2009年11月26日木曜日

踏切事故の現場をたずねて~長野県須坂市

11月25日、須坂市小河原の南沖踏切をたずねた。

 この踏切は、須坂駅から北須坂に向かう途中の第4種踏切で、今年9月、夕方6時ころ、部活動が終わり自転車で帰宅する途中の中学生が、踏切を横断していたところ、渡り切れず、自転車の後部が列車にぶつかって、数メートル飛ばされた。中学生は、病院に運ばれたが、手当の甲斐なく、4時間後に亡くなった。
 
ここは以前にも、事故があり1名亡くなっているというのに、なぜ今回また事故が起きたのだろうか。前回の事故後、何らかの対策はとられていなかったのだろうか。

 長野から長野電鉄に乗り、須坂に向かう沿線に目をやると、思っていたよりも住宅地が広がっていて驚いた。須坂駅や踏切周辺には、農業大学校や中学などがあり、住民が利用する公共施設などもあるため、日常的に、中学生や住民の皆さんが、踏切を通って、学校に通ったり、買い物に出かけたりするそうだ。

事故のあった南沖踏切から左右130メートルほどのところに第1種踏切があり、車両が行き来しているのが見える。列車が踏切に近付くと警報機が鳴るのが聞こえる。しかし、この第1種踏切の方を回ると遠回りになるため、第4種の南沖踏切を利用する人が多いという。

 
 また第1種踏切は、車両も通るため、自転車に乗る人や高齢者からすると、車両をよけて通らなくてはならず、危険である。そのため、あえて第4種などの車両が入らない踏切を通る人もいる。
 事故のあった踏切道は、線路と斜めに交差しており、直角に交差していないため、単線を横切るのに意外と長さがある。線路をななめ横断しなくてはならないのである。

 
 その上、踏切周辺には、照明も警報機も遮断機もない。中学生が渡った夕方の時間帯は、踏切はうす暗く、列車と自分との距離がわかりづらかったのではないかと思う。
 地方では、高校生や中学生が通学に自転車を使うのは、当たり前。安全に通えるように、子どもらを取り巻く環境を点検し整備するのは、おとなたちの務めではないだろうか。
  
 長野電鉄では、警報機・遮断機のない第4種踏切での事故が相ついでいることから、今月18日、長野電鉄・沿線自治体・県・県警・国土交通省が、事故の再発防止に向けて第1回対策会議を開いた。県は今後も、事故がなくなるまで会議を続けるという。前回のように、検討会がいつの間にか立ち消えになることのないよう、ぜひ、続けてほしい。

 長野電鉄だけでは、数多い第4種踏切の安全設備を整備・維持するのは困難にちがいない。だからといって、住民にとって不便になる踏切の廃止ばかりを考えるのではなく、周辺の自治体や国交省などといっしょに事故の再発防止策を考えてほしい。専門家のみなさんであれば、踏切の設備も、いろいろな考えが出るのではないかと思う。

 
 また、踏切設備を整えるために、国などが補助を出す制度もあると聞く。事故を防ぐためにはいろいろな手立てがあるはずだ。
 
 踏切を渡る中学生や住民に注意を喚起するだけでは、事故は無くならない。それは、一旦事故が起きれば、渡った人が不注意だったからだと片づけてしまい、鉄道事業者が本当の事故原因を取り除く努力をしなくなるからだ。
 
 踏切事故を無くすためには、踏切を渡った人だけを責めるのではなく、事故原因を調査し、事故をなくす努力をしてほしい。

 踏切で亡くなった高校生、中学生の尊い命を無駄にしないため、関係する方々には、ぜひ、事故を未然に防ぐ手立てを講じてほしい。
 

《参考記事》
相次ぐ長野電鉄踏切事故、県や沿線市町が対策会議  11月19日(木)信濃毎日新聞
http://www.shinmai.co.jp/news/20091119/KT091118SJI090018000022.htm

2009年11月21日土曜日

福知山線脱線事故報告書、検証チーム来月7日初会合

 20日、前原国土交通相は会見で、JR西日本が接触していた運輸安全委員会の委員のうち、現職の宮本昌幸、楠木行雄の両氏について、現在の任期終了後、再任しないことを明らかにした。

 委員の任期は1期3年で、最大3期まで再任できる。楠木委員は来年2月に2期目を、宮本委員は来年9月に3期目の任期を終えるが、前原国交相は「遺族、被害者の心情を察し」て、2人を再任しないと述べた。

