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2017年9月17日日曜日

JR山陽線踏切事故、電車の運転士を書類送検~JR山陽線八人山踏切

 報道によると、9月15日、一昨年岡山県倉敷市のJR山陽線の踏切で起きた事故で、岡山県警は、電車の運転士を業務上過失傷害などの疑いで、岡山地検に書類送検した。一昨年2月、JR山陽線新倉敷ー西阿知駅間の八人山踏切で、立ち往生したトラックと電車が衝突、乗客1人が重傷、運転士を含む44人が軽傷を負った。
 運輸安全員会の報告書によると、トラックの運転手は踏切の非常ボタンを押して、電車に異常を知らせる発光機が作動したが、架線の支柱が運転士の視界を妨げ、電車の運転士は異常を知らせる発光機が見えなかった可能性が高いとしていた。
 
 運転士は踏切の手前約210mでトラックに気づき、非常ブレーキをかけたが間に合わず、トラックと衝突したという。

 今回、岡山県警は、電車の運転士が前方を確認を怠ったことが事故につながったとして、業務上過失傷害と業務上過失往来危険の疑いで書類送検。また県警は、トラックの運転手についても、過失運転障害のうたがいで書類送検している。
 警察は、警察が調べたところ、少なくとも400m手前から踏切の状況が見通すことができ、その時点でブレーキをかけていれば、衝突を避けられたことがわかったとしている。
 警察は、運転士はこれまでの調べに対し、「計器に気を取られていて、前方をよく見ていなかった」と話しているということだ。

 なお、運輸安全委員会の事故調査報告書によると、衝突した大型トラックは、制御装置に不具合があるとして、6回リコール対象となっていたが、すべて改修していた。また、変速機の異常発生が記録されていたが、異常発生時刻が記録されていないため、異常発生が立ち往生の原因と特定することは避けた。

<参考記事>
「非常灯が運転士の死角に 岡山踏切事故、架線の支柱が遮る」日本経済新聞
 2016年3月31日
 https://www.nikkei.com/article/DGXLZO99087010R30C16A3CC0000/
●「JRの踏切事故で電車の運転士を書類送検 岡山」NHKニュース2017年9月15日 
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170915/k10011140481000.html?  utm_int=nsearch_contents_search-items_001

2016年6月15日水曜日

安全工学シンポジウム2016~事故防止のあり方を考える

7月7日、8日、安全工学シンポジウム2016が開催される。
今年の全体テーマは、「技術と倫理」。活発な論議が期待される。

日本学術会議主催「安全工学シンポジウム2016」は,安全工学に関する各分野における問題点提起,優れた研究成果の講演と技術交流により,安全工学および関連分野の発展に寄与することを目的としている。
特別講演をはじめオーガナイズドセッション(OSと略),パネルディスカッション(PDと略),一般講演等の開催が予定されている。

主催は、日本学術会議総合工学委員会、共催は日本人間工学会他31学協会。
詳細なプログラムは、ホームページ http://anzen.org/html/Program.html
場所:日本学術会議 (地下鉄乃木坂駅下車、5番出口)

7月7日(木)は、私たちの発表・講演がある。
発表時間:12:20〜14:50  OS-6   場所:6階6-A(1)  
OSテーマ:「事故の再発防止とは〜事故防止のあり方を考える」


 
○「事故の再発防止とは〜事故防止のあり方を考える」
 加山 宏(東武伊勢崎線竹ノ塚踏切事故遺族)
○「高齢者と鉄道の安全対策 」             
 加山圭子(踏切事故遺族の会紡ぎの会)

 

○「踏切人検知システムの必要性と運用課題 」
 松田俊也(マイクロテック)
○「認知症患者家族の監督義務と鉄道事業者の立場」
 米倉 勉(弁護士)

○「事故調査の結論と裁判の結果について」              
 本江 彰(日本ヒューマンファクター研究所)

○「事故事例の蓄積から学ぶ―頭部外傷のくり返しに着目して」
 内田 良(名古屋大学)

○「事故の再発防止から未然防止へ ― リスクアセスメントと安全文化の発信 ―」
 高杉和徳(製品安全コンサルタント)


2016年1月29日金曜日

繰り返されたツアーバスの事故~長野県軽井沢町の事故

 2週間前、1月15日の未明、軽井沢でツアーバスの事故が起きた。将来のある多くの若者たちが犠牲となった。
 
 バスは、国道のセンターラインを越えて、ガードレールを突きやぶり、3m崖下に転落した。運転手や学生など15人が亡くなり、26人が負傷した。
 事故から日が経つにつれ、報道から、バス会社が運転手の健康管理を怠っていたことや、運行ルートを変更したこと、バス会社が国が定める基準の金額よりも安くツアーを受注していたことなどがわかってきた。また、バスが転落する寸前の監視カメラの映像が公開され、バスが時速100km前後のスピードを出していたらしいこともわかってきた。
 また、ギアがニュートラルに入っていたので、ブレーキが利かなくなっていたのではないかと言われている。運転手がバス会社に入社したばかりで、大型バスの運転に不慣れだった可能性があるという。

 事故のあった15日午後、国交省はバス会社に特別監査に入った。その結果、バス会社はバスの「運行指示書」に運行ルートを書いていなかったり、バスの運行が終わっていないのに、終わって運転手の点呼を済ませたとする書類をあらかじめ書いておくなど、道路運送法に違反している実態があった。
 運行会社は、事故の2日前、「運転手の健康管理が不十分」だとして、行政処分をうけたばかりだとも聞く。運転手の健康管理や勤務状態はどうだったのかも調査する必要がある。

 報道を見聞きしていると、次々とあきれることばかり出てくる。格安・激安をうたったツアーの裏にこんな危険があったとは、誰が想像しただろう。ゼミやサークルの友人たちと、楽しい旅を計画して出かけた学生らが一瞬のうちに、命を奪われるとは…

 亡くなった学生の父親が事故は「社会のひずみをあらわしている」と語っていた。親はやりきれない思いだったにちがいない。学生の中には就職も決まり、学年末試験なども済んで、ぐっすり休んでいただろう。事故は、そんなささやかなひとときの幸せさえも奪ったのだ。
 バスツアーの企画や運行にかかわる業者は、相次ぐ事故を自らのこととして受け止め、乗客の命を預かる公共交通機関としての使命を改めて肝に銘じてほしい。
 また、事故の原因を徹底的に調べ、バス会社やツアー会社などへ適切に行政処分を下すことは当然だ。その上に、今回のバスの事故の背景にある問題点も十分検討して、今後のバスツアーの安全対策につなげてほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた方々のご冥福と、負傷された方々の一刻も早い回復を祈ります。  
 
≪参考記事≫
「繰り返されたバス事故の悲劇 」日本経済新聞2016/1/16
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO96195280W6A110C1EA1000/

2015年8月31日月曜日

軽トラックと列車が衝突~東広島市JR山陽線鍵谷第1踏切~

 8月26日午後3時20分頃、東広島市のJR山陽線西高屋駅・白市駅間にある鍵谷第1踏切で、軽トラックと白市駅行きの上り電車が衝突、軽トラックは横転し、運転していた女性(79歳)が亡くなった。

 報道によると、JR西日本は、電車の運転士が踏切内に進入する軽トラックを発見し、急ブレーキをかけたが、間に合わなかったという。
 現場の踏切は、第4種踏切で、警報機や遮断機が設置されていない。
 報道によると、付近の住民が5年前に、JR西に対して、危険だから警報機や遮断機を設置してほしいと要望していた。しかし、踏切を通行する人が少ないことを理由に断られたという。
 また、報道の中には、現場は線路がカーブしているところに踏切があるため、踏切から電車が見えにくいのではないかという指摘もあった。

 踏切は山間部にあるため、線路がカーブしていたり、線路の脇に山が迫っていたりして、電車がくるのが見えにくいこともあるかもしれない。電車の接近を通行者に知らせる仕組みが欠かせないと思う。
 JR西では、今回事故のあった鍵谷第1踏切の近くの堀川踏切でも、2006年12月とその2年前に死亡事故が2件起きている。堀川踏切で亡くなった高校生の両親がJR西を相手に民事裁判をおこし、広島地裁は、対策をとらなかったJR西に損害賠償を命じた。その後、JR西と両親は和解したが、その間にJR西は、堀川踏切を警報機・遮断機のある第1種に改善した。また、非常ボタンも設置している。
 堀川踏切と同じように警報機・遮断機のない鍵谷第1踏切が、同じ駅間にあるのなら、JR西はどうしていっしょに改善しないのだろう。

 昨年から、遮断機のない踏切で起きた死亡事故については、運輸安全委員会が事故調査をし、調査結果を事故の再発防止に役立てる。今回も、事故調査が開始された。
 運輸安全委員会の事故調査が迅速に徹底的になされ、事故を防ぐ対策に生かされるようにしてほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福をお祈りいたします。

