2022年6月6日月曜日

東大阪市 近鉄奈良線 瓢箪山第2号踏切~電動車いすの方が亡くなった事故

  2021年12月9日午後4時ころ、電動車いすに乗って瓢箪山2号踏切を渡ろうとしていた高齢の男性が、下りてきた遮断機に電動車いすがあたり、踏切内に横転し、大阪発奈良行きの普通電車に撥ねられて亡くなった。

  この踏切には、警報機・遮断機がある。車両が通行できないせいか、障害物検知装置はない。踏切の長さ約8m、幅約2m。国土交通省が指定する「踏切安全通行カルテ」で、「事故多発踏切」として抽出されている。

 この踏切道はカーブ上にあるため、線路のカーブ外側が内側より高くなっている。そのため路面が凸凹している。12月の夕暮れ時は、足元が暗く凹凸がわかりにくいと思う。また、瓢箪山2号踏切のある瓢箪山駅から枚岡駅までの間は勾配が大きい。

 そして、通行止めのポールが設置されているが、遮断桿が下りると、ポールよりも下に来る。そのため、閉じ込められたとき、棹を向うに押して出ようと思っても、向こうに動かないので、出られないことが分かった。

 車に乗っていて、「踏切内に閉じ込められたら、棹をゆっくり押して外に出てください」と踏切に掲示されているが、ここでは、外に出られない。


          東大阪市 近鉄奈良線 瓢箪山2号踏切   2022年5月23日撮影

 近所にすむ小学生の母親は、踏切を通学路として使っているという。凹凸があり、歩きにくい踏切では、高齢者や障害のある方々にとっては、危険度が大きいと思う。一刻も早く対策を考えてほしい。

 高齢者は自動車の免許を返納するよう求められ、自動車の運転をやめる人が増えている。その結果、自動車に代わる移動手段として電動車いすが普及してきているせいか、電動車いすの事故は増えているという。安全に乗って、自由な移動ができるよう、踏切も対策が求められると思う。

 最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

《参考》

2021年12月9日毎日新聞

電動車椅子の男性が電車にはねられ死亡 東大阪・近鉄奈良線踏切 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

  





静岡県三島市 伊豆箱根鉄道駿豆線 三島館踏切~視覚障がい者の方の事故

  2022年4月1日、伊豆箱根鉄道の三島館踏切に行った。

 ここでは、2021年8月14日、弱視の男性が踏切の中に取り残され、列車に撥ねられて亡くなった。

 この事故のことを12月のニュースで知った。

   今回、記者の取材で踏切には大きな問題があると思い、現地を訪ねた。

 三島館踏切は、三島広小路駅から歩いて7~8分くらいのところにある。

 変則的に交わる交差点の上に踏切があり、一方通行だが自動車がひっきりなしに通行する。踏切の幅は約8m、長さは7mほどだろうか。単線で、警報機、遮断機がある。また、非常ボタンが設置されているが、障害物検知装置はない。点字ブロックは設置されていなかった。

 

          真ん中の交差点上に三島館踏切がある  

  報道によると、近隣の防犯カメラの映像などから、男性は踏切の中で、スマホを見て道を確認しているようだったという。踏切の中にいると思わず、遮断機の外にいると思っていた節があるという。

 警報が鳴りだして何秒かたつと、遮断機は左側から下り、次に右側が下りる。男性は、まだ下りてきていない右側から入り、踏切の向こうに着いたとき、遮断機が下りているので、そこで立ち止まった。遮断機があるので、踏切の外側と思ったのではないか、というのが取材した記者の推測だ。

 列車の運転士が、男性が踏切内にいることに気づき、警報を鳴らしたが、男性は後ろの下がったため、かえって列車に近づくことになった。


             三島館踏切を列車が通過する  2022年4月1日撮影   

 伊豆箱根鉄道は運転席にドライブレコーダーがあり、運転の記録を画像で保存していた。

 そこには男性が映っていたが、事故当時、国交省の中部運輸局は、鉄道会社に確認していなかったという。事故の事実を正確に確認していないことに驚いた。

 ひとつひとつの事故を調査するのは大変だと思うし、通行していた人が亡くなっていれば、事故の原因を特定するのは難しいかもしれない。

 しかし、特定できなくても、踏切の状況から考えられる再発防止策があるのではないかと思う。

 ここでは、点字ブロックが設置されていなかったが、少なくとも、踏切の外側なのか内側なのかわかるよう、点字ブロックなどを設置すべきではないかと思う。

 全国では、踏切に点字ブロックが設置されているところが少ない。大阪府豊中市にある服部踏切では、2011年に試験的に入り口に点字ブロックとエスコートゾーンを設置、その後2014年に正式に設置されたのを機に、大阪府内では4箇所ほど設置されている。しかし、全国的には、広がっていないという。

 公共施設や道路、駅などについては点字ブロックについての設置基準があるが、踏切については、設置基準がない。踏切そのものが危険なので、視覚障害者の方を誘導しないようにしているからだという。

 しかし、視覚に障がいのある方が白杖を持って、どこへでも自由に移動できることが当たり前になろうとする時代に、遠回りになるう回路を使ってくださいというのは現実的ではない。

 国交省では、6月中に視覚障がい者団体や、専門家などに意見を聞き、踏切の点字ブロック設置基準を作成するという。二度と同じような事故を繰り返さないため、視覚障がい者の方が安心して踏切を通行できるよう安全対策を検討してほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

《参考記事》

   〇NHK  記者取材note 2022年4月28日

  踏切事故 視覚障害者の男性はなぜ亡くなったのか|NHK事件記者取材note

 〇毎日新聞社説 2022年6月4日

  社説:視覚障害者の踏切事故 再発防止へ国の対策急務 | 毎日新聞 (mainichi.jp)


