2014年9月25日木曜日

踏切事故情報の開示と事故の再発防止

 今年7月15日付で、国土交通省に、「運転事故等整理表」の開示をもとめ、情報公開請求した。
これに対して、8月27日付で、国交省情報公開室は、備考欄に記入された年齢・性別と、事故を報告した鉄道事業者以外の法人を特定できる情報について開示しないと回答してきた。
 国土交通省鉄道局がホームページで毎年公表する「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報」(以下、「情報」と略)の1ページには、「この情報により、鉄道事業者の安全の確保に対する意識
が高まるとともに、鉄道の利用者や沿線住民等の安全利用等に関する理解が促進されるよう期待しています」と書かれている。
 
 
 この「情報」の統計のもととなる「運転事故等整理表」は、さまざまな鉄道事故を分析し、再発防止策を検討して行く上で、重要である。特に、事故関係者の性別や年齢は、個々の事故の特徴を分析する上で欠かせない情報である。
 各運輸局には、毎月、鉄道会社から事故の届け出が提出される。この届け出の1年分を国土交通省鉄道局がまとめ、統計をとり、「情報」として、毎年公表している。
 
 

 鉄道局が、平成22年4月1日付で出した通達(国鉄施第88号、国鉄安第90号「『鉄道事故等報告規則等の事務取扱いについて』の一部改正について」)により、鉄道事業者が、事故関係者の性別・年齢を「鉄道運転事故等届出書」の「備考」欄に記入することが義務づけられた。
 その結果、平成22年度より、鉄道局においてこの情報を集計し、事故関係者を年齢別に集計した結果が「情報」の中で公表されることとなった。
 この統計から、踏切事故の半数近くに60歳代以上の高齢者が関わっていることがわかり、踏切事故においても、高齢者に対する安全対策を講じる必要があることがわかった。
 このように、踏切事故を無くすための対策を考える上で、事故関係者の性別や年齢は重要で、欠かすことができない。
 
 
 また、「運転事故等整理表」で、事故を報告した鉄道事業者以外の法人名および法人が識別できる情報等については、事故情報の基礎的な情報であり、事故の再発防止にとって重要であり、開示される必要がある。事故情報の開示は、事故の事実の開示であり、事故に関係した法人に対する評価をするものではない。事故の事実全体を把握することで、再発防止策が検討できる。
 事故の情報が公開され、鉄道事業者のみならず、行政、沿線住民、鉄道利用者など、あらゆる人々と共有することで、事故を無くすための英知、経験が集まり、事故を無くすことにつながると思う。
 

 事故の状況を正確に知ることは、私たち遺族の願いでもある。突然、大切な人がなぜ、この世を去らねばならなかったのか、納得のいく説明を受けたいと思っている。病気で亡くなるのであれば、医師から 病気について説明を受け、大切な人の死を受け入れる準備ができる。
 しかし、私たちは、事故で突然大切な人を失い、混乱している。葬儀をしたのに、どこからか、「ただいま!」と、亡くなった人が帰ってきそうな気がする。亡くなった人の使っていたものを片付けることができない。
 正確な情報をわかりやすく説明され、同じような事故が起きないよう、事故の対策を講じていただくことは、私たちが大切な人の死を受け入れる上で必要であり、亡くなった人の命を生かすことでもあると思う。
 踏切事故の状況は、事故の現場にだれか居合わせればわかることだろうが、事故のほとんどは、事故調査もされないため、私たち遺族は事故の状況を正確に知ることができない。鉄道会社が、事故の情報を正確に把握し、届け出ることが必要である。そして亡くなった人たちの命を無駄にしないよう、二度と同じような事故が起きないよう、再発防止に取り組んでいただきたいと思う。 
 


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