≪参考≫
運輸安全委員会
「鉄道事故の概要 」
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail2.php?id=1877
≪参考記事≫
「山陽本線1人死亡衝突事故 事故調査官が調査」(広島テレビ)
http://news.home-tv.co.jp/news.php?ymd=2015-08-27&c=&id=2015-08-272
「死亡事故の踏切 以前から改善要望」 8/27 11:53 (広島テレビ)
http://www.news24.jp/nnn/news8665805.html

2015年6月16日火曜日

安全工学シンポジウム2015~事故防止のあり方を考える

 7月2日、3日、日本学術会議主催の「安全工学シンポジウム2015」が開催される。
同シンポジウムは、安全工学に関する各分野の問題を提起、優れた研究成果の講演と技術交流により、安全工学および関連分野の発展に寄与することを目的としている。
 会期中は特別講演はじめオーガナイズドセッション、パネルディスカッション、一般講演などが予定されている。
 なお、OS-3「事故情報と事故調査~事故防止のあり方を考える」では、以下の発表がある。
事故を無くすには、事故情報の収集と分析が欠かせない。では、踏切事故をはじめ、学校や生活の場では、どのように事故情報が集められ、再発防止に役立てられようとしているのか、事故の遺族や各分野の研究者・専門家が講演する。
 
OS-3の日時:7月2日(木)午前9時30分から11時20分
会場:日本学術会議第3室  5階 5A-(2)
内容:①加山宏(東武伊勢崎線竹ノ塚踏切事故遺族)
     「事故情報と事故調査~事故防止のあり方を考える」
    ②加山圭子(東武伊勢崎線竹ノ塚踏切事故遺族)
     「電動車いすの事故と踏切の安全対策」
    ③松田俊也(株式会社システムアドバンスト)
     「画像認識技術の踏切道障害物検知装置への応用」
    ④内田良(名古屋大学)
     「「仕方のないこと」から「公的な問題」へ~学校における柔道事故、転落事故を題材に
    ⑤本江彰(日本ヒューマンファクター研究所)
     「生活空間事故と事故調査」
    ⑥高杉和徳(製品安全コンサルタント)
     「事故の再発防止から未然防止へ~リスクアセスメントの活用~」
    ⑦米倉勉(弁護士)
     「科学的に不確実な損害と予防原則」
参加費:無料

安全工学シンポジウム2015全体については、以下のホームページを参照
http://www.anzen.org/
主催:日本学術会議総合工学委員会
共催:土木学会ほか32学協会
テーマ:安全安心な社会サイクルの構築
会期:2015年17月2日(木)~3日(金)
会場:日本学術会議(港区六本木7-22-34)
    東京メトロ千代田線乃木坂駅下車5番出口からすぐ
参加登録費:無料
講演予稿集:希望者に配布。1部5,000円(学生は2,000円)
プログラム:詳細は、安全工学シンポジウム2015 ホームページを参照http://www.anzen.org/html/Program.html

2015年5月29日金曜日

ハンドル型電動車いすの踏切事故~高砂市JR神戸線向沖東踏切

 2012年10月23日午前5時45分頃、兵庫県高砂市阿弥陀町にあるJR神戸線向沖東踏切で、電動車いすに乗って、踏切の前で、貨物電車が通過するのを待っていた男性が、電車にぶつかって亡くなった。 
 今年4月26日、男性の遺族に会うことができた。男性の遺族の話では、男性は、近くの神社にお参りに行くのが日課で、この日も朝早く家を出たところだった。
 向沖東踏切は、JR神戸線宝殿駅と曽根駅のあいだにある。警報機・遮断機・障害物検知器や、非常ボタンも設置されている第1種踏切である。(下の写真)

高砂市向沖東踏切。周辺は静かな住宅街が広がる。  2015年4月26日撮影
  男性の遺族が、踏切近所に住む男性に聞いたところによると、亡くなった男性は「遮断機がおりたため、踏切の手前でいったん停止した。その後、前のめりに倒れたあと、車いすが前に動きだし、降りていた遮断機を押し込む形で、踏切の中に入っていった。」危ないと思った男性は「非常ボタンを押そうと踏切に走ったが間に合わなかった」という。
 近所の男性は、「意識が無くなったように前かがみに倒れたあと、電動車いすのスイッチに触れたのだと思う」と語っていたそうだ。
 遺族によると、男性は、亡くなる2年ほど前から糖尿病を患い、血糖値を下げるくすりを飲んでいた。「亡くなった日の前日は夕方5時ころ夕食を終え、それからずっと食事をとっていなかった。そのため、朝、血糖値が下がり意識を失い前かがみになったのではないか。」と話していた。
 男性の遺族は、事故直後は、なぜ、男性が踏切に入ったのかわからなかったが、後日知人などから、治療薬のせいで血糖値が下がり、意識を失うこともあることを知った。
 亡くなった男性は、80歳の時、自動車の免許証を返納した。そのため、代わりになるものをと、レンタルで電動車いすを使うことにした。介護保険を使うと、レンタル料も1割の負担で済み、メンテナンスも受けられる。
 亡くなった男性が利用していた電動車いすは、アクセルレバーがハンドルよりも4センチほど上に出ている製品だったという。そのため、前のめりになった時に、レバーに体がぶつかり、前に進んでしまったのではないかと、遺族は推測している。
 
 男性の遺族は「夫は電動車いすで行動範囲が広がったと喜んでいた。高齢者が楽しく生活できるよう、電動車いすが安全な乗り物になってほしい」と話していた。
向沖東踏切を通過する電車。通行者と電車を間には、細い遮断棒のみ。
                              2015年4月26日撮影
   これから、ますます利用する人が増えるだろうと思う。 高齢者だから誤って操作したのだろうとか、まだ不慣れだったのではないかといった見方で、事故を見るのではなく、なぜ操作を誤ったのか検討し、安全対策を講じてほしい。
 事故を調査し、事故をなくすには何が必要か、関係する行政や事業者は検討してほしい。

≪参考≫拙ブログでは、以下で電動車いすの事故をとりあげた。
「電動車いすの事故~もとめられる安全対策」2015年4月1日
http://tomosibi.blogspot.jp/2015/04/3131010-8-112428138106-4-47810-2410-nhk.html

2015年4月1日水曜日

電動車いすの事故~もとめられる安全対策

 ハンドルのついた電動車いすの事故が相次いでいる。報道によると、過去3年間に起きた事故13件の重傷・死亡事故のうち、10件までが同じメーカーの製品に集中していることが、消費者庁の消費者安全委員会の調査でわかった。事故の頻度は、他社の製品の10倍以上で、製品の構造が原因の一つとみられることから、消費者安全委員会(消費者事故調)は、メーカーに改善を促し、メーカーもアクセルレバーのつけ方などを検討するという。

 重大な事故が相次いでいるのは、松山市にある農業機械メーカー「アテックス」が製造する電動車いすで、他社のブランドで販売されているものも含め、これまでに全国で約8万台が出荷されているという。
 身の回りの事故の原因を調べる消費者事故調が、昨年11月からハンドル型電動車いすの事故を調査した結果、平成24年度以降の2年8か月の間に、消費者庁に報告された13件の重傷・死亡事故のうち、8割にあたる10件までが、この会社の製品で起きていることがわかった。このうち、6人の利用者が亡くなっていることがわかったという。
 事故は、お年寄りが電動車いすに乗っていて、道路わきに転落したり、踏切で列車にはねられたりして起きている。
 消費者事故調は、その原因の一つとして、この会社の製品のアクセルレバーが、他社のものと異なり、ハンドルよりも4センチ高い位置についていることがあると見ている。ハンドル操作がしやすい反面、お年寄りが具合が悪くなってうなだれたり、意図せずにレバーに触ってしまい、レバーを押して前に進んでしまう恐れがあるという。
 このため、消費者事故調はメーカーに対して改善をうながした。メーカーは、アクセルレバーのつけ方などについて改善を検討すると消費者事故調に伝えた。

 これまでに国内では、ハンドル型電動車いすが約47万台販売されているが、このうち、このメーカーの製品は8万台あまり。重大な事故は他社の製品全体の10倍以上の高い確率で起きているという。
 
 平成24年10月に、兵庫県高砂市でおきた踏切事故では、電動車いすに乗っていた男性(83歳)が、貨物列車にはねられて亡くなった。
 
 この踏切の近くに住む男性が、この事故を目撃していた。NHKがこの男性を取材したところによると、電動車いすに乗っていた男性は、遮断機が下りたため、踏切の手前でとまった。その後、前のめりに体が倒れた後、車いすが動き出し、降りていた遮断機を押し込むかたちで、踏切の中に入ったという。目撃していた男性は、非常ボタンを押そうとしたが、間に合わなかった。この男性によると、「意識が無くなったように前かがみにたおれた。倒れた体が電動車いすのスイッチに触れたのだと思う。」と話しているそうだ。
 また、亡くなった男性の家族によると、男性は糖尿病を患っていたため、血糖値をさげる薬を飲んでいた。事故のあった早朝は、前日夕方5時の夕食から食事をしておらず、血糖値が下がったことで、意識を失ったのではないかと話しているそうだ。
 亡くなった男性の妻は、「車いすで前かがみになったのは、血糖値が下がったからだと思う。夫は、電動車いすによって、行動範囲が広がって喜んでいた。高齢者が楽しく生活に利用できるよう、より安全な製品にしてほしい」と語っているという。

