2013年9月16日月曜日

横浜市、新たに跨線橋設置へ~京浜東北線生見尾踏切

 
 報道によると、9月13日、横浜市の林市長は、同日開かれた市会本会議で、JR京浜東北線生見尾(うみお)踏切(同市鶴見区生麦)に、早期に立体横断施設の設置を進める考えを示した。
 今後、周辺住民や鉄道事業者と、新しい跨線橋を現在の踏切近くに設置する方向で協議していくという。

生見尾踏切の左横にある跨線橋 エレベーターやスロープはない
                            2013年8月24日撮影
   生見尾踏切では、8月23日、つえをついて渡っていた88歳の男性が踏切を渡り切れず、電車に撥ねれて亡くなった。
 林市長は、「事故を重く受けとめている」として、「抜本的な安全対策として、自転車や歩行者が安心して渡ることができる立体横断施設の検討をスピード感を持って行う」と述べた。
 
 
  市道路局は、「新たに別の跨線橋を設置することが最も現実的な対策」だとしている。今ある跨線橋をかけ替えるのは難しいとして、新しく用地を確保して跨線橋を設置するという。
 
 また、「設置場所や形態は、住民やJR、(現在の跨線橋が直結する)京浜急行電鉄と協議し、地域のニーズに合った施設を造りたい」とする。
  今回の事故後、鶴見区自治連合会や生麦第二地区自治会の地元住民の皆さんが、横浜市に対して、跨線橋にエレベーターなどを設置して踏切の安全対策を進めてほしいと要望していた。
 生見尾踏切では、今までも事故が起きており、毎日のように、踏切に閉じ込められて危うく助け出される人がいるという。
 跨線橋ができるまでの間事故がないよう、鉄道事業者などで踏切に警備員を配置して、障害を持った方やお年寄りや子供連れの方などが安全に渡れるよう、誘導することなども必要ではないかと思う。
(9月18日以下の部分を追加)
 8年前、東武伊勢崎線竹ノ塚踏切で4名が死傷する事故が起きて以来、鉄道事業者は、踏切に警備員を配置して、踏切を渡る人を誘導している。竹ノ塚踏切は、電車が通過して踏切の遮断機が上がったと思うと、すぐにまた警報機が鳴りだす。高齢の通行人が、踏切をあわてて渡ろうとして転んだり、つまづいたりすることがあるという。
 そんなとき、警備員が遮断機を上げて通行人が来るのを待っていてくれるだけでも、通行する人はホッとすると思うし、大きな事故にいたらずにすむだろう。
 

 
  そして、一刻も早く、踏切や跨線橋をバリアフリー化して、安心して踏切を渡れるようにしてほしい。

《参考》 拙ブログで、生見尾踏切の事故を取り上げた
「88歳の男性死亡、踏切渡り切れず~JR京浜東北線生見尾踏切」2013年8月25日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2013/08/88jr.html

《参考記事》
「渡りきれず死亡事故の踏切、跨線橋新設を検討/横浜」 2013年9月14日神奈川新聞
 http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1309130040/

 (以下の記事を追加:9月18日)
「住民代表 生見尾踏切改善へ要望書 死亡事故受け市へ陳情」20113年9月12日タウンニュース鶴見区版

2013年9月12日木曜日

国交省、踏切事故調査の強化もとめ概算要求

 平成25年8月27日、国土交通省は、「平成26年度予算概算要求概要」を公表した。 
 
 平成26年度予算は、日本がデフレからの早期脱却を図り、防災対策、強い経済、暮らしの安心、地域の活性化等を実現していく上で重要なものとしている。
 
 
 国交省は「東日本大震災からの復興加速」、「国民の安全・安心の確保」及び「経済・地域の活性化」を三本柱として据え、具体的には、被災地の復興に取り組むとともに、防災・減災や老朽化対策を推進し、経済成長や生活向上の大前提である安全・安心の確保を図ることとしている。
 国交省は「平成26年度予算概算要求概要」の中で、公共交通等の安全・安心の確保のためには、鉄道の安全対策の強化が必要であるとして、
 「鉄道の車両に起因する事故等の発生を踏まえ、再発防止にとどまらず、未然に防止するための調査等を行い、安全・安定輸送の取組を強化するとともに、特に踏切事故について、運輸安全委員会の調査機能を拡充する。」(概算要求概要24ページ)としている。
 
 
 事故を未然に防ぐには、事故調査等を行い、安全対策に生かしていくことがもとめられているが、特に、踏切事故は、運輸安全委員会の調査対象として、厳しい要件があるため、ほとんど事故調査されてこなかった。
 
 
 今夏、公表された「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成24年度)」(国土交通省鉄道局)によると、踏切事故は295件起きており、鉄道運転事故の36.4%をしめている。また死亡者数は121人と、同41%をしめている。
 しかし、運輸安全委員会では、これらの事故は事故調査の対象になっていない。今年2月に起きた山陽電鉄の事故が、踏切で車両と衝突した列車脱線事故であるため調査中であるほかは調査されていない。
 列車の衝突・脱線・火災事故以外の事故の調査対象は
1 乗客・乗務員の死亡、 2 死傷者5名以上、 3 鉄道係員の取り扱い誤り又は車両若しくは鉄道施設の故障、損傷、破壊等に原因があると認められるもので、死亡者を生じたもの 3 特に異例とみとめるものに限るとしている。
 
 踏切事故で死傷者が5名以上あることはまれであるし、事故調査してみなければ、直接原因や背景要因はわからない。死亡事故はすべて、調査官が現場に行って調査すべきである。
 
 
 平成24年度は、たしかに踏切事故の件数は減っている。しかし、死亡者は121人と2名増えている。どんな状況でどんな方が亡くなっているのか、踏切事故の実態を把握することが、事故を無くしていくことにつながる。事業者や行政などから中立に公正に、事故の調査をして、原因や背景を明らかにすることで、事故を防ぐ対策も明らかになるのではないか。
 運輸安全委員会の体制を強化して、踏切事故の調査を拡大・強化することが必要だと思う。

《参考》
「平成26年度予算概算要求概要」国土交通省ホームページ
https://www.mlit.go.jp/common/001008721.pdf

運輸安全委員会ホームページ
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/investigation.php 調査中の案件(鉄道)
http://www.mlit.go.jp/jtsb/jikorail.html 調査の流れ(鉄道) 委員会の調査対象