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2018年9月19日水曜日

電動車いすの男性が死亡~神戸市灘区阪急神戸線畑原踏切~

 2018年9月16日午後7時15分頃、兵庫県神戸市灘区にある阪急神戸線の畑原踏切で、電動車いすに乗って踏切を横断していた男性(73歳)が普通電車に撥ねられて亡くなった。

 MBSの報道によると、畑原踏切は神戸線王子公園駅と六甲駅の間にある踏切で、ニュースの映像からを見ると、カーブしている線路上にあるようだ。線路の路面に凹凸があり、カーブの外側が高くなっている。また、線路と道路の交差角度が直角ではないように見える。このように、路面が凸凹していたりすると、電動車いすや自転車では渡りにくい。車輪が線路の溝に入ったり、自転車のハンドルを取られたりすることがあるという。

 そうすると、踏切内で車いすなどが動けなくなる可能性がある。車いすに乗っていた男性がどのような状況だったのか、委細はわからないので断定はできないが、踏切の路面の状況が良くないことも、事故の原因につながると思う。

 阪急電鉄の他の踏切では、電動車いすの事故が過去にも起きている。カーブ上の踏切や車いすで渡る人のへの安全対策を検討してほしい。

 踏切はいろいろな方が通行する。健康な若者ばかりではない。年老いた方が手押し車を引きながら渡ったり、ベビーカーを押しながら渡る人もいる。さまざまな人に目を向けた対策を講じて、悲惨な事故で無くなる人のないように努めてほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

《参考記事》
「電動車いすで踏切横断中の男性はねられ死亡」毎日新聞2018年9月16日


 

2016年5月9日月曜日

東武伊勢崎線竹ノ塚駅 下り急行線が高架に

 5月8日、東武伊勢崎線竹ノ塚駅横を走る下り急行線の高架化が完成、「レールウォ-ク」が開催された。高架橋は高さ9mあり、仮設の階段をのぼって線路内に入り、長さ約80mの区間を歩いた。

 足立区長をはじめ、国会議員、都議会議員、国土交通省、足立区関係者、地元町内会や自治会会長などが、高架になった線路の上を歩いた。一般参加は、事前に応募した住民などから抽選で選ばれ、約700名が高架橋の上を歩いたという。
下り急行線のレールや枕木を見る参加者たち
                2016年5月8日撮影
2005年3月15日夕方、踏切保安係が誤って準急電車の来るのを忘れて遮断機をあげ、警報音が消された踏切へ、通行人が多数入り、4人が死傷した。その中に、私の母もいた。
 あれから、11年あまりがたつ。竹ノ塚駅付近の高架化工事は、鉄道立体化の工事としては、異例の速さで進められていると聞く。足立区はじめ、関係者の皆様のご尽力のおかげと、心より感謝申し上げる。

 2012年11月に工事が始まり、今回、下り急行線が最初に上にあがった。5月28日、レールの切替えをし、翌29日の始発から高架線路を走る。
 これによって、平日の通常ダイヤで、1日に踏切を通過する列車の本数は906本から、下り急行線の分238本が減るという。朝のピーク時には、1時間に数分程度、踏切の遮断時間が短くなるそうだ。
竹ノ塚駅付近高架化のようす(東武鉄道作成資料から)

 高架化工事は2021年春の完成予定。まだまだ、「開かずの踏切」の状況は続く。踏切事故が繰り返されないように、また、工事の作業中事故のないように、安全に工事が進むことを願っている。

≪参考記事≫
「『開かず踏切』事故、もう二度と 竹ノ塚に悲願の高架橋」
朝日新聞2016年5月9日(2016年5月9日アクセス) http://digital.asahi.com/articles/ASJ5843D9J58UTIL00L.html

「東武伊勢崎線竹ノ塚駅 高架線一部が来月開通」
東京新聞2016年4月26日(2016年5月9日アクセス)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016042602000236.html