2019年5月15日水曜日

長さのある第4種踏切の事故~JR東横須賀線山の根踏切

 報道によると、2019年3月21日夕方、逗子市逗子にあるJR横須賀線「山の根踏切」で、横浜市港北区の高齢の男性が、歩いて渡っていたところ、電車に撥ねられて亡くなった。男性は、ポータブルラジオなどを持っていたことから、警察は、男性が電車の音に気付かなかったのではないかとみている。男性は、墓参りに来ていたらしい。
 踏切には、車両の入れ替え線を含む計9本の線路が通っているが、警報機や遮断機のない第4種踏切だという。長さは35メートルもあり、利用者は自分で電車が来ないかどうか、確かめながら渡らねばならない。
 
 この踏切を避けて線路を渡るには、約280メートル離れた別の踏切に迂回しなくてはならいので、地元の住民はこの踏切を渡るという。JR東日本と逗子市は、山の根踏切を廃止する方向で協議しているが、見通しは立っていないという。
 また、警報機・遮断機のない踏切は、神奈川県内に27箇所あるといい、対策が急がれる。

 今年2月26日の記者会見で、運輸安全委員会の中橋和博委員長は、
「例えば、時速100キロで走行する列車は200m先から7秒ほどで踏切に到達します。このような高速で列車が走行する路線においても遮断機のない踏切が存在しており、高速道路で信号のない横断歩道を渡るようなものだと感じるところですが、列車はブレーキをかけて停止するまでの距離が自動車の数倍も必要であることを考えると、高速道路よりも危険だと言えるかと思います。」
「踏切の見通し状況や列車の速度などを把握している鉄道事業者が、積極的に関係者に働きかけて協議を進展させることにより、踏切の廃止や遮断機等の整備の早期実施につなげることも重要だと考えます。」と語っている。
 
 鉄道周辺の宅地化が進み、人口が急速に増え、第4種踏切を取り巻く環境が大きく変わっているのに、鉄道事業者はいつまでも警報機や遮断機を設置しないまま、踏切を通行する人に負担を強いているのではないだろうか。
 危険な踏切を放置せず、一刻も早く対策にとり組んでほしい。

《参考》
2019年2月26日運輸安全委員会委員長会見要旨

http://www.mlit.go.jp/jtsb/kaiken/kaiken20190226.html

「危険な踏切 『こわいけど』渡る 住民『生活に必要』」毎日新聞2019年5月12日
https://mainichi.jp/articles/20190512/k00/00m/040/019000c

 

2018年9月19日水曜日

電動車いすの男性が死亡~神戸市灘区阪急神戸線畑原踏切~

 2018年9月16日午後7時15分頃、兵庫県神戸市灘区にある阪急神戸線の畑原踏切で、電動車いすに乗って踏切を横断していた男性(73歳)が普通電車に撥ねられて亡くなった。

 MBSの報道によると、畑原踏切は神戸線王子公園駅と六甲駅の間にある踏切で、ニュースの映像からを見ると、カーブしている線路上にあるようだ。線路の路面に凹凸があり、カーブの外側が高くなっている。また、線路と道路の交差角度が直角ではないように見える。このように、路面が凸凹していたりすると、電動車いすや自転車では渡りにくい。車輪が線路の溝に入ったり、自転車のハンドルを取られたりすることがあるという。

 そうすると、踏切内で車いすなどが動けなくなる可能性がある。車いすに乗っていた男性がどのような状況だったのか、委細はわからないので断定はできないが、踏切の路面の状況が良くないことも、事故の原因につながると思う。

 阪急電鉄の他の踏切では、電動車いすの事故が過去にも起きている。カーブ上の踏切や車いすで渡る人のへの安全対策を検討してほしい。

 踏切はいろいろな方が通行する。健康な若者ばかりではない。年老いた方が手押し車を引きながら渡ったり、ベビーカーを押しながら渡る人もいる。さまざまな人に目を向けた対策を講じて、悲惨な事故で無くなる人のないように努めてほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

《参考記事》
「電動車いすで踏切横断中の男性はねられ死亡」毎日新聞2018年9月16日


 

2018年8月24日金曜日

新たな跨線橋の建設へ~横浜市・生見尾踏切


 
    2013年8月23日午後6時50分頃、横浜市鶴見区生麦3、京浜東北線鶴見‐新子安間にある生見尾(うみお)踏切で、88歳の男性が亡くなった。男性は、つえをついて踏切を渡ろうとしたところ警報機が鳴りだし、出る側の遮断機にたどり着く前に電車に撥ねられた。男性はまもなく死亡が確認された。
 いっしょに渡っていた妻は、電車と遮断機の間で間一髪、助かった。
 事故のあった生見尾踏切は、京急生麦駅の北西側にあり、横須賀線、京浜東北線、東海道線の線路計6本が通っている。また、貨物線の線路が2本、高架で走っている。貨物線の手前、東海道線の遮断機を出た所までの踏切の長さは約40mで、道路幅は5,6m、歩行者と車両の通行するところを区別するため、色分けされている。路面は写真左から右へ上り坂になっており、歩きにくい。
 京浜東北線と東海道線の間には、退避場所があり、踏切を渡りきれないときは、そこで東海道線の遮断機が開くのを待つことになる。


生見尾踏切を岸谷川から見る 2018年8月15日撮影

 警報機が鳴っている間に、渡り切れずに電車に高齢の男性が撥ねられ死亡したことを受けて、横浜市は、バリアフリーの跨線橋を建設することを決め、地元自治会や商店街などと話し合いを重ねた。
 その結果、現在の跨線橋と踏切の間に、新たにバリアフリーの跨線橋を建設することがきまり、工事が始まろうとしている。また、横浜市は現在の踏切を廃止しその上に跨線橋を設置するとしていたが、踏切を廃止しないでほしいという地元の要望で、設置場所を踏切から鶴見よりに変更した。

 2018年8月23日、事故から5年がたった。踏切の脇には跨線橋のエレベータなどの用地が確保され、ようやく工事が始まろうとしていた。
 事故直後、横浜市長が言っていたように、「スピード感をもって」対策をすすめてほしい。
二度と同じような悲惨な事故が起きないよう、一刻も早く工事を進めてほしいものだと思う。

《参考》
事故については、拙ブログ
「88歳の男性死亡、踏切渡り切れず~JR京浜東北線生見尾踏切」2013年8月25日



生見尾踏切に設置された新しい跨線橋の完成図と説明 2018年8月15日撮影
 
 