 電動車いすは、30年ほど前から販売が始まった。電動車いすは、主に高齢者が利用するハンドル型と、車いすと似た形で、主に体に障害のある人が利用するジョイスティック型と、2種類ある。
 バッテリーを充電してモーターで走行し、時速6kmまで出すことができる。運転には免許は必要なく、歩行者扱いだ。足腰の弱ってきたお年寄りには行動範囲が広がると喜ばれ、利用者が増えてきている。価格は20万から30万円で、介護保険を利用してレンタルすることもできる。
 消費者事故調によると、ほとんどの電動車いすは、アクセルレバーがハンドルの上の面よりも下についているが、改善を促した電動車いすは、ハンドルよりも4cmほど上にアクセルレバーがついていたという
 
 昨年、国際福祉機器展で、あるメーカーの電動車いすに試乗した。アクセルレバーが軽く動き使いやすいと思う半面、何かの拍子で押してしまったり、具合が悪くなって倒れこんだりしたら、レバーを押してしまい、前進してしまうのではないかと思った。
 道路交通法では、歩行者扱いの電動車いすは、免許が必要ない。高齢化が急速に進む中、お年寄りの行動範囲が広がるということで、普及が進んでいるという。しかし、高齢者が乗るものだから、事故が起きてもしかたないというのではなく、事故を防ぐ改善も必要となっているような気がする。
 高齢者も自分のすむ地域で、自立して生活することが求められている。ならば、なおさらのこと、安全に暮らせるよう、さまざまな改善や安全対策が求められていると思う。 

≪追記≫2015年4月4日
株式会社アテックスは、ホームページで、NHKの報道に対して、抗議文を掲載した。
NHKの報道は消費者庁の正式見解ではなく、NHKの独自取材による報道で、消費者庁から改善指示等も受けていないとしている。
「NHK に対する抗議文」2015年4月3日付
http://www.atexnet.co.jp/pdf/20150403.pdf
「NHK報道(電動車いす)による弊社見解」2015年4月2日付
http://www.atexnet.co.jp/pdf/kenkai.pdf

≪参考記事≫
「電動車いす事故 同メーカーに集中」2015年3月31日NHKニュース 
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150331/k10010034301000.html

≪参考≫拙ブログでは、消費者事故調の調査について、以下でとりあげた。
●「ハンドル型電動車いすの事故調査を決定~消費者安全委員会」2014年11月25日
  http://tomosibi.blogspot.jp/2014/11/blog-post_25.html

 また、電動車いすの事故については、高知県佐川町白倉踏切の事故や、阪急神戸線旧庄本踏切の事故などについて書いた。これらの事故の電動車いすは、製造メーカーがわからないものもある。
●「踏切事故の現場をたずねて~高知県佐川町白倉踏切」2010年4月26日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2010/04/blog-post_26.html
●「電動車いすの女性が亡くなった事故~阪急神戸線旧庄本踏切」2014年5月6日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html
●「電動車いすのお年寄りが亡くなった事故~大阪府高石市南海本線羽衣7号踏切」2014年7月22日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2014/07/7.html
●「車いすで踏切を渡るこわさ」2014年10月20日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2014/10/blog-post_20.html


2015年3月28日土曜日

渡る人の視点で事故を見なおす~踏切の実態把握を

 3月15日竹の塚教育センターで開かれた講演会で、柳田邦男氏は「事故とは、人間が死傷すること、生活・人生を破壊されること」と語った。たとえ、小さな事故であっても、被害者やその家族にとっては、人生を狂わされることになるのだ。

 そして、一つの事故で、どれだけ多くの人が、人生を狂わされることだろう。
 それは、亡くなった人の家族、友人、親類だけではない。亡くなった人が働く人ならば、有能な働き手を失った会社は、経営に息づまることもあるかもしれない。若い息子夫婦を孫の子どもらとともに失った老いた両親は、生きる希望を失うかもしれない。恋人を事故で失った女性は、電車に乗れず、働きに出ることも外にでることもできないかもしれない。長年連れ添った人を突然失った人は、生きる意欲を失うかもしれない。

 事故の対策を考える人は、被害にあった人の視点にたって、その苦しみと悲しみを想像してみてほしい。自分の心の痛みとして感じてほしい。そして、事故を無くす対策をいろいろな人に考えてほしい。

 国土交通省の統計によると、2004年から2013年までの10年間に、踏切事故で1226人の人が亡くなっている。毎年100人以上の人が踏切で亡くなっている。それらの踏切事故の多くは運輸安全委員会で事故調査されることがなく、ニュースなどで運休した運転本数や影響を受けた乗客数などが発表されるだけといってよい。
 なぜ、事故が無くならないのかと問えば、事故そのものが正確に把握されていないからではないかと思う。踏切事故では、踏切を渡っていて亡くなった人が、事故の責任を問われている。しかし、なぜ事故が起きたのかを調べ、安全対策を講じなければ、同じような事故は無くならないと思う。
 
 踏切ごとに、どんな設備があり(またはないのか)、どこがどのように危険なのか、事情は異なると思う。踏切で、いつどのような人たちが渡っているのか、お年寄りが多いのか、通学路になっているのかなど、踏切の客観的なデータを集める、事故情報を集める。そこから、一つ一つの踏切に必要な対策が見つけられると思う。

 報道によると、国土交通省は、これから踏切に関する情報を集め「カルテ」を作成するそうだ。踏切事故を無くすため、安全対策に生かしてほしい。

≪参考記事≫
「社説 踏切事故 渡る人の視点で考えよ」朝日新聞2015年3月26日
(2015年03月26日 朝刊)
http://astand.asahi.com/column/editorial/DA3S11669996S.html

2015年3月16日月曜日

竹ノ塚踏切事故から10年~柳田邦男氏が講演

 3月15日、東武伊勢崎線竹ノ塚駅近くの踏切、通称「大踏切」で、4名の女性が死傷した事故から10年がたった。

 事故のあった3月15日午後、踏切近くの竹の塚地域教育センターで、作家の柳田邦男氏を迎えて、講演会が開かれた。
  踏切事故遺族の紡ぎの会の関係者、地元足立区の住民の皆さんをはじめとして、足立区長を会長とする「竹ノ塚駅付近鉄道立体化推進連絡協議会」、足立区選出の議員、国土交通省、東京都などから、関係者が約300名参加した。

 柳田氏は講演の中で、「事故とは何か」と問い、「人間が死傷し、生活・人生を破壊されること」と語った。小さな事故であっても、人生を狂わされてしまうのが、事故だ。その事故によって、大きく人生を変えられてしまった被害者や遺族たちは、二度と同じような事故を起こしてほしくないと、各種の事故調査の充実をうったえ、再発防止をうながしてきた。柳田氏は、その意味を、事故調査の歴史の中でとらえて、遺族の活動を評価、事故調査や遺族支援がすすんできたと語った。

 講演会後、事故のあった竹ノ塚駅踏切で、有志約200人が、黙とうをおこない、足立区長や遺族が献花した後、参加者で献花した。

≪参考記事≫
「踏切事故から10年、講演会と竹ノ塚南側の踏切事故現場で献花式が行われました」
2015年3月15日足立区鉄道立体推進室鉄道立体化担当課
http://www.city.adachi.tokyo.jp/hodo/20150315kenkasiki.html
「天声人語 竹ノ塚踏切事故から10年」朝日新聞2015年3月16日
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11652557.html?ref=nmail_20150316mo&ref=pcviewpage
≪遺族あいさつ≫
「思いを紡ぐ」 2015年3月15日竹の塚教育センターにて
(文中の個人名は削除いたしましたが、当日会場ではお名前を読ませていただいております)

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2015315

あいさつ
                                踏切事故遺族の会
                                  紡ぎの会代表
 

本日は、お忙しい中、多数ご参加いただき、ありがとうございます。

10年前、竹ノ塚駅そばの大踏切で踏切保安係が準急電車が来るのを忘れて、遮断機をあげてしまったために、おおぜいの通行人が踏切に入り、上りの準急電車にはねられて2名が死亡、2名が負傷しました。

その中に、私の母(当時75歳)もおりました。 
母は家族の中心といってもよい人で、明るく太陽のような人だったと思います。楽天家で 社交的な人でいつも前向きに見る人でした。

