2009年12月28日月曜日

JR西と遺族、合同で尼崎脱線事故検討会を開く

記事によれば、JR福知山線脱線事故の遺族らでつくる「4・25ネットワーク」とJR西日本は、事故の真相を合同で検証する検討会を設立すると発表していたが、この検討会を25日に初めて開き、検討会を「福知山線列車脱線事故の課題検討会」と名づけた。
 
 JR西の組織や安全意識の問題を見直すことが狙いで、鉄道事故を巡り、被害者と加害者がともに検討する場を設けるのは異例のことといえる。月1回程度、会合を持ち、2011年3月をめどに報告書をまとめるという。

 検討会に参加するのは、ネットワーク側が、妻と妹を亡くした浅野弥三一(やさかず)さんら遺族5人と、JR西日本側は西川直輝副社長ら5人で、必要に応じ関係部署の責任者も出席する。

 遺族側は、社内に安全認識を共有できる体制があったか、日勤教育やダイヤ編成が科学的根拠に基づいて安全を確保できる仕組みで行われたのか――などを検証したい意向で、浅野さんは「事故の全容解明は我々が前に進むために欠かせない作業。特に運転士がなぜ暴走したかは詳しく調べたい」と話しているそうだ。

《記事》
尼崎脱線事故の検証スタート 「日勤教育」から議論へ 2009年12月25日 22時20分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009122501000749.html

2009年12月24日木曜日

高知佐川町白倉踏切の事故から8か月

犠牲者が一人だった事故も、大勢の人が亡くなった事故も、亡くなった方一人一人の命の重さは同じはず。同じように事故の原因を調べ、同じような悲惨な事故が繰り返されないよう、十分な安全対策を取ってほしいと願う遺族の思いは、どういう事故であっても同じなのではないか。

 鉄道事業者や行政、事故調査機関など鉄道に関係する人々には、せめて、帰らぬ人の命の重さを両手に受け止め、二度と悲惨な事故を起こさないと心に決めて、安全な鉄道をつくる努力をしてほしい。
(写真は事故のあった高知県佐川町白倉踏切、第1種だが非常ボタンはなかった:遺族提供)


《記事》
こうち2009:/上 佐川・電動車いす踏切事故 /高知
 
 
 
 
毎日新聞 2009年12月23日 地方版
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20091223ddlk39040406000c.html

JR山田線盆景踏切、来年度警報機・遮断機設置へ

 今年10月の高校生と母親の乗った乗用車が列車と衝突した事故の後、JR山田線盆景踏切(第4種)は、付近の住民から、警報機・遮断機を設置するよう要望書が出されていた。宮古市とJR東盛岡支社は、来年度、同踏切と近くの竹洞踏切に警報機・遮断機を設置することで合意した。

 盆景踏切は、見通しが悪く列車が接近するのがわかりにくいといわれていた。以前にも事故があったという。また、地図を見ると付近には、学校や住宅が広がっている。踏切を通る車両や列車本数が増えるなど、環境の変化に応じた安全対策が求められていたのに、市やJRは対策を後回しにしていたと思える。
 
 市長は、二度と事故が起きないように、踏切の通行者にはマナーを守ってほしいと言う。しかし、常に踏切をとりまく状況を把握して十分な安全対策をとり市民や利用者の安全を守るべきなのは、行政や鉄道事業者のはずである。長年にわたって出されていたという住民の要望を取り上げなかった市長や事業者こそ、「マナー違反」ではないのだろうか?

《記事から》
宮古踏切 遮断機、警報機設置へ、市、来年度予算案で
(2009年12月22日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news/20091222-OYT8T00091.htm

2009年12月23日水曜日

マクラーレン社製ベビーカーで、指をはさむ事故増える

 最近、日本でも人気のあるマクラーレン社製ベビーカーだが、折りたたみ式のベビーカーを開閉する際に、接合部分で子どもの指をはさむ事故が起きていた。
 
 アメリカでは、このベビーカーで指の切断事故が12件起きていたため、アメリカ消費者製品安全委員会は、アメリカマクラーレン社に対して、「製品安全予防措置」をとるよう勧告した。
 アメリカマクラーレン社は、ベビーカーの開閉時に指をはさむ可能性のある接合部分にカバーをすることにし、購入者に対してカバーを無償で配布することにした。日本では、正規輸入元である野村貿易が配布する。

