設されているのかはわからなかった。
JR神戸線東川踏切 踏切の北側(上り線側)から、踏切内を見る。
ループコイル式の検知装置が埋設されているという。
2018年2月11日撮影
踏切のそばには、ショッピングセンターがある。日曜日のこの日は、この踏切を渡って買い物に行くのか、大勢の人が行き来する。子供をつれたおかあさんや、ショッピングカートをひくお年寄りや、自転車に乗った人々が行き来する。また、車両も狭い踏切を行き来する。
 また、自治会や高砂署・高砂市・小学校PTAによる通行規制があった。車両は日・土・祝日以外の7:30~8:30と13:00~17:00は通行禁止である。また、近くには「見守りカメラ」が設置されていた。電動車いすの女性が通行した日は、平日の午後で車両の通行がなく、電動車いすで渡るのが容易と思われたかもしれない。
見守りカメラが設置されていた。2018年2月12日撮影。

JR神戸線東川踏切 踏切の南側(下り線側)から、踏切内を見る。
交通規制の看板が見える。        2018年2月12日撮影
 高砂署は、女性が乗っていた電動車いすに不具合はなかったとみており、女性が操作を誤ったために、踏切内に取り残されたとみている。しかし、電動車いすに乗っている女性を検知装置が検知して電車の運転士に踏切の状況を伝えていれば、事故を防げたのではないだろうか?
 踏切を通行するのは、車両だけではない。さきほども書いたが、お年寄りや子供連れの人、自転車で買い物に来る人などが通行しており、踏切は生活道路になっている。
 これらの人たちが踏切で取り残されたとき、検知して、電車を減速したり、踏切の手前で停止させるなど、人の命を守る安全対策を講じてほしい。

<参考> 拙ブログでは、この事故の報道について、以下の記事で書いた。
「電動車いすの女性死亡~JR神戸線東川踏切」
https://tomosibi.blogspot.jp/2018/01/jr.html

2018年1月14日日曜日

電動車いすの女性が死亡~JR神戸線東川踏切~

 報道によると、1月12日午後3時半ころ、兵庫県高砂市米田町島のJR神戸線東川(あずまがわ)踏切(遮断機、警報機付き)で、ハンドル型電動車いすに乗った女性が、普通電車(網干発米原行8両編成)にはねられて亡くなった。県警は女性の身元などを調べているという。
 高砂署などによると、電車の運転士が踏切の手前約300mで踏切内の車いすを見つけ、非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。踏切は長さ約10m、幅2.4m~2.9mで、女性は南側から渡り始め、下りの線路を過ぎて上りの線路ではねられたとみられている。
 近くの防犯カメラの映像には、遮断機が下りる前の踏切に女性が入り、線路上で約30秒間、車いすの操作をしようとしたり、手をあげたりして立ち往生しているような姿が映っていたという。女性は踏切内に取り残され、どんなに怖かっただろうかと思うと、やりきれない思いになる。

 JR西日本によると、現場には、主に車を検知するための「障害物検知装置」が設置されていたが、今回は車いすが小さいため、装置が検知しなかったという。
 しかし、踏切を渡るのは車ばかりではない。車いすに乗った方や、手押し車を押しながら渡るお年寄り、ベビーカーを押しながら渡る女性もいるだろうと思う。
 障害物検知装置は、踏切を渡る人すべてを検知して、電車が減速したり、踏切の手前で止まれるようにすべきではないかと思う。

 電動車いすで踏切を渡っていて取り残される事故は過去にも多く起きており、鉄道会社や消費者庁は電動車いすで渡る際の注意を呼び掛けてはいる。
 しかし、電動車いすで踏切を渡るお年寄りは、自力で脱出するのが困難だったりする。周囲に通行人がいないと、非常ボタンを押す人や脱出を助ける人がいない。
 また、踏切そのものに問題がある。線路に対して直角に交差しておらず、ななめに交差していたりすると、車いすの車輪が線路の溝に入りやすい。そうすると、自力で車いすを線路の溝から出すのが困難で、動けなくなることもある。

 また、電動車いすの計器異常やバッテリーが上がるといったことも原因として考えられるという。事故の原因を調査して、同様の事故が起きることのないよう、鉄道会社にも対策を考えてほしいと思う。

 宝殿駅と曽根駅の間では、過去にも、別の踏切で高齢の男性が電動車いすに乗っていて、踏切内に入り亡くなっている。今回と原因は異なるが、電動車いすの設計などにも安全対策が必要かどうか、検討してほしいと思う。

 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福をお祈りいたします

<参考記事>
「車いすの女性、電車にはねられ死亡 検知装置作動せず」朝日新聞2018年1月12日
https://digital.asahi.com/articles/ASL1D5Q3JL1DPIHB02T.html

2016年10月2日日曜日

JR横浜線川和踏切の事故から3年

 10月1日、踏切内に入ったお年寄りを助けた村田奈津恵さんが亡くなって、3年がたった。
あれから、事故のあった川和踏切はどう変わっているのだろうか。今年もまた足をはこんだ。
事故のあったときと少しも変わらないようだった。

JR横浜線中山駅近くにある川和踏切  2016年10月1日
車は検知するが人を検知する設定をしていない障害物検知装置、列車を止めるには間に合わないことのある非常ボタン、遠くから見える「踏切」の表示、列車が来る方向をしめす表示器。警報機や遮断機もあるのに、いとも簡単に踏切内に入れてしまう。
 簡単なバーだけの遮断機は、子どもやお年寄りが誤って入ってしまう危険もあるのではないか。

スピードを出して、上りの列車が通過する  2016年10月1日撮影
今年は、献花台が設置されていなかった。献花台は、JR東が昨年まで設置していたと思う。
JRの敷地内に入って、花束をおく。

  どんなことば並べても 真実にはならないから 
  今日は贈ろう 涙色の花束を君に    (by 宇多田ヒカル)
川和踏切を下りの列車が通過する  2016年10月1日撮影

《参考》拙ブログでは、以下のページで、この事故について書いた。
「横浜市中山駅川和踏切の事故から2年」ほか、川和踏切事故について
http://tomosibi.blogspot.jp/search?q=%E5%B7%9D%E5%92%8C%E8%B8%8F%E5%88%87

 