2018年5月20日日曜日

西武池袋線池袋第8号踏切の事故~人も検知する装置を

 2017年2月9日、西武池袋線の池袋と椎名町の間にある池袋第8号踏切で、お年寄りが電車に撥ねられて亡くなった。手押し車を押しながら、踏切を渡っていたところ、転倒したとみられている。
 特急や急行はスピードを出すため、遠心力で脱線しないように、カーブの外側を高くしてある。そのため、踏切がカーブの上にあると、傾斜ができる。また、線路が複線だと、この傾斜が二回出来る。踏切道が波打つようになる。高 齢者、車いすに乗る人、ベビーカーを押す人、自転車に乗る人らにとって、歩きにくいところだ。
 国土交通省関東運輸局が作成した「踏切通行安全カルテ」によると、池袋第 8 号踏切は、過去 5 年間に 2 回事 故が起きている「事故多発踏切」である。
写真1 2017年2月15日 池袋第8号踏切

 池袋第 8 号踏切は幅約 6 メートル、長さ約 10 メートルである。踏切は、警報機・遮断機のある 第 1 種踏切。非常ボタンも設置されている が、事故当時は押されなかった。また、障害物検知装置も設置されていたが、倒れた人を検知しなかった。
 昨年(2017 年)事故直後の 2 月 15 日、私が踏切を訪れた際には、 作業員が踏切の白線などの塗り替えをしていた。(写真1)


写真2 2018年5月15日池袋第8号踏切に設置されている新しい検知装置
  西武鉄道によると、2017 年 6 月から、池袋第8号踏切に、新しい障害物検知 装置を設置して実証試験を行っているという。この装置は踏切道の地面から 13 センチメートル の高さにレーダを設置し、転倒した人も面で検知 しようというもの。実証試験を 1 年間実施し、安全対策に活かそうとしている。(写真2)

 踏切を利用するのは、自動車だけではない。池袋第8号踏切のように、生活道路として周辺の住民が買い物に行ったり、病院に行ったりする際に利用されているところも多い。(写真3)
写真3 2018年5月15日 池袋第8号踏切 路面に凹凸がある
 踏切を通行する人が凹凸につまずいて転んだり、動けなくなった時、踏切の異常を検知して、電車の運転士に知らせる方法をぜひ、考えてほしい。
 運転士が電車を減速したり、踏切の前で電車を停止させることができれば、踏切に取り残された人は助かるかもしれない。
 
 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福をお祈りいたします。
2018年5月15日 池袋第8号踏切に設置されている非常ボタン(右)


《参考》
〇西武鉄道「踏切の安全対策について」 西武鉄道 第 17-021 号(2017 年 6 月 13 日)

  https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2017/20170613fumikirianzen.pdf
〇「 踏切事故 高齢者に危険 浮き彫り」東京新聞2017年12月27日
  http://www.tokyo-p.co.jp/article/tokyo/list/201712/CK2017122702000137.html#print



 
  

2018年3月31日土曜日

電動車いすも検知を~兵庫県高砂市JR神戸線東川踏切~

 2月11日、高砂市米田町島にあるJR神戸線の東川踏切に行った。
 ここの踏切で、1月12日午後3時半ころ、ハンドル型電動車いすに乗って、踏切を渡っていた女性が普通電車に撥ねられて亡くなった。報道によると、近くにある防犯カメラには、女性が遮断機の下りる前に踏切に入り、線路上で約30秒間、車いすの操作をしたり、手を上げたりして立ち往生しているような姿が映っていたという。

 
JR神戸線東川踏切 女性は向こう側からこちらへ渡ってきた。
こちら側の上り線の線路上で立ち往生していたという。
2018年2月11日撮影
東川踏切は、第1種踏切で警報機、遮断機、障害物検知装置、非常ボタンが設置されている。長さは約10mで幅は2.4mから2.9mある。JR西日本によると、障害物検知装置はループコイル式で、電動車いすが小さいため、この検知装置が検知しなかったという。

 ループコイル式の検知装置というものをはじめて見た。雪の多い地方などで、車を検知するために埋設されるというが、雪があまり降らない関西の高砂市でなぜループコイル式が埋設されているのかはわからなかった。
JR神戸線東川踏切 踏切の北側(上り線側)から、踏切内を見る。
ループコイル式の検知装置が埋設されているという。
2018年2月11日撮影
踏切のそばには、ショッピングセンターがある。日曜日のこの日は、この踏切を渡って買い物に行くのか、大勢の人が行き来する。子供をつれたおかあさんや、ショッピングカートをひくお年寄りや、自転車に乗った人々が行き来する。また、車両も狭い踏切を行き来する。
 また、自治会や高砂署・高砂市・小学校PTAによる通行規制があった。車両は日・土・祝日以外の7:30~8:30と13:00~17:00は通行禁止である。また、近くには「見守りカメラ」が設置されていた。電動車いすの女性が通行した日は、平日の午後で車両の通行がなく、電動車いすで渡るのが容易と思われたかもしれない。
見守りカメラが設置されていた。2018年2月12日撮影。

JR神戸線東川踏切 踏切の南側(下り線側)から、踏切内を見る。
交通規制の看板が見える。        2018年2月12日撮影
 高砂署は、女性が乗っていた電動車いすに不具合はなかったとみており、女性が操作を誤ったために、踏切内に取り残されたとみている。しかし、電動車いすに乗っている女性を検知装置が検知して電車の運転士に踏切の状況を伝えていれば、事故を防げたのではないだろうか?
 踏切を通行するのは、車両だけではない。さきほども書いたが、お年寄りや子供連れの人、自転車で買い物に来る人などが通行しており、踏切は生活道路になっている。
 これらの人たちが踏切で取り残されたとき、検知して、電車を減速したり、踏切の手前で停止させるなど、人の命を守る安全対策を講じてほしい。

<参考> 拙ブログでは、この事故の報道について、以下の記事で書いた。
「電動車いすの女性死亡~JR神戸線東川踏切」
https://tomosibi.blogspot.jp/2018/01/jr.html