 一方、並行輸入品へも、経済産業省と消費者庁は同様の対応をするようマクラーレン社に要請したが、メーカーとの間に代理店や小売店などが介在する並行輸入業者の対応は遅い。
 複数の並行輸入業者で協力して補修カバーを作り無償配布する準備をしているそうだが、事故の防止に役立つよう、早急に対応してほしいものだ。

 マクラーレン社のHP
「米国マクラーレン「製品安全予防措置」に関する社告について」
http://www.maclaren.jp/news/index.html
 
《日経記事》
「マクラーレン」ベビーカー事故 並行輸入品、進まぬ補修
 http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091221AT1G1702320122009.html

2009年12月20日日曜日

旅客機座席、安全基準強化へ

 国土交通省は、旅客機の座席の安全基準を厳しくしたという。座席の強度だけではなく、人体への衝撃も計算して、けがをしにくくする。
 
 旅客機だけでなく、列車の座席や、車内の安全性についても検討してほしい。各駅列車でも、直線距離が長いところでは、時速80から90㎞のスピードを出している。もし急停車したり、脱線することがあれば、乗客はシートベルトをしていないのだから、イスから投げ出されたり、将棋倒しになりかねない。

 もし、万が一事故が起きた場合でも、乗客の被害が少なく、けがの程度も軽くすむよう、安全な設計をこころがけてほしい。

《記事》
旅客機座席、より安全に 乱気流などでのケガ防止、国が基準強化
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091210AT1G2401510122009.html

2009年12月18日金曜日

消費者庁、「子どもを守る!プロジェクト」発足

 17日、福島瑞穂消費者行政担当相は、閣議後、「子どもを事故から守る!プロジェクト」を発足させることを明らかにした。
 子どもの目線で、社会の危険を見まわし、各省庁が事業者などと連携して、子供を不慮の事故から守ろうというもの。さまざまな事故の情報を集め、原因を調査し、再発防止策を検討・具体化していくとともに、事業者をはじめ、家庭や学校など関係者の取り組みと協力を促していくという。

 これまで、子どもの事故に関しては、各省庁ごとに縦割りで対応してきた。そのため、事故情報がうまく伝わらず、対応が遅れたため被害が拡大することもあった。このような弊害をなくし、事故を未然に防ぐ取り組みがもとめられる。

 子どもが安心してのびのびと学び遊べる環境を整えるのは大人の役割であると思う。悲惨な事故が起きてから、対策を考えるのではなく、大人たちが知恵を出し合って、事故を未然に防ぐ手立てを講じてほしい。そのために、消費者庁は積極的に、消費者行政の司令塔として働いてほしい。

詳しくは、消費者庁HP
「子どもを事故から守る!プロジェクト」
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/091217adjustments_2.pdf

《共同通信記事》
子どもプロジェクト発足 事故防止で消費者庁
2009/12/17 12:26 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121701000377.html

2009年12月16日水曜日

一体タイプのソフトコンタクト消毒液、「殺菌力不十分」

 16日、国民生活センターは、ソフトコンタクトレンズ用消毒液(一体タイプ)の多くは、消毒力が不十分であるとの研究結果を公表した。
 洗浄から保存まで行えるタイプの消毒液は、洗浄と保存液が別々のものに比べると、殺菌力が弱く、このタイプの消毒液を使っているコンタクトレンズ使用者に、微生物による感染症が増加しているという研究結果がでた。アカウントアメーバなどの微生物が目の表面の傷から入り込み、角膜が炎症を起こすという。

 センターでは、消費者にコンタクトレンズや消毒液の正しい使い方、定期検診をすすめるといった情報提供や指導をするよう、厚生労働省や消費者庁などにもとめた。

製品名などの詳しい情報は、
国民生活センターHP「ソフトコンタクトレンズ用消毒剤のアカントアメーバに対する消毒性能
-使用実態調査も踏まえて-」
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20091216_1.pdf

薬害オンブズパースン会議HP
「ソフトコンタクトレンズ消毒剤MPS使用者におけるアカントアメーバ角膜炎発症防止に関する要望書提出」
http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=734


《朝日新聞記事》
一体タイプのコンタクト消毒液、6製品「殺菌力不十分」2009年12月16日21時4分
http://www.asahi.com/national/update/1216/TKY200912160355.html