地域では町内会婦人部の副部長をまかされていました。地区センターで、書道教室を開いて、地域のみなさんと楽しく、時には冗談もまじえてすごしていたようです。そして、孫の成長を何よりも楽しみにしていた人でした。

事故の前の2月には、父との結婚生活も50年をむかえ、春には、家族皆で金婚式を祝おうと話していたところでした。父と母は、結婚50年の記念に、奈良の吉野山の桜を見に行こうと話していた矢先の事故でした。

何か罪になることをしたわけでもなく、平凡に日々の生活を送っていた母が突然あってはならない事故によって、命を奪われ、私たちは愕然としました。

余りに突然で、どう葬儀をとりおこなったらよいのか、何の心の準備もできていませんでした。事故の翌日、母の遺体は東京大学の司法解剖にまわされました。夕方、司法解剖の終わった母の遺体をひきとり、葬儀の支度をしました。

病気であれば、少しは母の死後のことを相談したり、母も、残していく父や子供らに別れのことばをいうこともできたでしょうに、50年つれそった父に何もいうこともできずに 電車にぶつかったことすらわからない、一瞬のうちにこの世をさりました。

私たち子供らも母に、長年の苦労をねぎらう言葉のひとつもかけてあげることもできず、 何一つ、親孝行らしいこともできないまま、突然、母を見送りました。

なぜ、こんなことが起きたのか、なぜ、罪もない母が、突然、命を奪われなくてはならないのか? 

もちろん、直接には踏切保安係が遮断機を上げたことが原因ですが、なぜ保安係が安全装置をはずして遮断機のあげさげをする状況が続いたのかということは、はっきりした答えが出されているとは思えません。

事故後、検察は、遮断機をあげた踏切保安係しか起訴せず、踏切保安係だけが実刑をうけました。
当時、鉄道や航空の事故調査をする航空・鉄道事故調査委員会は、この特異な踏切事故を 調査しませんでした。
東武鉄道の社内調査の結果は事故から4か月後、公表されましたが、開かずの踏切の状況や、踏切保安係が安全装置を外して遮断機をあげさげしているという内規違反の状態を 把握する体制が十分でなかった、本社は把握していなかったと報告しました。

現場で遮断機をあげた係員だけが実刑を受けただけで、事故の裁判は終わり、私たちは釈然としないまま、年月がすぎました。

釈然としない思いは、その後も踏切事故が繰り返されるごとに強くなりました。踏切では 毎年100人以上の人が亡くなっており、2004年から2013年までの10年間に1226人もの人が亡くなっています。 

なぜ、踏切事故は無くならないのか? なぜ、母のように突然、命を奪われなくてはならないのか? なぜ悲惨な事故がくりかえされるのかという疑問をいだいてきました。  

母と同じように悲惨な事故にあってほしくない、踏切事故が無くなってほしいと願ってきました。踏切事故を無くすには、事故の実情を把握すべきとうったえ、事故情報の収集や公開を関係者にもとめてきました。

2008年、運輸安全委員会が発足する際に、踏切事故の調査対象が広げられ、死亡者が1名であっても、鉄道係員の操作のあやまりや設備に原因があると思われる場合は、事故調査をすることが決まりました。

また 遮断機のない踏切では事故の発生する頻度が高いことから、20144月には、遮断機のない踏切でおきた死亡事故について、事故調査をすることが決まりました。昨年4月に起きた踏切事故から調査が始まり、事故調査報告書が公表されています。

私は、事故後いろいろな事故のご遺族や被害者の方々と悲惨な事故をなくし、安全で安心な社会をつくるには何が必要かといっしょに考える機会をいただきました。 

○諏訪市の遮断機のない踏切で、息子さんをなくされたご家族
○日航123便御巣鷹墜落事故で、息子さんを亡くされた母親
○港区のマンションでエレベーターの戸が開いたままあがったために、高校生の息子さんが亡くなった母親
JR西日本福知山線脱線事故で、負傷された家族がおられる方
○柔道の部活中に、息子さんが高次脳機能障害を負った母親
○鉄道事故防止の研究をしていらっしゃる運輸安全委員会の委員の方
○事故をヒューマンファクターの面から分析していらっしゃる日本ヒューマンファクター研究所の皆様
○長年にわたり、安全工学シンポジウムで研究発表する機会をあたえて下さった日本学術会議の研究者の皆様、ともに事故防止のあり方を研究してくださった専門家の皆様、そして、折れそうになる心を支えて下さった友人の皆様

この10年間、わたしども遺族にご理解とご支援くださりありがとうございました。一歩一歩、歩いてこられたのは、皆様のおかげと感謝いたしております。

踏切事故をなくすため、危険な踏切そのものをなくすという抜本的な対策に、竹ノ塚踏切事故直後から、とりくんでおられる足立区の皆様、国土交通省の皆様、東京都の皆様、地元自治会や商店街の皆様、ありがとうございました
竹ノ塚踏切では鉄道高架化工事が着々とすすみ、2020年度に完成予定と聞いています。 

踏切事故をなくすためには、抜本的な対策がもとめられますが、対策が完了するまで時間や費用がかかります。踏切では、現在も年間100名前後の人が亡くなっています。各地の踏切の実態を把握し、安全対策を検討していただきたいと思います

最後になりましたが、竹ノ塚駅付近の高架化工事が事故もなく、安全に進みますよう、心よりお祈り申し上げます

長くなりましたが、これで、わたしの挨拶を終わらせていただきます

ご清聴ありがとうございました

2015年2月18日水曜日

大型トラックと普通列車が衝突~倉敷市JR山陽線八人山踏切

 
 報道によると、2月13日午前8時20分頃、岡山県倉敷市船穂町船穂にある八人山踏切で、大型トラックと福山行きの普通列車が衝突した。
 トラックは踏切で立ち往生したため、運転手がトラックから降りて、非常ボタンを押したが、列車は非常停止したものの、間に合わず、トラックと衝突したという。踏切は、JR山陽線西阿知駅と新倉敷駅との間にあり、遮断機と警報機が設置されている第1種踏切だった。列車内には通勤や通学の乗客ら300人が乗っていた。乗客ら18人が負傷し、そのうちの20代の男性が意識不明の重体だという。

 トラックの運転手は、大型トラックはエンジントラブルが続き、昨年12月に修理したばかりだったが、事故当時もエンジンが動いてもギアが入らず、踏切内で動けなくったと話しているという。

 2月17日、岡山県警は、トラックを所有する運送会社と、販売・修理を担当した自動車販売会社の水島支店を、過失往来危険の疑いで捜索した。
 運送会社によると、立ち往生した三菱ふそうトラック・バスの「ふそうスーパーグレート」は約3年前に購入、これまでも動かなくなるトラブルがあったため、昨年2,3,4月に修理した。また、7月には、リコールの対象になったため、12月にも修理したという。県警は、過去の整備記録なども調べ、事故との関係を調べる方針。

 この捜索を受けて、三菱ふそうトラック・バスは、捜査や関係機関の車両調査の要請に対して、全面的に協力して、原因究明を行うとするコメントを発表した。

 この事故は、直後の報道でも、トラックの運転手が、エンジンの不調を訴えていたことが報じられている。運輸安全委員会では、なぜ踏切内でトラックが立ち往生することになったのか、十分調査してほしい。

 最後になりましたが、負傷された方々が一刻も早く回復されることを祈ります。

≪参考記事≫
「JR山陽線 乗客10人が病院に搬送」毎日新聞 2015年2月13日
http://mainichi.jp/select/news/20150213k0000e040207000c.html
「運送会社とトラック販売会社を捜索 踏切事故で岡山県警」朝日新聞2015年2月17日
http://digital.asahi.com/articles/ASH2K2JH1H2KPPZB002.html

2015年2月5日木曜日

幼児二人が死亡~青森県浅虫青い森鉄道の踏切事故

 2015年1月25日午後1時半ころ、青森市東部の浅虫温泉駅近くにある浅虫中学校踏切で、軽乗用車と快速電車が衝突するという事故が起き、軽乗用車に乗っていた子ども二人が亡くなった。踏切は、第3セクター「青い森鉄道」の踏切で、警報機・遮断機が設置されているという。
 

 報道によると、青森署は、事故の原因は、踏切の設備や構造の問題との関連は低いと見ているが、地元では踏切の危険性を指摘する声もある。
 事故当時、遮断機が下りた状態で、快速電車の運転士は踏切の100mほど手前で軽乗用車に気が付き、非常ブレーキをかけ警笛を鳴らしたが間に合わなかったという。

 地元町内会の会長さんは、踏切は危険だと指摘する。踏切の幅は3.3mほどで車が1台通れるほどだが、踏切の西側には線路に沿って南北に走る生活道路があり、踏切でT字に交差する。そのため、踏切内で一時停止をせざるを得ず、危険だという。また、生活道路と踏切との境界の高低差を埋めるためコンクリートで埋めた急こう配も問題だという。アクセルを踏み込んで登る必要があり、その勢いで、踏切進入時に対向車とぶつかることもあるらしい。