2016年6月15日水曜日

安全工学シンポジウム2016~事故防止のあり方を考える

7月7日、8日、安全工学シンポジウム2016が開催される。
今年の全体テーマは、「技術と倫理」。活発な論議が期待される。

日本学術会議主催「安全工学シンポジウム2016」は,安全工学に関する各分野における問題点提起,優れた研究成果の講演と技術交流により,安全工学および関連分野の発展に寄与することを目的としている。
特別講演をはじめオーガナイズドセッション(OSと略),パネルディスカッション(PDと略),一般講演等の開催が予定されている。

主催は、日本学術会議総合工学委員会、共催は日本人間工学会他31学協会。
詳細なプログラムは、ホームページ http://anzen.org/html/Program.html
場所:日本学術会議 (地下鉄乃木坂駅下車、5番出口)

7月7日(木)は、私たちの発表・講演がある。
発表時間:12:20〜14:50  OS-6   場所:6階6-A(1)  
OSテーマ:「事故の再発防止とは〜事故防止のあり方を考える」


 
○「事故の再発防止とは〜事故防止のあり方を考える」
 加山 宏(東武伊勢崎線竹ノ塚踏切事故遺族)
○「高齢者と鉄道の安全対策 」             
 加山圭子(踏切事故遺族の会紡ぎの会)

 

○「踏切人検知システムの必要性と運用課題 」
 松田俊也(マイクロテック)
○「認知症患者家族の監督義務と鉄道事業者の立場」
 米倉 勉(弁護士)

○「事故調査の結論と裁判の結果について」              
 本江 彰(日本ヒューマンファクター研究所)

○「事故事例の蓄積から学ぶ―頭部外傷のくり返しに着目して」
 内田 良(名古屋大学)

○「事故の再発防止から未然防止へ ― リスクアセスメントと安全文化の発信 ―」
 高杉和徳(製品安全コンサルタント)


2015年12月15日火曜日

危険な踏切の対策を急げ

報道によると、12月12日、国土交通省は、歩行者が事故に遭う可能性のある危険な踏切の対策を加速させる方針を固めた。

踏切内の歩道の拡幅、道路と鉄道の連続立体化などの改良の方法が決まらなくても、国の判断で「改良が必要な踏切」に指定し、自治体と鉄道会社に取り組みを促すことを柱とするという。
対象となる踏切は全国1000か所以上になる見込み。次期通常国会に踏切道改良促進法改正案を提出する。

国土交通省鉄道局の「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報 平成26年度」によると、2014年度(平成26年度)には、踏切では246件、事故が発生、92人が死亡している。亡くなった人の約8割は歩行者で、そのうちの4割が65歳以上の高齢者である。

2012年、2013年と、二人の女性が、踏切で倒れていた高齢者を助けようとして亡くなるという痛ましい事故がおきた。

女性が亡くなった踏切の横に、JR東が献花台を設けた。
朝早くから、献花に訪れた人がいた。2014年9月30日撮影

他の交通事故と同様、踏切においても、歩行者、特に高齢者が関わる事故が増えている。国交省は、今年10月「高齢者等の踏切事故防止対策について」も公表し、対策を強化する予定だ。

平成28年度から「第10次交通安全基本計画」がはじまる。この中でも、踏切道における事故対策が重視されている。鉄道と道路が平面交差する踏切は、もっとも危険な場所といえる。にもかかわらず、遮断棹は簡単にくぐれてしまうし、警報機は遠くからは見えにくい場所もある。カーブにある踏切道は、でこぼこしていて歩きにくく、お年寄りでなくても、躓いたり転んだりしかねない。

踏切を通らなくては、生活できない人がたくさんいる。私もその一人だ。
踏切の道路を管理する自治体と、踏切の施設を管理する鉄道事業者は、協力して安全対策を進めてほしいと、切に願う。
 
≪参考記事≫
「踏切改良、国の後押し加速 歩行者事故対策で国交省」東京新聞2015年12月13日

2015年10月31日土曜日

高齢者などの踏切事故防止対策を検討、公表~国土交通省

 国土交通省は、10月7日、高齢者や移動に制約を受けている人たちの踏切事故防止対策について、昨年7月から検討してきた結果を公表した。
 踏切事故は、長期的には減少傾向にあるとはいえ、最近は、高齢者(65歳以上)や移動に制約のある人(以下「高齢者等」と略)が車いすに乗るなどしていて、踏切道を渡りきれずに死亡する事故が相次ぎ、事故をどのように防止すべきか、検討が迫られていた。

 国土交通省が今回公表した「高齢者等の踏切事故防止対策について」によると、踏切事故件数290件のうち、歩行者は約3割、死亡者の約7割は歩行者である。また、死亡した歩行者のうち、約4割は65歳以上の高齢者である。
 このように、踏切事故において、65歳以上のお年寄りなどが事故に遭う割合が大きいことがわかった。そのため、踏切事故防止対策の検討会では、鉄道事業者から踏切で記録された画像を提供してもらい、具体的な事例を分析することにした。事例を、警報機及び遮断かんの動作状況と高齢者等の通行状況を整理し、事故原因を分析、事故防止対策について検討した。

 ここでは、12例を警報機が鳴りだす前に進入した場合と警報機が鳴動中に進入した場合とに分けて分析している。
 踏切道を渡りきれない場合の原因として、歩行速度が遅いこと、踏切内の段差やレールと路面との隙間に歩行者の足やシルバーカートの車輪等がひっかかり転倒すること、歩道がないか歩道幅員が狭いために自動車とすれ違う際に歩行を中止することがあげられている。
 遮断かんに阻まれて踏切道から出ることができないのは、遮断かんを持ち上げたり、くぐることができないことが原因であることがわかった。また、警報機鳴動後に踏切道に進入するのは、警報機が見えづらい等により踏切を認識していない可能性があることもわかった。

 これらの分析から、比較的短期間で技術的に実現性が高いと考えられる14の対策を検討、そして、それぞれの踏切道の状況に応じて、各対策の採択や組み合わせを考えるよう、提言している。
 
 今回の事故防止対策は、踏切に設置されたカメラの画像を分析して、具体的に対策を検討していることが注目に値すると思う。また、踏切の道路管理者と鉄道事業者が協力して「踏切安全通行カルテ」を策定・公表し、重点的に対策を推進していくよう求めている。