 また、報告書の検証チームは第1回会合を12月7日に開く。運輸安全委員会の後藤委員長は、会見で、資料の提供など検証チームに協力すると述べたとされる。
 
 報告書の検証が、公正中立であるには、議論の過程が公開されることが大切ではないかと思う。さまざまな検証や多くの人々の批判を経て事故の原因を明らかにすることが、亡くなった方がたの命を無駄にしないため、有効な再発防止策を講じる上でまず必要だと思う。

《前原国交相の会見内容は、国交省のHP》
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_000623.htm


《参考記事》
漏えい検証チーム会合は来月7日 JR接触の委員は再任せず
2009/11/20 19:47 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112001000966.html

自動体外式除細動器(AED)10万台改修へ

 最近、病院や駅など公共の場所やスポーツ施設などで、AED(自動対外式除細動器)をよく見かけるようになった。

 事故などで、呼吸が止まり意識を失った人に対して、救急車が到着するまでの数分間、人口呼吸などとともに、AEDを使って心肺蘇生を行えば、より多くの人が救われる。
 AEDは、心臓の筋肉がけいれんしたような状態になり、全身に血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すもの。2004年7月より、一般市民でも使用できるようになった。

 今日は、私の住む地域で防災訓練があった。市の消防局や地元の消防団が応援に来て、住民が避難場所を確認し、消火器やAEDの使い方などを学び訓練した。
 AEDの使い方は簡単で、電源を入れると、使い方を音声ガイドで指示されるので、一般市民であっても、あわてずに指示通り器具を使えばよい。

 このAEDを使って電気ショックを行う前に、心電図をとって電気ショックが必要かどうか調べるが、この装置が作動しない恐れがあることがわかった。

 AEDの輸入会社日本光電が、発表したところによると、電子部品の故障が原因で、当面販売先には検査器具を配り、自主点検を呼び掛ける。無料改修は来年5月からとなる。


《参考記事》
AED10万台改修へ 大手輸入業者「作動しない恐れ」
(20日 23:10) http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091121AT1G2002U20112009.html

2009年11月19日木曜日

OECD、日本の経済政策について提言

 18日、経済協力開発機構(OECD)は、政策フォ-ラムを開催し、アンヘル・グリアOECD事務総長が、『日本の政策課題達成のために:OECDの貢献』と題する提言を発表した。

 OECDは、日本の経済政策について初めて包括的な提言を発表、鳩山内閣が導入するとしている「子ども手当」についても、見直しが必要だとする見解を発表した。また所得格差是正のため、納税額から一定額を差し引く税額控除による減税や、所得が課税最低限に達しない人たちへ給付金による支援を組み合わせた「給付付き税額控除」などを導入することも必要だとする。

 鳩山内閣が導入予定の所得制限を設けない子ども手当は、中学生までの子どもを持つ世帯に1人当たり月2万6千円の子ども手当を支給すると、5.5兆円の財源が必要となる。半額支給する予定の初年度10年度は2.7兆円が必要となる。少子化対策としての効果を疑問視する見方もある中、その目的と効果について、検討する必要があるといえる。

 子どものいる全世帯に一律に子ども手当を給付するのではなく、低所得の有子世帯の給付を増やし、税や社会保険料の負担を減らすようにすべきである。広く薄くではなく、現状を的確に把握して、必要なところに十分な対策をとるべきではないだろうか。

 また、教育費などにかかる負担は、義務教育である中学までよりも、高校や大学、専門学校に通う時期のほうが大きいと感じる。現在、16歳から22歳の子どもがいる世帯には一人当たり63万円を所得金額から差し引く特定扶養控除がある。政府税制調査会の中には、この額を圧縮してもよいのではないかという委員もいるが、高校・大学に通う子どもを持つ世帯の負担が増えることには賛成できない。

 政府は、高校に関しては、授業料を無償にするという政策を掲げている。しかし、高校生の3割が通う私立高校の授業料は公立高校の数倍で、初年度は制服や設備費などの負担がある。また、高校では、通学のための交通費や修学旅行費用・部活費などの負担も大きい。就学援助や返済義務のない奨学金を増やし、私立に通う生徒の負担を減らすため私学助成などを増やすことが必要である。
 
