2019年5月15日水曜日

長さのある第4種踏切の事故~JR東横須賀線山の根踏切

 報道によると、2019年3月21日夕方、逗子市逗子にあるJR横須賀線「山の根踏切」で、横浜市港北区の高齢の男性が、歩いて渡っていたところ、電車に撥ねられて亡くなった。男性は、ポータブルラジオなどを持っていたことから、警察は、男性が電車の音に気付かなかったのではないかとみている。男性は、墓参りに来ていたらしい。
 踏切には、車両の入れ替え線を含む計9本の線路が通っているが、警報機や遮断機のない第4種踏切だという。長さは35メートルもあり、利用者は自分で電車が来ないかどうか、確かめながら渡らねばならない。
 
 この踏切を避けて線路を渡るには、約280メートル離れた別の踏切に迂回しなくてはならいので、地元の住民はこの踏切を渡るという。JR東日本と逗子市は、山の根踏切を廃止する方向で協議しているが、見通しは立っていないという。
 また、警報機・遮断機のない踏切は、神奈川県内に27箇所あるといい、対策が急がれる。

 今年2月26日の記者会見で、運輸安全委員会の中橋和博委員長は、
「例えば、時速100キロで走行する列車は200m先から7秒ほどで踏切に到達します。このような高速で列車が走行する路線においても遮断機のない踏切が存在しており、高速道路で信号のない横断歩道を渡るようなものだと感じるところですが、列車はブレーキをかけて停止するまでの距離が自動車の数倍も必要であることを考えると、高速道路よりも危険だと言えるかと思います。」
「踏切の見通し状況や列車の速度などを把握している鉄道事業者が、積極的に関係者に働きかけて協議を進展させることにより、踏切の廃止や遮断機等の整備の早期実施につなげることも重要だと考えます。」と語っている。
 
 鉄道周辺の宅地化が進み、人口が急速に増え、第4種踏切を取り巻く環境が大きく変わっているのに、鉄道事業者はいつまでも警報機や遮断機を設置しないまま、踏切を通行する人に負担を強いているのではないだろうか。
 危険な踏切を放置せず、一刻も早く対策にとり組んでほしい。

《参考》
2019年2月26日運輸安全委員会委員長会見要旨

http://www.mlit.go.jp/jtsb/kaiken/kaiken20190226.html

「危険な踏切 『こわいけど』渡る 住民『生活に必要』」毎日新聞2019年5月12日
https://mainichi.jp/articles/20190512/k00/00m/040/019000c

 

2018年9月19日水曜日

電動車いすの男性が死亡~神戸市灘区阪急神戸線畑原踏切~

 2018年9月16日午後7時15分頃、兵庫県神戸市灘区にある阪急神戸線の畑原踏切で、電動車いすに乗って踏切を横断していた男性(73歳)が普通電車に撥ねられて亡くなった。

 MBSの報道によると、畑原踏切は神戸線王子公園駅と六甲駅の間にある踏切で、ニュースの映像からを見ると、カーブしている線路上にあるようだ。線路の路面に凹凸があり、カーブの外側が高くなっている。また、線路と道路の交差角度が直角ではないように見える。このように、路面が凸凹していたりすると、電動車いすや自転車では渡りにくい。車輪が線路の溝に入ったり、自転車のハンドルを取られたりすることがあるという。

 そうすると、踏切内で車いすなどが動けなくなる可能性がある。車いすに乗っていた男性がどのような状況だったのか、委細はわからないので断定はできないが、踏切の路面の状況が良くないことも、事故の原因につながると思う。

 阪急電鉄の他の踏切では、電動車いすの事故が過去にも起きている。カーブ上の踏切や車いすで渡る人のへの安全対策を検討してほしい。

 踏切はいろいろな方が通行する。健康な若者ばかりではない。年老いた方が手押し車を引きながら渡ったり、ベビーカーを押しながら渡る人もいる。さまざまな人に目を向けた対策を講じて、悲惨な事故で無くなる人のないように努めてほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

《参考記事》
「電動車いすで踏切横断中の男性はねられ死亡」毎日新聞2018年9月16日


 

