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2019年5月15日水曜日

長さのある第4種踏切の事故~JR東横須賀線山の根踏切

 報道によると、2019年3月21日夕方、逗子市逗子にあるJR横須賀線「山の根踏切」で、横浜市港北区の高齢の男性が、歩いて渡っていたところ、電車に撥ねられて亡くなった。男性は、ポータブルラジオなどを持っていたことから、警察は、男性が電車の音に気付かなかったのではないかとみている。男性は、墓参りに来ていたらしい。
 踏切には、車両の入れ替え線を含む計9本の線路が通っているが、警報機や遮断機のない第4種踏切だという。長さは35メートルもあり、利用者は自分で電車が来ないかどうか、確かめながら渡らねばならない。
 
 この踏切を避けて線路を渡るには、約280メートル離れた別の踏切に迂回しなくてはならいので、地元の住民はこの踏切を渡るという。JR東日本と逗子市は、山の根踏切を廃止する方向で協議しているが、見通しは立っていないという。
 また、警報機・遮断機のない踏切は、神奈川県内に27箇所あるといい、対策が急がれる。

 今年2月26日の記者会見で、運輸安全委員会の中橋和博委員長は、
「例えば、時速100キロで走行する列車は200m先から7秒ほどで踏切に到達します。このような高速で列車が走行する路線においても遮断機のない踏切が存在しており、高速道路で信号のない横断歩道を渡るようなものだと感じるところですが、列車はブレーキをかけて停止するまでの距離が自動車の数倍も必要であることを考えると、高速道路よりも危険だと言えるかと思います。」
「踏切の見通し状況や列車の速度などを把握している鉄道事業者が、積極的に関係者に働きかけて協議を進展させることにより、踏切の廃止や遮断機等の整備の早期実施につなげることも重要だと考えます。」と語っている。
 
 鉄道周辺の宅地化が進み、人口が急速に増え、第4種踏切を取り巻く環境が大きく変わっているのに、鉄道事業者はいつまでも警報機や遮断機を設置しないまま、踏切を通行する人に負担を強いているのではないだろうか。
 危険な踏切を放置せず、一刻も早く対策にとり組んでほしい。

《参考》
2019年2月26日運輸安全委員会委員長会見要旨

http://www.mlit.go.jp/jtsb/kaiken/kaiken20190226.html

「危険な踏切 『こわいけど』渡る 住民『生活に必要』」毎日新聞2019年5月12日
https://mainichi.jp/articles/20190512/k00/00m/040/019000c

 

2017年9月17日日曜日

JR山陽線踏切事故、電車の運転士を書類送検~JR山陽線八人山踏切

 報道によると、9月15日、一昨年岡山県倉敷市のJR山陽線の踏切で起きた事故で、岡山県警は、電車の運転士を業務上過失傷害などの疑いで、岡山地検に書類送検した。一昨年2月、JR山陽線新倉敷ー西阿知駅間の八人山踏切で、立ち往生したトラックと電車が衝突、乗客1人が重傷、運転士を含む44人が軽傷を負った。
 運輸安全員会の報告書によると、トラックの運転手は踏切の非常ボタンを押して、電車に異常を知らせる発光機が作動したが、架線の支柱が運転士の視界を妨げ、電車の運転士は異常を知らせる発光機が見えなかった可能性が高いとしていた。
 
 運転士は踏切の手前約210mでトラックに気づき、非常ブレーキをかけたが間に合わず、トラックと衝突したという。

 今回、岡山県警は、電車の運転士が前方を確認を怠ったことが事故につながったとして、業務上過失傷害と業務上過失往来危険の疑いで書類送検。また県警は、トラックの運転手についても、過失運転障害のうたがいで書類送検している。
 警察は、警察が調べたところ、少なくとも400m手前から踏切の状況が見通すことができ、その時点でブレーキをかけていれば、衝突を避けられたことがわかったとしている。
 警察は、運転士はこれまでの調べに対し、「計器に気を取られていて、前方をよく見ていなかった」と話しているということだ。