 近くには県営浅虫水族館があり、来館者が踏切を利用するため、踏切の通行量は多いという。
水族館の利用者や近くの住民のみなさんが踏切を利用する際に、警報機が鳴っていたら踏切内に入らないなど、利用者へ注意を促すことも大事だと思う。

 しかし、行政や鉄道事業者がすることはそれだけではないはずだ。地元の人が指摘するように、踏切の構造や設備に問題はなかったか、十分調査し、対策を検討する必要がある。同じような事故が起きないよう十分な対策を講じてほしい。

最後になりましたが、亡くなられた二人のお子さんのご冥福をお祈りいたします。

≪参考記事≫
列車と軽乗用車が衝突 子ども2人死亡」2015年1月25日NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150125/t10014950971000.html

「『危険な踏切』住民指摘 幼児死亡事故も」河北新報2015年2月4日
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201502/20150204_23002.html



2014年11月27日木曜日

電動車いすのお年寄りが亡くなった踏切~滋賀県長浜市JR北陸線木之本踏切

 報道によると、10月24日、午前10時20分頃、長浜市木之本町木之本のJR北陸線木之本踏切で、電動車いすに乗って、踏切を渡っていた高齢の男性が、木之本駅を通過する名古屋発和倉温泉行きの特急電車に撥ねられて亡くなった。特急の運転士が踏切内の男性に気が付いて非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。
 警察によると、木之本踏切の警報機・遮断機は、正常に作動していたという。
 
 11月23日、木之本踏切に行った。木之本踏切は、JR北陸線木之本駅のホームのそばにあった。警報機・遮断機のある第1種踏切で、非常ボタンも設置されていた。木之本駅には各駅電車は停車するが、特急は高速で通過する。駅を出て踏切を渡ると、国道に出るために信号がある。踏切の長さは20m位で幅は8~9mはあるだろうか。
 踏切道は駅と国道を結び、北陸自動車道の木之本インターチェンジも近くにあるためか、車両の通行が多かった。歩行者用の路側帯は両脇にあるが、それぞれ1mもなく狭い。歩行者は車をよけながら、踏切を渡らねばならない。
写真① JR北陸線木之本踏切。左に見えるのは、木之本駅のホーム。手前の
線路が下り線。男性はこちら側から踏切に入ったが、線路を渡りきれなかったらしい。
下りの特急は右側から来て、木之本駅を高速で通過する。2014年11月23日撮影
私が訪れた日は、SL北びわこ号が運行される日だった。木之本駅には、SLの運行予定を調べて行ったのではなく、偶然SLに出会ったのだが、SLファンが多いのには驚いた。木之本駅はSL北びわこ号の終点で、ここからSLは機関車にひかれて米原へもどる回送電車になる。そのせいか、駅周辺は、SLを撮影に来た人たちの車両が駐車していたり、SLに乗車して木之本駅まで来た子供連れの人たちで混雑していた。
 木之本踏切を渡って100mほど先に信号があるので、車両が踏切と信号の間に多く入ってしまわないように、この日は、警備員の男性が車両の誘導にあたっていたが、SLの運行のない日は、警備員が踏切に立つことはないという。
写真② 木之本駅に到着したSL北びわこ号。2014年11月23日撮影
電動車いすを運転する男性が、どういう状況で踏切内に取り残されたのか、報道では定かではない。しかし、踏切道の路側帯をみると、幅が狭いうえに、途中に、車両が路側帯に入らないようにするためなのか、小さなU字型の柵がある。(下の写真③)
写真③ 路側帯にU字型の柵がある。      2014年11月23日撮影


写真④ 木之本踏切を通過する下りの特急電車。   2014年11月23日撮影
電動車いすの男性が、写真③のこちら側から、下り線路を渡ったところで、写真のような小さくても、柵があったら、通行できない。後戻りして、車道に入り直して先に進まなくてはならない。
 後進しようと、電動車いすを操作しているうちに、早い特急電車は踏切に来てしまう(写真④)。
男性がどちらの路側帯を通行していたのかわからないが、いずれにしても狭い路側帯を車両に注意しながら、踏切を通行するのは大変だ。
 
 
 電動車いすの事故は、(独)製品技術評価基盤機構が事故調査にあたる。また、今度、消費者庁の消費者安全委員会も、新しく電動車いすの事故を調査することを決めた。
 調査にあたる委員会には、男性の乗っていた電動車いすが製品として問題がなかったかどうかだけでなく、踏切の安全対策に問題はなかったかどうかも調査して、事故が減るよう、対策を検討してほしいと思う。
 急速に高齢化が進んでいるという日本。お年寄りは、一人で自立して行政や周囲に頼らずに生きていくように言われている。また、お年寄り自身もなるべく人に迷惑をかけないように、子供らの負担にならないようにと懸命に生きている。電動車いすや手押し車などに頼って必死に歩いて買い物や通院に出かけるお年寄りが増えている。そんな中、町の中はバリアフリーが十分進んでいるとは言いにくい。とくに踏切やホームでは危険が大きいと感じる。
 高齢者に「自立せよ」というばかりではなく、自立して安心して生きていけるよう住みやすい環境をつくるべきではないだろうか。

最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福を祈ります。
 
≪参考記事≫
「特急と衝突、車いすの男性死亡 誤って進入? 長浜の踏切 /滋賀県」朝日新聞大阪2014年10月25日
http://digital.asahi.com/article_search/detail.html?keyword=%E6%9C%A8%E4%B9%8B%E6%9C%AC%20%E8%B8%8F%E5%88%87&kijiid=A1001220141025M-SI-1A-014&version=2014112605

2014年11月25日火曜日

ハンドル型電動車いすの事故調査を決定~消費者安全委員会

 報道によると、11月22日までに、消費者安全委員会は、高齢者がハンドルで操作する電動車いすの事故について、新たに事故調査をすることを決めた。
 消費者安全委員会は暮らしの中でおきる身近な事故の原因を究明している。同委員会によると、ハンドル型の電動車いすは、これまでに47万台出荷されている。メーカーから消費者庁への報告によると、2012年度以降、13件事故が起き、そのうち9人が死亡、4人が重傷を負っているという。
 また、13件のうち5件は踏切で起きているという。

 電動車いすは、主に、身体に障害を持った方が操作するジョイスティック型電動車いすと、足腰の弱った高齢の方が操作するハンドル型車いすとがある。
 高齢化が進む中、お年寄りの外出を助けるものとして、急速に電動車いすを利用する人が増える一方、事故も起きている。製品事故を調査する(独立行政法人)製品評価技術基盤機構では、電動車いすの事故を調査対象として、調査を行い、事業者に改善を求めたり、利用者に注意を促している。
  電動車いすは時速6kmと、結構スピードが出るが、道路交通法では歩行者扱いで、
  免許がなくても運転できる。乗車してみると、乗る位置が低いせいか、会場に作られた
  坂道の上り下りは怖かった。しかし、足腰が弱ってきたら、必要になるかもしれない。
  福祉機器展で。  2014年10月3日撮影

 しかし、事故は減少する様子を見せないばかりか、踏切で電動車いすに乗った高齢者が電車に撥ねられて亡くなったり、段差で転倒して重傷を負うなど、電動車いすの事故が続いているのが現状だ。
 畑村洋太郎委員長は「車いす自体にさまざまな安全対策が施されてはいるが、高齢者が利用するという視点からさらにできることがないか、考えたい」と述べたという。
 事故調査することで、事故の実態がわかる。同委員会には、電動車いすの安全対策や踏切の問題点を探り、事故を未然に防ぐ方法を探ってほしいと思う。

≪参考≫
電動車いす安全普及協会では、電動車いすの種類や利用上の注意などについて説明している。
http://www.den-ankyo.org/index.html

拙ブログでは以下などで、電動車いすや車いすの事故を取り上げた。
●「踏切事故の現場をたずねて~高知県佐川町白倉踏切」2010年4月26日
 
http://tomosibi.blogspot.jp/2010/04/blog-post_26.html
●「電動車いすの女性が亡くなった事故~阪急神戸線旧庄本踏切」2014年5月6日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html
●「電動車いすのお年寄りが亡くなった事故~大阪府高石市南海本線羽衣7号踏切」2014年7月22日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/07/7.html
●「車いすで踏切を渡るこわさ」2014年10月20日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/10/blog-post_20.html

≪参考記事≫
「ハンドル型電動車いす事故を調査 消費者事故調 」2014/11/22 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H0C_S4A121C1000000/