2018年8月24日金曜日

新たな跨線橋の建設へ~横浜市・生見尾踏切


 
    2013年8月23日午後6時50分頃、横浜市鶴見区生麦3、京浜東北線鶴見‐新子安間にある生見尾(うみお)踏切で、88歳の男性が亡くなった。男性は、つえをついて踏切を渡ろうとしたところ警報機が鳴りだし、出る側の遮断機にたどり着く前に電車に撥ねられた。男性はまもなく死亡が確認された。
 いっしょに渡っていた妻は、電車と遮断機の間で間一髪、助かった。
 事故のあった生見尾踏切は、京急生麦駅の北西側にあり、横須賀線、京浜東北線、東海道線の線路計6本が通っている。また、貨物線の線路が2本、高架で走っている。貨物線の手前、東海道線の遮断機を出た所までの踏切の長さは約40mで、道路幅は5,6m、歩行者と車両の通行するところを区別するため、色分けされている。路面は写真左から右へ上り坂になっており、歩きにくい。
 京浜東北線と東海道線の間には、退避場所があり、踏切を渡りきれないときは、そこで東海道線の遮断機が開くのを待つことになる。


生見尾踏切を岸谷川から見る 2018年8月15日撮影

 警報機が鳴っている間に、渡り切れずに電車に高齢の男性が撥ねられ死亡したことを受けて、横浜市は、バリアフリーの跨線橋を建設することを決め、地元自治会や商店街などと話し合いを重ねた。
 その結果、現在の跨線橋と踏切の間に、新たにバリアフリーの跨線橋を建設することがきまり、工事が始まろうとしている。また、横浜市は現在の踏切を廃止しその上に跨線橋を設置するとしていたが、踏切を廃止しないでほしいという地元の要望で、設置場所を踏切から鶴見よりに変更した。

 2018年8月23日、事故から5年がたった。踏切の脇には跨線橋のエレベータなどの用地が確保され、ようやく工事が始まろうとしていた。
 事故直後、横浜市長が言っていたように、「スピード感をもって」対策をすすめてほしい。
二度と同じような悲惨な事故が起きないよう、一刻も早く工事を進めてほしいものだと思う。

《参考》
事故については、拙ブログ
「88歳の男性死亡、踏切渡り切れず~JR京浜東北線生見尾踏切」2013年8月25日



生見尾踏切に設置された新しい跨線橋の完成図と説明 2018年8月15日撮影
 
 

2018年5月20日日曜日

西武池袋線池袋第8号踏切の事故~人も検知する装置を

 2017年2月9日、西武池袋線の池袋と椎名町の間にある池袋第8号踏切で、お年寄りが電車に撥ねられて亡くなった。手押し車を押しながら、踏切を渡っていたところ、転倒したとみられている。
 特急や急行はスピードを出すため、遠心力で脱線しないように、カーブの外側を高くしてある。そのため、踏切がカーブの上にあると、傾斜ができる。また、線路が複線だと、この傾斜が二回出来る。踏切道が波打つようになる。高 齢者、車いすに乗る人、ベビーカーを押す人、自転車に乗る人らにとって、歩きにくいところだ。
 国土交通省関東運輸局が作成した「踏切通行安全カルテ」によると、池袋第 8 号踏切は、過去 5 年間に 2 回事 故が起きている「事故多発踏切」である。
写真1 2017年2月15日 池袋第8号踏切

 池袋第 8 号踏切は幅約 6 メートル、長さ約 10 メートルである。踏切は、警報機・遮断機のある 第 1 種踏切。非常ボタンも設置されている が、事故当時は押されなかった。また、障害物検知装置も設置されていたが、倒れた人を検知しなかった。
 昨年(2017 年)事故直後の 2 月 15 日、私が踏切を訪れた際には、 作業員が踏切の白線などの塗り替えをしていた。(写真1)


写真2 2018年5月15日池袋第8号踏切に設置されている新しい検知装置
  西武鉄道によると、2017 年 6 月から、池袋第8号踏切に、新しい障害物検知 装置を設置して実証試験を行っているという。この装置は踏切道の地面から 13 センチメートル の高さにレーダを設置し、転倒した人も面で検知 しようというもの。実証試験を 1 年間実施し、安全対策に活かそうとしている。(写真2)