 今後も、踏切事故を無くす対策を着実に進めるために、関係機関が協議を重ねっていいてほしいと思う。

≪参考≫
国土交通省ホームページhttp://www.mlit.go.jp/common/001105649.pdf
「高齢者等の踏切事故防止対策について」高齢者等による踏切事故防止対策検討会
平成27年(2015年)10月 
 

2015年7月22日水曜日

認知症のお年寄りが亡くなった事故~JR東海道線共和駅をたずねて

 2007年12月愛知県大府市JR東海共和駅で、認知症の症状のある男性(当時91歳)が、電車に撥ねられて亡くなった事故をめぐり、JR東海は男性の遺族に対して損害賠償請求をもとめていた。
 2014年4月24日、名古屋高裁で、この裁判の控訴審判決が言い渡された。
 裁判長は、判決で、認知症だった男性の配偶者として、男性の妻に民法上の監督義務があったと認定して、損害賠償の支払いを命じた。また、男性の長男には見守る義務はなかったとして、JR東海の請求を棄却した。一審の名古屋地裁では、男性の介護に携わっていた妻と男性の長男に対して、JR東海の請求通り約760万円の支払いを命じていた。
JR東海共和駅のホーム端には、階段が設置されている。施錠されていなければ
階段を下りて、線路に出られる。              2015年7月12日撮影

JR東海大府駅の改札口。男性は、切符を持っていなかったが、駅改札を通って
隣の駅へ行ったとみられている。               2015年7月12日撮影
判決では、男性の妻が、人の出入りを検知する入口のセンサーのスイッチを切っていたことから、「徘徊の可能性のある男性の監督が十分でなかった」と判断した。
 一方で、判決は、男性の長男の妻は、長男夫妻の住む横浜から、男性の住む大府市に転居し、男性の妻とともに男性を在宅介護をしていたことを評価した。そして、JR東海が駅で利用客等に対して十分な監視をしていれば、また、共和駅先端のフェンス扉が施錠されていれば、事故の発生を防止することができたとした。
共和駅ホーム端にはフェンスがあり、階段が設置されている。
                                 2015年7月12日撮影
事故当時は、施錠されていなかった。施錠されたのは、地裁判決の
後だった。事故当時は、回転式の留め具だけだった。
留め具は写真のように簡単に回せるから、男性は扉をあけることが
できただろう。                    2015年7月12日撮影
2015年7月12日、愛知県大府市にある、亡くなった男性のお宅を訪ねた。駅前に店を出すことを夢見ていた男性は、駅の目の前に店を出せたことをことのほか喜んでいたに違いない。
 男性の長男は、「父は、当日夕方、店の前を通る通勤客の流れにのるように歩いて行って、駅に入ったのではないか。改札を通り、突き当たると右に東海道線のホームに下りる階段がある。その階段を下りると、電車が来たので、乗車した。隣駅の共和駅でおり、ホーム端に行き、施錠されていなかった扉を開けて、階段を下りた。階段をおりたものの、今度はホームに戻る道がわからず、線路に出たところに新快速が来て撥ねられたのではないか…」と事故当時のことを振り返る。冬の夕方は暗くなるのが早い。ホームの端は暗く、共和駅手前の線路がカーブしているため、新快速の電車の運転士からは男性が見えなかったという。

JR共和駅のホーム端。男性は階段を下りた後、線路内に入ったとみられている。
新快速は共和駅を高速で通過する。            2015年7月12日撮影
男性は、出かけるときは、探しものをするように「かばんはどこか?」と聞いたりしていた。だから、出かけたいときは何となくわかったという。そんなとき、家族はいっしょに外に行き、散歩をする。外を歩くのは、気になる場所があるからだ。昔住んでいたところや、子供時代を過ごしたところへ行こうとするという。少し歩いて、それとなく「もうそろそろ帰りましょうか」と声をかける。
 認知症の人に対して、はじめから外に出てはいけないと家の中に閉じ込めるのではなく、外に出ても、安全に歩いて帰って来られることが大事なのではないか。
 
 安全に歩き戻って来られるように、町ぐるみで、認知症の人を見守る取り組みをしているところもあると聞く。認知症の人の介護を家族だけに任せるのではなく、社会で見守る取り組みがすすんでほしいと思う。

 名古屋高裁は、判決の中で、「被控訴人(注)が営む鉄道事業にあっては、専用の軌道上を高速で列車を走行させて旅客等を運送し、そのことで収益を上げているものであるところ、社会の構成員には、幼児や認知症患者のように危険を理解できない者なども含まれており、このような社会的弱者も安全に社会で生活し、安全に鉄道を利用できるように、利用客や交差する道路を通行する踏切等の施設・設備について、人的な面も含めて、一定の安全を確保することが要請されているのであり、鉄道事業者が、公共交通機関の担い手として、その施設及び人員の充実を図って一層の安全の向上に努めるべきことは、その社会的責務でもある」と、鉄道事業者の責務にふれている。
 2013年の名古屋地裁の判決に対して、認知症の人の介護をする家族や関係者からは、驚きと不安の声があがり、それに対して社会的な支援の必要を訴える識者の意見も聞かれた。
 鉄道事業者も、認知症の人への理解を進め、ホームや踏切の安全対策を検討し進めてほしい。

最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

≪参考≫
●名古屋高等裁判所判決 平成25年(ネ)第752号 損害賠償請求控訴事件 [原審・名古屋地方裁判所 平成22年(ワ)第819号]
●この事故については、以下に詳しく書かれている。
「踏切事故はなぜなくならないか」 安部誠治編著:高文研発行
  p.107~148 「介護ができない―JR東海認知症事故」 銭場裕司(毎日新聞)

≪注≫ JR東海をさす。
 

2015年5月29日金曜日

ハンドル型電動車いすの踏切事故~高砂市JR神戸線向沖東踏切

 2012年10月23日午前5時45分頃、兵庫県高砂市阿弥陀町にあるJR神戸線向沖東踏切で、電動車いすに乗って、踏切の前で、貨物電車が通過するのを待っていた男性が、電車にぶつかって亡くなった。 
 今年4月26日、男性の遺族に会うことができた。男性の遺族の話では、男性は、近くの神社にお参りに行くのが日課で、この日も朝早く家を出たところだった。
 向沖東踏切は、JR神戸線宝殿駅と曽根駅のあいだにある。警報機・遮断機・障害物検知器や、非常ボタンも設置されている第1種踏切である。(下の写真)