2018年1月14日日曜日

電動車いすの女性が死亡~JR神戸線東川踏切~

 報道によると、1月12日午後3時半ころ、兵庫県高砂市米田町島のJR神戸線東川(あずまがわ)踏切(遮断機、警報機付き)で、ハンドル型電動車いすに乗った女性が、普通電車(網干発米原行8両編成)にはねられて亡くなった。県警は女性の身元などを調べているという。
 高砂署などによると、電車の運転士が踏切の手前約300mで踏切内の車いすを見つけ、非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。踏切は長さ約10m、幅2.4m~2.9mで、女性は南側から渡り始め、下りの線路を過ぎて上りの線路ではねられたとみられている。
 近くの防犯カメラの映像には、遮断機が下りる前の踏切に女性が入り、線路上で約30秒間、車いすの操作をしようとしたり、手をあげたりして立ち往生しているような姿が映っていたという。女性は踏切内に取り残され、どんなに怖かっただろうかと思うと、やりきれない思いになる。

 JR西日本によると、現場には、主に車を検知するための「障害物検知装置」が設置されていたが、今回は車いすが小さいため、装置が検知しなかったという。
 しかし、踏切を渡るのは車ばかりではない。車いすに乗った方や、手押し車を押しながら渡るお年寄り、ベビーカーを押しながら渡る女性もいるだろうと思う。
 障害物検知装置は、踏切を渡る人すべてを検知して、電車が減速したり、踏切の手前で止まれるようにすべきではないかと思う。

 電動車いすで踏切を渡っていて取り残される事故は過去にも多く起きており、鉄道会社や消費者庁は電動車いすで渡る際の注意を呼び掛けてはいる。
 しかし、電動車いすで踏切を渡るお年寄りは、自力で脱出するのが困難だったりする。周囲に通行人がいないと、非常ボタンを押す人や脱出を助ける人がいない。
 また、踏切そのものに問題がある。線路に対して直角に交差しておらず、ななめに交差していたりすると、車いすの車輪が線路の溝に入りやすい。そうすると、自力で車いすを線路の溝から出すのが困難で、動けなくなることもある。

 また、電動車いすの計器異常やバッテリーが上がるといったことも原因として考えられるという。事故の原因を調査して、同様の事故が起きることのないよう、鉄道会社にも対策を考えてほしいと思う。

 宝殿駅と曽根駅の間では、過去にも、別の踏切で高齢の男性が電動車いすに乗っていて、踏切内に入り亡くなっている。今回と原因は異なるが、電動車いすの設計などにも安全対策が必要かどうか、検討してほしいと思う。

 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福をお祈りいたします

<参考記事>
「車いすの女性、電車にはねられ死亡 検知装置作動せず」朝日新聞2018年1月12日
https://digital.asahi.com/articles/ASL1D5Q3JL1DPIHB02T.html

2017年11月29日水曜日

東急田園都市線 男性の白杖をはさんで発車

    報道によると、11月17日、東急田園都市線の二子玉川駅(東京都世田谷区)で、視覚障害のある男性が持っていた白杖(はくじょう)を挟んだまま、電車が発車していたことがわかった。男性は白杖を手放したため、けがはなかったが、白杖は折れたという。

   報道によると、17日午後4時45分ごろ、駅ホームにいた視覚障害者の男性が、白杖の一部を車内に入れ、車両内にいた乗客に「この電車は各駅停車か急行か」と尋ねたところ、乗客の返事がなかったため、男性は乗るのをあきらめてドアから離れた際、ドアが閉まったという。この停車していた押上発中央林間行き下り電車は、男性の白杖を挟んだまま、次の二子新地駅(川崎市)まで運行された。
 当時、車掌はモニターで男性が車両から離れるのを確認したが、白杖が細くて見えなかった。また、ドアに物が挟まったことを感知するセンサーも反応しなかったという。二子玉川駅には、今年度中にホームドアを設置する予定だという。東急電鉄は「ホームドアを設置するだけでなく、社員教育を徹底して再発防止に努めたい」としている。

 駅のホームは、視覚障害者の方のとっては、「欄干のない橋」と同じだという。点字ブロックが設置されているとはいえ、人にぶつかったりすると方向がわからなくなったりするという。狭くて危険なホームが多く、転落事故も後をたたない。一刻も早くホームドアを設置してほしいものだ。

<参考記事>
「田園都市線が白杖はさみ発車 男性けがなし」毎日新聞2017年11月29日東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20171129/ddm/041/040/119000c

東京・芝のエレベーター事故 遺族がシンドラー社と和解

 東京都港区のマンションで、2006年6月3日、都立高2年の市川大輔(ひろすけ)さん(当時16歳)が、戸が開いたまま上昇したエレベーターに挟まれて死亡した事故から11年がたった。
 11月24日、大輔さんの遺族が製造元の「シンドラーエレベータ」(中央区)などに損害賠償を求めた訴訟は、東京地裁(岡崎克彦裁判長)で和解が成立した。

 報道によると、マンションを所有する港区や、エレベーターの保守管理会社「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)などが遺族と和解した。
 和解は、シンドラー社や港区などが遺族に「深い遺憾の意」を示し和解金を支払う内容だという。再発防止に向けた取り組みの確約も盛り込まれ、和解金の一部は、遺族や支援者らが事故の再発防止活動を続けるための基金の創設に充てられる。また、港区が所有・管理する全エレベーターに事故防止装置を取り付けることも約束された。

 報道によると、亡くなった大輔さんの母・市川正子さんは
「賠償を受けるだけの判決ではなく息子の命を安全に生かす道を選んだ。安全項目の実行を約束させたことに意味がある。」と語った。
  市川さんらの訴えで、建築基準法施行令が改正され、エレベーターの扉が開いた状態で昇降した場合に機能する補助ブレーキの設置がメーカーに義務付けられた。
 しかし、市川さんは、施行令改正前に設置されたエレベータ70万台には、補助ブレーキ設置が義務付けられていないため、再発防止のための安全対策は十分ではないという。

