2010年4月13日火曜日

運輸安全委員会委員長、 「信頼回復向け努力」 

 4月25日で福知山線脱線事故から5年になるのを前に、事故調査報告書をまとめた国土交通省運輸安全委員会の後藤昇弘委員長(66)が、神戸新聞のインタビューにこたえた。

 昨年9月委員からJR西日本側への情報が漏えいしていた問題が発覚したことにも触れ、「尼崎の事故は調査のあり方を考える転換点となった。組織の信頼回復に向け、努力したい」と語ったという。
 後藤委員長は、2007年2月に委員長に就任し、現在2期目。福知山線脱線事故の事故調査報告書が出された当時、委員長だった。
 
 元委員による情報漏洩問題をふまえて、脱線事故の被害者らが「独立した調査機関」を求めているが、後藤委員長は「調査官を養成する教育機関が必要だが、人材、予算などの面で簡単にはいかない」と、慎重な姿勢を示している。


 また、原因究明する事故調査と、責任追及をする捜査との線引きがあいまいではないかとされる現状について、事故調査報告書は、「責任者を指摘するものではない。そこが報告書をまとめる時に一番気を使う点だ」と強調し、事故調査報告書が裁判の証拠資料として採用される点については「釈然としないところもあるが、裁判所がどう判断するかだ」と述べた。

 運輸安全委員会が、脱線事故の被害者や遺族らを招いて検証チームを設けるなど、被害者や遺族の意見もふまえて調査報告書が議論されはじめたことを評価し、心のケアや被害者支援についても勉強していきたいと語っているそうだ。
 
 航空・鉄道事故調査委員会委員によるJR西日本への漏洩問題は、事故調査や事故調査機関のあり方を考えるきっかけとなった。委員の方々には、国民に信頼される事故調査機関とは何か、あらためて問い返し、検証チームをはじめ多くの方々と論議して、事故調査の充実と再発防止にはなにが必要か検討してほしい。


《参考記事》
運輸安全委員長インタビュー 「信頼回復向け努力」  (2010/04/11 14:34)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0002863692.shtml

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