2014年11月8日土曜日

再発防止と事故調査~JR飯田線湯沢踏切の事故調査報告書

 
  10月30日、運輸安全委員会は、今年4月12日に長野県飯田市のJR東海飯田線湯沢踏切(第4種、警報機・遮断機なし)で起きた踏切死亡事故について、事故調査の結果を公表した。
 遮断機のない踏切については、今年4月から、死亡事故に限り、運輸安全委員会の事故調査対象に加えられた。
 4月以降、運輸安全委員会は、8件の鉄道事故に事故調査官を派遣している。残念ながら、その        うち6件は踏切事故である。また、5件は、遮断機のない踏切で起きた死亡事故である。
 
 JR東海飯田線湯沢踏切の事故調査報告書(以下、報告書と略)については、運輸安全委員会のホームページで公表されている。報告書を読んで感じた疑問点を挙げてみたい。
 
 
 今年4月12日、長野県飯田市にあるJR飯田線湯沢踏切(第4種、警報機・遮断機なし、以下湯沢踏切と略)で、近くに住む男性の運転する農耕トラクタ(以下、トラクタと略)と、飯田線天竜峡駅発中央線茅野駅行の下り普通列車(2両編成)が衝突し、運転していた男性が亡くなった。
 報告書の「4原因」(7ページ)では、事故が、男性が「小型特殊自動車の通行が禁止されている湯沢踏切道に、トラクタが侵入したものの通過しきれず、列車と衝突したことにより発生したものと考えられる」と書かれている。
 また、報告書「4原因」では、列車が湯沢踏切に接近していることに気付かずに運転者がトラクタを踏切に進入させたのは、湯沢踏切の幅員が狭く、通常はトラクタで通行しない踏切道であったことから、運転者が運転に意識が集中していたことが影響した可能性があると考えられるという。

1. なぜ、トラクターの運転者は踏切を渡ったのか?
 報告書3ページで、湯沢踏切の交通規制について、事故当時、異なる標識があったことを指摘している。
 踏切の両脇には、「二輪の自動車以外の自動車通行止め」の標識が設置されている。一方、湯沢踏切の20m手前、踏切を通る市道と県道との交差点には、「二輪の自動車以外の自動車通行止め、小特を除く」の規制予告を表示する指示標識が設置されていた。「小特」とは、小型特殊自動車のことで、農耕トラクタも含まれる。
 しかし、自動車通行禁止であるなら、踏切の入口にポールなどを設置して、自動車が進入できないようにすべきだと思うが、事故当時は設置されていなかった。報告書には、道路管理者が再発防止策として、事故後今年9月に金属製の杭を設置したとある。


JR東海飯田線湯沢踏切。男性はこちら側から、トラクタに乗って踏切に入って
渡ろうとしていた。柵があるので、斜めに入らねばならない。2014年4月29日撮影

   報告書4ページには、この指示標識が、踏切に設置されている標識と相違した表示であることから、本事故後に、この標識は撤去されたとあるが、どうしてこのような矛盾する表示がされていたのか、報告書には記述がない。
 信濃毎日新聞の報道によると、どのような経緯で異なる規制が表示されたのか、飯田署や長野県警に取材したが、警察ではわからないとの返答だった。
 報告書では、亡くなったトラクタの運転者がトラクターの通行禁止を知っていたかどうかはわからないとしている。
 事故がなぜ起きたのかを考える上で、交通規制がどうなっていたのかという点は重要なことだと思う。
 一人の人間の命が関わっているのだ。いつから、異なる交通規制の表示があったのか、もし調査したのなら記載されるべきだし、調査していないのなら調査すべきだと思う。

2. なぜ、トラクターの運転者は列車を確認できなかったのか?
 報告書の中で、湯沢踏切から列車の来た方の見通しについて、調査した結果が記されている。
 湯沢踏切付近は半径400mの右曲線(列車の進行方向に対して、以下、左右は列車の進行方向に対して)で、列車からすると線路は下り坂である。同踏切の左側は、市道が踏切で左に曲がり上り坂になっている。そのため、トラクタの男性が来た踏切左側から、列車の来た伊那上郷方面を見ると、この坂道が邪魔をして見通しが悪い。

湯沢踏切の周辺図と事故現場略図。豊橋を起点として
距離が書かれているので、わかりにくい。
図の中に本文中で説明されているポイントを記入するとよい。
(図は、運輸安全委員会事故調査報告書よりコピー)

報告書には、踏切の左側から伊那上郷駅方面を見た列車見通距離は、150mとある。また、トラクタが進んだとされる経路上で、もっとも列車を見通せる位置についても検討している。
 6ページには、トラクターが列車と衝突した踏切右レール上から約10m手前の位置付近が、最も列車の見通しがよいが、トラクタがその位置にいたとき、列車は踏切から約370m付近を走行していたから、トラクタの運転者は、接近する列車を確認することはできなかったものと考えられると指摘している。
 トラクタの運転者が、近づく列車に気が付かなかったのではなく、そもそも踏切から見える位置に列車が来ていなかったのである。


湯沢踏切の入口に立って、列車の来た伊那上郷駅方向を見る。
左には草が茂り、右側には鉄塔があって、列車の来た方角は
上り坂になっており、見えにくい。150mほど先に、警報機・
遮断機のある第1種踏切の唐沢踏切がある。2014年4月29日撮影
 また、列車の運転士からも踏切が直前まで見えない。報告書によると、運転士は約70m前方にある湯沢踏切道内の右レール付近に、右側を向いたトラクタを認めたと話している。運転士は、すぐに非常ブレーキを使い汽笛を鳴らしたが、踏切の右側にいたトラクタと列車の右側が衝突し、約140m走って止まった。
  唐沢踏切から見た湯沢踏切方面。下り坂になっている。列車の運転士は、
  踏切手前70mあたりで、湯沢踏切にトラクターに乗った男性がいることに
     気付いたという。唐沢踏切と湯沢踏切は150mほど離れている。
  報告書によると、運転士からの踏切見通しは40m。  2014年4月29日撮影
列車の運転士がトラクタを認めてから止まるまでの距離140mと70mを、単純にたすと210m。これからすると、この列車が、踏切の手前で安全に止まるには、210m以上必要だということだ。それなら、運転士が気が付いた70m手前よりも、もっと手前から、踏切の異常が運転士にわかるための対策をとるべきではないだろうか。

3. なぜ、トラクタは踏切内に取り残されたのか?
 ①湯沢踏切の入口には踏切注意柵があるため、トラクタは斜めに踏切に進入する。そのため、踏切を斜めに横断することになる。ななめに横断すると、レールに車輪がはさまったり、ハンドルをとられやすい。
 ②湯沢踏切に接続する道路は市道で、舗装されていない。踏切には、レールをまたぐ幅1.8m長さ2mの敷板が敷設されているが、敷板が短く、敷板と市道までの間はバラストと呼ばれる砕石が敷かれている。市道と踏切の敷板との間がゴロゴロとした石では歩きにくいし、トラクタでは、ハンドルをとられやすいと思う。
 ③幅が1.8m、長さ2mしか敷板のない踏切を渡るには注意が必要だ。トラクタ本体と田畑の耕うんを行うロータリー装置を含め、トラクタの全長は3.2m、全幅1.40m、全高1.24mある。トラクタが脱輪しないように速度を落としてゆっくりと渡らねばならない。
 報告書によると、トラクタの運転者は、変速レバーが前進2段(時速1.62km、秒速約0.45m)と、速度を落として踏切に入っている。男性は、踏切をゆっくりと慎重に渡っていたのだろうと思う。  トラクタの最高速度は前進6段(時速12.56km、秒速約3.49m)だが、走行中に変速できない構造だった。
 列車の汽笛を聞いた男性は、間近に迫っている列車に気付き、どれほどの恐怖を覚えたことだろうか。当時の男性の心境を思うと、やりきれない。

男性は、こちらからトラクタで踏切を渡ろうとした。敷板と市道の間は
舗装されていない。ゴロゴロとした砕石が敷かれ、渡りにくい。
                                 2014年4月29日撮影

4. 運転者に唐沢踏切の警報音は聞こえただろうか?
 報告書5ページには、湯沢踏切の手前150mにある唐沢踏切(第1種、警報機・遮断機あり)と、約100m先にある座光寺踏切(第1種、警報機・遮断機あり)の両踏切の警報音は、湯沢踏切で聞くことができたとある。また、座光寺踏切の全方位型警報灯が明滅するのが見えたと記述されている。
 湯沢踏切を通行する者は、湯沢踏切に警報機がなくても、列車の来た方角150m先にある唐沢踏切の警報音や、元善光寺方向100m先にある座光寺踏切の警報音と警報灯の明滅を見て、列車の接近に気付かなくてはいけないとうことだろうか?