高砂市向沖東踏切。周辺は静かな住宅街が広がる。  2015年4月26日撮影
  男性の遺族が、踏切近所に住む男性に聞いたところによると、亡くなった男性は「遮断機がおりたため、踏切の手前でいったん停止した。その後、前のめりに倒れたあと、車いすが前に動きだし、降りていた遮断機を押し込む形で、踏切の中に入っていった。」危ないと思った男性は「非常ボタンを押そうと踏切に走ったが間に合わなかった」という。
 近所の男性は、「意識が無くなったように前かがみに倒れたあと、電動車いすのスイッチに触れたのだと思う」と語っていたそうだ。
 遺族によると、男性は、亡くなる2年ほど前から糖尿病を患い、血糖値を下げるくすりを飲んでいた。「亡くなった日の前日は夕方5時ころ夕食を終え、それからずっと食事をとっていなかった。そのため、朝、血糖値が下がり意識を失い前かがみになったのではないか。」と話していた。
 男性の遺族は、事故直後は、なぜ、男性が踏切に入ったのかわからなかったが、後日知人などから、治療薬のせいで血糖値が下がり、意識を失うこともあることを知った。
 亡くなった男性は、80歳の時、自動車の免許証を返納した。そのため、代わりになるものをと、レンタルで電動車いすを使うことにした。介護保険を使うと、レンタル料も1割の負担で済み、メンテナンスも受けられる。
 亡くなった男性が利用していた電動車いすは、アクセルレバーがハンドルよりも4センチほど上に出ている製品だったという。そのため、前のめりになった時に、レバーに体がぶつかり、前に進んでしまったのではないかと、遺族は推測している。
 
 男性の遺族は「夫は電動車いすで行動範囲が広がったと喜んでいた。高齢者が楽しく生活できるよう、電動車いすが安全な乗り物になってほしい」と話していた。
向沖東踏切を通過する電車。通行者と電車を間には、細い遮断棒のみ。
                              2015年4月26日撮影
   これから、ますます利用する人が増えるだろうと思う。 高齢者だから誤って操作したのだろうとか、まだ不慣れだったのではないかといった見方で、事故を見るのではなく、なぜ操作を誤ったのか検討し、安全対策を講じてほしい。
 事故を調査し、事故をなくすには何が必要か、関係する行政や事業者は検討してほしい。

≪参考≫拙ブログでは、以下で電動車いすの事故をとりあげた。
「電動車いすの事故~もとめられる安全対策」2015年4月1日
http://tomosibi.blogspot.jp/2015/04/3131010-8-112428138106-4-47810-2410-nhk.html

2015年5月13日水曜日

お年寄りが亡くなった踏切~兵庫県川西市絹延橋第1踏切

 2013年11月21日午後4時半ころ、兵庫県川西市にある絹延橋第1踏切で、杖をつきながら踏切を渡っていた高齢の女性が、渡りきらないうちに遮断機が下り、踏切内に取り残され、電車に撥ねられて亡くなった。女性は遮断機が下りたので、あわてたようすで、転んでしまった。そこへ、川西能勢口発妙見行き普通電車が来たという。

 絹延橋駅は、能勢電鉄川西能勢口駅から、一つ目にある。この駅の南側に絹延橋第1踏切がある。幅は約8m、長さは8mくらいだろうか。電車の来た方は、カーブしており、電車の運転士が女性に気がついたのは踏切の手前30mくらいで、非常ブレーキをかけたが間に合わなかったということだ。また、踏切が開くのをまっていた車の運転手は、女性を助けようとしたが間に合わなかったという。

 

絹延橋駅改札口を出ると、右手に絹延橋第1踏切があった。電車の来た方角
川西能勢口方面は、右にカーブしていた。       2015年4月19日撮影

 踏切はカーブの途中にある。そのため、線路の外側が高くなっている。踏切道内は起伏ができていて、決して長い踏切ではないが、歩きにくい。足の悪いお年寄りだったら、歩くのが遅くなる。

 鉄道に関係する人は、電車が高速で走るには線路の外側を高くする必要があるという。しかし、踏切を通行しなくてはならない人にとっては、そういう構造の問題が、命取りにもなるということを、忘れないでほしい。
 構造上の問題は解決が難しいというが、急なカーブでは速度を落とせばよいのではないだろうか?そうすれば、線路の外側を高くしなくてもよいのではないだろうか?
急なカーブであっても高速で通過しようと思わないで、踏切を日々通行する人のことも考慮して、構造上の問題も解決してほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福を祈ります。


絹延橋第1踏切の右手、川西能勢口方面から普通電車が来た。
駅は左手にある。                     2015年4月19日撮影
<参考>拙ブログでは、以下で取り上げた
「杖をついた女性、踏切渡り切れず~兵庫県能勢電鉄の踏切 」2013年11月23日
http://tomosibi.blogspot.jp/2013/11/blog-post_23.html

2015年5月7日木曜日

両側に路側帯を設置~東武伊勢崎線北千住東踏切

 半径310mの急カーブにある東武伊勢崎線北千住東(伊21号)踏切は、東武伊勢崎線北千住駅の南約670mのところにある。長さは、約23mで5本(レール本数は10本)の線路が東西に横切っている。ここは、ピーク時には、1時間のうち40分以上閉まっている開かずの踏切だ。
 昨年2月6日、この踏切を、76歳の女性が自転車を押しながら渡っていて、踏切内に取り残され、急行電車に撥ねられて亡くなった。

 事故当時、路側帯は片側にしかなく、車両が混雑すると、狭い路側帯を両側から通行人が行きかい、危険だと思われた。
 そんな中、女性は警報機が鳴りだしたので、踏切内で立ち往生してしまったのかもしれない。

 今年3月16日、足立区は路側帯を両側に設置するなどの安全対策を実施し、足立区と地元自治会などで踏切の安全を祈った。また、東武鉄道は非常ボタンを2か所から4か所に増設、障害物検知装置も変えることを検討しているという。

 徐々に安全対策が講じられているが、この踏切が通学路でもあることを考えると、児童が通行する時間帯だけでも、踏切に誘導員がいるとよいと思う。踏切内で転んだり、渡りきれなかい人がいたら、誘導員に非常ボタンを押してもらって、電車の運転士に異常を知らせたりできるのではないだろうか?

