2012年3月20日火曜日

駅の視覚障害者、転落防止に声かけを~盲学校の生徒らがよびかけ

報道によると、18日の「点字ブロックの日」、JR大宮駅で、埼玉県立盲学校の生徒らが、ホームなどで、視覚障害者が危険だと感じたときは、迷わず声をかけてほしいと、街頭で呼びかけた。生徒は、6日川越駅で亡くなった視覚障害者の男性の母校の生徒らで、同校卒業生の男性は、「声をかけてもらえば、転落防止につながる。勇気をふりしぼって声をかけてほしい」と語っていた。

 3月6日、埼玉県川越市の東武東上線川越駅で、視覚障害者の男性がホームから線路に転落し、走ってきた電車にひかれて亡くなった。警察によると、目撃者などの話から、男性は、点字ブロックから線路寄りの幅1mのところを白い杖をついて歩いていたところ、足を踏み外して線路に転落したとみられている。
 川越駅には、点字ブロックはあるが、ホームドアはないということである。しかし、多くの点字ブロックは、どちらが線路側なのかわかりにくいという。
 

 昨年1年間に、東京都内では視覚障害者の方がホームから転落して亡くなる事故が3件起きている。このため、東京視覚障害者協会では、これまでも鉄道各社に対してホームドアを設けたり駅員をホームに配置したりするなどの要望をしているという。
 ホームドアなどを設置するのは費用や技術的な問題など、すぐには解決できない問題もあると思う。しかし、ホームからの転落を防止するため、駅員をホームに配置するなどといった対策はすぐできるはず。事業者には、できる対策から取り組んで、事故の防止に努めてほしいと思う。

《参考記事》
「駅の視覚障害者 迷わず声かけを」NHKニュース3月18日 14時50分 
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120318/k10013803601000.html

「視覚障害者 線路に転落し死亡」NHKニュース3月6日 18時50分 
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120306/t10013524401000.html

谷亮子議員「必修柔道、安全に」~参院予算委で

報道によると、19日、女子柔道の五輪金メダリストで参院議員の谷亮子氏(民主党)は、4月から始まる武道の必修化について、国の安全対策を求めた。

 今年4月から、中学校では、武道が男女とも必修になる。しかし、現場では柔道の事故対策について、不安の声が出ているのをうけて、同議員は、「事故の被害者の会にも参加した。安全の指導に国家資格制度も取り入れたい」と提案した。
 平野文部科学相は「学校で安全確保を再点検し問題点があれば計画を見直すなど、あらゆるリスクをなくすよう努める。国家資格も検討してみたい」と応じた。

 武道の中でも、柔道の危険性を指摘する声がある。中学の学校活動で起きた柔道の死亡事故は、1986年からの28年間で39件。死亡事故の発生率は、野球やサッカーと比べて9倍という研究結果もあるという。
 柔道は、子どもたちが好きなスポーツの一つといってよいと思う。五輪選手らの活躍に憧れ、練習に励む子どもも多いと思う。そのような柔道が、誰でも安全に学び楽しめるものであってほしい。

《参考》
拙ブログでは、昨年12月、横浜市奈良中柔道事故について取り上げた
「柔道事故で賠償命令~部活動で高次脳機能障害 」
http://tomosibi.blogspot.jp/2011/12/blog-post_27.html

《参考記事》
「谷議員『必修柔道、安全に』 参院委、指導資格制を提案」 朝日新聞2012年3月20日
http://www.asahi.com/politics/update/0319/TKY201203190605.html

〈ニュースがわからん!〉「中学の武道必修化」朝日新聞2012年3月20日03時00分
http://digital.asahi.com/articles/TKY201203190676.html?ref=comkiji_kanren

「『柔道』授業 事故防止へ指導手引書」TBSニュース(09日11:31)
http://news.tbs.co.jp/20120309/newseye/tbs_newseye4972991.html

2012年3月18日日曜日

白倉踏切に非常ボタン設置~電動車いすの踏切事故

 2009(平成21年)年4月13、高知県佐川町のJR土讃線の白倉踏切で、電動車いすに乗って踏切を横断していた女性(86歳)が、踏切内に取り残され、特急列車に撥ねられて亡くなった。

