2012年8月31日金曜日

徹底した事実の解明を~大津市の中学生の自殺

 
 昨年10月、滋賀県大津市で、いじめを受けていた市立中学2年生が自殺した。
 その後、学校が行った全校生徒に対するアンケートで、同中学校の生徒15人が、自殺した男子生徒が自殺の練習をさせられていたと聞いたと答えていた。
 しかし、男子生徒がいじめを受けていた状況を調査する必要がありながら、大津市教育委員会は、昨年11月の会見では、このアンケートの事実は公表せず、調査も打ち切った。

 市教育委員会は、男子生徒に対するいじめがあったことを認めたが、「いじめと自殺との因果関係は判断できない」として、最終的な判断は民事訴訟の結論を待つ構えもみせている。
 大津市は、再調査をするため、第三者委員会を設置し、委員は遺族側から推薦を受けた尾木直樹法政大学教授ら3人と、大津氏が関係団体に推薦を依頼した専門家ら3人が決まった。
 報道によると、大津市がまとめた第三者委員会についての要綱案では、第三者委員会の調査目的を「自殺の原因を考察すること」などとした。遺族側は、第三者委員会でいじめと自殺との因果関係を明らかにすることを希望したが、市教育委員会側は「裁判所が判断すること」として、最終的な判断については、民事訴訟の結論を待つ構えのようだ。

 協議の結果、要綱案には「いじめの事実を含め、学校で起きたことを明らかにし、自殺の原因を考察する」と明記、いじめの事実解明や学校の対応などを調査するとした。
 また、要綱案では、いじめや自殺の再発防止に向けた提言をまとめることも盛り込まれたという。

 なぜ、自分の大切に育ててきた子が、死を考えるまでに至ったのか、なぜ死ななくてはならなかったのか、ご両親は事実を知りたいと思うにちがいない。
 NPO法人「ジェントルハート」が一昨年、学校で事故にあった本人や子どもが自殺した遺族らに行ったアンケートによると、学校や教育委員会の事実調査が「適切」「ほぼ適切だと思う」と答えたのは、合計7.9%だったという。一方、第三者による調査委員会や調査機関を「必要」「条件が整えば必要」と答えた家族は合計76%にのぼった。

 大切な子どもたちの死を無駄にしないために、事実関係を調査し、二度と同じようなことのないように、いじめと自殺を防ぐ対策を講じてほしいと思う。

 
 
《参考記事》
「弁護士、いじめ経緯調査…大津第三者委」(2012年8月27日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120827-OYO1T00221.htm?from=main1
「いじめ調査、成果に差 自殺解明、各地で第三者委設立」(2012年8月25日朝日新聞デジタル)
http://digital.asahi.com/20120825/pages/national.html
「大津中2自殺 『原因を考察』明記 市第三者委要綱案」(2012年8月21日京都新聞)
 
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20120821000019
「『自殺の練習させられた』生徒が指摘、教委調査せず」2012/07/04 02:00   【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201207/CN2012070301005696.html

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