 安全への道はまだ半ばと語る市川さんは、「息子のような被害者を二度とだしてはならない」と、エレベーター会社のみならず、安全対策にかかわる関係者に再発防止のための対策を徹底するよう訴えている。

<参考記事>
「東京・芝エレベーター事故死 事故から11年「やっと」遺族、シンドラー社と和解」
毎日新聞2017年11月25日東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20171125/ddm/041/040/121000c

2017年9月17日日曜日

JR山陽線踏切事故、電車の運転士を書類送検~JR山陽線八人山踏切

 報道によると、9月15日、一昨年岡山県倉敷市のJR山陽線の踏切で起きた事故で、岡山県警は、電車の運転士を業務上過失傷害などの疑いで、岡山地検に書類送検した。一昨年2月、JR山陽線新倉敷ー西阿知駅間の八人山踏切で、立ち往生したトラックと電車が衝突、乗客1人が重傷、運転士を含む44人が軽傷を負った。
 運輸安全員会の報告書によると、トラックの運転手は踏切の非常ボタンを押して、電車に異常を知らせる発光機が作動したが、架線の支柱が運転士の視界を妨げ、電車の運転士は異常を知らせる発光機が見えなかった可能性が高いとしていた。
 
 運転士は踏切の手前約210mでトラックに気づき、非常ブレーキをかけたが間に合わず、トラックと衝突したという。

 今回、岡山県警は、電車の運転士が前方を確認を怠ったことが事故につながったとして、業務上過失傷害と業務上過失往来危険の疑いで書類送検。また県警は、トラックの運転手についても、過失運転障害のうたがいで書類送検している。
 警察は、警察が調べたところ、少なくとも400m手前から踏切の状況が見通すことができ、その時点でブレーキをかけていれば、衝突を避けられたことがわかったとしている。
 警察は、運転士はこれまでの調べに対し、「計器に気を取られていて、前方をよく見ていなかった」と話しているということだ。

 なお、運輸安全委員会の事故調査報告書によると、衝突した大型トラックは、制御装置に不具合があるとして、6回リコール対象となっていたが、すべて改修していた。また、変速機の異常発生が記録されていたが、異常発生時刻が記録されていないため、異常発生が立ち往生の原因と特定することは避けた。

<参考記事>
「非常灯が運転士の死角に 岡山踏切事故、架線の支柱が遮る」日本経済新聞
 2016年3月31日
 https://www.nikkei.com/article/DGXLZO99087010R30C16A3CC0000/
●「JRの踏切事故で電車の運転士を書類送検 岡山」NHKニュース2017年9月15日 
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170915/k10011140481000.html?  utm_int=nsearch_contents_search-items_001

2017年4月21日金曜日

お年寄りを助けようと踏切へ~京急川崎第一踏切

 4月17日、京急八丁畷駅そばにある踏切に行った。

 報道によると、先週15日(土)午前9時9分頃、踏切に入ったお年寄り(77才)を助けようとした男性とお年寄りが亡くなった。お年寄りが遮断機が下りても、中にとどまっているのを見た男性(52才)が、踏切の外から声をかけたがお年寄りは出てこない。男性は、遮断機をくぐって中に入り、お年寄りを外に出そうと腰に手をまわしたが、直後に快特が来て二人とも電車に撥ねられた。

 このニュースを聞いて、私は、2013年10月、横浜線中山駅そばの川和踏切で女性が亡くなった事故を思い出した。女性は、お年寄りを助けようとして踏切に入り、亡くなった。
 今回も、お年寄りを助けようとした男性が亡くなったと聞き、やりきれない思いで胸が苦しくなる。
 
京急八丁畷駅そばにある踏切。快特が轟音をたてて通過する。
2017年4月17日撮影
   京急川崎第1踏切は、八丁畷駅のすぐ横にある。八丁畷駅は快特は停車せず通過するため、快特は踏切を110㎞ものスピードを出して通過する。また、踏切の遮断棹と電車との間隔も少ないので、風圧を感じる。

 朝夕は電車がひっきりなしに通過し、開かずの踏切(1時間のうち遮断時間が40分以上)になる。
 快特の運転士がお年寄りと男性に気が付いたのは、踏切の70mほど手前で、非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。当時、踏切に4箇所設置されている非常ボタンは押されなかった。
 
京急川崎第1踏切。非常ボタンがある。
2017年4月22日撮影
踏切には、障害物検知装置といって、踏切に立ち往生などした車両を赤外線などで検知するしくみがある。しかし、車両の検知が目的のため、人は検知の対象に設定されておらず、今回のように、お年寄りが何秒も線路内にとどまっていても検知器の死角に入ってしまうと、電車の運転士に信号が送られないという。

 踏切の事故を無くすにはどうしたらよいのかとよく聞かれる。専門家ではないわたしには難しい質問だが、何よりも人を検知できる装置を設置してほしいと思う。
踏切は歩道と車道が分けられていた。非常ボタンは押されなかった。 2017年4月17日撮影
踏切を通るのは、自動車だけではない。ベビーカーをおすお母さんや、手押し車を押しながら渡るお年寄り、車椅子で出かける手足に障害を持っている人など、様々な人が通行する。若い働き盛りの人ばかりではないのだ。
八丁畷駅前は川崎駅に近く、バスやトラック、乗用車などが頻繁に通る。
2017年4月17日撮影
そういう人たちが万が一、踏切の中で転んだり、倒れたりしたときに、検知して電車の運転士に知らせ、自動的に電車の速度を落としたり、停車できるようにすることが必要ではないのか?
 人も検知できるようにする、ぜひ取り組んでほしい。そして、尊い命が失われることのないように、対策を考えてほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた方々のご冥福を祈ります。

《追加》2017年4月22日、非常ボタンの写真を追加しました。
《参考記事》
「踏切に立って考える」朝日新聞2017年4月18日付天声人語
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12896782.html

2017年4月18日火曜日

東日本大震災から6年~七十七銀行女川支店

 東日本大震災から6年1か月近くが経った4月8日、石巻から女川町を訪ねた。

 田村孝行さん夫妻の息子さん健太さん(当時25才)は、震災当時、七十七銀行女川支店の行員で、屋上に避難して津波にさらわれ、半年後に発見された。今回、田村さん夫妻に女川や石巻を案内していただいた。

  七十七銀行女川支店で、津波襲来当時、支店の行員たちは、走っても1分という近くにある町の避難場所である堀切山に避難せず、屋上に避難して津波に呑まれた。12名が流され、今も8名が行方不明だという。

 町の防災無線が「大津波警報が発令されました。至急高台へ避難してください」と叫ぶ中、なぜ、女川支店の人たちは避難場所に避難しなかったのか、なぜ高さ10mの二階建ての支店の屋上だったのか? 勤務中であるため、上司である支店長の「屋上へ」という指示に従わなくてはならなかったのなら、銀行に責任はないのか?

