2009年7月24日金曜日

大雪山の遭難事故

 山で雨に遇うことくらい嫌なことはない。その上に、16日は台風並みの強い風が吹いていたという。悪天候の中、歩き続けた登山者のカッパやぬれた衣服に冷たい風がふきつけ、さぞ、寒かったにちがいない。
 私は、低山にハイキングに行く程度で、高い山にはなかなか行けないけれど、今回の遭難事故のニュースを聞くと、他人事と思えない。

 ツァーに参加した人たちは、みな登山歴の長い人ばかりだという。そんな登山者やガイドたちがなぜ、遭難したのか。
 この山域では、7年前にも、遭難事故があった。やはり、台風が近づいているところを出発し、遭難に遭っている。旅行会社は、そういう過去の事故情報を把握していなかったのだろうか。

 もうかなり前になるが、わたしも、この大雪山系のガイドブックを見たことがある。当時、豊かな自然が残る山々へは、アプローチが長く、避難小屋もまばらで、自分でテントや寝袋を持っていかねばならない。また、天候が変わったりして、山を急に降りなくてはならないとき、下山して避難できる場所が見あたらない。山小屋泊まりばかりの登山をしていた私には、ここを登るのは無理だと思って、とてもかなわないとあきらめたことがある。
 
 それが、今は登山ツァーが企画されているので、ガイドについていけば、簡単に行けそうな感じがする。長年あこがれていた山域に登れる企画があれば、登山者が参加したくなるのも無理はないと思う。
 
 しかし、ツァーを企画した旅行会社が、天候急変などの緊急の場合の対応についてどう対応するのか、マニュアルが作成されていたのか、それらがガイドに徹底されていたのか、定かではない。
 報道から、見聞きするところによれば、3日目の朝、天候が回復すると判断したガイドが出発を決めたようだが、出発を見合わせることもできたのではないかと思う。天候の回復を待って、下山するなり、引き返すなりしてもよかったのではないかといわれる。
 
 もし、それができない余裕のない日程ならば、そのような日程を組んだ旅行会社に今回の事故の責任があるのではないかと思う。
 山に登るときは、いろいろな場合を考えて行程を考える。緊急に下山する時のルートや、避難する場所もあらかじめ地図などで確認しておく。そういうことは、ツァーを企画した旅行会社の責任で、検討されていなくてはならないと思う。
 
 現場のガイドの判断とか、参加した登山者の「甘さ」だけを指摘して批判しても、遭難はなくならない。旅行会社の企画の立て方や、緊急時の対応の仕方などに問題があるのである。健康ブームや中高年の登山ブームにのった会社の経営が問われると思うのは、私の考え過ぎだろうか。

《参考記事》 
「経験豊富だったのに…」大雪山系遭難
(2009年7月18日08時46分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090718-OYT1T00176.htm

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