  しかし、トラクタを運転していたら、トラクタの走行する騒音(報告書によると、定常走行騒音75dB)で、列車の来た方角にある唐沢踏切の警報音は聞こえないだろうと思う。
 また、報告書によると、この湯沢踏切手前の付近は住宅があることから、第4種踏切の手前では汽笛合図を行うことを指示する標識が、設置されていないという。
 つまり、湯沢踏切の手前では、列車の接近を知らせる汽笛が鳴らされない。列車の接近を知るには、湯沢踏切の付近にある唐沢踏切や、座光寺踏切の警報音などに頼らなくてはならないということだ。
 

 警報機や遮断機のない踏切では、どちらから列車が来るのかわからない。湯沢踏切のような列車の来る方角が見通しの悪いところでは、踏切通行者にとっては列車の接近していることが、列車の運転士にとっては踏切の異常事態がわからず、危険だと思う。
湯沢踏切から元善光寺駅方面を見る。100mほど先に警報機・遮断機のある
座光寺踏切がある。                      2014年4月29日撮影

  遮断機のない踏切で事故調査を開始するにあたり、運輸安全委員会の後藤委員長は、3月26日の会見で「運輸安全委員会としては、原因究明のための適確な調査を行うことで、踏切障害事故の再発防止及び被害軽減に寄与して参りたい」と語っていた。
 遮断機のない踏切で事故調査が開始され、踏切事故の実態が広く一般に知られることになった。踏切事故を無くしていくために、さまざまな分野の方々の知見と英知が集まることを期待したい。

≪参考≫
運輸安全委員会ホームページ
「RA2014-9 鉄道事故調査報告書 Ⅲ 東海旅客鉄道株式会社 飯田線 伊那上郷駅~元善光寺駅間  踏切障害事故 平成26年10月30日」
http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/RA2014-9-3.pdf
拙ブログ、湯沢踏切については
「遮断機のない踏切で事故調査~JR飯田線湯沢踏切」2014年4月30日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/04/jr_30.html
≪参考記事≫
「トラクター進入 内容違う2標識 飯田署事故後に1つ撤去」信濃毎日新聞2014年10月31日付

2014年10月10日金曜日

事故が相次ぐ阪急京都線松原通踏切

 報道によると、今年4月3日午後10時40分ころ、京都市右京区の阪急京都線松原通踏切で、乗用車が、誤って踏切から線路内に入り、電車と衝突するという事故が起きた。運転していた女性は車外に脱出していて無事だった。
 この踏切では、昨年1月にも乗用車が、踏切から誤って線路内に入って大阪方面へ150mほど走り、特急電車と衝突、運転していた男性が亡くなった。地元の人たちは、危険な踏切なので、松原通踏切を「魔の踏切」と呼んでいるそうだ。
 今年6月に、京都府警右京署と鉄道会社と京都市が、事故が続いている松原通踏切の安全対策について検討する二回目の会合を持った。
 その結果、非常ボタンの設置や踏切内に見えやすい線を引くなど、暫定的な対策をとることを決めた。

阪急京都線にある松原通踏切。幅は3m程度で、線路と道路は
斜めに交差している。こちら側の道路は、三差路になっている。
                           2014年9月28日撮影

 松原通踏切は、京都市右京区にあり、阪急京都線の西院駅と西京極駅の間にある。幅は3mくらいだろうか。阪急京都線は複線で、踏切の長さも20mあまりある。警報機と遮断機が設置され、障害物検視装置が設置されている。4月の事故当時は、非常ボタンは設置されていなかった。9月28日、踏切に行ったら、非常ボタンらしいものが黒いビニールをかぶせられていた。新しく設置されたらしいが、まだ、作動していないのだろう。
 線路と道路は斜めに交差しており、道路の端はぎざぎざになっていて路側帯はなく、歩行者は歩きにくい。
 踏切の北西側は五差路、南東側は三差路になっていて、車両の通行や人の往来が多い。近くに大型ショッピングセンターがあるせいか、大通りから車両が頻繁に入って来るようだ。
 狭い踏切道で車は対面通行できないから、車は一台ずつ交代で踏切を渡っていた。

 
 踏切にライトはあるものの、線路脇に明るい街灯がないのか、夜になると踏切道がわかりにくくなるそうだ。二つの事故は、夜、雨天時に起きており、踏切横のフェンスや踏切入口にある木々が、踏切内を見えにくくしていたのではないかと思う。
 複雑に道路が集まる踏切で、交通量も多いのだから、道路の幅を広げ歩道を確保し、線路と直角に交差させるなど、踏切道そのもの改善が必要ではないだろうか。
 また、西院方面の線路は、松原通踏切を過ぎると、下り坂で地下のトンネルに入っていくため、この方向を見ると暗く感じる。夜間はなおさら、周辺の街灯が暗いと、線路が見えにくいかもしれない。

 松原通踏切で、同じような事故が起きないよう、関係する事業者や自治体には、急いで安全対策を講じてほしいと思う。

 最後になりましたが、松原通踏切で亡くなられた方のご冥福を祈ります。

線路と道路が斜めに交差している。そのうえ、歩道は確保されていない。
踏切の幅は、車1台が通行するのがやっとだ。
                                  2014年9月28日撮影
阪急西院駅は地下にあるため、京都線の線路が地下のトンネルに入っていく。
電車の来る方向は暗くわかりにくい。           2014年9月28日撮影
≪参考記事≫

「線路に車、電車が衝突 阪急京都線」京都新聞2014年4月4日http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140404-00000000-kyt-l26


 

2014年9月29日月曜日

遺族が意見陳述~シンドラーエレベーター事故

 平成18年6月3日、港区のマンションで、エレベーターの扉が開いたまま突然上昇し(戸開走行)、エレベーターから降りようとしていた高校生が、エレベーターのかごと建物の天井にはさまれて亡くなるという痛ましい事故が起きた。

 今日29日、この事故の刑事裁判の公判があった。事故当時、エレベーターの保守管理をしていた保守管理会社SECの幹部らと、シンドラー社の点検責任者計4人が、保守管理を怠ったとして、業務上過失致死罪で起訴された。
 今日まで、高校生の母親である市川正子さんは、54回の公判を傍聴してきた。市川さんは、意見陳述で「エレベーターは利用する人の命を預かっている。私たちはエレベーターが安全だと思って利用している。エレベーターの安全を守る責任が被告らにはあるのに、保守点検を怠り、大切な息子を突然奪った責任は重い」として、「被告らを有罪にしてほしい」と、裁判官に訴えた。

 事故から8年あまり、息子さんを失った消えることのない悲しみと、エレベーターの安全を管理するはずの会社と保守点検会社への憤りを抱えて過ごしてきたと語る市川さんの声は、震えていた。
 傍聴に駆け付けた市川さんの友人や、亡くなった息子の大輔さんが所属していた高校の野球部の監督、チームメイト、先輩・後輩らからの中には、市川さんの陳述を聞いて、もらい泣きする声や、目をうるませる人がいた。

 私たちは、日常、エレベーターを使わずに生活できない。乗るエレベーターを選ぶこともできない。私たちは、安全だと思って利用している。それなのに、エレベータ会社や保守点検会社が、必要な点検や、二重ブレーキなどの必要な安全対策をとらず、将来のある若者の命を奪った罪は大きい。

 被告らは、無罪を主張しているが、市川さんの陳述を真摯に受け止めて、事故を二度と起こさないためには何が必要なのか、あらためて自分に問い直してほしい。

≪参考記事≫
「エレベーター事故死:悲しみ憤り消えず 遺族が意見陳述」
http://mainichi.jp/select/news/20140929k0000e040147000c.html
毎日新聞 2014年09月29日 11時29分(最終更新 09月29日 12時46分)

2014年9月25日木曜日

踏切事故情報の開示と事故の再発防止

 今年7月15日付で、国土交通省に、「運転事故等整理表」の開示をもとめ、情報公開請求した。
これに対して、8月27日付で、国交省情報公開室は、備考欄に記入された年齢・性別と、事故を報告した鉄道事業者以外の法人を特定できる情報について開示しないと回答してきた。
 国土交通省鉄道局がホームページで毎年公表する「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報」(以下、「情報」と略)の1ページには、「この情報により、鉄道事業者の安全の確保に対する意識
が高まるとともに、鉄道の利用者や沿線住民等の安全利用等に関する理解が促進されるよう期待しています」と書かれている。
 
 
 この「情報」の統計のもととなる「運転事故等整理表」は、さまざまな鉄道事故を分析し、再発防止策を検討して行く上で、重要である。特に、事故関係者の性別や年齢は、個々の事故の特徴を分析する上で欠かせない情報である。
 各運輸局には、毎月、鉄道会社から事故の届け出が提出される。この届け出の1年分を国土交通省鉄道局がまとめ、統計をとり、「情報」として、毎年公表している。
 
 