 事故の後、女性の遺族が、JR四国の安全対策に落ち度があったとして、JR四国に対して、損害賠償をもとめる裁判を起こした。
 白倉踏切には、警報機・遮断機があるが、踏切内に閉じ込められるなどの異常を運転士に知らせるための非常ボタンが設置されていなかった。事故のあった白倉踏切のとなりにある、人のほとんど通らない車両の通れない踏切には非常ボタンが設置されている。
 しかし、女性の遺族は、国道に面した交通量の多い白倉踏切には、非常ボタンが設置されていない、警報機がなり始めてから遮断機が下りるまでの時間が他の踏切に比べて短いなどの問題点があると指摘していた。

 おととし、9月、JR側が安全対策を推進することなどを条件に、女性の遺族と和解が成立。JR四国は、裁判所に列車の運転士に踏切の異常を知らせる非常ボタンの設置を促されていた。
 JR四国は、これをうけて、平成23年度の事業計画に現場の踏切に非常ボタンを設置することを盛り込み、今年2月、工事が終わり、運用が始った。

 踏切事故で亡くなった女性の長女は、「非常ボタンのない踏切がひとつ減ったという点では評価できる。しかし、今回非常ボ タンは遮断機の外側に設置されているうえ、車いすに乗った状態で押せるかどうか分からない高さに設置されていることが残念だ。鉄道会社には事故原因を究明したうえで今後、安全対策を徹底してほしい」と話す。
 非常ボタンが遮断機の外側にあっては、踏切内に閉じ込められた通行者が押せないかもしれない。また、地面から150㎝と高い位置にあるため、子どもや車いすに乗った人が自分で押すことができないかもしれないと遺族は説明する。

 JR四国によると、1326か所ある踏切のうち、全体の64.8%にあたる860か所に非常ボタンが設置されているという。迅速に運転士に踏切の異常を知らせて、安全に列車を停車させることができるよう、 JR四国には、非常ボタンやセンサーなど、踏切の安全対策を進めてほしいと思う。

《参考》
拙ブログでは、白倉踏切の事故を以下のページでとりあげた
「踏切事故の現場をたずねて~高知県佐川町白倉踏切」2010年4月26日
http://tomosibi.blogspot.jp/2010_04_01_archive.html
《参考記事》
「死亡事故踏切に非常用ボタン」2012年2月17日NHKニュース(高知)
http://www.nhk.or.jp/lnews/kochi/8016756831.html

2012年3月15日木曜日

竹ノ塚踏切事故から七年~高架化工事着工へ

 竹ノ塚駅の開かずの踏切の事故から、7年がたとうとしている。

 踏切の遮断機を上げ下げしていた保安係が、準急列車がくるのを忘れて、警報音を消したまま、遮断機を上げた。そのため、歩行者やオートバイなど多数の通行人が踏切内に入り、そこへ、準急電車が時速90㎞で踏切に進入し、通行人を撥ねた。2名が死亡、2名が重傷を負った。その中に私の母もいた。
 
 

 事故当時、竹ノ塚踏切では、日比谷線、半蔵門線の乗り入れ等で通過列車が1日900本以上に増加し、ラッシュ時には、1時間のうち57分も踏切がしまったままという状態で、交通渋滞が多発していた(「開かずの踏切」)。

 事故後、当時の航空・鉄道事故調査委員会は、竹ノ塚踏切事故を、鉄道事故の調査対象の規定である「死傷者5名以上」にあてはまらない、「鉄道局の要請」がないという理由で調査しなかった。

 刑事裁判では、踏切保安係が禁固1年6月の刑が決まり、元駅長や本社の運転化課長補佐などは不起訴となった。遺族は、この不起訴を不服として検察審査会に申し立てをし、審査会は「不起訴不当」の議決をしたが、検察は再び元駅長らを不起訴とした。

 東武鉄道は、事故から4ヶ月後に社内調査報告書を公表し、事故が起きた背景に現場の状況を把握する社内の体制が不十分だったことをあげたが、会社の組織的な問題点を十分明らかにしたとは思えなかった。