 なお、運輸安全委員会の事故調査報告書によると、衝突した大型トラックは、制御装置に不具合があるとして、6回リコール対象となっていたが、すべて改修していた。また、変速機の異常発生が記録されていたが、異常発生時刻が記録されていないため、異常発生が立ち往生の原因と特定することは避けた。

<参考記事>
「非常灯が運転士の死角に 岡山踏切事故、架線の支柱が遮る」日本経済新聞
 2016年3月31日
 https://www.nikkei.com/article/DGXLZO99087010R30C16A3CC0000/
●「JRの踏切事故で電車の運転士を書類送検 岡山」NHKニュース2017年9月15日 
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170915/k10011140481000.html?  utm_int=nsearch_contents_search-items_001

2016年9月15日木曜日

関東鉄道で第4種踏切事故~事故原因の調査開始

報道によると、9月12日午後5時すぎ、茨城県筑西市井上にある関東鉄道常総線黒子駅大田郷駅間にある踏切で、近くに住む小学4年生の男子児童(9)が自転車に乗って渡っていたところ、1両編成の下り列車にはねられて亡くなった。

事故を受けて、13日、国の運輸安全委員会の事故調査官2人が現場の踏切を訪れ、事故原因の調査を開始した。事故のあった踏切は歩行者や二輪車が通るための踏切で、警報器や遮断機は設置されていない第4種踏切。


男子児童は、友人の家から帰る途中で、踏切を渡っていて電車に撥ねられたとみられている。
調査を担当した鉄道事故調査官は、「踏切は木に隠れて列車からの見通しが悪いように思います」と語り、この点も含めて事故原因を精査するとしている。

列車からの見通しが悪いということは、小学生からも列車が見えにくかったのではないかと思う。
また、ニュースで事故のあった踏切を見ると、幅が狭く、路面が傷んでいるようにみえる。
関東鉄道では警報機や遮断機のない第4種踏切が数多く残って、事故が起きている。利用者が多い踏切であるならば、踏切の安全対策を検討して、事故の再発を防ぐべきだと思う。

最後になりましたが、亡くなられたお子さんのご冥福をいのります。

《参考記事》
「小学4年生の男児 列車にはねられて死亡 茨城」2016年9月12日NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160912/k10010682781000.html
「小4死亡の踏切事故 運輸安全委が調査開始 茨城 筑西」2016年9月13日NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160913/k10010684111000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001

2015年8月31日月曜日

軽トラックと列車が衝突~東広島市JR山陽線鍵谷第1踏切~

 8月26日午後3時20分頃、東広島市のJR山陽線西高屋駅・白市駅間にある鍵谷第1踏切で、軽トラックと白市駅行きの上り電車が衝突、軽トラックは横転し、運転していた女性(79歳)が亡くなった。

 報道によると、JR西日本は、電車の運転士が踏切内に進入する軽トラックを発見し、急ブレーキをかけたが、間に合わなかったという。
 現場の踏切は、第4種踏切で、警報機や遮断機が設置されていない。
 報道によると、付近の住民が5年前に、JR西に対して、危険だから警報機や遮断機を設置してほしいと要望していた。しかし、踏切を通行する人が少ないことを理由に断られたという。
 また、報道の中には、現場は線路がカーブしているところに踏切があるため、踏切から電車が見えにくいのではないかという指摘もあった。

 踏切は山間部にあるため、線路がカーブしていたり、線路の脇に山が迫っていたりして、電車がくるのが見えにくいこともあるかもしれない。電車の接近を通行者に知らせる仕組みが欠かせないと思う。
 JR西では、今回事故のあった鍵谷第1踏切の近くの堀川踏切でも、2006年12月とその2年前に死亡事故が2件起きている。堀川踏切で亡くなった高校生の両親がJR西を相手に民事裁判をおこし、広島地裁は、対策をとらなかったJR西に損害賠償を命じた。その後、JR西と両親は和解したが、その間にJR西は、堀川踏切を警報機・遮断機のある第1種に改善した。また、非常ボタンも設置している。
 堀川踏切と同じように警報機・遮断機のない鍵谷第1踏切が、同じ駅間にあるのなら、JR西はどうしていっしょに改善しないのだろう。