 鉄道局が、平成22年4月1日付で出した通達(国鉄施第88号、国鉄安第90号「『鉄道事故等報告規則等の事務取扱いについて』の一部改正について」)により、鉄道事業者が、事故関係者の性別・年齢を「鉄道運転事故等届出書」の「備考」欄に記入することが義務づけられた。
 その結果、平成22年度より、鉄道局においてこの情報を集計し、事故関係者を年齢別に集計した結果が「情報」の中で公表されることとなった。
 この統計から、踏切事故の半数近くに60歳代以上の高齢者が関わっていることがわかり、踏切事故においても、高齢者に対する安全対策を講じる必要があることがわかった。
 このように、踏切事故を無くすための対策を考える上で、事故関係者の性別や年齢は重要で、欠かすことができない。
 
 
 また、「運転事故等整理表」で、事故を報告した鉄道事業者以外の法人名および法人が識別できる情報等については、事故情報の基礎的な情報であり、事故の再発防止にとって重要であり、開示される必要がある。事故情報の開示は、事故の事実の開示であり、事故に関係した法人に対する評価をするものではない。事故の事実全体を把握することで、再発防止策が検討できる。
 事故の情報が公開され、鉄道事業者のみならず、行政、沿線住民、鉄道利用者など、あらゆる人々と共有することで、事故を無くすための英知、経験が集まり、事故を無くすことにつながると思う。
 

 事故の状況を正確に知ることは、私たち遺族の願いでもある。突然、大切な人がなぜ、この世を去らねばならなかったのか、納得のいく説明を受けたいと思っている。病気で亡くなるのであれば、医師から 病気について説明を受け、大切な人の死を受け入れる準備ができる。
 しかし、私たちは、事故で突然大切な人を失い、混乱している。葬儀をしたのに、どこからか、「ただいま!」と、亡くなった人が帰ってきそうな気がする。亡くなった人の使っていたものを片付けることができない。
 正確な情報をわかりやすく説明され、同じような事故が起きないよう、事故の対策を講じていただくことは、私たちが大切な人の死を受け入れる上で必要であり、亡くなった人の命を生かすことでもあると思う。
 踏切事故の状況は、事故の現場にだれか居合わせればわかることだろうが、事故のほとんどは、事故調査もされないため、私たち遺族は事故の状況を正確に知ることができない。鉄道会社が、事故の情報を正確に把握し、届け出ることが必要である。そして亡くなった人たちの命を無駄にしないよう、二度と同じような事故が起きないよう、再発防止に取り組んでいただきたいと思う。 
 


2014年7月26日土曜日

乗用車と電車が衝突・脱線~千葉県流鉄流山線の踏切事故

 報道によると、7月11日午後2時5分ころ、千葉県流山市と松戸市を結ぶ流鉄流山線の踏切で、線路内に入ってきた乗用車と2両編成の電車が衝突し、1両目が脱線した。
 踏切は、小金城趾駅と幸谷駅の間にあり、警報機・遮断機はない。幅は1.5mくらい、長さも4mくらいだろうか。現地に行って驚いたのは、踏切の周辺が住宅地だということだった。東京に近い住宅地の松戸市に、いまだに警報機も遮断機もない踏切があることに驚いた。
 乗用車は電車に衝突したあと、電車に約30m引きずられて大破した。乗用車に乗っていたのは、踏切のすぐ前に住む夫妻で、車内から救出されたものの、亡くなった。

千葉県流山市流鉄流山線の踏切。警報機や遮断機がない。
事故のあった午後2時ころ。 2014年7月23日撮影。
警報機・遮断機のない踏切の手前では、電車の運転士は警笛を鳴らすことになっている会社が多いと思うが、今回の事故の際、事前に鳴らしていたかどうかわからない。
 
 
 また、踏切の手前はカーブしている。列車の運転士からは踏切がどの程度の距離からみえるのだろうか。線路内に入って来た乗用車に気付いて急ブレーキをかけたが間に合わなかったという。
 車庫から出ようとする乗用車からは、家のフェンスなどで列車の来るのが見えにくい。
 危険だから、踏切に警報機などを設置してほしいと住民の方から要望が出されていたという。

 ダイヤを見ると、列車の本数も1日上下144本あった。事故のあった昼間の時間帯では1時間に上下各3本ある。1時間に6本、平均10分毎に列車が踏切を通過する。朝6時・8時台は、1時間に上下10本の電車が、警報機も遮断機もない踏切を通過する。平均して6分おきに、電車が通過する計算になる。
列車の来た小金城趾駅の方角を見る。乗用車が
止まっていたところからは、電車の来るのが見えにくい。
                        2014年7月23日撮影

乗用車が列車が通過するのを待っていたところ。路面には、電車が
脱線したときの衝撃のせいか、ひびが入っているところがある。
                            2014年7月23日撮影
事故のあった踏切の前後にも第4種の踏切が2か所あった。住民の方が生活に必要としている踏切で、ここを渡らないと外に出られない。踏切を通行する人は少ないかもしれないが、運行本数が増えた鉄道にとって、いったん踏切で事故が起きれば、重大な問題になる。それなら、通行者の多少にかかわらず、警報機や遮断機を設置すべきではないかと思う。
 
 運輸安全委員会は、この事故の調査のため、鉄道事故調査官を派遣した。事故調査がすみやかに行われ、事故の再発防止に役立てられるよう、願うばかりだ。
 最後になりましたが、亡くなられたご夫妻のご冥福を祈ります。

《参考記事》
「衝突した乗用車の夫婦死亡 千葉・流山線」
毎日新聞 7月12日(土)0時21分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140712-00000001-mai-soci

2014年7月14日月曜日

千葉県流山市:流鉄流山線第11号踏切で、脱線事故

 報道によると、7月11日午後2時ころ、千葉県流山市と松戸市を結ぶ流鉄流山線の第11号踏切(松戸市大谷口)で、踏切内に入ってきた乗用車と列車が衝突、1両目が脱線した。また、乗用車は衝突で大破し、乗っていた近くに住む夫妻は救出されたが、病院で死亡が確認された。

 同踏切は、警報機・遮断機がない第4種踏切で、付近の住民の生活道路として使われており、亡くなった夫妻の家も踏切の近くだという。
 住民が取材に答えているところによれば、以前にも列車と自動車が衝突する事故があり、踏切に警報機を設置してほしいと要望していたという。また流鉄も住民と対策を話し合っていたと答えている。安全対策が決まらないうちに起きた悲惨な死亡事故に、何ともやりきれない思いがつのる。

 ニュース映像をみると、事故のあった流山線の周辺は住宅地化しており、このような東京近郊の住宅街に、第4種踏切が残っていることに驚いた。
 事故がどのように起こったのかまだ定かではないが、踏切からの見通しが悪く列車がくるのが分かりにくくなかったかどうか、踏切の路面などが悪くなかったか、運輸安全委員会において十分調査されることを望みたい。
 国交省は、事故率の高い第4種や第3種踏切(警報機あり遮断機なし)を、第1種踏切に改善するよう鉄道事業者に働きかけているという。補助金制度なども含めて、中小私鉄が改善を進めやすいよう、安全対策を進めてほしい。

最後になりましたが、亡くなられたご夫妻のご冥福を祈ります。

《参考記事》
「千葉の踏切事故 乗用車の夫婦2人死亡」NHKオンラインニュース2014年7月12日1:08
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140712/k10015954251000.html
「踏切事故:衝突した乗用車の夫婦死亡 千葉・流山線」毎日新聞2014年7月12日00時21分
http://mainichi.jp/select/news/20140712k0000m040140000c.html

2014年7月2日水曜日

安全工学シンポジウム2014~安全・安心な社会をめざして

 
 7月10日(木)、11日(金)、日本学術会議総合工学委員会主催による「安全工学シンポジウム2014」が、東京都港区田町の建築会館で開催される。33の学協会が共催・協賛して、さまざまな分野の研究が発表される。

 
 OS-5 「繰り返される事故~事故防止のあり方を考える」では、踏切事故の遺族や、柔道事故の被害者家族が、研究者や専門家とともに、事故を防ぐには、何が必要か考える。
 なぜ事故が無くならないのか、事故をなくすにはどうしたらよいのか、ぜひ、多くの方々に一緒に考えていただきたいと思う。
 
詳しくは、以下のホームページを参照
「安全工学シンポジウム2014」

 
OS-5「繰り返される事故―事故防止のあり方を考える」
 71014:3017:00 建築会館会議室
  1.繰り返される事故〜事故防止のあり方を考える〜○加山宏(安全工学会)
  2.都市における踏切事故と安全対策○加山圭子(東武伊勢崎線竹ノ塚踏切事故遺族)
  3.脳震とうと繰り返し脳損傷 ○小林恵子(全国柔道事故被害者の会)
  4.未解決事故の原因を究明する ‐ 事故例からのアプローチ ‐
                 ○一杉正仁(滋賀医科大学)
  5. 責任追及と再発防止-事故調査の社会的位置づけ ○米倉勉(弁護士)
    6.「組織罰」についての考察 ○本江彰(日本ヒューマンファクター研究所)
    7.再発防止から未然防止へ(2) ○高杉和徳(製品安全コンサルタント)