 2008年10月、航空・鉄道と船舶の事故調査をいっしょに行う運輸安全委員会が発足した。その際、運輸安全委員会は、鉄道事故の調査範囲を拡大した。あらたに、「鉄道係員の取り扱い誤りまたは車両若しくは鉄道施設の故障、損傷、破壊等に原因があると認められるもので、死亡者を生じたもの」を調査対象に加えた。この規定によれば、「東武伊勢崎線竹ノ塚踏切事故」のような死傷者が5名未満の事故でも事故調査の対象になる。
 この結果、ホームや踏切で死亡者が1名であっても、事故調査されることになり、JR舞子駅の転落事故やJR飯山線踏切事故のような事故も、運輸安全委員会で調査され、事故調査報告書が公表されることになった。

 しかし、調査してみなければ、直接原因や背景原因はわからない。ホームや踏切などの死亡事故はすべて調査すべきだと思う。

 踏切事故で毎年100名以上の方が亡くなっており、踏切事故は鉄道事故の約三分の一をしめる。
 国交省鉄道局が毎年公表する「鉄軌道輸送の安全に係る情報(平成22年度)」によると、平成18年度から、22年度までの5年間に、踏切で命を落とした人は全国で、612人にのぼる。開かずの踏切など、交通量の多い踏切では、列車と車が衝突する事故も多発しており、先日もJR西明石駅の踏切で衝突事故が起きた。
 
 また、警報機や遮断機のない危険な踏切で亡くなる方の割合は、警報機・遮断機のある踏切より高いことも、上記の統計でわかった。
 危険な踏切を放置していては、事故は無くならない。鉄道の高架化に取り組むのが時間のかかることならば、できることから取り組んでほしい。個々の踏切の実情にあった対策があるはずだと思う。自治体や事業者など、各方面の事故防止・安全性向上の取り組みを期待したい。

《参考》
 3月15日、竹ノ塚駅付近鉄道高架化促進連絡協議会(足立区、足立区選出議員、地元自治会、PTA、商店街などで構成)の主催による献花式が行われる。
  
   1 日時:平成24年3月15日(木)

       16時50分から(16時45分集合)

   2 場所:竹ノ塚駅南側の大踏切(第37号踏切)東側

   3 内容:黙祷、 献花

2012年3月4日日曜日

宮城県石巻市大川小学校で追悼法要~東日本大震災から1年を前に

 昨年3月11日、東日本を襲った大震災と津波で、石巻市の大川小学校では、全校児童の7割近くの児童74人と教職員10人が死亡・行方不明となった。 

 報道によると、震災からもうすぐ一年になるのを前に、3日朝、大川小学校の校舎前で、亡くなった児童のために追悼法要が営まれ、遺族ら百数十人が出席した。神奈川県や宮城県内の僧侶20人以上が読経し、焼香が行われた。

 大川小学校でなぜ地震の発生後避難が遅れ、多数の児童が津波の被害にあったのか、石巻教育委員会は遺族に説明会を開き、今年1月には学校側の責任を認めた。しかし、遺族からは疑問の声が出ているということで、今月第4回の説明会が予定されているという。
 
 
 大川小は、北上川沿いの低地にあり、追波湾から南西に約4km、標高約1.5mのところにある。同じ石巻市内の他の小学校が近くの裏山などに避難したのに対して、大川小は裏手にある小高い山に避難しなかった。マニュアルには、「近隣の空き地・公園等」とあるだけで、具体的な避難場所は書かれていなかったという。
 
 なぜ、これほどまでの犠牲を生んでしまったのか、それが明らかにされ、どうすれば多くの児童を助けることができたのか、真摯に検討され説明されなくては、また同じような悲劇が繰り返されてしまう。それは、何としても避けてほしいことだ。

《参考記事》
「 大川小で追悼法要 遺族ら百数十人出席」朝日新聞2012年3月3日http://www.asahi.com/national/update/0303/TKY201203030212.html

ひな人形、娘もきっと見てる 大川小で飾り付け 石巻」 朝日新聞2012年2月26日