 踏切ごとに、必要な、またすぐできる対策も異なるだろう。それぞれの踏切の利用の実態を調べて、安全対策を検討し、実施していってほしいと思う。

 

東武伊勢崎線北千住東1丁目(伊21号)踏切
カーブにあるため、外側は高くなっている。路面の凹凸が大きい。
見通しが悪く、電車が右から来ても直前まで、見えない。
                                  2015年5月7日撮影

≪参考≫拙ブログでは、事故について、以下でとりあげた
「急カーブにある踏切~東武伊勢崎線北千住東踏切」
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/02/blog-post_13.html

2015年4月1日水曜日

電動車いすの事故~もとめられる安全対策

 ハンドルのついた電動車いすの事故が相次いでいる。報道によると、過去3年間に起きた事故13件の重傷・死亡事故のうち、10件までが同じメーカーの製品に集中していることが、消費者庁の消費者安全委員会の調査でわかった。事故の頻度は、他社の製品の10倍以上で、製品の構造が原因の一つとみられることから、消費者安全委員会(消費者事故調)は、メーカーに改善を促し、メーカーもアクセルレバーのつけ方などを検討するという。

 重大な事故が相次いでいるのは、松山市にある農業機械メーカー「アテックス」が製造する電動車いすで、他社のブランドで販売されているものも含め、これまでに全国で約8万台が出荷されているという。
 身の回りの事故の原因を調べる消費者事故調が、昨年11月からハンドル型電動車いすの事故を調査した結果、平成24年度以降の2年8か月の間に、消費者庁に報告された13件の重傷・死亡事故のうち、8割にあたる10件までが、この会社の製品で起きていることがわかった。このうち、6人の利用者が亡くなっていることがわかったという。
 事故は、お年寄りが電動車いすに乗っていて、道路わきに転落したり、踏切で列車にはねられたりして起きている。
 消費者事故調は、その原因の一つとして、この会社の製品のアクセルレバーが、他社のものと異なり、ハンドルよりも4センチ高い位置についていることがあると見ている。ハンドル操作がしやすい反面、お年寄りが具合が悪くなってうなだれたり、意図せずにレバーに触ってしまい、レバーを押して前に進んでしまう恐れがあるという。
 このため、消費者事故調はメーカーに対して改善をうながした。メーカーは、アクセルレバーのつけ方などについて改善を検討すると消費者事故調に伝えた。

 これまでに国内では、ハンドル型電動車いすが約47万台販売されているが、このうち、このメーカーの製品は8万台あまり。重大な事故は他社の製品全体の10倍以上の高い確率で起きているという。
 
 平成24年10月に、兵庫県高砂市でおきた踏切事故では、電動車いすに乗っていた男性(83歳)が、貨物列車にはねられて亡くなった。
 
 この踏切の近くに住む男性が、この事故を目撃していた。NHKがこの男性を取材したところによると、電動車いすに乗っていた男性は、遮断機が下りたため、踏切の手前でとまった。その後、前のめりに体が倒れた後、車いすが動き出し、降りていた遮断機を押し込むかたちで、踏切の中に入ったという。目撃していた男性は、非常ボタンを押そうとしたが、間に合わなかった。この男性によると、「意識が無くなったように前かがみにたおれた。倒れた体が電動車いすのスイッチに触れたのだと思う。」と話しているそうだ。
 また、亡くなった男性の家族によると、男性は糖尿病を患っていたため、血糖値をさげる薬を飲んでいた。事故のあった早朝は、前日夕方5時の夕食から食事をしておらず、血糖値が下がったことで、意識を失ったのではないかと話しているそうだ。
 亡くなった男性の妻は、「車いすで前かがみになったのは、血糖値が下がったからだと思う。夫は、電動車いすによって、行動範囲が広がって喜んでいた。高齢者が楽しく生活に利用できるよう、より安全な製品にしてほしい」と語っているという。

 電動車いすは、30年ほど前から販売が始まった。電動車いすは、主に高齢者が利用するハンドル型と、車いすと似た形で、主に体に障害のある人が利用するジョイスティック型と、2種類ある。
 バッテリーを充電してモーターで走行し、時速6kmまで出すことができる。運転には免許は必要なく、歩行者扱いだ。足腰の弱ってきたお年寄りには行動範囲が広がると喜ばれ、利用者が増えてきている。価格は20万から30万円で、介護保険を利用してレンタルすることもできる。
 消費者事故調によると、ほとんどの電動車いすは、アクセルレバーがハンドルの上の面よりも下についているが、改善を促した電動車いすは、ハンドルよりも4cmほど上にアクセルレバーがついていたという
 
 昨年、国際福祉機器展で、あるメーカーの電動車いすに試乗した。アクセルレバーが軽く動き使いやすいと思う半面、何かの拍子で押してしまったり、具合が悪くなって倒れこんだりしたら、レバーを押してしまい、前進してしまうのではないかと思った。
 道路交通法では、歩行者扱いの電動車いすは、免許が必要ない。高齢化が急速に進む中、お年寄りの行動範囲が広がるということで、普及が進んでいるという。しかし、高齢者が乗るものだから、事故が起きてもしかたないというのではなく、事故を防ぐ改善も必要となっているような気がする。
 高齢者も自分のすむ地域で、自立して生活することが求められている。ならば、なおさらのこと、安全に暮らせるよう、さまざまな改善や安全対策が求められていると思う。 

≪追記≫2015年4月4日
株式会社アテックスは、ホームページで、NHKの報道に対して、抗議文を掲載した。
NHKの報道は消費者庁の正式見解ではなく、NHKの独自取材による報道で、消費者庁から改善指示等も受けていないとしている。
「NHK に対する抗議文」2015年4月3日付
http://www.atexnet.co.jp/pdf/20150403.pdf
「NHK報道(電動車いす)による弊社見解」2015年4月2日付
http://www.atexnet.co.jp/pdf/kenkai.pdf

≪参考記事≫
「電動車いす事故 同メーカーに集中」2015年3月31日NHKニュース 
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150331/k10010034301000.html

≪参考≫拙ブログでは、消費者事故調の調査について、以下でとりあげた。
●「ハンドル型電動車いすの事故調査を決定~消費者安全委員会」2014年11月25日
  http://tomosibi.blogspot.jp/2014/11/blog-post_25.html