 昨年から、遮断機のない踏切で起きた死亡事故については、運輸安全委員会が事故調査をし、調査結果を事故の再発防止に役立てる。今回も、事故調査が開始された。
 運輸安全委員会の事故調査が迅速に徹底的になされ、事故を防ぐ対策に生かされるようにしてほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福をお祈りいたします。

≪参考≫
運輸安全委員会
「鉄道事故の概要 」
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail2.php?id=1877
≪参考記事≫
「山陽本線1人死亡衝突事故 事故調査官が調査」(広島テレビ)
http://news.home-tv.co.jp/news.php?ymd=2015-08-27&c=&id=2015-08-272
「死亡事故の踏切 以前から改善要望」 8/27 11:53 (広島テレビ)
http://www.news24.jp/nnn/news8665805.html

2015年2月18日水曜日

大型トラックと普通列車が衝突~倉敷市JR山陽線八人山踏切

 
 報道によると、2月13日午前8時20分頃、岡山県倉敷市船穂町船穂にある八人山踏切で、大型トラックと福山行きの普通列車が衝突した。
 トラックは踏切で立ち往生したため、運転手がトラックから降りて、非常ボタンを押したが、列車は非常停止したものの、間に合わず、トラックと衝突したという。踏切は、JR山陽線西阿知駅と新倉敷駅との間にあり、遮断機と警報機が設置されている第1種踏切だった。列車内には通勤や通学の乗客ら300人が乗っていた。乗客ら18人が負傷し、そのうちの20代の男性が意識不明の重体だという。

 トラックの運転手は、大型トラックはエンジントラブルが続き、昨年12月に修理したばかりだったが、事故当時もエンジンが動いてもギアが入らず、踏切内で動けなくったと話しているという。

 2月17日、岡山県警は、トラックを所有する運送会社と、販売・修理を担当した自動車販売会社の水島支店を、過失往来危険の疑いで捜索した。
 運送会社によると、立ち往生した三菱ふそうトラック・バスの「ふそうスーパーグレート」は約3年前に購入、これまでも動かなくなるトラブルがあったため、昨年2,3,4月に修理した。また、7月には、リコールの対象になったため、12月にも修理したという。県警は、過去の整備記録なども調べ、事故との関係を調べる方針。

 この捜索を受けて、三菱ふそうトラック・バスは、捜査や関係機関の車両調査の要請に対して、全面的に協力して、原因究明を行うとするコメントを発表した。

 この事故は、直後の報道でも、トラックの運転手が、エンジンの不調を訴えていたことが報じられている。運輸安全委員会では、なぜ踏切内でトラックが立ち往生することになったのか、十分調査してほしい。

 最後になりましたが、負傷された方々が一刻も早く回復されることを祈ります。

≪参考記事≫
「JR山陽線 乗客10人が病院に搬送」毎日新聞 2015年2月13日
http://mainichi.jp/select/news/20150213k0000e040207000c.html
「運送会社とトラック販売会社を捜索 踏切事故で岡山県警」朝日新聞2015年2月17日
http://digital.asahi.com/articles/ASH2K2JH1H2KPPZB002.html

2014年11月8日土曜日

再発防止と事故調査~JR飯田線湯沢踏切の事故調査報告書

 
  10月30日、運輸安全委員会は、今年4月12日に長野県飯田市のJR東海飯田線湯沢踏切(第4種、警報機・遮断機なし)で起きた踏切死亡事故について、事故調査の結果を公表した。
 遮断機のない踏切については、今年4月から、死亡事故に限り、運輸安全委員会の事故調査対象に加えられた。
 4月以降、運輸安全委員会は、8件の鉄道事故に事故調査官を派遣している。残念ながら、その        うち6件は踏切事故である。また、5件は、遮断機のない踏切で起きた死亡事故である。
 