 数々の疑問がわいてくる。誰でも「町中の人たちが避難している高台へなぜ避難しなかったのか」疑問に思うだろう。支店から100mほどにある堀切山は、国土交通省が、山を削って海を埋め立てをし、山には町立の病院を建て、災害時の避難場所にした。一石三鳥の公共工事と言われたそうだ。

 そんな立派な避難場所があるのに、なぜ、避難場所を屋上に選らんだのか、疑問に思う。

 そして、避難場所である堀切山の中腹に立って驚いたのは、何よりも、七十七銀行女川支店が、目の前にあったということだ。今は取り壊されて跡形もないが、銀行があったとされる場所は、目と鼻の先だった。
 ③の写真の中ほどに茶色い箱のようなプレハブが見えるが、このあたりに七十七銀行女川支店があったという。
 避難場所である堀切山は、女川町立病院があり、高さ16mにおよぶ津波はこの病院の1階まで押し寄せてきた。
①田村さんが、病院の柱にある、津波が到達した印を示してくれた。
女川町では、津波は高さ16mに及んだ。2017年4月8日 
三陸海岸のようなリアス式の海岸では、湾の入り口が狭く海岸線が入り組んでいるため、内陸にいくほど、津波が高くなる。この「遡上高」と呼ばれる内陸へ津波がかけ上がる高さは、気象庁が予想する高さよりも、4倍程度になることもあるという。

 銀行支店の屋上は10mほどしかない。もし、それ以上の津波がくれば、逃げ場がない。堀切山にも津波は襲来したが、その上の神社まで避難して、600名の町民は命を守ることができた。

 阪神大震災以降、企業の事業継続計画やマネージメントについて、策定が進んでいると聞く。
ぜひ、企業の従業員の命をどう守るのかという点に重点を置いて、計画を練ってほしいと思う。
 
 
②女川町立病院の駐車場。この病院の1階まで、津波がきた。
③堀切山の中腹、町立病院から女川支店方面を見る。
下には、津波犠牲者の慰霊碑がたつ。2017年4月8日
④堀切山の向かい側にも避難できる場所がある。
説明するのは田村弘美さん。  2017年4月8日

⑤慰霊碑の前で、女川支店の場所を説明する田村弘美さん。
2017年4月8日


⑥慰霊碑のある高台から女川湾を見る。  2017年4月8日

女川駅の前には真新しい飲食店が並ぶ。奥に見えるのは女川町駅。
このような景色は、まだ町のほんの一部。  2017年4月8日。
駅前の道路の向こうを見ると、津波に倒れされた交番が、横倒しのままだ。
2017年4月8日
最後になりましたが、亡くなられた方がたのご冥福を祈るとともに、一刻も早く行方不明の方々が発見され、ご家族の元に帰られるよう、祈ります。 そして、東北の復興を願います。
 
《参考》
「七十七銀行女川支店被災者家族会有志」 https://www.facebook.com/77onagawa/

2017年4月14日金曜日

那須で雪崩、高校生ら8名死亡~林野庁、雪崩危険個所に指定

 報道によると、3月27日午前9時20分頃、栃木県那須郡那須町湯本にある那須温泉ファミリースキー場で雪崩が発生し、登山をしていた高校生らが巻き込まれた。高校生らはスキー場のゲレンデ上部で登山中に雪崩に遭い、県立大田原高校の生徒7名と教諭1名が死亡、他に生徒と教諭の計40名が重軽傷を負った。

 那須高原署や消防、県教育委員会によると、現場では、3月25日から27日、栃木県高校体育連盟が登山訓練「春山講習会」を主催、県内七つの高校の山岳部の1,2年生が参加していたという。
 報道によると、27日午前6時に、雪による悪天候のため登山を中止したが、午前8時から生徒と教員の計48名で雪を分けて進む「ラッセル訓練」をしていた。参加7校が5班に分かれて、大田原高校が先頭で訓練していたようだ。
 宇都宮気象台は、26日午前10時半ころ、栃木県北部に雪崩や大雪の注意報を発表、注意を呼びかけていた。担当者は「未明からの約10時間で積雪となり、気温は比較的高い。雪崩が起きやすい環境だった」と話しているという。

 報道によると、林野庁は、現場一帯の那須岳国有林は「雪崩危険箇所」として指定していたが、栃木県は山岳関係者らに周知していなかったことがわかった。
 また、林野庁は国有林に立ち入る際は、入林許可の申請を求めていたが、講習会を毎年主催していた県高等学校体育連盟登山専門部は、少なくとも5年間は申請していなかったという。林野庁は「申請があれば、雪崩への注意を促すことができた」としている。

 林野庁などによると、1997年度に現場一帯を危険箇所に指定し、県に伝達したが、県は防災計画に明記したものの、県が独自に危険地域を図示しているHPには反映していなかったという。県は危険箇所を見直す方針。

 亡くなった大田原高校の生徒らは、雪をかきわけながら歩くラッセル訓練で、スキー場上部にある樹林帯を越えた標高の高い斜面まで登っていたとみられ、樹木などの障害物の少ない斜面で雪崩の直撃を受けた可能性があるという。他校の生徒は、雪崩の勢いが軽減される樹林帯の中や、さらに標高の低い場所にいて、重軽傷のけがですんだとみられている。