2015年11月8日日曜日

第10次交通安全基本計画(中間案)についての意見

 交通安全基本計画は、交通安全基本法に基づき、陸上、海上及び航空交通の安全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等を定めるものだ。
 現在、内閣府では、平成28年度から始まる第10次交通基本計画の作成に向け、作業が進められている。これまでの中央交通安全対策会議での検討を踏まえて、中間案がまとめられ、11月6日、公聴会が開催された。
 この公聴会には、関係する各省庁と各都道府県・政令指定都市の担当者も傍聴した。
 私も幸い公述する機会をいただいたが、公述する時間が8分と短いため、問題を絞って意見を述べさせていただいた。(公聴会で述べたことをまとめたので、以下に掲載します)
 なお、昨年9月に、内閣府は意見聴取会を開催して、交通事故被害者団体などから、交通安全基本計画にたいする意見を聴取、踏切事故遺族の会「紡ぎの会」も意見を述べさせていただいた。

~~~~第10次交通安全基本計画(中間案)にたいする意見~~~~
                                       平成27年11月6日
1.中間案の理念について
(1)事故を無くすには、なぜ事故が起きたのかを調査することが必要であり 各交通おける事故  調査体制を充実させることが肝要です
従って「理念」に「事故調査体制の充実」という項目を設定し、大きな目標に挙げることが必要です
(2)事故情報は当該事業者だけでなく、技術者や研究者、市民等各方面で共有されるべきと考えます。そのため「事故情報の共有・公開」という項目をたてるべきと考えます。
又、公的機関や鉄道事業者等、専門機関の事故調査にあたり、事故当事者の個人情報は直接個人を特定できる情報以外の情報は制限せず、情報公開すべきです。事故情報は再発防止や類似事故の未然防止という公益性があり、交通安全に資するものです。

2.「第3章踏切道における安全
(1)踏切事故が毎年300件前後起き、100人前後の方が踏切で死亡しています。しかし、25年度26年度と事故は300件を下回り、死亡者も100人を切りました
なぜ事故が減少したのか検討し、どんな対策が効果をあげたのか検討するならば、一層事故を減少させることができます。「平成32年度までに踏切事故件数を平成27年度と比較して約5割削減することをめざす」と目標を設定すべきです。(86ページ「目標」踏切事故件数約1割減に対して)
2)踏切事故の多くは鉄道事業者と踏切道管理者が協力すれば防止できます。今後の踏切道における交通安全対策を考える上で「道路管理者と鉄道事業者が協力し踏切安全通行カルテを作成・公表」(中間案89ページ)は有益です
具体策の実現にあたり、予算の後押しをお願いします。
3)被害者支援について、鉄道交通及び道路交通では、項目をとり詳細に記載されていますが、踏切交通については記載がありません。踏切道も鉄道交通のように、公共交通事故の被害者である場合は、支援の対象と考え、対策を講じるべきです
従って「被害者支援の実施」という項目をたてていただきたいと思います。
                                                          以上
≪参考≫
 内閣府は、この第10次交通安全基本計画(中間案)に対する国民からの意見を募集している。意見募集の締め切りなどについては、内閣府ホームページ
http://www8.cao.go.jp/koutu/kihon/keikaku10/kaisai.html

2014年10月20日月曜日

車いすで踏切を渡る怖さ

 小児がんの治療から、車いすの生活を送ることになった樋口彩夏さんが、踏切を車いすで渡るのがいかに怖いか、彼女の経験を書いてくださった。

 彼女は新聞のコラムで
私はできることなら、踏切を通りたくありません。車いすのタイヤが線路にはまって動けなくなるという、怖い思い出があるからです。」と書いている。
 梅雨の真っただ中のある日、彼女は手でこぐ自転車・ハイドバイクの練習へ出かけた。そこで、同じ境遇の人たちとおしゃべりをするのが楽しみで、彼女にとっては、両下肢麻痺特有の悩みを打ち明けられる唯一の場なのだという。

 目的地までは、自宅の最寄り駅から急行電車で8駅を30分、そこから先は車いすをこいで15分という道のりだが、途中に唯一の難所である踏切がある。
 厄介なのが、レールの溝だという。この溝に車いすの前輪(小さいほうのタイヤ)がはさまらないように、前輪を浮かせたまま、後輪だけで前に進まなければならない(以下:ウィリーと略)。

 樋口さんが電車から降りて、踏切を渡ろうとすると小雨が降ってきた。車いすの操作で手がふさがるため、樋口さんは傘をささない。踏切を渡りはじめ、2本ある線路のうち、最初の1本は2回のウィリーで難なくクリアした。
 樋口さんが、2本目にさしかかったとき、雨に濡れたハンドリム(車いすをこぐところ)から手がすべって、ウィリーを失敗した。 前輪がレールの溝にはまって、身動きがとれなくなってしまった。

 その直後に、けたたましい踏切の警報音が聞こえてきた。見る見るうちに遮断機も降りてしまった。
 その時、踏切の向こうから、通りかかった女性が、踏切脇の緊急停止ボタンを押してくれた。女性が押したのと同時くらいに、電車は駅のホームに停車した。運よく、電車はもより駅に停車する急行だった。
2013年8月2日、車いすに乗って踏切を渡っていた男性が
踏切内に取り残されて、電車に撥ねられて亡くなった。
障害物検知器は、男性を検知しなかった。
神戸市北区、神戸電鉄田尾寺駅~二郎駅間にある踏切
2014年9月28日撮影
樋口さんは踏切から出られて、事なきをえた。しかし、迫りくる電車を前に、逃げることも助けを求めることもできず、恐怖に苛まれながら亡くなっていった人々もいることを思うと、胸が痛むという。