 また、電動車いすの事故については、高知県佐川町白倉踏切の事故や、阪急神戸線旧庄本踏切の事故などについて書いた。これらの事故の電動車いすは、製造メーカーがわからないものもある。
●「踏切事故の現場をたずねて~高知県佐川町白倉踏切」2010年4月26日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2010/04/blog-post_26.html
●「電動車いすの女性が亡くなった事故~阪急神戸線旧庄本踏切」2014年5月6日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html
●「電動車いすのお年寄りが亡くなった事故~大阪府高石市南海本線羽衣7号踏切」2014年7月22日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2014/07/7.html
●「車いすで踏切を渡るこわさ」2014年10月20日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2014/10/blog-post_20.html


2015年1月21日水曜日

大阪府内の危険な踏切、重点対策へ~電動車いすの事故

報道によると、大阪府警は、電動車いすで踏切を渡りきれず、お年寄りが電車と接触して亡くなるなど、電動車いすの事故が後を絶たないことから、府内の踏切を調べ、特に危険な踏切をリストアップした。

 
大阪府内の踏切は、JRと私鉄合わせて812か所あり、府警はすべての踏切に署員を出向かせて、段差がないかどうか、一定の幅員が確保できているかなど、目視で点検したという。
特に11か所につては、近畿運輸局や業界団体である「電動車いす安全普及協会」(浜松市)と協力して、  実際に電動車いすを走行させて確認した結果、
(1)急転回するとレールの溝にはまり、脱出できなくなる
(2)踏切の端から逸脱し、車いすが転倒する恐れがある――
のいずれかに当たると判明したという。そのため、昨年10月、鉄道会社に改善策を検討するよう、要請した。

また、消費者庁の消費者安全委員会は、昨年11月、相次ぐ電動車いすの事故調査をすることを決めた。消費者庁によると、全国では2007年5月から昨年9月までに、電動車いすが踏切内で電車と接触する事故で、7人が死亡、3人が重傷を負った。
大阪では、2012年11月に阪急神戸線の踏切で電動車いすに乗っていた高齢の女性が亡くなっている。また、2013年4月、高石市の南海本線の踏切でやはり電動車いすに乗って踏切を渡っていた男性が亡くなっている。
大阪府警幹部は「利用者数の割に事故が多く対策が必要だ」と考え、鉄道会社や電動車いすのメーカーに対策を要請したという。
こういった要請を受けて、鉄道事業者の方でも踏切の補修をするなど、対策に取り組んでいるという。
また、電動車いすの販売会社では、販売時に顧客を訪問して、冊子やDVDを配布して安全な乗り方や、踏切を渡る際には介助者をつけるようお願いしているという。

しかし、カーブでは、電車が脱線せずに曲がるために線路の外側を高くする必要があり、とくに昨今では電車が高速化しているため、この高低差が大きい。踏切がこのカーブ上にあると、外側の線路が高いため、踏切の路面に凹凸ができる。そのため、電動車いすで渡ろうとすると、この凹凸のために、動けなくなく可能性がある。
カーブでの高低差を解消するのは難しいというが、スピードを落とせば、高低差は少なくてすむのではないだろうか?高速で踏切や駅を通過する電車が増えたことが、事故を増やしているのではないかと思う。


高石市の南海本線羽衣7号踏切
カーブの途中にある。2014年7月20日撮影
急速に高齢化が進むといわれる中、自立した生活をする上で欠かせないと、電動車いすを利用する人も増えるだろう。生活する上で、踏切を通行しなくてはならない人も多い。介助者をつけて渡ってほしいといわれても、現実には、なかなか付き添ってくれる人がいないかもしれない。
安全に渡れる踏切にしてほしいと思う。万が一、踏切内に閉じ込められても、閉じ込められた人を検知して、電車が踏切の手前で止まれるようにしてほしい。

≪参考≫拙ブログでは、阪急神戸線の事故、南海本線の事故について、以下で取り上げた。
「電動車いすの女性が亡くなった事故~阪急神戸線旧庄本踏切」2014年5月6日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html
「電動車いすのお年寄りが亡くなった事故~大阪府高石市南海本線羽衣7号踏切」2014年7月22日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/07/7.html
≪参考記事≫
「電動車いす、踏切危険 大阪府内に11カ所、重点対策へ 」2015/1/20 1:59 日本経済新聞
 http://www.nikkei.com/article/DGXLASHC24H4T_W5A110C1960M00/

2014年11月27日木曜日

電動車いすのお年寄りが亡くなった踏切~滋賀県長浜市JR北陸線木之本踏切

 報道によると、10月24日、午前10時20分頃、長浜市木之本町木之本のJR北陸線木之本踏切で、電動車いすに乗って、踏切を渡っていた高齢の男性が、木之本駅を通過する名古屋発和倉温泉行きの特急電車に撥ねられて亡くなった。特急の運転士が踏切内の男性に気が付いて非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。
 警察によると、木之本踏切の警報機・遮断機は、正常に作動していたという。
 
 11月23日、木之本踏切に行った。木之本踏切は、JR北陸線木之本駅のホームのそばにあった。警報機・遮断機のある第1種踏切で、非常ボタンも設置されていた。木之本駅には各駅電車は停車するが、特急は高速で通過する。駅を出て踏切を渡ると、国道に出るために信号がある。踏切の長さは20m位で幅は8~9mはあるだろうか。
 踏切道は駅と国道を結び、北陸自動車道の木之本インターチェンジも近くにあるためか、車両の通行が多かった。歩行者用の路側帯は両脇にあるが、それぞれ1mもなく狭い。歩行者は車をよけながら、踏切を渡らねばならない。
写真① JR北陸線木之本踏切。左に見えるのは、木之本駅のホーム。手前の
線路が下り線。男性はこちら側から踏切に入ったが、線路を渡りきれなかったらしい。
下りの特急は右側から来て、木之本駅を高速で通過する。2014年11月23日撮影
私が訪れた日は、SL北びわこ号が運行される日だった。木之本駅には、SLの運行予定を調べて行ったのではなく、偶然SLに出会ったのだが、SLファンが多いのには驚いた。木之本駅はSL北びわこ号の終点で、ここからSLは機関車にひかれて米原へもどる回送電車になる。そのせいか、駅周辺は、SLを撮影に来た人たちの車両が駐車していたり、SLに乗車して木之本駅まで来た子供連れの人たちで混雑していた。
 木之本踏切を渡って100mほど先に信号があるので、車両が踏切と信号の間に多く入ってしまわないように、この日は、警備員の男性が車両の誘導にあたっていたが、SLの運行のない日は、警備員が踏切に立つことはないという。
写真② 木之本駅に到着したSL北びわこ号。2014年11月23日撮影
電動車いすを運転する男性が、どういう状況で踏切内に取り残されたのか、報道では定かではない。しかし、踏切道の路側帯をみると、幅が狭いうえに、途中に、車両が路側帯に入らないようにするためなのか、小さなU字型の柵がある。(下の写真③)
写真③ 路側帯にU字型の柵がある。      2014年11月23日撮影