 また、現在の私立大学の授業料は、1970年代初めからすると、10倍近い。
 一方、国立大学の授業料は、昭和50年(1975年)に、初年度納入金が4万6千円だったのが、平成21年度には、初年度納入金が81万7千800円(東京大学)である。歴代政府は、私立との授業料の差を縮めるとして、国立大学の授業料の値上げを続け、今は私立の授業料に近い額になってきている。

 このように、高校や大学に通う子どもの世帯の負担は増している。歴史的といわれる不況の中、志のある若者が進学や将来への夢をあきらめることのないよう、教育や税制の改革が必要ではないかと思う。

《参考》
11月18日OECD東京センターが開催した政策フォーラムの資料
『日本の政策課題達成のために  OECDの貢献』
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/macroeconomics_pdf/20091118contributionjpn.pdf

2009年11月18日水曜日

JR西日本、調査報告書漏洩問題で最終報告書

 18日、JR西日本の佐々木隆之社長は、福知山線脱線事故調査報告書漏洩などの問題を検証した最終報告書を、前原国土交通相に提出した。この委員会は、JR西が前原国交相の改善命令を受けて設置した「コンプライアンス特別委員会」。約1ヵ月にわたり、歴代幹部や現職役員ら68人と面談するなどして調査、報告書をまとめた。
 
 報道によれば、最終報告書は漏洩問題の原因を「組織防衛優先の企業風土」にあったとしているという。井手正敬元会長(74)が作り上げた経営体質について「独善的で『上にもの申さぬ文化』をつくり、技術軽視も進んだ」とも批判。

 JR西は、漏洩問題に関わった幹部や役員35名を減給などの処分にした。再発防止策として、取締役会の諮問機関として、「企業倫理委員会」を設置するとしている。

 また前原国交相は、現運輸安全委員会の委員で、JR西と接触していた2名の委員には、辞職してもらうとの意向を示した。

 
 公共交通を担うJR西日本には、今回の特別委員会の意見を尊重して、多くの人命を預かる企業として安全を最優先に考える企業風土をつくっていってほしい。

《参考記事》
組織防衛優先と非難 JR西有識者委が最終報告  2009/11/18 23:09 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111801000808.html
報告書の詳しい内容については
JR西日本漏えい問題報告書詳報 2009/11/18 22:31 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111801000996.html

2009年11月17日火曜日

東広島市堀川踏切訴訟、遺族とJR西日本が和解

 16日、東広島市の第4種踏切で高校生が列車にはねられて死亡した事故の裁判で、和解が成立した。

 今年2月、広島地裁で、JR西日本が警報機・遮断機を設置していなかったことが、事故を招いたとして、JR西に損害賠償を命じる判決が出されていた。これに対して、JR西が控訴していたが、今回和解が成立したもの。

 事故は、06年12月12日夕方6時半ころ、東広島市の踏切で起きた。事故当時、第4種踏切で警報機や遮断機が設置されておらず、照明もなく足元が暗かった。列車の接近を知らせるメッセージロボは故障しており、踏切を渡るには列車のライトで接近を判断しなくてはならない。しかし、山陽線の線路と県道が並行して走っているため、列車のライトと、車のライトが区別しにくかった。
 また、線路は、駅と反対方向はカーブしており、こちらからくる列車の見通しが悪い。この踏切では、2年近く前にも、事故が起きて、男性が亡くなっている。危険な踏切にもかかわらず、対策を取らなかったJR西に、事故の責任があると、広島地裁は指摘している。

 また、最初に高校生を撥ねた列車は非常停止せず、2台目の列車も非常停止せず高校生を轢いていた。3台目の列車の運転手が、高校生に気付き、列車を停止させた。なぜ、1台目と2台目の列車が停止しなかったという問いには、JR西の説明によれば、運転手が高校生に気がつかなかったとしていた。
 
 事故後、JR西は踏切に、警報機・遮断機を設置し、照明もつけた。踏切道も舗装したようである。
 
 しかし、まず事故について、誠実に正確になぜ起きたのか説明し、そして線路や踏切の安全対策を見直して十分な対策をとり、二度と悲惨な事故を起こさないと誓うこと。
 それが、事故を起こした事業者が、道半ばでこの世を去らなくてはならなかった人々にすべきことではないかと思う。

 最後のなりましたが、若くして志をとげることもできずに亡くなった高校生のご冥福を祈ります。

(事故の詳細は、当ブログの記事参照「 踏切事故の現場を訪ねて~4月24日東広島」http://tomosibi.blogspot.com/2009/08/2009424.html)
 
《広島地裁判決については以下で判例検索できる》
平成20(ワ)8 損害賠償請求事件 平成21年02月25日 広島地方裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090417195030.pdf


《ニュース記事から》
東広島の踏切事故訴訟、遺族とJR西日本が和解   2009年11月17日
http://www.asahi.com/kansai/kouiki/OSK200911170013.html

2009年11月15日日曜日

小学生の図書館利用増える?