 樋口さんは、自分の経験したことは、踏切と車いすの物理的な相性の悪さに、気の緩みが加わって招いたことで、自分が細心の注意を払ってさえいれば、防げたことかもしれないという。しかし、では、それが車いすが関連した踏切事故すべてに通ずるかと言えば、それは間違いだと指摘する。
 
 
 樋口さんは、警報音が鳴る時間が短く、車いすで渡りきれないなど、当人ではどうしようもない事情を抱える踏切も存在しているのが現状だと指摘する。

 踏切を通行する人の注意だけでは解決できない問題を抱えているのが、今の踏切だ。そういう問題を解決するのが、道路を管理する自治体や踏切の保安設備を整備する事業者ではないのか。
 新聞やニュースで、車いすや電動車いすが関係する事故が目につく。一歩間違えば自分も同じような事故になったかもしれないと、樋口さんは思う。そして、踏切でもう、これ以上悲惨な事故が起きないようにと願っている。

≪参考記事≫
「車いすで踏切を渡る怖さ」樋口彩夏(ひぐちあやか) 2014年7月15日朝日新聞アピタル
http://apital.asahi.com/article/ayaka/2014071500007.html


2014年8月20日水曜日

横浜市、新跨線橋の設計図提示~JR京浜東北線生見尾踏切

 報道によると、18日、横浜市は、昨年8月事故が起きた生見尾(うみお)踏切を廃止し、新しく設置する跨線橋のイメージ図を公開した。

 昨年8月23日夕方、杖をついて渡っていたお年寄りが、渡り切れずに踏切内に取り残されて、電車に撥ねられて亡くなった。

 生見尾踏切は、JR東の横須賀線、京浜東北線、東海道線が通過する。横須賀線・京浜東北線の踏切と東海道線の踏切の間には、、約9mの退避場所があり、三つの路線を全部渡り終えるには、約40m歩くことになる。二つの踏切を渡った先には、貨物線が高架になっている。
跨線橋から見た生見尾踏切。南北に長い。踏切道が凸凹して
    いるのがよくわかる。
    なかほどに、退避場所があるが、男性はここにたどり着けなかった。
    2013年8月24日撮影
貨物線の下をくぐると、今度は、京急の踏切があるというように、踏切の山側(岸谷側)から、海側(生麦側)の商店街などに行くには、三つの踏切を渡らなくてはならない。
 付近の学校に通う生徒やお年寄り、住民の皆さんにとって、生見尾踏切は、危険で不便を強いるものだ。踏切のすぐ横にある古い跨線橋は、急な階段でエレベータもない。そのため、長くてすぐに警報機が鳴りだす踏切道を、歩いて渡ることになる。

 18日、横浜市が示した案によると、新たな跨線橋は、長さ約60mで、幅約6m、エレベータは約40人乗り、自転車を3,4台積み込めるという。現在ある跨線橋も当面残し併用する方針だ。
 現在ある踏切道を廃止して、その上に跨線橋を設置するため、車両は通れなくなる。そのため、車両は新子安橋に迂回することになる。
 

 横浜市は、今年度中に設計を終え、来年度から工事に着工、完成には2年かかる予定だという。
 危険な踏切が無くなることに賛成だ。
 しかし、工事が完成するには、まだ多くの時間を要することだと思う。それまでの間、同じような事故の起きることのないよう、常時、踏切の監視員を置くなどの対策を採ってほしい。また、お年寄りが踏切を渡り切れなかったことを考えると、お年寄りの歩く速さを考慮した警報時間の設定も検討してほしい。

 
 昨年、事故後、9月の市議会で、林横浜市長はスピード感をもって立体横断施設を設置を検討すると答弁した。あれから、もうすぐ一年がたとうしている。
 一刻も早く踏切の安全対策が進められ、事故が二度と起きることのないことを願っている。

《参考》
○拙ブログでは、昨年、お年寄りの亡くなった生見尾踏切について取り上げた
「88歳の男性死亡、踏切渡り切れず~JR京浜東北線生見尾(うみお)踏切」2013年8月25日
http://tomosibi.blogspot.jp/2013/08/88jr.html
○「生見尾踏切の安全対策について 横浜市道路局企画課」2014年8月18日横浜市ホームページ
http://www.city.yokohama.lg.jp/doro/press/h26/download/20140818-pln-02.pdf
《参考記事》
事故の踏切、60メートル跨線橋に」読売新聞20140819
http://www.yomiuri.co.jp/local/kanagawa/news/20140818-OYTNT50466.html

2014年6月10日火曜日

踏切の点字ブロック~大阪で設置

 報道によると、大阪では、踏切を渡る目の不自由な人のために、点字ブロックを設置する対策が進められようとしている。
 
 2007年、大阪府は、警察庁が横断歩道に専用の点字ブロックを設置する指針を出したのをきっかけに、踏切道内に点字ブロックを設置できないか検討を始めた。踏切内の点字ブロックは全国に例がなかったが、大阪府は阪急電鉄に話をして、2010年11月に豊中市にある服部天神駅北側の服部踏切に、試験的に設置した。
 服部踏切は、府道と阪急宝塚線が交差する。1日2万人が通行し、近くの市立福祉施設には、目の不自由な人たちも通うという。

 目の不自由な人は、線路と踏切道の境にある段差に杖を当てて歩く方向を推測しながら、踏切を渡っていたそうだが、点字ブロックがあれば、わかりやすく歩きやすいと評判がよいようだ。
 ブロックがはがれて電車にあたったり、突起につまづいたりしないかといった意見もあった。しかし、設置以来、阪急ではチェックを続けているが、破損や通行者の転倒といった事故の報告はないという。

