7月末、目の不自由な男性が、飼っている盲導犬のオスカーといっしょに通勤していたところ、何者かがオスカーをとがったもので刺したことがニュースでわかり、刺した人物に憤りを感じたばかりだ。オスカーは飼い主が驚くと危ないと思ってか、ほえなかったので、勤務先の同僚がオスカーの背中から血が出ているのを教えてくれるまで、飼い主の男性はオスカーが刺されていることに気がつかなかった。
それなのに、また、目の不自由な女子生徒が、何者かに右ひざの裏を蹴られるという事件が起きた。
報道によると、9月8日、女子生徒が午前7時50分ころ、川越市のJR川越駅前のコンコースを白い杖をたよりに、歩いて登校していたところ、前から来た人物が女子生徒の杖にぶつかって転倒したようだった。その直後、女子生徒にその転倒したと思われる人物が近づき、生徒の右ひざの裏を硬い靴で蹴った。
近くにいた年配と思われる男性が、女子生徒を蹴った人物に向かって注意する声が聞こえたが、その人物は無言で立ち去ったという。
女子生徒は、その日は登校したが恐怖から被害について話せず、帰宅後病院で治療してもらった。しかし、翌日も痛みがあり、授業に支障が出たため、校長に被害について話したという。
目が不自由なために、白杖で点字ブロックをさがしながら歩く心細さは、想像に難くない。それなのに、女子生徒の白杖にぶつかった人物は、自分が転んだことに腹をたてたのか、目の見えない女子生徒に暴力を奮って去った。自分の姿が相手には見えないと思って、取った行動だろう。卑怯としか言いようがない。
障害を持って精いっぱい生きる人たちに、もう少しやさしく接することができないのだろうか。点字ブロックの上に自転車やバイクが駐車していると、行き先がわからなくなるという。また、白杖をつきながら歩いている人に私たちがぶつかると、目の不自由な人は体の向きが変わってしまい、方向がわからなくなるという。私たちが注意して、目の不自由な人にぶつからないように歩くことは簡単にできるはずだ。
女子生徒は、相手は自分のことをわかっても自分は相手のことがわからない、こわいと言っている。周囲の人たちの理解や支えを信頼するからこそ、外を歩くこともできると思う。それが今回のように、信頼できないことが起きると、歩くことさえ、不安が募ると思う。女子生徒に暴行を加えた人物は、早く名乗り出て、謝罪してほしい。
白杖や点字ブロックの意味をあらためて、社会に知ってもらう必要もあると思う。障害を持っている生きることの大変さや、私たちができることを、学校教育をはじめとして、いろいろなところで考えてもらいたいと思う。
《参考記事》
「白杖、点字ブロックは命綱 全盲生徒けがで声相次ぐ」東京新聞 2014年9月11日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014091102000121.html
「川越・全盲女子生徒負傷 警察、捜査を開始」朝日新聞2014年9月11日
http://digital.asahi.com/articles/CMTW1409111100004.html
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