2010年5月14日金曜日

「生きるための支援」を早急に

 13日、警察庁は、昨年1年間に全国で自殺した人は、3万2845人だったと発表した。
   12年連続で3万人を上回り、原因・動機に「失業」が含まれる人は1071人で、前年から7割近く増えたという。
 特に30代の増加率は9割近くに達し、前年が121人だったのに対して、21年は228人となった。「生活苦」が原因・動機に含まれる人はすべての年代の合計は1731人で、前年(1289人)から34・3%増加したという。

 NPO法人「ライフリンク」代表の清水康之さんは、自殺対策は「政治の責務」だとして、「生きるための支援」に取り組むべきだとする。
 清水さんは、毎年3万にもの人が自殺するのは、自殺が個人の問題ではなく社会的な問題である、追い込まれて自殺していることを示しているという。
 「ライフリンク」が行った自殺の実態調査によれば、亡くなった人の72%もの人が、自殺する前に、自分の抱える問題を何らかの専門相談機関に相談していた。
 
 自殺で亡くなる人の多くが実は生きることを望み、生きる道を模索していたことがわかった。
自殺はさまざまな危機要因が連鎖して起きており、さまざまな支援策が連動して行われる必要があると清水さんは説く。
 労働や金融、福祉や生活支援、介護支援など、専門分野を超えたつながりが、セーフティネットとして機能しなくてはならないのに、窓口がばらばらで、問題を抱えている人は、自力で、いろいろな窓口にたどり着かなくてはならない。そのため、せっかくよい緊急支援策があっても一般市民が探し出すのが困難だったりする。生きるための支援」が縦割り行政に阻まれてうまく機能していなかったりする。

 昨年末政府の自殺対策緊急戦略チームによって「自殺対策100日プラン」が作成され、今年3月末まで、厳しい雇用情勢の中、自殺に追い込まれる人を減らそうと、ハローワークに相談窓口をおくなど、縦割り行政の弊害をなくす総合的なワンストップサービスの取り組みもなされた。

 このような取り組みがなされ、今年1月からは前年の同じ月よりも自殺で亡くなる人が減ってきていると言う。しかし、警察庁の統計を見る限りでは、まだまだ取り組みを強めなくてはならないと思う。 
 政府のいう「国民一人ひとりが安全と安心、いきがいを実感できる社会」を実現するために、自殺対策はさけて通れない。

《自殺防止対策のサイト》 
 ○NPO法人自殺対策支援センター「ライフリンク」http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html
  ライフリンクDB(データベース)では、悩みの種類や、相談方法などを入れると、相談窓口を検
  索できる。
 ○厚労省メンタルヘルスポータルサイト「こころの耳」http://kokoro.mhlw.go.jp/
  疲労度や心の健康度をチェックできるリストなどがあり、相談機関も紹介されている。 

《参考資料》
「平成2 1年中における自殺の概要資料」警察庁生活安全局生活安全企画課
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/220513_H21jisatsunogaiyou.pdf
《参考記事》
自殺の原因、「失業」65%増 「生活苦」も目立つ  警察庁09年まとめ 2010/5/13 10:05
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E3E0E2E68A8DE3E1E2E7E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2?n_cid=DSANY001
自殺者12年連続3万人台 「40代」「経済苦」増える 2010年5月13日10時5分

http://www.asahi.com/national/update/0513/TKY201005130117.html?ref=any

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