写真④ 木之本踏切を通過する下りの特急電車。   2014年11月23日撮影
電動車いすの男性が、写真③のこちら側から、下り線路を渡ったところで、写真のような小さくても、柵があったら、通行できない。後戻りして、車道に入り直して先に進まなくてはならない。
 後進しようと、電動車いすを操作しているうちに、早い特急電車は踏切に来てしまう(写真④)。
男性がどちらの路側帯を通行していたのかわからないが、いずれにしても狭い路側帯を車両に注意しながら、踏切を通行するのは大変だ。
 
 
 電動車いすの事故は、(独)製品技術評価基盤機構が事故調査にあたる。また、今度、消費者庁の消費者安全委員会も、新しく電動車いすの事故を調査することを決めた。
 調査にあたる委員会には、男性の乗っていた電動車いすが製品として問題がなかったかどうかだけでなく、踏切の安全対策に問題はなかったかどうかも調査して、事故が減るよう、対策を検討してほしいと思う。
 急速に高齢化が進んでいるという日本。お年寄りは、一人で自立して行政や周囲に頼らずに生きていくように言われている。また、お年寄り自身もなるべく人に迷惑をかけないように、子供らの負担にならないようにと懸命に生きている。電動車いすや手押し車などに頼って必死に歩いて買い物や通院に出かけるお年寄りが増えている。そんな中、町の中はバリアフリーが十分進んでいるとは言いにくい。とくに踏切やホームでは危険が大きいと感じる。
 高齢者に「自立せよ」というばかりではなく、自立して安心して生きていけるよう住みやすい環境をつくるべきではないだろうか。

最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福を祈ります。
 
≪参考記事≫
「特急と衝突、車いすの男性死亡 誤って進入? 長浜の踏切 /滋賀県」朝日新聞大阪2014年10月25日
http://digital.asahi.com/article_search/detail.html?keyword=%E6%9C%A8%E4%B9%8B%E6%9C%AC%20%E8%B8%8F%E5%88%87&kijiid=A1001220141025M-SI-1A-014&version=2014112605

2014年11月25日火曜日

ハンドル型電動車いすの事故調査を決定~消費者安全委員会

 報道によると、11月22日までに、消費者安全委員会は、高齢者がハンドルで操作する電動車いすの事故について、新たに事故調査をすることを決めた。
 消費者安全委員会は暮らしの中でおきる身近な事故の原因を究明している。同委員会によると、ハンドル型の電動車いすは、これまでに47万台出荷されている。メーカーから消費者庁への報告によると、2012年度以降、13件事故が起き、そのうち9人が死亡、4人が重傷を負っているという。
 また、13件のうち5件は踏切で起きているという。

 電動車いすは、主に、身体に障害を持った方が操作するジョイスティック型電動車いすと、足腰の弱った高齢の方が操作するハンドル型車いすとがある。
 高齢化が進む中、お年寄りの外出を助けるものとして、急速に電動車いすを利用する人が増える一方、事故も起きている。製品事故を調査する(独立行政法人)製品評価技術基盤機構では、電動車いすの事故を調査対象として、調査を行い、事業者に改善を求めたり、利用者に注意を促している。
  電動車いすは時速6kmと、結構スピードが出るが、道路交通法では歩行者扱いで、
  免許がなくても運転できる。乗車してみると、乗る位置が低いせいか、会場に作られた
  坂道の上り下りは怖かった。しかし、足腰が弱ってきたら、必要になるかもしれない。
  福祉機器展で。  2014年10月3日撮影

 しかし、事故は減少する様子を見せないばかりか、踏切で電動車いすに乗った高齢者が電車に撥ねられて亡くなったり、段差で転倒して重傷を負うなど、電動車いすの事故が続いているのが現状だ。
 畑村洋太郎委員長は「車いす自体にさまざまな安全対策が施されてはいるが、高齢者が利用するという視点からさらにできることがないか、考えたい」と述べたという。
 事故調査することで、事故の実態がわかる。同委員会には、電動車いすの安全対策や踏切の問題点を探り、事故を未然に防ぐ方法を探ってほしいと思う。

≪参考≫
電動車いす安全普及協会では、電動車いすの種類や利用上の注意などについて説明している。
http://www.den-ankyo.org/index.html

拙ブログでは以下などで、電動車いすや車いすの事故を取り上げた。
●「踏切事故の現場をたずねて~高知県佐川町白倉踏切」2010年4月26日
 
http://tomosibi.blogspot.jp/2010/04/blog-post_26.html
●「電動車いすの女性が亡くなった事故~阪急神戸線旧庄本踏切」2014年5月6日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html
●「電動車いすのお年寄りが亡くなった事故~大阪府高石市南海本線羽衣7号踏切」2014年7月22日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/07/7.html
●「車いすで踏切を渡るこわさ」2014年10月20日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/10/blog-post_20.html

≪参考記事≫
「ハンドル型電動車いす事故を調査 消費者事故調 」2014/11/22 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H0C_S4A121C1000000/

2014年10月3日金曜日

交通事故被害者団体、第10次交通安全基本計画について意見提出

 9月24日、内閣府で、第10次交通安全基本計画についての意見聴取会があった。第9次交通安全基本計画は平成27年度で終わる。そのため、交通事故被害者団体から、平成28年度から始まる第10次交通安全基本計画に盛り込むべき内容について、意見を聞くというものだ。
 意見聴取会への参加については、内閣府のホームページで募集があり、意見を提出して参加を希望すると、審査の結果、参加が認められる。
 今回の意見聴取会に、踏切事故遺族の会としても意見を提出し、聴取会参加を希望したところ、意見聴取会の参加が認められた。
 