2009年12月13日日曜日

総務省消防庁、AEDの不具合、全国調査へ

 9日、心臓発作を起こした男性に救急隊員が自動対外式除細動器(AED)を使って電気ショックを与え心臓の動きを正常に戻そうとしたところ、AEDが作動せず、その後男性が死亡したことから、総務省消防庁では全国的なAEDの不具合の実態調査をおこなうことにした。2010年1月に調査結果を発表する予定。
 
 事故などで、呼吸が止まり意識を失った人に対して、救急車が到着するまでの数分間、人口呼吸などとともに、AEDを使って心肺蘇生を行えば、より多くの人が救われる。
 そのため、AEDは、駅や公共の施設、スポーツ施設などに設置され、2004年7月からは、一般市民でも使用できるようになった。国内では、AEDの設置は届け出義務がないので、正確な数字はわからないが、20万台以上普及しているという。

 今年はじめ、総務省消防庁は、2007年に心筋梗塞などで心肺停止状態になり、救急搬送された患者の1カ月後の生存率を調べたところ、10・2%だったと公表している。調査を始めた05年に比べ、3・0ポイント改善したとしており、AEDの普及や救急隊員の能力の向上が改善の要因としてあげられるという。

 このように、生存率を上げているAEDだが、最近不具合が報告されたため、AEDを輸入販売している日本光電では、この機器と同じ製品番号のパッドの自主回収をはじめている。

 なお、総務省消防庁のHPでは、調査について以下の文書が出ている
「AEDの不具合が疑われた事案に関する調査について(依頼)」
全国メディカルコントロール協議会連絡会事務局消防庁救急企画室
http://www.fdma.go.jp/html/data/tuchi2112/pdf/211208-kyu280.pdf

《記事》
AEDの不具合 緊急調査へ(NHKニュース)
http://www3.nhk.or.jp/news/k10014285711000.html

2009年12月12日土曜日

公園遊具の事故、消費者庁が対策検討へ

  10日、消費者庁によると、公園などにある遊具で子どもが遊んでいて、けがをする事故が今年8月以降、全国で8件起きていることがわかった。各地方自治体から情報が寄せられた。
 公園や学校の遊具の点検や補修は自治体にまかされており、ばらつきがあるという。

 
 写真は自宅近くの公園にあるすべり台。急な階段をあがって、滑り台をのぞきこんだところ。おどり場が15㎝×45㎝くらいと狭い。子どもは頭が重いのでおどり場に上がると、すぐ下にころげおちてしまいそうだ。
 対策について区役所に問合わせたところ、この公園は「こどもの遊び場」といって、公園ではないので、地域振興課で管理しているという。危険な遊具は、随時撤去しているが、この滑り台も、滑り台の基準ができる前だったので、踊り場が狭いのだという。
 幸い、今のところ、この滑り台で遊んでいてけがをしたという話は聞かないが、できれば安全な滑り台にしてほしい。狭い公園だが、この地域では、唯一の子どもの遊び場だ。安全に楽しく遊べる場であってほしい。


《記事》
各地で遊具事故相次ぎ、8人重傷 消費者庁が対策検討へ
2009/12/10 08:21 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121001000112.html

2009年12月9日水曜日

改正特定商取引法施行、消費者保護強化へ、

 2008年6月に成立した「改正特定商取引法」と「改正割賦販売法」が、12月1日から施行された。「消費者団体訴訟制度(以下団体訴権制度と略)」も導入された。

 消費者被害は1件ごとの被害額が少額であることが多く、個人で訴訟を起こすまでには至らないため、被害が広範にわたってしまうことが問題だった。団体訴権制度の導入により、被害を未然に防ぐ効果があるという。

 改正特定商取引法では、原則すべての商品やサービスがクーリングオフの対象となった。
 特定商取引法はトラブルが生じやすい取引形態についてルールを定めたもので、規制対象となるのは、訪問販売や通信販売などの取引。

 これまでは訪問販売や電話勧誘販売、通信販売に関して、取り締まりの対象を58品目21サービスに限定していたが、改正特定商取取引法では食料品を除いて原則すべての商品が対象となった。改正点は、他に、
しつこい勧誘を禁止したこと。消費者が拒絶した場合、勧誘を続けることができない。しつこい勧誘に対しては、はっきり「いりません」「お断りします」ということ。「忙しいから」「またあとで」など、あいまいな意思表示は拒絶の意思があるとみなされないので注意が必要。

