報道によると、原子力安全委員会が、甲状腺の被曝を抑える効果のある安定ヨウ素剤を服用するよう、政府の原子力災害対策本部に助言したことが生かされず、同本部から自治体への指示が3日後の3月16日に遅れた可能性のあることがわかった。
現行の指針では、ヨウ素剤の服用は同安全委の意見を参考に、福島県にある現地災害対策本部が指示をすることになっているという。
福島第1原発の事故で、 原子力安全委員会は、1号機で爆発のあった翌日の3月13日未明に、政府の緊急災害対策本部に電話で助言をし、その後ファクスで2回ほどやりとりをした。
同安全委は、人体への放射性物質付着を検査し、1万cpm(1分当たりの放射線測定値)以上の場合は服用すると助言した。
しかし、政府対策本部の経産省原子力安全・保安院原子力防災課長は、この助言が書かれたファクスの紙自体が確認できていないと反論しており、実際の服用指示が出されたのは、原発から半径20キロ圏内の避難がほとんど済んだ16日になったという。
福島県によると、3月13日以降、これまでに検査した約23万人のうち、1万3千cpm以上は約900人
いる。大半が3月20日までに検査した結果だという。もし、服用の指示が迅速で、住民がヨウ素剤を早く服用していれば、14日、15日に福島第1原発で起きた爆発の被曝をおさえることができたかもしれない。
保安院は、原発周辺自治体で、ヨウ素剤が配布されたのか、住民に服用されているのか、実態を把握していない。
政府の福島原発の事故・検証委員会もこれらの経緯を調べる予定だという。
《参考記事》
「ヨウ素剤服用指示に遅れ 災害対策本部、900人に助言届かず」中国新聞2011年10月26日
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201110260171.html
「原発事故時、ヨウ素剤服用の助言900人に届かず」朝日新聞2011年10月26日
http://www.asahi.com/national/update/1026/TKY201110250743.html
0 件のコメント:
コメントを投稿