 大阪府は、視覚障害者団体と協議して、次の試行場所を探し、南海電鉄が2か所の踏切に設置することに応じた。今年3月、南海電鉄は、泉佐野市の南海鶴原駅近くの二色浜4号踏切と、泉南市内の樽井5号踏切に設置した。

 踏切内に点字ブロックを設置したのは大阪府が最初で、他の自治体では設置されているところはないという。目の不自由な方が踏切道から足を踏み外すことはよくあるという。大きな事故につながらないよう、点字ブロック設置が可能な踏切では、ぜひ、対策を進めてほしいと思う。

《参考》
 点字ブロックは、正式には、「視覚障害者誘導用ブロック」、日本が発祥の地。1967年、岡山市の交差点付近で、全国で初めて設置された。岡山市の旅館を経営し発明家でもあった故・三宅精一さんが、失明した友人のために、点字ブロックを考え、岡山市の交差点に設置したのが始まりだという。三宅さんは点字ブロックを自費で制作し、設置が望ましいところを調べて、点字ブロック約6,000枚を全国の自治体に寄贈し続けた。
 今では、点字ブロックは世界に広がり、目の不自由な人が安心して歩けるよう、誘導する。

《参考記事》
「踏切安心 足元から 点字ブロック 大阪が先駆」朝日新聞2014年6月10日
http://digital.asahi.com/articles/ASG5J6JFVG5JPTIL011.html
「点字ブロックの父知って 足跡たどるDVD制作中」朝日新聞2014年2月18
http://digital.asahi.com/articles/ASG2G4F6JG2GPPZB00P.html

2014年3月28日金曜日

運輸安全委員会、踏切事故の調査対象拡大へ

 3月26日、運輸安全委員会の後藤昇弘委員長は、記者会見で、4月から遮断機のない踏切で起きた死亡事故について、運輸安全委員会の調査対象にすることを発表した。
 
①乗客・乗務員に死亡者がある場合
 今回は、これに加えて、第3種(警報機有り、遮断機無し)・第4種踏切(警報機・遮断機とも無し)の死亡事故についても、事故調査の対象にする。
 
 現在、全国にある踏切道33、710箇所のうち、第3種・第4種踏切は、3、850カ所(全体の11%)ある。
3・第4種踏切では、事故が平成24年度は44件(踏切障害事故295件のうちの約15%、国土交通省の統計)起き、死亡事故は13件起きている。
 遮断機のない踏切では、事故の起きる割合が、遮断機のある踏切よりも高いことが、国交省の統計でわかっており、運輸安全委員会の後藤昇弘委員長は、記者会見で「リスクの高い踏切での死亡事故を調査することで、再発防止や被害の軽減に寄与したい」と話していたという。
国土交通省鉄道局が毎年まとめている「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成23年度)」(以下、「情報」と略)(p.14~15)によると、平成19~23年度の5箇年における踏切道100箇所1年あたりの踏切障害事故発生率は、第3種踏切(警報機あり遮断機なし)では1.43件、第4種踏切(警報機なし遮断機なし)では1.57件である。

この「情報」の中で、国交省鉄道局も認めるように、一般的には道路の交通量や列車の
踏切の方が交通量なども少ないことを考えると、遮断機のない踏切は事故発生率が非常に高いといえる。
運輸安全委員会が、踏切事故の調査対象を広げ、安全対策を提言していくことで、踏切事故を無くすことに大きく貢献されることを期待したい。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2605F_X20C14A3CR0000/

2013年3月31日日曜日

踏切道の安全確保に関する行政評価・監視~改善通知を公表

 3月28日、総務省関東管区行政評価局は、踏切道の安全対策を図る観点から、東京都内及び埼玉県内540か所の踏切について、平成24年12月から実地に調査を行い、その結果を取りまとめ、関東運輸局及び関東地方整備局に対して、必要な改善措置について通知することとした。

 同局のホームページによると、
 「踏切道」とは、鉄道の線路と、歩行者、自動車などが通行する道路・通路と交差する部分である。今回の調査の背景などとして、
○踏切事故は、ひとたび発生すると多数の利用者に影響
○踏切道には、踏切警報機等の設置が義務付けられている。また、鉄道事業者は、国土交通省が示している「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の解釈基準に沿って、自らの実施基準を定め、踏切道の安全対策を実施
○東京都及び埼玉県では、平成20年度からの4年間に、踏切事故の約9割が第1種踏切道で発生
○今回、踏切道の安全を確保する観点から、鉄道事業者の安全対策の取組等を調査
 

 関東管区行政評価局は、調査対象として、関東運輸局、関東地方整備局、関連調査対象としては鉄道事業者をあげており、平成24年12月から、平成25年3月まで、おもに、東京のターミナル駅から北に延びる路線の踏切道とその保安設備や安全対策を調査したとのことである。

 踏切道及び踏切保安設備の安全対策については、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」(平成13年国土交通省令第151号)や、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準について」(平成14年3月8日付け国鉄技第157号)で、詳しく規定されている。
 鉄道事業者はこの解釈基準を参考に、個々の実情を反映した実施基準を策定している。そのため、関東管区行政評価局は、この解釈基準を参考に踏切道の実情を調査している。

 同局が、540か所の踏切を調査した結果、維持管理をさらに充実させる必要のあるものが184カ所(延べ225カ所)に上ることがわかった。