 JR東海飯田線湯沢踏切の事故調査報告書(以下、報告書と略)については、運輸安全委員会のホームページで公表されている。報告書を読んで感じた疑問点を挙げてみたい。
 
 
 今年4月12日、長野県飯田市にあるJR飯田線湯沢踏切(第4種、警報機・遮断機なし、以下湯沢踏切と略)で、近くに住む男性の運転する農耕トラクタ(以下、トラクタと略)と、飯田線天竜峡駅発中央線茅野駅行の下り普通列車(2両編成)が衝突し、運転していた男性が亡くなった。
 報告書の「4原因」(7ページ)では、事故が、男性が「小型特殊自動車の通行が禁止されている湯沢踏切道に、トラクタが侵入したものの通過しきれず、列車と衝突したことにより発生したものと考えられる」と書かれている。
 また、報告書「4原因」では、列車が湯沢踏切に接近していることに気付かずに運転者がトラクタを踏切に進入させたのは、湯沢踏切の幅員が狭く、通常はトラクタで通行しない踏切道であったことから、運転者が運転に意識が集中していたことが影響した可能性があると考えられるという。

1. なぜ、トラクターの運転者は踏切を渡ったのか?
 報告書3ページで、湯沢踏切の交通規制について、事故当時、異なる標識があったことを指摘している。
 踏切の両脇には、「二輪の自動車以外の自動車通行止め」の標識が設置されている。一方、湯沢踏切の20m手前、踏切を通る市道と県道との交差点には、「二輪の自動車以外の自動車通行止め、小特を除く」の規制予告を表示する指示標識が設置されていた。「小特」とは、小型特殊自動車のことで、農耕トラクタも含まれる。
 しかし、自動車通行禁止であるなら、踏切の入口にポールなどを設置して、自動車が進入できないようにすべきだと思うが、事故当時は設置されていなかった。報告書には、道路管理者が再発防止策として、事故後今年9月に金属製の杭を設置したとある。


JR東海飯田線湯沢踏切。男性はこちら側から、トラクタに乗って踏切に入って
渡ろうとしていた。柵があるので、斜めに入らねばならない。2014年4月29日撮影

   報告書4ページには、この指示標識が、踏切に設置されている標識と相違した表示であることから、本事故後に、この標識は撤去されたとあるが、どうしてこのような矛盾する表示がされていたのか、報告書には記述がない。
 信濃毎日新聞の報道によると、どのような経緯で異なる規制が表示されたのか、飯田署や長野県警に取材したが、警察ではわからないとの返答だった。
 報告書では、亡くなったトラクタの運転者がトラクターの通行禁止を知っていたかどうかはわからないとしている。
 事故がなぜ起きたのかを考える上で、交通規制がどうなっていたのかという点は重要なことだと思う。
 一人の人間の命が関わっているのだ。いつから、異なる交通規制の表示があったのか、もし調査したのなら記載されるべきだし、調査していないのなら調査すべきだと思う。

2. なぜ、トラクターの運転者は列車を確認できなかったのか?
 報告書の中で、湯沢踏切から列車の来た方の見通しについて、調査した結果が記されている。
 湯沢踏切付近は半径400mの右曲線(列車の進行方向に対して、以下、左右は列車の進行方向に対して)で、列車からすると線路は下り坂である。同踏切の左側は、市道が踏切で左に曲がり上り坂になっている。そのため、トラクタの男性が来た踏切左側から、列車の来た伊那上郷方面を見ると、この坂道が邪魔をして見通しが悪い。

湯沢踏切の周辺図と事故現場略図。豊橋を起点として
距離が書かれているので、わかりにくい。
図の中に本文中で説明されているポイントを記入するとよい。
(図は、運輸安全委員会事故調査報告書よりコピー)

報告書には、踏切の左側から伊那上郷駅方面を見た列車見通距離は、150mとある。また、トラクタが進んだとされる経路上で、もっとも列車を見通せる位置についても検討している。
 6ページには、トラクターが列車と衝突した踏切右レール上から約10m手前の位置付近が、最も列車の見通しがよいが、トラクタがその位置にいたとき、列車は踏切から約370m付近を走行していたから、トラクタの運転者は、接近する列車を確認することはできなかったものと考えられると指摘している。
 トラクタの運転者が、近づく列車に気が付かなかったのではなく、そもそも踏切から見える位置に列車が来ていなかったのである。


