2012年4月11日水曜日

被害者に寄りそう支援へ~公共交通事故被害者支援室を開設

  4月6日、国土交通省は、航空、鉄道など、公共交通における事故の被害者などへの支援を確保するため、『公共交通事故被害者支援室』を開設した。

これは、平成21年から、「公共交通における事故による被害者等への支援のあり方検討会」において検討され、平成23年6月にまとめられた検討会の提言にもとづいて設置されたものである。
国土交通省によれば、『被害者に寄りそう』ことを基本とし、
①万が一、公共交通における事故が発生した場合の情報提供のための窓口機能
②被害者等が事故発生後から再び平穏な生活を営むことができるまでの中長期的にわたるコ―ディネ-ション機能
などを担うことを目的としたものである。被害者等と直接に向き合う業務を遂行するため、関係機関等の協力を得ながら、被害者等支援に関する基本的な知識や心構えの習得を行い、同室の機能を充実させていくとしている。

これまで、事故が起きた際の被害者等への支援は、航空事業者等一部の交通事業者にとどまっていた。しかし、事故を起こした事業者だけに被害者等支援を担わせるのではなく、国の役割を明確にして、縦割り行政の弊害をなくしていくとしている。

航空については、国際民間航空機関(ICAO)の定めるガイダンス等を基に、計画作成のためのガイドラインを国交省で策定し、事業者の自主的な取り組みを促進していくとしている。航空以外の鉄道や海運等については、段階的に引き続き検討していく。
組織・体制については、被害者等への支援を確保するため、常設の窓口機能をはたす組織を総合政策局に設置し、この組織を核として全国的に、具体的な活動が行える体制を整備していく。
省内の作業グループにおいて作業に着手、今後3年をめどに、支援体制の充実を図るという。

支援室では、当面の業務として、・支援員に対する教育訓練の実施、・支援員の業務マニュアルの策定の検討、・外部の関係機関とのネットワークの構築、・交通事業者による被害者等支援計画の策定促進、・窓口業務の試行的実施とその検証、などを行う。
大きな事故が起きた時、被害者や遺族は、大切な人がどこの病院に搬送されているのかなど、十分な情報もえられないまま、たくさんの病院をまわって、被害に遭った家族や友人を捜すことがあった。また、通院も、加害企業の被害者担当社員に付き添われて行くことがあった。そんなとき、なぜ加害者と行かねばならないのかと、やりきれない思いがしたこともあったと思う。

十分な事故の情報が得られないと、自分が亡くなった人を死に追いやったように思ったりする。「あの時、自分があの列車が便利だとすすめなければあの子はあの列車に乗らなかった」と、自分を責めたりしてしまう。「あの時、一声かけていれば、あの人があの危ない踏切で事故に遭わなかった」と自分を責めてしまう。
そうではない、残されたあなたが悪いのではないと言えるように、必要以上に自分を責めないで済むように、事故がなぜ起きたのか、なぜ事故を防げなかったのか、どうしたら二度と同じような事故を起こさず、犠牲を出さなくて済むのか説明できるように、事故の調査をしてほしい。そして、大切な人を亡くして悲しみにくれている人に、分かりやすく説明してほしい。それが、支援の第一歩ではないかと思う。

《参考》
国土交通省総合政策局「公共交通事故被害者支援室の設置について」平成24年4月6日
http://www.mlit.go.jp/common/000207511.pdf

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