 踏切道の路面の劣化などが認められるもの等(12か所)、踏切遮断機の遮断かんが幅員の一部を遮断する状態になっていないもの(30か所)、遮断かんの高さが路面上から0.8mで水平という標準から異なるもの(135か所)、遮断かんの黄色及び黒色の塗装が退色して不鮮明なもの(9か所)などがあることがわかった。

 また、歩道を設置するなど、何らかの対策が望ましいと認められる踏切道が14カ所あるが、対策を講じる予定のある踏切道は2か所のみであることもわかった。のこりの12カ所は歩道の設置や拡幅について事業の進展が確認できない状況だったとのことである。
 この12カ所の中には、踏切交通実態総点検で「歩道が狭溢な踏切道」として抽出されたものが4か所、通学路に指定されているものが7カ所(平成21年度踏切実態調査結果)あった。

 
 
 これらの調査の結果、関東管区行政評価局は、関東運輸局は鉄道事業者に対して、踏切道の保守点検及び維持管理を適切に行うよう指導することが必要だと通知した。
 また関東管区行政評価局は、関東地方整備局及び関東運輸局は、道路管理者及び鉄道事業者に対して、地域の実情に応じた踏切道の改良を計画的・重点的に促進するよう連絡・調整する必要があるとしている。

 踏切道の安全対策に関わる皆様には、今回の調査結果を受け止めて、安全対策を検討・実施してほしい。
 

《参考》
「踏切道の安全確保に関する行政評価・監視<調査結果に基づく改善通知>」
総務省関東管区行政評価局 平成25年3月28日
http://www.soumu.go.jp/main_content/000215523.pdf

2012年9月13日木曜日

秩父鉄道脱線事故:事故調査報告書まとまる

 今年8月31日、運輸安全委員会(以下、JTSBと略)は、昨年起きた秩父鉄道の事故についての鉄道事故調査報告書 を公表した。

 同報告書によると、平成23年(2011年)11月1日午前11時14分ころ、秩父鉄道の秩父本線三峰口発羽生駅行きの上り普通列車(3両編成)と、大型ダンプが樋口№3踏切で衝突した。列車の運転士は踏切の約200m手前で大型ダンプが踏切道上で停止しているのを発見し、汽笛を吹鳴したが、間に合わず、同ダンプと衝突、1両目の車両の全4軸が脱線し、踏切から約30m行きすぎて停止した。
 列車には、乗客約40名と運転士が乗車、乗客4名と運転士が負傷した。ダンプの運転手は、降りていたため、けがをしなかった。列車は1両目の前面などが損傷、ダンプは大破した。

 列車の運転士は、半径600mの右曲線を約78kmで運転していたところ、右カーブを通過し終えるあたりで、踏切が見えるようになり、見え始めてすぐの約200m手前で、踏切にダンプが停止しているのが見えた。運転士は、ダンプの運転手が列車に向かって手を振っていることや踏切動作確認灯が点灯していることを確認していた。

 ダンプの運転手は、事故当日の朝、同ダンプがアクセルを踏んでもエンジンの回転数はあがるが、速度が上がらない現象に気付き、荷物を下ろした後、ダンプを会社の整備工場で点検することになっていた。
 ダンプの運転手が、会社の整備工場に向かう途中、同踏切の途中でアクセルを踏んでもダンプが前に進まなくなった。会社が踏切の近くにあるので、ダンプを降りて社員の助けを求めに行こうとしたら、踏切の警報が鳴りだしたので、助けを求めるのをあきらめた。非常ボタン(踏切支障報知装置)を探したが見つからず、ボタンを探している途中で、列車が来るのが見えた。止まれの意味をこめて列車に向かって手を振った。
 遮断かんは、ダンプの後部は降りていたが、前部はダンプにぶつかっていた。また、運転手は、ダンプに備えられていた発炎筒を使うことは思いつかなかったという。

 この踏切には、警報機と遮断機が設置されているが、踏切障害物検知装置と踏切支障報知装置は設置されていなかった。
 秩父鉄道は、交通量の多い箇所や過去の事故の状況などを考慮して、踏切支障報知装置などの設置を計画することを基本としているが、平成23年度までの設置数は、踏切311か所中20か所(うち、踏切障害物検知装置と踏切支障報知装置両方とも設置されているのは19か所)と少ない。
これらを設置するのは、鉄道会社の任意であるとはいうものの、埼玉県内の他の鉄道会社はほとんどの踏切に設置している。自治体などの支援も得て、踏切の安全対策を進めてほしい。

 また、報告書によると、道路と踏切との交角は31度で、踏切道を渡る際には、自転車などは車輪が線路にはさまって、走りにくいこともあるかもしれない。京王線東府中の踏切のような、道路と急な角度で交差する踏切は、歩きにくかったり、車輪がレールの中に入り、危険だと思う。

 
 そして、最後に報告書では、列車脱線事故の「原因」として、
「本件ダンプが本件踏切を通過中にアクセルを踏んでも前に進まなくなり停止していたところを本件運転士が発見し、非常ブレーキを使用したが間に合わず、本件列車が本件ダンプと衝突したことにより、1両目の前台車全2軸が右へ、後台車全2軸が左へ脱線したものであると考えられる。」としている。
 脱線の原因としては、上のように言えるかもしれないが、ではなぜ、ダンプが動かなくなったのか、踏切道の路面や交差角などに問題はなかったのかといったことも、調べる必要があるのではないだろうか。                                                                                                                             
 事故の調査を、事故の再発防止に役立てるため、もっと事故原因に迫った調査が必要ではないかと思う。

《参考》
「鉄道事故調査報告書 Ⅰ 秩父鉄道株式会社秩父本線樋口駅~野上駅間列車脱線事故(踏切障害に伴うもの)」運輸安全委員会 平成24年8月31日