 生徒らが、春山登山の訓練をするのに那須岳が適していたかどうかなど、これから捜査されるのだろうが、林野庁の情報が、訓練を計画する高校体育連盟など、関係者に届いていなかったことが事実だとすれば、とても残念なことだ。

 訓練の計画にかかわる人たちは、多くの生徒の命を預かるのだから、訓練をする場所など、十分に調査して計画をたててほしい。そして、無理な訓練をしないでほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた生徒や教員の方のご冥福を祈ります。

《参考記事》
「那須8人死亡 現場は雪崩危険箇所 林野庁指定、県は周知せず」
2017年4月2日東京新聞 TOKYO Web
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017040202000124.html

2016年12月31日土曜日

広島市JR芸備線無連地第2踏切~事故から3年

 広島市にあるJR芸備線無連地第2踏切では、3年前の12月5日、お年寄り二人と介護福祉施設の職員の乗った乗用車と普通電車が衝突して、施設の女性職員とお年寄りの二人が亡くなった。また一緒に乗っていたお年寄りの妻も一命をとりとめたものの、重傷を負った。

 事故については、以前、ブログ(以下のページ参照)にも書いた。
「3人が死傷した踏切~広島市JR芸備線無連地第2踏切」
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/06/2.html

 今年11月26日、この無連地第2踏切に行った。広島駅からJR芸備線に乗り、志和口駅に行く。駅からは車で踏切に行く。
無連地第2踏切で電車の来た方角広島方面を見る
                         2016年11月26日
踏切には、無連地第2踏切の事故を取材してきた広島テレビのスタッフに同行してもらった。広島テレビでは、事故の翌年の2014年、踏切の問題点を整理して、なぜ事故が起きたのかを検証した。
 この放送の中でも指摘していたが、列車の来た方角は、生け垣の木で電車がよく見えない。また、事故当時、電車を見るために設置されたカーブミラーは、朝露で曇っていて見えないこともあった。いったん、車を降りて電車がくるかどうか確認しないと見えない。
 また、電車が来た方と反対側も大きな欅の木が茂り、やはり車の運転者からは電車が見えにくいという。それは、電車の運転士からも踏切が見えにくいということでもあると思う。乗用車が踏切にはいって来たことに気付いた時には、ブレーキは間に合わない。
電車の来た方角は木が植えられていて、よく見えない。
                        2016年11月26日

反対方向も欅の大木で、電車が見えない。
                 2016年11月26日
事故の現場に行くといつも思うのは、失礼な言い方だが、思ったよりも開けているということだ。
「過疎」と言われるが、沿線には住宅地が広がっていた。無連地第2踏切を渡ってから入っていった集落は、たしかに戸数が9戸と少ないが、川をはさんだ向う岸には、住宅が並んでいる。付近の集落の自治会長である杉川さんに会って話をうかがった。無連地の集落が少ないのは、道路が不便で危険な踏切を渡らないとならないからだという。

 事故の後、杉川さんらは周辺の町村の人々などに声をかけて、踏切に遮断機警報機を設置してくれるよう要望する署名を集め、JR西に提出した。2014年6月、JR西は無連地第2踏切に、警報機遮断機を設置することを決め、12月に工事をした。

 杉川さんのお話によると、この踏切では40年前にもオートバイに乗って踏切を渡ろうとした女性が電車に撥ねられて亡くなったそうだ。亡くなった女性の家族が踏切のそばに地蔵を立てた。今現在は、遮断機を設置するために、踏切から少し離れたところに移されたものの、線路に近い場所で、鉄道の安全を見守っているようにみえる。
 
芸備線を見守るお地蔵様。踏切で亡くなった女性の遺族が建てた。
                                  2016年11月26日
今年は、警報機遮断機のない踏切で、事故が増えている。
2014年4月から、遮断機のない踏切で起きた死亡事故は運輸安全委員会の事故調査対象となり、この2014年、2015年は遮断機のない踏切での事故が前年に比べ減少し、2014年は6件、2015年は5件だった。
 しかし、今年度は4月から12月までに、すでに13件起きている。なぜ、事故が増えているのか、事故調査の結果を事故を減らすことに生かしていってほしい。また、鉄道事業者も死亡事故については、原因などを丁寧に調べて、事故の再発防止に努めてほしいと思う。

 最後になりましたが、無連地第2踏切で亡くなられた方のご冥福を祈ります。

《参考記事》
「遮断機・警報機ない「第4種踏切」ローカル線で進まぬ安全策」20161117日東京新聞朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016111702000135.html

2016年10月2日日曜日

JR横浜線川和踏切の事故から3年

 10月1日、踏切内に入ったお年寄りを助けた村田奈津恵さんが亡くなって、3年がたった。
あれから、事故のあった川和踏切はどう変わっているのだろうか。今年もまた足をはこんだ。
事故のあったときと少しも変わらないようだった。

JR横浜線中山駅近くにある川和踏切  2016年10月1日
車は検知するが人を検知する設定をしていない障害物検知装置、列車を止めるには間に合わないことのある非常ボタン、遠くから見える「踏切」の表示、列車が来る方向をしめす表示器。警報機や遮断機もあるのに、いとも簡単に踏切内に入れてしまう。
 簡単なバーだけの遮断機は、子どもやお年寄りが誤って入ってしまう危険もあるのではないか。

スピードを出して、上りの列車が通過する  2016年10月1日撮影
今年は、献花台が設置されていなかった。献花台は、JR東が昨年まで設置していたと思う。
JRの敷地内に入って、花束をおく。

  どんなことば並べても 真実にはならないから 
  今日は贈ろう 涙色の花束を君に    (by 宇多田ヒカル)
川和踏切を下りの列車が通過する  2016年10月1日撮影

《参考》拙ブログでは、以下のページで、この事故について書いた。
「横浜市中山駅川和踏切の事故から2年」ほか、川和踏切事故について
http://tomosibi.blogspot.jp/search?q=%E5%B7%9D%E5%92%8C%E8%B8%8F%E5%88%87

 

2016年9月15日木曜日

関東鉄道で第4種踏切事故~事故原因の調査開始

報道によると、9月12日午後5時すぎ、茨城県筑西市井上にある関東鉄道常総線黒子駅大田郷駅間にある踏切で、近くに住む小学4年生の男子児童(9)が自転車に乗って渡っていたところ、1両編成の下り列車にはねられて亡くなった。