 また、過量販売が禁止された。不要なリフォームや大量の布団など、非常識な大量販売はクーリングオフ期間後も解約でき、既に払った代金は返還される。改正法では、具体的な基準は定められていないが、業界団体の日本訪問販売協会が、「過量に当たらないと考えられる目安」をホームページで作成、公表した。

 ただし、販売会社が倒産した場合は返還対象とはなっておらず、過量かどうかの線引きも曖昧な感じがする。
 通信販売の返品について、初めて法制化され、返品についての記載がなければ、商品を受けとってから、8日以内は、返品が可能になる。
 
 自治体では、「訪問販売お断り」というシールを住民に配布し、玄関に貼って、悪質な勧誘を防止しているところがある。お年寄りなどが玄関先に出て、業者と会って話してしまうと、業者のたくみな話術にのせられてしまい、不必要な商品をたくさん買わされたり、高額でいい加減な「リフォーム」を何度もさせられたりする被害が後を絶たないからだ。
 かく言う我が家でも、市から配布された「お断り」シールを玄関に貼っている。また、電話で毎日のように不動産や投資の勧誘も来るので、「お断りします」とはっきり断っている。
 悪徳商法の手口や、トラブルになったときの相談先などを、自治体が住民に情報提供しておくことも大切だ。自治体が悪徳商法についての勉強会などを町や村単位で開き、いざという時、住民同士が助け合って被害を防ぐ関係をつくっておくことも、トラブルを減らすことにつながると思う。


消費者団体訴訟制度については、消費者庁HP
http://www.consumer.go.jp/seisaku/caa/soken/index.html
日本訪問販売協会のHP「過量に当たらないと考えられる目安」を公表http://www.jdsa.or.jp/www/rireki/shousai/21pdf/20091029meyasu.pdf

《12月11日追記》
消費者庁は、10日、「お断りシール」についての見解を公表した。「改正特定商取引法における再勧誘禁止規定と「訪問販売お断り」等の張り紙・シール等について」
http://www.caa.go.jp/trade/pdf/091210kouhyou_1.pdf

2009年12月8日火曜日

JR福知山線脱線事故報告書、検証チームが初会合

 7日、JR福知山線脱線事故報告書が公表前に漏えいしていた問題で、遺族や被害者が加わった報告書の検証チームの会合が開かれた。報告書の内容だけではなく、事故調査のあり方についても検討する予定だという。

 運輸安全委員会が設置した場で、有識者に遺族や被害者も加わって、事故調査報告書について検討するのは初めてで、画期的なことといえると思う。今回の報告書の問題点だけでなく、なぜ漏えい問題がおきたのか、今までの事故調査の問題点はどんなことなのか、時間をかけて十分論議してほしい。

《記事》
報告書修正も検討 JR漏えい検証チーム初会合 
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0002567067.shtml

2009年12月7日月曜日

再び事故が起きた秩父鉄道桜町踏切

 12月6日午後、行田市の桜町踏切で、電車好きのお子さんが踏切内に入り、列車にはねられて亡くなった。この踏切は警報機、遮断機がなく、昨年9月にも、部活に行く途中の中学生が、列車にはねられて亡くなっている。
 
 秩父鉄道に問い合わせたところによれば、その後、踏切には警報機などをつける対策はとられておらず、行田市と対策を検討中だったという。
 以前にも当ブログで、昨年の事故後に踏切をたずねたことを書いたが、付近は宅地化が進み、住民や小中学生が日ごろよく通る踏切である。
(「踏切事故の現場をたずねて」 http://tomosibi.blogspot.com/2009/06/blog-post.html
 鉄道ができたころの環境とちがい、付近の交通量もふえている。環境の変化に対応した対策がもとめられる。

 それにしても、亡くなったお子さんのご両親の悲痛な思いはいかばかりだろう。かける言葉が見つからない。また、昨年亡くなった中学生のご両親は、心の傷が癒えないうちに起きた事故に、さぞ、心を痛めていることだと思う。