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/report/RA12-6-1.pdf

《参考》拙ブログでは、以下で扱った
「非常ボタン未設置の秩父鉄道踏切で衝突脱線事故」
http://tomosibi.blogspot.jp/2011/11/blog-post.html

2011年12月2日金曜日

遮断機下りない踏切を列車が通過~ミスを防ぐ安全対策を

  報道によると、11月11日東京都日野市で遮断機が下りていない踏切を京王電鉄の電車が通過するというトラブルがあった。京王電鉄は、このトラブルの調査と分析をすすめている。まだ踏切の誤作動の原因は分かっていないが、運転士や運輸指令所が注意していれば今回のトラブルは防げた可能性があることがわかってきたという。

  同社では、昨年6月から今年3月、同様のミスが5件発生しており、けが人はなかったが、一歩間違えば大事故になりかねないミスが続いている。同社は、遮断機が下りていない踏切に電車が進入するミス5件について、国土交通省から2回警告を受けている。
踏切の手前には、遮断機が下りると、点灯する踏切遮断表示灯があり、運転士がこれをみていれば、下りていないことがわかったかもしれないという。踏切手前で、自動列車制御装置(ATC)により非常停止した後、運転を再開する際に、この表示灯を確認すべきではなかったのか。

  京王電鉄によると、この表示灯は保守用途で設置されたもので、日常の運行の際運転士には、確認の義務はないという。又、運輸指令所には、踏切の状況を確認できるモニターがあったが、運行を指示するフロアーとは別のフロアーに設置されていた。指令所がこのモニターで、踏切の状況を確認して再開を指令すれば、今回のようなミスを防げたのではないか。

  京王電鉄は「今回のような事例が起きた場合、運転再開後も踏切の手前ではいったん停止し、遮断機が下りていることを運転士が目視で確かめるよう指示」、再発防止を図るという。

  トラブルのあった周辺は、住宅地で交通量の多い踏切ではないかと思う。京王電鉄は踏切の誤作動の原因を徹底して調べるとともに、なぜ遮断機の下りていない踏切を列車が通過したのか調べ、二度と同じミスを重ねないように、有効な再発防止策を講じてほしい。


《参考記事》
「下りない踏切 通過防げた? ミス続き京王 徹底検証を」2011年11月27日 07時06分
(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011112790070610.html

2011年7月2日土曜日

首都圏の鉄道、節電対策の内容検討を

 報道によると、東日本大震災後、節電のため、駅の照明や案内板などが消灯され、視覚障害者の方から、明かりを頼りに歩くことができなくなったなどの声が視覚障害者協会などに寄せられているという。

 日本眼科学会の推計によると、良い方の矯正視力が0.5未満の視覚障害者約164万人のうち、明かりを頼りに歩く弱視者は約145万人にのぼる。
 ある全盲の方が、駅のエスカレーターがとまっているので、階段でホームに行ったところ、普段と違う場所から乗車することになり、ホームと列車の間の隙間が広かった。広さの違いに気付かず隙間から転落した。隙間の幅の違いを知らせてくれていたらと、語っているという。

 聴覚障害の方にも、影響が大きい。電光掲示板が消えたので、音声アナウンスだけになった駅もあり、ダイヤが乱れても気付けないことになる。
 
 どれだけ照明を落とすと安全でなくなるのか、行政と障害者団体などが協力して調査する必要がある。
 案内板などを消灯するならば、駅員やホワイトボードなどを配置して、運行情報などを伝えるべきだと思う。また、エスカレータなども地下鉄駅などの高低差が大きいところは動かしてほしい。

 鉄道各社が節電に取り組む昼間の時間帯は、朝のラッシュを避けて外出する高齢者や障害を持った方、親子連れなどが多い。節電によって、駅が使いづらくなり、外出しにくくならないように配慮してほしい。

《参考記事》
「車内冷房・ダイヤ・照明…首都圏の鉄道、節電へ試行錯誤」 2011年6月14日17時0分 (宮嶋加菜子、永田工)
http://www.asahi.com/national/update/0614/TKY201106140232.html

『渇電 首都圏の夏 4 障害者「駅使いづらく」』 日本経済新聞(夕刊)2011年6月30日(木)

2011年3月21日月曜日

踏切事故から6年、竹ノ塚駅付近高架化へ(2)

 連続立体化事業は、莫大な費用と時間がかかる。それは竹ノ塚駅付近の高架化事業がすすまなかった大きな理由のひとつだと思う。

 また、竹ノ塚駅には東京メトロの車両基地があり、竹ノ塚駅は東京メトロの始発駅であるため、車両が出入りすることが鉄道の高架化を難しくしているともいわれる。高架化すると、列車の出入りが難しいという。
 それと、踏切での交通渋滞を回避するため、環状7号線、補助258号線、補助260号線などの道路が、すでに高架化または地下化しているということ。そのため、この区間の鉄道は高架化できないのだという。
 竹ノ塚踏切と交差する道路が地域の幹線道路として交通量が多いにもかかわらず、国道や都道ではなく区道(通称赤山海道)だったことも、立体交差化事業が進まなかった理由ではないかと思う。

 竹ノ塚駅の南北にある二つの踏切は、それぞれ、複々線の4線に加え、東京メトロの車両基地から出入りするための線を加えた5線がある。ピーク時には遮断時間が57分、24時間遮断時間が15時間をこえる「開かずの踏切」である。
 駅南側にある第37号踏切は、幅14m、長さ31.5mある。
 2005年3月15日、午後4時50分ころ、踏切事故は、この第37号踏切で起きた。