事故を受けて、13日、国の運輸安全委員会の事故調査官2人が現場の踏切を訪れ、事故原因の調査を開始した。事故のあった踏切は歩行者や二輪車が通るための踏切で、警報器や遮断機は設置されていない第4種踏切。


男子児童は、友人の家から帰る途中で、踏切を渡っていて電車に撥ねられたとみられている。
調査を担当した鉄道事故調査官は、「踏切は木に隠れて列車からの見通しが悪いように思います」と語り、この点も含めて事故原因を精査するとしている。

列車からの見通しが悪いということは、小学生からも列車が見えにくかったのではないかと思う。
また、ニュースで事故のあった踏切を見ると、幅が狭く、路面が傷んでいるようにみえる。
関東鉄道では警報機や遮断機のない第4種踏切が数多く残って、事故が起きている。利用者が多い踏切であるならば、踏切の安全対策を検討して、事故の再発を防ぐべきだと思う。

最後になりましたが、亡くなられたお子さんのご冥福をいのります。

《参考記事》
「小学4年生の男児 列車にはねられて死亡 茨城」2016年9月12日NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160912/k10010682781000.html
「小4死亡の踏切事故 運輸安全委が調査開始 茨城 筑西」2016年9月13日NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160913/k10010684111000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001

2016年8月31日水曜日

横浜市鶴見区生見尾踏切の事故から3年


  3年前の8月23日夕刻、横浜市鶴見区にあるJR京浜東北線の生見尾踏切でお年寄が、踏切を渡り切れず踏切内に取り残され、電車に撥ねられて亡くなった。

 この事故を機に、横浜市と周辺に住む住民、商店街などと、踏切にどのように、線路をまたぐ歩道橋を設置するか、話し合いが持たれたが、未だに工事が始まる気配はない。
 生見尾踏切には、JR東日本の3つの路線と貨物線が走る。横須賀線、京浜東北線を渡ると、いったん踏切が閉まる。退避場所をはさんで、東海道線の踏切を渡ると、頭上に貨物線が走る。貨物線のガードをくぐると、今度は、京浜急行の踏切が待っている。北側の岸谷から、踏切を3つ渡らないと、南側の生麦地区に行かれない。生麦駅に行く歩道橋は急な階段で、足腰の悪い高齢の男性が渡ることはできない。

 
右から、横須賀線、京浜東北線、東海道線の線路が並ぶ。

生見尾踏切の北側から、歩道橋を見る。手前は横須賀線の線路。

 三つの踏切全部の踏切を渡り終えるのに、いったい何メートルあるだろうか?
踏切の周辺に住む人たちは、この踏切を渡らないと、商店街やスーパーに行かれない。
また、子どもを自転車の後ろに乗せて、この踏切を渡って、保育園に通う人もいると聞く。

 朝夕のラッシュ時は、通勤や通学、保育園の送り迎えなど、大勢の人で混雑する踏切。
歩道と車道を分けたり、踏切があることを知らせ踏切内で立ち止まらないように注意するアナウンスも設置された。
 しかし、開かずの踏切であることに変わりはない。遮断機が開いたと思うと、踏切を渡り切らないうちに、警報が鳴りだす。私はつまづかないように慌ててわたり、渡り切ると、ほっとする。

 そんな不安な思いをしながら渡るのは、嫌だと思う。早く、古い急な階段の歩道橋を改善し、エレベーター付きの歩道橋を設置してほしいものだと思う。
 鉄道会社と地元自治体、周辺の住民、皆さんで知恵を出し合って、一刻も早くこの踏切の状況を改善してほしい。

 最後になりましたが、3年前の8月23日、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

《参考》
拙ブログ
「88歳の男性死亡、踏切渡り切れず~JR京浜東北線生見尾(うみお)踏切」2013年8月25日
http://tomosibi.blogspot.jp/2013/08/88jr.html

《参考記事》
「踏切事故防止 地域の知恵を集めよう」朝日新聞2016年5月10日社説(2016年5月10日アクセス)
http://www.asahi.com/paper/editorial2.html?iref=editorial_news_one

2016年6月15日水曜日

安全工学シンポジウム2016~事故防止のあり方を考える

7月7日、8日、安全工学シンポジウム2016が開催される。
今年の全体テーマは、「技術と倫理」。活発な論議が期待される。

日本学術会議主催「安全工学シンポジウム2016」は,安全工学に関する各分野における問題点提起,優れた研究成果の講演と技術交流により,安全工学および関連分野の発展に寄与することを目的としている。
特別講演をはじめオーガナイズドセッション(OSと略),パネルディスカッション(PDと略),一般講演等の開催が予定されている。

主催は、日本学術会議総合工学委員会、共催は日本人間工学会他31学協会。
詳細なプログラムは、ホームページ http://anzen.org/html/Program.html
場所:日本学術会議 (地下鉄乃木坂駅下車、5番出口)

7月7日(木)は、私たちの発表・講演がある。
発表時間:12:20〜14:50  OS-6   場所:6階6-A(1)  
OSテーマ:「事故の再発防止とは〜事故防止のあり方を考える」


 
○「事故の再発防止とは〜事故防止のあり方を考える」
 加山 宏(東武伊勢崎線竹ノ塚踏切事故遺族)
○「高齢者と鉄道の安全対策 」             
 加山圭子(踏切事故遺族の会紡ぎの会)

 

○「踏切人検知システムの必要性と運用課題 」
 松田俊也(マイクロテック)
○「認知症患者家族の監督義務と鉄道事業者の立場」
 米倉 勉(弁護士)

○「事故調査の結論と裁判の結果について」              
 本江 彰(日本ヒューマンファクター研究所)

○「事故事例の蓄積から学ぶ―頭部外傷のくり返しに着目して」
 内田 良(名古屋大学)

○「事故の再発防止から未然防止へ ― リスクアセスメントと安全文化の発信 ―」
 高杉和徳(製品安全コンサルタント)