 9月24日は、各地の交通事故被害者団体が参加し、それぞれ、第10次交通安全基本計画に盛り込んでほしい内容を述べた。意見聴取会では、有識者、内閣府や警察庁、国土交通省などの担当者が被害者団体の意見を聞いた。
 
 踏切事故について、第9次交通安全基本計画の対策を引き続き進めつつ、次期の交通安全基本計画に盛り込んでほしいのは、緊急に対策が必要な踏切を見直し、高齢者や障害者等への対策を強化することだ。また、事故の再発防止対策に対する知見や経験を集めるため、事故情報を正確に収集し、事故情報を鉄道事業者だけでなく、広く、行政や沿線住民、専門家等と共有することが必要である。
 
 
 長期的には、道路と鉄道が交差する踏切道における事故は、踏切道の改良等の安全対策が進められた結果、減少傾向にあるといわれている。(参考:国土交通省鉄道局「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報平成25年度」、以下「情報」と略)
 しかし、依然として踏切事故は鉄道運転事故の約4割を占めており、改良するべき踏切道が残されている。
 急速に高齢化が進む中、近年、踏切内に取り残されたり、線路内に迷い込むなどして、電車に撥ねられて高齢者が亡くなるという悲惨な事故が多発している。
 上記の「情報」の中で、国交省が認めているように、踏切道においても、60歳代以上の通行者がかかわる踏切事故が約半数をしめている。高齢者が関わる踏切事故を無くすことは、踏切事故を大きく減らすことにつながる。
 また、車いすや自転車に乗って踏切道を渡っていた高齢者や障害のある方が踏切内に取り残されて電車に撥ねられて亡くなるという事故も後を絶たない。
 しかし、踏切道の9割近くを占める第1種踏切道(警報機・遮断機のある踏切道)で起きた事故は、運輸安全委員会では、事故調査の要件(死傷者が5名以上など)が厳しく、ほとんど事故調査されない。したがって、事故への有効な安全対策が講じられることはほとんどないといえる。せいぜい、踏切や駅などで、「踏切事故防止キャンペーン」と称して、チラシを配り、通行する人や運転手に注意を促すくらいだ。
 通行者が電車に撥ねられ亡くなる事故があったりすると、「踏切を渡るときは左右を確認して渡ってください。異常を発見したら、非常ボタンを押してください。押したら踏切内に絶対入らないでください」と、鉄道事業者は、踏切やホームでアナウンスを繰り返す。
 人間に注意を促すだけでは、事故が無くならないのは、危険や安全を研究する人たちの中では、常識で、人間の不注意やミスを防ぐ対策があらゆるところで講じられている。しかし、踏切ばかりは、通行する人に大きな負担を強いている気がする。
 
 1時間のうち40分以上閉まっている「開かずの踏切」では、遮断機が開いたから渡りはじめると、またすぐに警報機が鳴りだす。お年寄りや足の不自由な通行者は、警報時間内に渡りきれないことがある。遮断機が閉まっても、すぐに電車が来るわけではない。
 しかし、戸惑っていると30秒や40秒は、すぐにたってしまう。お年寄りが焦っているうちに、遮断機内から出られずに、電車に撥ねられて亡くなるという事故が起きている。
 そういう状況をセンサーで検知して、電車を踏切の手前で安全に停止させることはできないのだろうか。
横浜市鶴見区にある生見尾踏切。2013年8月23日、杖をついて
渡っていたお年寄りが渡りきれずに、電車に撥ねられて亡くなった。
踏切道は、中ほどに向かって盛り上がり、3路線が走る。
退避場所の向こうには、東海道線の踏切がある。
左に跨線橋があるが、エレベーターやスロープはない。
                           2013年8月24日撮影

足立区千住東にある踏切。自転車を押しながら渡っていた
お年寄りが、警報機が鳴りだしたので、戻ろうとしたが
踏切内に取り残されて、電車に撥ねられて亡くなった。
22mと長い踏切で、通学路でもある。カーブの途中にあるため、
路面に凹凸がある。              2014年2月12日撮影

 
 
 今年6月、警視庁が鉄道事業者や国土交通省等の安全担当者を前に、危険な踏切は高齢者の生活にとって障害になっているとして、人を検知する高感度のセンサーの設置や非常ボタンの増設などを要請した。高齢者や障害のある人の利用が多い踏切では、このような対策が急がれる。
2013年8月2日、車いすに乗って踏切を渡っていた男性が
踏切内に取り残されて、電車に撥ねられて亡くなった。
障害物検知器は、男性を検知しなかった。
神戸市北区、神戸電鉄田尾寺駅~二郎駅間にある踏切
2014年9月28日撮影
平成19年に、国交省が緊急に対策が必要な踏切の点検をしてから、7年がたつ。
その間に、運行本数が増えたり、スピードの速い電車が走ることになった踏切もあるだろう。各地の踏切の実態を把握し、それぞれの踏切の実情にあった緊急対策を急いでほしい。
 
 踏切が無くなることが、事故を無くすことにつながる。しかし、鉄道の立体化は時間と費用がかかる。すぐにこのような対策が進められないときは、できることから、一つ一つ進めてほしい。
 路面が悪ければ、整備し、路側帯がないところには設置する。また、踏切道の幅を広げることも必要かもしれない。開かずの踏切などでは、エレベーター付きの歩行者用立体横断施設なども設置してほしい。
 
 お年寄りや障害のある方も、自分の住む地域で、自立して生活するよう求められている。ならば、行政や鉄道事業者は、お年寄りや障害のある方も、安全に安心して地域で生活できる環境を整えるべきではないのか。
 踏切の安全対策に関わる人々には、もうこれ以上できる対策はないとあきらめずに粘り強く、事故をひとつひとつ無くす努力をしてほしい。ひとつひとつの大切な命を救ってほしい。
横浜市緑区にある川和踏切で、踏切内に倒れていたお年寄りを
助けた女性が、電車に撥ねられて亡くなった。踏切横には、
献花台が設けられ、多くの人が献花に訪れた。事故から1年、
JR東は川和踏切に献花台を設けている。 
写真は事故翌日の2013年10月2日に撮影したもの
≪参考≫
内閣府「第9次交通基本計画」平成23年3月31日
http://www8.cao.go.jp/koutu/kihon/keikaku9/keikakuall.html