 第37号踏切は、警報機・遮断機のある第1種踏切で、遮断機の上げ下げを踏切保安係が手動で行っていた。事故当時、上げ下げを担当していた踏切保安係が、準急列車が来るのを忘れ、遮断機を上げたため、通行人が多数、踏切内に入った。夕方は自転車で買い物に行ったり、通学のために踏切をわたる通行人が多い。

 準急列車の運転士は、踏切内に多数の通行人がいるのを、踏切手前約50メートルのところで気がついて、非常停止のブレーキをかけたが、踏切手前で停止できず、通行人を撥ねた。準急列車は踏切を約225m行きすぎて停止した。そして通行人のうち4名が死傷、その中に私の母(当時75歳)もいた。

 事故は踏切保安係が誤って遮断機をあげたことから起きた。そのため、東武鉄道は事故から半年後、踏切の遮断機の上げ下げに人的判断が加わらないよう、第37、38号踏切の踏切設備を自動化した。
 又、事故後、踏切内の歩道を拡幅したり、踏切をまたぐ歩道橋が設置された。
事故から1年後に設置された歩道橋には、自転車が渡れるようスロープがつくられており、エレベーターも設置された。

 事故後、足立区や地元選出議員、地元町内会、商店街、地元住民などが「竹ノ塚駅周辺鉄道高架化」をもとめる署名活動を展開し、2005年8月には署名数が約22万人にのぼった。これは足立区の人口の約三分の一にあたる。この数字から、踏切事故をなくすため鉄道を高架にしてほしいという願いが竹ノ塚駅周辺の住民だけでなく、足立区民全体の願いだということがいえると思う。

 1979年(昭和54年)に区議会で鉄道高架化の請願が採択されてからでも、約30年、地元では「開かずの踏切」の抜本的な解決を求め、国土交通省など各方面に働きかけてきた。
 
 事故から1年後、2008年(平成18年)3月には法律の改正により、それまで連続立体化事業の事業主体は都道府県だったのが、区も事業主体となれることが決まった。
 その後は、足立区が主体となって、連続立体化事業の計画決定をめざして計画案の作成や地元への説明会などを進めてきた。
 今年3月14日、ようやく東京都都市計画審議会で「都市計画」として審議され、3月末に正式に決定、告示される。長年、地元の人々や事故の遺族は、踏切をなくして、駅周辺東西一体となって発展してほしいと願ってきた。その痛切な願いに、実現のめどがたつ。
 
 正式決定されてから、実際に事業に着手するのは平成23年度だという。実際に、工事の音が竹ノ塚駅に聞こえてくるのはもっとあとになるだろう。

 鉄道の高架化が完成するまで、まだまだ長い年月がかかる。立体化事業に携わる方々のご尽力に深く感謝するとともに、ふたたび悲惨な踏切事故が起きることのないよう、関係者の方々には、今後も引き続き十分な安全対策をとっていただきたいと思う。

踏切事故から6年、竹ノ塚駅付近高架化へ(1)

 東武伊勢崎線竹ノ塚駅は、東京都区部で最北にある。駅周辺は昭和30年代までは田園風景が広がり、春には田にれんげがさき、夏の夜には蛍が飛んでいた。

 駅東側では、昭和36年から昭和42年にかけて土地区画整理事業が実施され、道路・公園など都市整備基盤が整備された。

 現在、駅東側には、商業施設や業務系施設が立ち並ぶ。
 一方、駅西側は、東口と比べ駅前広場や道路などの整備が遅れているといわれる。狭い広場にバスやタクシーが乗り入れ、歩道も狭く危険だ。

 戦後の高度経済成長にあわせ、足立区でも公営の集合住宅が建設されるなど、急速に都市化がすすんだ。その結果、人口が急増し、現在人口は約64万人にのぼる。
 
 その足立区には、南部に東京メトロ千代田線、日比谷線、JR常磐線、京成本線が通っている。また、区中央部を東武伊勢崎線が縦断し、区東部には、つくばエクスプレス、西部には、新交通システム日暮里・舎人線が走っている。
 
 東武伊勢崎線は、竹ノ塚駅の一つ手前の西新井駅手前まで高架になっている。竹ノ塚駅をすぎると、都県境に近い都市計画道路補助262号線の手前から、北へは再び高架になっている。
 
 このように西新井駅から竹ノ塚駅周辺が、鉄道高架化から取り残されていたのはなぜなのだろうか。

 ―(2)へつづく―

《参考》
「東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の踏切事故とその対応」(足立区都市整備部参事 岡野賢二)「都市と交通」NO.64所収

2011年1月21日金曜日

あいつぐ新幹線トラブル、システム改善へ

 報道によると、JR東日本は、17日、5つの新幹線すべてが一時運休した原因は、運行担当部門がシステム表示の仕組みを知らされておらず、不具合情報と誤解したためだったと発表した。

 JR東の宮下常務は担当者やシステム自体には問題はなく、「人為的ミスだった」として謝罪、表示の仕方を変えるという。

 17日のトラブルは、東北、上越、長野、山形、秋田の各新幹線の運行を一括して管理する「COSMOS(コスモス)」というシステムで起きた。新幹線運行本部のダイヤ管理用モニター22台すべてで各列車の駅に到着する予定を示す線が消えたため、運行指令はシステムの不具合が起きたと考え、全列車を止めた。
 JR東によれば、この日朝、雪のため、福島県内の東北新幹線のポイントが故障した。そのため、24本の列車のダイヤを変更することになり、修正箇所がシステム上限の600件を超えて線が一時的に消えた。
 ダイヤの変更をすると、到着予定時刻の変更箇所も表示されるが、上限の600件を超えると、到着予定時刻を示す線が消える。当時は入力作業中で、上限を超えたり超えなかったりしていたため、データ更新のたびに線が消えたり表示されたりしていたことを担当者は不具合と受け取って、全列車を止めたという。

 システム部門はこうした表示の仕組みや修正上限数を把握していたが、運行指令には知らされていなかったことが、運行トラブルをまねいたとされている。