 いつまでも、踏切の事故は踏切をわたる歩行者の自己責任とせず、鉄道事業者や行政は根本的な対策を講じるべきである。

《記事》
鉄道事故:電車好きの4歳、はねられて死亡--埼玉・秩父鉄道の踏切
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20091207ddm041040078000c.html

2009年12月5日土曜日

高崎・上越線の踏切で、車いすの男性を救出

 11月7日、高崎のJR上越線の井野‐新前橋間の五里踏切で、警報機が鳴り遮断機の下りた踏切内で、動けなくなっていた車いすの男性が、踏切近くを通りかかった新聞販売店の店長に助けられていたことがわかった。13日、JR高崎支社は、未然に事故を防止してくれた店長の三浦英則さん(44)に感謝状を贈った。

 救出された男性は、下半身が不自由で車いすで生活しており、当日も所用で踏切を通ったところ、車いすの車輪がレールと路面の間に入り動けなくなったらしい。新聞の集金のため踏切を通りかかった店長の三浦さんが、男性に気付き、遮断機をくぐって踏切内に入り助けだした。ふたたび踏切にもどり、車いすを溝から外そうとしたがゆらしてもはずれず、そうこうしているうちに反対側の上り線に列車が来たという。
 三浦さんは、とっさのことで、急いで助けなくてはという気持ちでいっぱいで、非常ボタンを押すのを忘れたと言っているそうだ。

 この踏切は、緩いカーブのところで、カーブ外側を高くしてあるため、線路に高低差があり、でこぼこしているという。また、レールと踏切路面とのあいだに、隙間があるため、車いすなどの車輪がはまりやすいという。
 
 この踏切には、レーザー光線で踏切内で立ち往生した自動車などを検知し踏切に近づく列車を緊急停車させる障害物検知装置が設置されていた。しかし、男性も店長も6本のレーザー光線では検知されなかった。
 障害物検知装置は自動車など大きなものは確実にとらえることができるが、人や車いすの大きさでは検知できないことがあるという。

 すべての人が踏切道を安全に渡れるように、路面などの整備も必要ではないかと思う。 

《参考記事》
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20091111ddlk10040108000c.html
毎日新聞 2009年11月11日 地方版
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20091114ddlk10040044000c.html
毎日新聞 2009年11月14日 地方版

《JR上越線井野‐新橋間五里踏切の動画》
http://www.youtube.com/watch?v=L9MWBpqtXCc

2009年12月4日金曜日

JR山田線盆景踏切事故、住民が遮断機設置を要望

 今年10月20日午前7時40分ごろ、岩手県宮古市八木沢のJR山田線の踏切で、宮古発花巻行きの普通列車が乗用車と衝突し、この車を運転していた宮古市八木沢のパートの女性と、高校2年生の息子さんが全身を強く打ち、亡くなった。

 地元の八木沢自治会では、事故のあった踏切に遮断機の設置を求める要望書を提出した。周辺は、道路整備が進み、交通量が増えていたという。数年前から、踏切の整備を検討してきていたというが、2006年にも、乗用車と列車が衝突し、乗用車に乗っていた人が亡くなっているそうだ。乗用車が入れる踏切に、警報機も遮断機もなかったことは、事業者の安全対策に疑問を持つ。

 住民や交通量が増え、周辺には小中学校や大学、高校などがあるのだから、単線だからといって踏切設備を整備しないのではなく、鉄道をとりまく環境の変化に見合った対策が、事業者にも行政にももとめられている。行政とJRは、緊急に対策を検討し実施すべきだと思う。

《記事》
住民が遮断機設置要請 宮古・踏切事故受けJR東に
(岩手日報 2009/12/03)
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091203_4

2009年12月2日水曜日

運輸安全委、報告書漏えい問題の調査結果を公表

 12月1日、JR福知山線脱線事故の事故調査報告書が公表される前に、報告書の内容が元委員からJR西日本に漏えいしていた問題で、運輸安全委員会は元委員らへの調査結果を発表した。

 運輸安全委員会は、JR西日本の幹部らと接触していた元委員らの行動が、最終報告書の内容に影響を与えたかどうか、委員からの聞きとりや当時の会議録などを精査して調査してきたが、いずれのケースも最終報告書への影響はなかったとしている。

 一方、山口元委員が報告書のコピーを渡したり、JR西に有利な発言をした行為は「国民の信頼を失墜させるものであり、言語道断」としたほか、他の委員についても「不適切で、誤解を招く恐れのある行為だった」としている。