 13日、文科省が行っている「社会教育調査-平成20年度(中間報告)結果の概要」によると、小学生が図書館で本を借りる冊数が、前回よりも増えていることがわかった。

 図書館に登録している小学生の数は、前回よりも減っているが、一人当たりの貸し出し冊数は増えている。文科省は、図書館の数が増えていることに加え、小学校で「朝の読書」運動などが広がっていることが、児童が本を読む機会を増やしていると見る。

 また、私の自宅の近くの小学校では、2000年ころから、お母さんたちが子供たちに絵本を読んで聞かせるボランティア活動をしている。学校では、学年ごとに、お母さんがたに本を読んでもらう日をつくっている。
 このような読み聞かせなどを通じて、子供たちに本を読んでもらう楽しさや自分で読むおもしろさを味わってもらうことが、本を好きになるきっかけになる。

 一方、司書が配置されている小学校は全体の6割で、担任を持つ教諭が司書の仕事をしているところも少なくない。子供の想像力をのばし、学力の向上を支えるためには、図書室の蔵書を充実させ、子供に読書のアドバイスをしてくれる司書の配置が必要だと思う。

《参考記事》
図書館利用、過去最高 小学生は年間35.9冊  2009年11月13日19時46分
http://www.asahi.com/national/update/1113/TKY200911130349.html?ref=any

「社会教育調査-平成20年度(中間報告)結果の概要」(文科省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa02/shakai/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/11/12/1286560_2.pdf

トヨタ自動車、レクサスのペダル改良へ

 13日、トヨタ自動車は、アメリカで販売していた車種で、アクセルペダルがフロアマットに引っ掛かり事故を起こす危険がある問題で、これらの車種のアクセルペダルの形状を改良することになった。

 販売店を通じて、ペダルを無償交換するが、トヨタは「車両に欠陥はない」として、リコールではなく、安全性向上を目的とした自主的回収だとしている。

 アメリカ高速道路交通安全局と、改良内容について大筋で合意したとされている。

《記事》
米トヨタ、レクサス400万台のペダル改良へ
(2009年11月14日12時15分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20091114-OYT1T00492.htm

2009年11月14日土曜日

国交省、八ツ場ダム上流のヒ素調査結果公表せず

 国土交通省は、93年以降、利根川水系の吾妻川などで、毎年環境基準をこえるヒ素を検出しながら、調査結果を公表してこなかったことがわかった。かねてから、温泉水などにヒ素が含まれることは知られていたが、ダムでは、ヒ素が沈殿するため、その処理については検討が必要になる。

 今年8月の政権交代直前まで、国交省は、非公表の第三者機関「八ツ場ダム環境検討委員会」を設置、ダム建設が水質や自然環境に与える影響を検討していた。ここがまとめた報告書には、水質データが記されているという。

 国交省は、下流で取水するには問題ないとしているが、上流でヒ素濃度が環境基準を上回っていることが公表されると、ダム建設に影響が出ると考え、公表を控えてきたようだ。
 まだ、国交省は、報告書を公表するかどうか決めていないというが、調査したことは、自分たちに都合のよいことも悪いことも公表すべきで、その上で、ダム建設を進めるのかどうか検討すべきではないかと思う。
 
《参考記事》
八ツ場上流、ヒ素検出を公表せず 国交省   2009年11月13日3時31分
http://www.asahi.com/seikenkotai2009/TKY200911120444.html

2009年11月12日木曜日

天皇、即位から20年、平和への思いを語る

 平成と年号が変わって20年、今の天皇が即位して20年になる。私事で恐縮だが、今日は、私の子供の誕生日でもある。私自身は、病院で陣痛に苦しんでいたので、即位の礼のことは全く覚えていない。1週間ほどニュースを見ることもなく、後からさまざまな事件があったことを知った。

 1989年の11月は、大きな事件が相次いだと記憶している。ベルリンの壁が壊され、東西ドイツが統一へ歩みだした。また、坂本堤弁護士一家がオウム真理教の幹部に拉致され殺害された事件も忘れられることができない。