 なぜ、運行担当者にこの仕組みを知らせなかったかについて、JR東の宮下常務は
「現場に知らせると、ダイヤ管理に集中できなくなると判断した。余裕のあるシステムを設計したつもりだった」と説明しているという。

 このシステムの運用が始まった1995年から、1日の列車本数は約230本から320本と約4割増え、2008年にはコスモスのシステムが更新された。しかし、処理能力はダイヤ導入当時のままで、修正の処理能力に限界のあることを、運行本部の指令員は知らされていなかったそうだ。

 JR東の宮下常務は、600件を超えた件数も処理できるようプログラムを改善するとしている。ダイヤの本数が増えているにもかかわらず、システムや設備を見直さなかったことは改善されるべきだと思う。しかし、それとともに重要なのは、システムなどの情報を、新幹線の運行に携わる人々皆で理解し共有する仕組みを検討することではないだろうか。

 15日の架線が切れるトラブルなど、たび重なる新幹線のトラブルの根本的な原因は、どこにあるのか、JR東は十分検討して、再発防止につとめてほしい。
 新幹線は安全だと信頼して、利用する私たち乗客の期待に答えていってほしいと思う。

《追記》1月21日
 報道によると、今回の運休の問題で、「システムに不具合が発生した」と誤解した運行担当の指令部門が所属する新幹線運行本部には、システムの開発者もいたことがわかったという。
 
 しかし、システムの仕組みを把握している社員が同じフロアにいるにもかかわらず、トラブル発生時には、システム部門の担当者が開発者と連絡を取らず、指令部門とも十分な協議をしていなかったことがわかった。
 同本部に詳しいJR東社員によれば「表示が適正だと知っていれば列車を止めない」と指摘しているという。
 同本部の元幹部は、「部門間の連携を密にしなければ同じトラブルが繰り返される」と指摘している。

《参考記事》
「新幹線トラブル、運行担当者の誤解原因 JR東が謝罪」2011年1月18日(朝日新聞、宮嶋加菜子、小林誠一)
http://www.asahi.com/travel/rail/news/TKY201101180470.html

《参考記事》1月21日追加
「新幹線運休、同じフロアにシステム開発者 連携できず」2011年1月20日8時47分(小林誠一、宮嶋加菜子)
http://www.asahi.com/travel/news/TKY201101190517.html

2009年10月7日水曜日

リニア実験線延長工事で、水源枯渇

 東京・大阪間を約1時間で結ぼうというリニア中央新幹線構想は、2025年に東京と名古屋を結ぶ路線を開通させることを目標に、今、ルートの検討や地質調査などが行われている。

 そんな中、実験線の延長工事で、地元の簡易水道の水源が枯渇していたことがわかった。(以下の記事参照)

 今、リニア新幹線の最短ルートとしては南アルプスを貫通するルートが有力だが、南アルプスは3000メートル級の山々が並び、地層が複雑だといわれる。
 
 東側には糸魚川静岡構造線、西側には中央構造線がある。南アルプスは海が隆起してできた山脈で、隆起は現在も続いているという。ところどころに亀裂が走り、崩壊も起こるなど、地質が不安定な面もあり、トンネルを掘削すれば、大量の湧水、崩落・変形などがあるかもしれないという。
 
 今回のような帯水層を壊してしまう事態は、直接今後の工事と関係があるわけではない。しかし、南アルプスを貫通するリニア新幹線の工事は、南アルプスの手つかずの自然を破壊することにならないかと想像され、気になる。

《参考記事》 
リニア工事で水源枯渇 笛吹・御坂 生活・農業用水の地層を誤掘削  2009年10月06日(火)
http://www.sannichi.co.jp/local/news/2009/10/06/1.html

2009年9月16日水曜日

車いすの女性、ホームから転落~東急多摩川駅

 16日、東急多摩川駅のホームで、車いすに乗った女性が、ホームから転落して、亡くなっていることがわかった。ホームは、線路に向かって下り勾配になっていたが、柵などはなかった。

 この駅では、07年9月にも、車いすの女性が転落して、足を骨折する事故が起きていたが、柵を設置するなどの対策がとられていなかった。
 なぜ、この事故の後、すぐに柵を設置しなかったのか、東急電鉄の安全対策に疑問を感じる。

《参考記事》
車いす81歳女性、転落し死亡 東急多摩川駅のホーム
 東京都大田区の東急電鉄多摩川駅のホームで、車いすに乗った川崎市の女性(81)が車いすごと線路上に転落し、死亡していたことが16日、警視庁田園調布署への取材で分かった。
 付き添っていた長女(61)が目を離したすきに転落したといい、同署は長女から話を聴き、駅の防犯ビデオなどから詳しい状況を調べている。

 東急電鉄によると、ホームは線路に向かって2・5%の下りこう配となっていた。同社は「死亡したことを重く受け止め、安全性をより高めるため」として早急にホームに仮柵を設けることを決めた。

 同署によると、女性は13日午後4時半ごろ、長女とともに駅構内のエレベーターを利用。2階のホームで降りた後、長女がエレベーターの扉を早く閉めようと離れた間に約4・5メートル先の線路に落ちた。女性は頭を打つなどして14日に死亡した。

 長女は車いすから離れる際、ストッパーを掛けていなかった。2人は散歩に来た帰りだった。

 東急電鉄によると、ホームのこう配を規定する法律はないが、同社は2%程度を標準としている。多摩川駅では2007年9月にも車いすの女性(95)が転落し、左足骨折の大けがをする事故があった。

2009/09/16 21:59 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091601001043.html