2016年12月31日土曜日

広島市JR芸備線無連地第2踏切~事故から3年

 広島市にあるJR芸備線無連地第2踏切では、3年前の12月5日、お年寄り二人と介護福祉施設の職員の乗った乗用車と普通電車が衝突して、施設の女性職員とお年寄りの二人が亡くなった。また一緒に乗っていたお年寄りの妻も一命をとりとめたものの、重傷を負った。

 事故については、以前、ブログ(以下のページ参照)にも書いた。
「3人が死傷した踏切~広島市JR芸備線無連地第2踏切」
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/06/2.html

 今年11月26日、この無連地第2踏切に行った。広島駅からJR芸備線に乗り、志和口駅に行く。駅からは車で踏切に行く。
無連地第2踏切で電車の来た方角広島方面を見る
                         2016年11月26日
踏切には、無連地第2踏切の事故を取材してきた広島テレビのスタッフに同行してもらった。広島テレビでは、事故の翌年の2014年、踏切の問題点を整理して、なぜ事故が起きたのかを検証した。
 この放送の中でも指摘していたが、列車の来た方角は、生け垣の木で電車がよく見えない。また、事故当時、電車を見るために設置されたカーブミラーは、朝露で曇っていて見えないこともあった。いったん、車を降りて電車がくるかどうか確認しないと見えない。
 また、電車が来た方と反対側も大きな欅の木が茂り、やはり車の運転者からは電車が見えにくいという。それは、電車の運転士からも踏切が見えにくいということでもあると思う。乗用車が踏切にはいって来たことに気付いた時には、ブレーキは間に合わない。
電車の来た方角は木が植えられていて、よく見えない。
                        2016年11月26日

反対方向も欅の大木で、電車が見えない。
                 2016年11月26日
事故の現場に行くといつも思うのは、失礼な言い方だが、思ったよりも開けているということだ。
「過疎」と言われるが、沿線には住宅地が広がっていた。無連地第2踏切を渡ってから入っていった集落は、たしかに戸数が9戸と少ないが、川をはさんだ向う岸には、住宅が並んでいる。付近の集落の自治会長である杉川さんに会って話をうかがった。無連地の集落が少ないのは、道路が不便で危険な踏切を渡らないとならないからだという。

 事故の後、杉川さんらは周辺の町村の人々などに声をかけて、踏切に遮断機警報機を設置してくれるよう要望する署名を集め、JR西に提出した。2014年6月、JR西は無連地第2踏切に、警報機遮断機を設置することを決め、12月に工事をした。

 杉川さんのお話によると、この踏切では40年前にもオートバイに乗って踏切を渡ろうとした女性が電車に撥ねられて亡くなったそうだ。亡くなった女性の家族が踏切のそばに地蔵を立てた。今現在は、遮断機を設置するために、踏切から少し離れたところに移されたものの、線路に近い場所で、鉄道の安全を見守っているようにみえる。
 
芸備線を見守るお地蔵様。踏切で亡くなった女性の遺族が建てた。
                                  2016年11月26日
今年は、警報機遮断機のない踏切で、事故が増えている。
2014年4月から、遮断機のない踏切で起きた死亡事故は運輸安全委員会の事故調査対象となり、この2014年、2015年は遮断機のない踏切での事故が前年に比べ減少し、2014年は6件、2015年は5件だった。
 しかし、今年度は4月から12月までに、すでに13件起きている。なぜ、事故が増えているのか、事故調査の結果を事故を減らすことに生かしていってほしい。また、鉄道事業者も死亡事故については、原因などを丁寧に調べて、事故の再発防止に努めてほしいと思う。

 最後になりましたが、無連地第2踏切で亡くなられた方のご冥福を祈ります。

《参考記事》
「遮断機・警報機ない「第4種踏切」ローカル線で進まぬ安全策」20161117日東京新聞朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016111702000135.html

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