2週間前、1月15日の未明、軽井沢でツアーバスの事故が起きた。将来のある多くの若者たちが犠牲となった。
バスは、国道のセンターラインを越えて、ガードレールを突きやぶり、3m崖下に転落した。運転手や学生など15人が亡くなり、26人が負傷した。
事故から日が経つにつれ、報道から、バス会社が運転手の健康管理を怠っていたことや、運行ルートを変更したこと、バス会社が国が定める基準の金額よりも安くツアーを受注していたことなどがわかってきた。また、バスが転落する寸前の監視カメラの映像が公開され、バスが時速100km前後のスピードを出していたらしいこともわかってきた。
また、ギアがニュートラルに入っていたので、ブレーキが利かなくなっていたのではないかと言われている。運転手がバス会社に入社したばかりで、大型バスの運転に不慣れだった可能性があるという。
事故のあった15日午後、国交省はバス会社に特別監査に入った。その結果、バス会社はバスの「運行指示書」に運行ルートを書いていなかったり、バスの運行が終わっていないのに、終わって運転手の点呼を済ませたとする書類をあらかじめ書いておくなど、道路運送法に違反している実態があった。
運行会社は、事故の2日前、「運転手の健康管理が不十分」だとして、行政処分をうけたばかりだとも聞く。運転手の健康管理や勤務状態はどうだったのかも調査する必要がある。
報道を見聞きしていると、次々とあきれることばかり出てくる。格安・激安をうたったツアーの裏にこんな危険があったとは、誰が想像しただろう。ゼミやサークルの友人たちと、楽しい旅を計画して出かけた学生らが一瞬のうちに、命を奪われるとは…
亡くなった学生の父親が事故は「社会のひずみをあらわしている」と語っていた。親はやりきれない思いだったにちがいない。学生の中には就職も決まり、学年末試験なども済んで、ぐっすり休んでいただろう。事故は、そんなささやかなひとときの幸せさえも奪ったのだ。
バスツアーの企画や運行にかかわる業者は、相次ぐ事故を自らのこととして受け止め、乗客の命を預かる公共交通機関としての使命を改めて肝に銘じてほしい。
また、事故の原因を徹底的に調べ、バス会社やツアー会社などへ適切に行政処分を下すことは当然だ。その上に、今回のバスの事故の背景にある問題点も十分検討して、今後のバスツアーの安全対策につなげてほしい。
最後になりましたが、亡くなられた方々のご冥福と、負傷された方々の一刻も早い回復を祈ります。
≪参考記事≫
「繰り返されたバス事故の悲劇 」日本経済新聞2016/1/16
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO96195280W6A110C1EA1000/
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