 今日の記念式典を前に、今上天皇が記者会見で、自身が生きた昭和の時代も振り返り、戦争に至った歴史を忘れず、過去から学び未来に備えることが大切であると述べたことが印象に残った。

 今日20歳になる子供には、自分の生きている時代がどんな時代なのか学んでほしいと思う。そして、これからどう生きていくのか、ていねいにあせらずに考えていってほしいと思う。

《記事》
「心配なのは歴史が忘れられること」天皇陛下即位20年  2009年11月12日5時0分
http://www.asahi.com/national/update/1111/TKY200911110439.html

2009年11月10日火曜日

福知山線脱線事故報告書、検証チーム決まる

 11月10日、前原国交相が記者会見で発表したところによれば、検証チームのメンバーは、学識経験者5名のほかに、遺族や負傷者、負傷者家族7名にも参加してもらい、12名になるそうだ。第1回の会合は、12月初旬に開かれる予定。

 前原国交相は、納得いくまで報告書を徹底して検証してもらいたいと言っているそうで、検証チームでは、いつまでと日を切らずに、今後の事故調査のあり方もふくめて検討していく予定だという。

 JR西日本の幹部へ旧航空鉄道事故調査委員会の元委員らが、事故調査の内容や報告書の内容を事前に漏らしていた問題を徹底的に調査して、今後の事故調査機関のあり方を考える機会にしてほしい。

《運輸安全委員会のHPから》
「福知山線脱線事故調査報告書の検証メンバー」について
http://www.mlit.go.jp/jtsb/fukuchiyama/kensyou/fu04-membar20091110.pdf

《参考記事》
遺族ら7人参加決定 JR情報漏えい検証チーム (神戸新聞
 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0002506137.shtml

2009年11月8日日曜日

荷物用エレベーター事故、政府が実態調査へ

 7日、国土交通省と厚生労働省は、荷物用エレベータの事故が相ついでいることから、連携して調査することになった。荷物用エレベーターでの労災事故で亡くなった人は、平成18年から20年までの3年間で37人、けが人は毎年200人以上にのぼるという。

 国交省や厚労省は、どこにどんなエレベーターが設置され、保守点検はどうなっているのかなど、実態を把握して、必要な安全対策をとるよう、指導するべきだと思う。

《参考記事》 
荷物用エレベーター 3年で37人死亡、政府が実態調査へ  2009/11/08
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091108/crm0911080111003-n1.htm

JR西日本、東海道線二重事故から7年

 11月6日、JR東海道線塚本尼崎間の線路で負傷した中学生を救助していた救急隊員が、運転再開を知らされず、後続の特急に撥ねられて亡くなった二重事故から7年が経った。
 
 当時JR西日本には、人身事故が発生した時の対応マニュアルがなく、現場を監視していた同社社員と同社運転指令所との連絡が不十分で、運転指令所が現場の状況を正確に把握しないまま、運行再開を指示したことが原因の一つであるとされた。
 
 事故から4年後の2006年11月、現場には、亡くなった救急隊員中沢良夫さん(当時28歳)の慰霊碑が、中沢さんの両親の働きかけで、JR西日本によって建てられた。

 中沢さんの尊い命が無駄にならないよう、JR西は安全対策に十分論議を尽くして、会社全体で取り組んでほしい。

《事故当時の記事》
大阪の東海道線二重事故、救急隊員に運転再開伝えず(読売新聞)  2002 年 11 月 07 日  http://www.yomiuri.co.jp/04/20021107ic07.htm

2009年11月4日水曜日

JR西脱線事故遺族ら、JR西歴代社長の起訴を申し入れ

 今年7月、神戸地検はJR西日本の歴代社長を不起訴とした。これを不服として、福知山線脱線事故の遺族らは神戸検察審査会に申し立てをしていたが、これに対し神戸検察審査会は、10月、歴代社長3名を「起訴相当」と判断していた。

 神戸地検は、事故現場のカーブを急カーブに付け替えた際の鉄道本部長だった山崎正夫前社長のみを在宅起訴したが、遺族らは、安全対策の最高責任者である歴代社長も起訴すべきだとしている。

 神戸地検は歴代社長を起訴し、裁判で事故がなぜ起きたのか、社長らにどのような責任があったのか明らかにすること、そしてそれが悲惨な事故の再発防止につながることを願っている。