 この調査結果は、7日から報道関係に公開で開かれる有識者や遺族・被害者らで構成された事故調査報告書の検証チームで、再度検討されることになる。
 多くの方々の検討を通じて、公正で中立な事故調査報告書が出されることを望みたい。

 なお、運輸安全委員会のHPでは調査結果の報告書が公表されている。
『福知山線脱線事故調査報告書に係る情報漏えい等に関する調査結果について』
http://www.mlit.go.jp/jtsb/fukuchiyama/iincyou/fu03-hou20091201.pdf

2009年12月1日火曜日

JR四国佐川町踏切事故、高知地裁で第1回公判

 11月27日、高知地裁で、今年4月JR土讃線の踏切でハンドル型電動車いすに乗って踏切を横断しようとした女性(86歳)が、踏切の中に取り残され、特急列車にはねられ死亡した事故の遺族が提訴した裁判の第1回公判があった。

 訴えによると、事故のあった踏切は、単線で、幅約6.4 m、道路直進幅約7.2m、交通量が多く、警報機と遮断機がつけられているが、踏切で事故が発生した場合、緊急に列車に知らせる非常ボタン(踏切支障放置装置)がなかった。そのため、閉じ込められても、事故を回避するために、迫りくる列車に、踏切上の緊急事態を知らせ、踏切の手前で止まってもらうことができなかったことが事故発生の要因だとしている。

 ところで、国土交通省令によって、複線区間では、警報機が設置されている第1種・第3種踏切とも、踏切の幅や道路通行量、列車の本数に関係なく、非常ボタンの設置が義務付けられている。
 一方、単線区間では非常ボタンの設置が義務付けられておらず、単線の多い北海道や東北、四国のJR路線、地方の中小民鉄では第1種踏切であっても設置されていない踏切が多いという。地方の路線では、単線でも特急が数多く走っており、事故のあった土讃線佐川では一日の列車本数は上りは30本余りだが、そのうち10本は特急列車である。時速100㎞を超す特急が走っているのに、非常ボタンや、立ち往生した車などをセンサーで検知し列車に知らせる踏切障害物検知器が設置されていないのは、安全対策として不十分ではないかと思う。

 また、訴えによると、事故のあった踏切は交通量が多いにもかかわらず、非常ボタンが設置されていないのに、同じ町内の当該踏切よりも小さい踏切には、ほとんどの所に非常ボタンが設置されている。JR四国は、当該踏切には非常ボタンを設置する義務はなかったとしているが、周辺の踏切には設置しているのに、なぜ、この踏切には設置していなかったのか、その根拠を語るべきではないかと思う。

 遺族によると、この踏切から列車の来た方向の見通しは悪く、100メートル先にカーブがあるという。踏切が見えてから、特急列車の運転士が踏切の事故発生に気づきブレーキをかけても、非常停止するには200mほどかかるのだから、踏切で止まることはできない。ならば、踏切が見えるもっと手前で、安全に止まるため急制動をかけられるように、踏切の緊急事態を運転士に知らせる装置が必要ではないかと思う。
 
 JR四国は、女性が踏切に閉じ込められても、踏切を横断して片方の遮断棹を押し上げて踏切の外に出るべきだったとしているが、遮断棹は車両なら押し上げることはできても、車いすに乗った人が押し上げるのは困難である。高速で接近する特急が迫っている時、わずか数秒で遮断棹を押して出るのは、健常者であっても難しいと思う。

 「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」(平成13年)によれば、踏切道は、踏切道を通行する人や自動車などの安全かつ円滑な通行に配慮したものでなくてはならず、そのために踏切保安設備を設けること、踏切保安設備は、踏切道通行人等および列車等の運転の安全を確保する機能を備えていなくてはならないとしている。

 踏切は、健常者だけが利用するのではない。むしろ、自分では自動車で移動できない児童や生徒、高齢者、障害者など交通弱者も同じように利用する公共的な施設なのだから、交通弱者の利用も考慮に入れた安全対策が、鉄道事業者には求められると思う。 


《記事》
車いす女性踏切事故死:賠償訴訟 JR側「全面的に争う」--地裁で口頭弁論 /高知
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20091128ddlk39040742000c.html