 踏切を利用するのは、自動車だけではない。池袋第8号踏切のように、生活道路として周辺の住民が買い物に行ったり、病院に行ったりする際に利用されているところも多い。(写真3)
写真3 2018年5月15日 池袋第8号踏切 路面に凹凸がある
 踏切を通行する人が凹凸につまずいて転んだり、動けなくなった時、踏切の異常を検知して、電車の運転士に知らせる方法をぜひ、考えてほしい。
 運転士が電車を減速したり、踏切の前で電車を停止させることができれば、踏切に取り残された人は助かるかもしれない。
 
 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福をお祈りいたします。
2018年5月15日 池袋第8号踏切に設置されている非常ボタン(右)


《参考》
〇西武鉄道「踏切の安全対策について」 西武鉄道 第 17-021 号(2017 年 6 月 13 日)

  https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2017/20170613fumikirianzen.pdf
〇「 踏切事故 高齢者に危険 浮き彫り」東京新聞2017年12月27日
  http://www.tokyo-p.co.jp/article/tokyo/list/201712/CK2017122702000137.html#print



 
  

2018年3月31日土曜日

電動車いすも検知を~兵庫県高砂市JR神戸線東川踏切~

 2月11日、高砂市米田町島にあるJR神戸線の東川踏切に行った。
 ここの踏切で、1月12日午後3時半ころ、ハンドル型電動車いすに乗って、踏切を渡っていた女性が普通電車に撥ねられて亡くなった。報道によると、近くにある防犯カメラには、女性が遮断機の下りる前に踏切に入り、線路上で約30秒間、車いすの操作をしたり、手を上げたりして立ち往生しているような姿が映っていたという。

 
JR神戸線東川踏切 女性は向こう側からこちらへ渡ってきた。
こちら側の上り線の線路上で立ち往生していたという。
2018年2月11日撮影
東川踏切は、第1種踏切で警報機、遮断機、障害物検知装置、非常ボタンが設置されている。長さは約10mで幅は2.4mから2.9mある。JR西日本によると、障害物検知装置はループコイル式で、電動車いすが小さいため、この検知装置が検知しなかったという。

 ループコイル式の検知装置というものをはじめて見た。雪の多い地方などで、車を検知するために埋設されるというが、雪があまり降らない関西の高砂市でなぜループコイル式が埋設されているのかはわからなかった。
JR神戸線東川踏切 踏切の北側(上り線側)から、踏切内を見る。
ループコイル式の検知装置が埋設されているという。
2018年2月11日撮影
踏切のそばには、ショッピングセンターがある。日曜日のこの日は、この踏切を渡って買い物に行くのか、大勢の人が行き来する。子供をつれたおかあさんや、ショッピングカートをひくお年寄りや、自転車に乗った人々が行き来する。また、車両も狭い踏切を行き来する。
 また、自治会や高砂署・高砂市・小学校PTAによる通行規制があった。車両は日・土・祝日以外の7:30~8:30と13:00~17:00は通行禁止である。また、近くには「見守りカメラ」が設置されていた。電動車いすの女性が通行した日は、平日の午後で車両の通行がなく、電動車いすで渡るのが容易と思われたかもしれない。
見守りカメラが設置されていた。2018年2月12日撮影。

JR神戸線東川踏切 踏切の南側(下り線側)から、踏切内を見る。
交通規制の看板が見える。        2018年2月12日撮影
 高砂署は、女性が乗っていた電動車いすに不具合はなかったとみており、女性が操作を誤ったために、踏切内に取り残されたとみている。しかし、電動車いすに乗っている女性を検知装置が検知して電車の運転士に踏切の状況を伝えていれば、事故を防げたのではないだろうか?
 踏切を通行するのは、車両だけではない。さきほども書いたが、お年寄りや子供連れの人、自転車で買い物に来る人などが通行しており、踏切は生活道路になっている。
 これらの人たちが踏切で取り残されたとき、検知して、電車を減速したり、踏切の手前で停止させるなど、人の命を守る安全対策を講じてほしい。

<参考> 拙ブログでは、この事故の報道について、以下の記事で書いた。
「電動車いすの女性死亡~JR神戸線東川踏切」
https://tomosibi.blogspot.jp/2018/01/jr.html