2014年6月6日金曜日
認知症の不明者、警察庁が対策を強化
報道によると、6月5日警察庁は、認知症が原因の徘徊で保護された「迷い人」の身元を特定するため、氏名が分からなくても体の特徴や所持品などを手掛かりに検索できるシステムを新たに活用するよう、都道府県警に指示した。取り扱い記録の作成を徹底し、警察本部が関わることも対策に盛り込み、通達した。
警察庁が出す通達には、保護されている身元不明者の写真付き資料を警察本部などに備え付けることが明記され、行方不明届を出した家族は、この資料を見ることができるという。
今まで、家族が行方不明届を警察に出すと、警察は住所や氏名などを聞き取って「行方不明者照会」システムに登録、「迷い人」を保護した際に利用していたが、氏名が分からないと検索できない難点があった。また、これとは別に、「身元確認照会」システムも運用していたが、遺体の身元確認にしか使われていなかったが、「迷い人」の特定にも活用することにした。
どちらのシステムも、全国の情報が共有される。また、「行方不明者」や「身元確認」の登録まで、時間がかかるため、照会を繰り返すことも指示された。
また、今後は、警察本部が不明者の発見や特定に関わる署の対応をチェック、指導する。保護を引き継ぐ自治体との連携も強化するという。
警察庁は、認知症が原因で行方が分からなくなり、家族などから、警察に届け出があった不明者は、昨年1年間に10,322人だったと発表、2012年から715人増えた。2012、13年の2年間に届け出のあった19,929人のうち、今年4月末現在で、所在の確認できない人は258人に上るという。
所在確認までの時間は、届け出の受理当日が6,443人(63.3%)、二~七日間が3,506人(34.4%)で、97.7%の人が七日以内に確認されているが、32人は二年以上かかっていた。
昨年は、認知症の行方不明者が1万人を超えた。また、2007年に、群馬県警が、保護された女性の名前を誤って取り扱ったため、身元の確認がされなかった。7年たった今年になって、報道によって、家族が女性の所在を知るというケースなどがあった。
新聞各社やテレビの報道によって、認知症の行方不明の方がたくさんいること、また保護されているにもかかわらず、家族に居場所を知らせるシステムが十分機能していなかったことが分かった。
警察と自治体は、行方不明となっている認知症の方の情報を共有して連携を強めてほしい。情報を丁寧に把握して、行方不明の人を探す家族が情報の検索を容易にできるようにしてほしい。
今回の対策が進むことで、行方が分からなくなっていた方が、一刻も早く家族のもとへ帰れることを願いたい。
《参考記事》
「老いてさまよう:認知症不明、警察庁が対策強化 家族『捜す力に』 実効性の確保必要」
毎日新聞 2014年06月05日 東京夕刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20140605dde041040055000c.html
「認知症不明者:確認強化 警察庁通達、照会項目増やし 昨年の自治体引き渡し157人、13人身元判明せず」 毎日新聞 2014年06月05日 東京夕刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20140605dde001040084000c.html
「認知症迷い人 氏名不明でも検索」東京新聞 2014年6月5日夕刊
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