《記事》
JR西歴代3社長の起訴申し入れ 脱線事故遺族ら  2009年11月4日12時54分
http://www.asahi.com/national/update/1104/OSK200911040044.html?ref=goo

トヨタ自動車、注意喚起促す手紙発送~アクセルペダル問題

 11月2日、トヨタ自動車は、アメリカ高速道路交通局(NHTSA)がトヨタの「レクサス」について、「車両には欠陥がない」とする報告書をまとめたと発表。

 今年8月のレクサスが暴走し、乗っていた4名が亡くなった事故は、フロアマットがアクセルがひっかかって戻らなくなり、暴走したとされている。この問題で、トヨタ自動車は対象者に乗る顧客に注意を促す手紙を郵送しているとのこと。また、安全性向上のため、アクセルペダルの形状を変更することなども検討するという。

 これに加えて、緊急時の停止装置についても周知し、わかりやすくする必要があるといわれている。

《記事》
レクサス暴走、米当局「車に欠陥なし」…トヨタ発表
 (2009年11月3日17時48分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20091103-OYT1T00602.htm

2009年11月2日月曜日

カセットボンベが爆発

 11月1日、「富士スピードウェイ」で、観客がカセットコンロで調理していたところ、ボンベが爆発して、近くにいた男性ら4人がけがをするという事故が起きた。

 警察は、ガスコンロより大きいフライパンで調理していたため、コンロを覆ってしまい熱がこもり、ボンベが過熱して爆発したとみている。

 製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)によると、カセットこんろのボンベまで覆ってしまう調理器具を使用すると、器具の輻射熱でボンベが過熱状態になって爆発するという事故が起きているという。
 ニュースで、NITEが行った実験を見せていたが、鉄板でコンロを覆ってしまうとしばらくしてカセットボンベが爆発した。ちいさなカセットボンベとはいえ、爆発はすさまじかった。
 もし、近くにいたら、大けがをしてしまう。
 
 これからの季節、卓上でカセットコンロを使って鍋を囲むことが多くなる。食卓を囲む人数が大勢だと鍋や調理器具も大きくなりがちだが、ボンベが過熱しないよう気をつけたい。

 また、カセットボンベを、ファンヒーターなど温風の吹き出し口の前において、ボンベが過熱して爆発したという事故も起きている。火がないと、意外と気がつかないが、吹き出し口の前は予想外に温度が高くなるので、ボンベやスプレーなどを置くのは危険だ。
 
 なお、最近は、カセットコンロにボンベの過熱による圧力上昇を感知して、ガスの供給を停止させる安全装置が付いていて、自動的に火が消えるものが販売されているという。

《参考記事》
ガスボンベ爆発で6人重軽傷 富士スピードウェイ
2009/11/01 21:23 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009110101000339.html

トヨタ車暴走、対策を早急に

 今年8月、アメリカでトヨタ自動車のレクサスが暴走し、乗っていた4人が亡くなった。朝日新聞は、この事故車の燃えて溶けたアクセルペダルとマットの写真を入手、公表した。

 この事故は、アクセルペダルがフロアマットに引っ掛かり戻らなくなって、車が暴走したもので、トヨタ自動車は車両には欠陥はなく、運転者のマットの使い方に問題があったとしていた。

 これに対して、アメリカ運輸省高速道路交通安全局は、アクセルの形状にも問題があるとしており、トヨタは車両本体の改良をする意向だがまだ具体的な対応策は出されていないという。

 2008年に、アメリカ運輸省高速道路交通安全局は、ユーザーの苦情を受け、07年モデルの「レクサスES350」を対象にアンケート調査を実施していた。1986人のユーザーにアンケートし、600人が回答した。

 報道によると、回答者のうちの1割にあたる59人が「意図しない加速を経験した」と答え、その中の35人は全天候型フロアマットを敷いていた。アメリカ運輸省高速道路交通安全局は、ゴム製のフロアマットが前方にずれた場合、マットの「溝」にアクセルペダルが引っかかり、固定されてしまうと指摘しているという。

 8月に起きた事故では、リコール対象と異なるマットを敷いていたという。にもかかわらずまた暴走事故が起きているのはなぜだろうか。トヨタ自動車は、早急に、原因を調査して対策を検討するべきではないだろうか。 


《記事》
米暴走レクサス ペダルとマットの樹脂、溶けついた状態
http://www.asahi.com/national/update/1030/NGY200910300018.html