湯沢踏切の入口に立って、列車の来た伊那上郷駅方向を見る。
左には草が茂り、右側には鉄塔があって、列車の来た方角は
上り坂になっており、見えにくい。150mほど先に、警報機・
遮断機のある第1種踏切の唐沢踏切がある。2014年4月29日撮影
 また、列車の運転士からも踏切が直前まで見えない。報告書によると、運転士は約70m前方にある湯沢踏切道内の右レール付近に、右側を向いたトラクタを認めたと話している。運転士は、すぐに非常ブレーキを使い汽笛を鳴らしたが、踏切の右側にいたトラクタと列車の右側が衝突し、約140m走って止まった。
  唐沢踏切から見た湯沢踏切方面。下り坂になっている。列車の運転士は、
  踏切手前70mあたりで、湯沢踏切にトラクターに乗った男性がいることに
     気付いたという。唐沢踏切と湯沢踏切は150mほど離れている。
  報告書によると、運転士からの踏切見通しは40m。  2014年4月29日撮影
列車の運転士がトラクタを認めてから止まるまでの距離140mと70mを、単純にたすと210m。これからすると、この列車が、踏切の手前で安全に止まるには、210m以上必要だということだ。それなら、運転士が気が付いた70m手前よりも、もっと手前から、踏切の異常が運転士にわかるための対策をとるべきではないだろうか。

3. なぜ、トラクタは踏切内に取り残されたのか?
 ①湯沢踏切の入口には踏切注意柵があるため、トラクタは斜めに踏切に進入する。そのため、踏切を斜めに横断することになる。ななめに横断すると、レールに車輪がはさまったり、ハンドルをとられやすい。
 ②湯沢踏切に接続する道路は市道で、舗装されていない。踏切には、レールをまたぐ幅1.8m長さ2mの敷板が敷設されているが、敷板が短く、敷板と市道までの間はバラストと呼ばれる砕石が敷かれている。市道と踏切の敷板との間がゴロゴロとした石では歩きにくいし、トラクタでは、ハンドルをとられやすいと思う。
 ③幅が1.8m、長さ2mしか敷板のない踏切を渡るには注意が必要だ。トラクタ本体と田畑の耕うんを行うロータリー装置を含め、トラクタの全長は3.2m、全幅1.40m、全高1.24mある。トラクタが脱輪しないように速度を落としてゆっくりと渡らねばならない。
 報告書によると、トラクタの運転者は、変速レバーが前進2段(時速1.62km、秒速約0.45m)と、速度を落として踏切に入っている。男性は、踏切をゆっくりと慎重に渡っていたのだろうと思う。  トラクタの最高速度は前進6段(時速12.56km、秒速約3.49m)だが、走行中に変速できない構造だった。
 列車の汽笛を聞いた男性は、間近に迫っている列車に気付き、どれほどの恐怖を覚えたことだろうか。当時の男性の心境を思うと、やりきれない。

男性は、こちらからトラクタで踏切を渡ろうとした。敷板と市道の間は
舗装されていない。ゴロゴロとした砕石が敷かれ、渡りにくい。
                                 2014年4月29日撮影

4. 運転者に唐沢踏切の警報音は聞こえただろうか?
 報告書5ページには、湯沢踏切の手前150mにある唐沢踏切(第1種、警報機・遮断機あり)と、約100m先にある座光寺踏切(第1種、警報機・遮断機あり)の両踏切の警報音は、湯沢踏切で聞くことができたとある。また、座光寺踏切の全方位型警報灯が明滅するのが見えたと記述されている。
 湯沢踏切を通行する者は、湯沢踏切に警報機がなくても、列車の来た方角150m先にある唐沢踏切の警報音や、元善光寺方向100m先にある座光寺踏切の警報音と警報灯の明滅を見て、列車の接近に気付かなくてはいけないとうことだろうか?

  しかし、トラクタを運転していたら、トラクタの走行する騒音(報告書によると、定常走行騒音75dB)で、列車の来た方角にある唐沢踏切の警報音は聞こえないだろうと思う。
 また、報告書によると、この湯沢踏切手前の付近は住宅があることから、第4種踏切の手前では汽笛合図を行うことを指示する標識が、設置されていないという。
 つまり、湯沢踏切の手前では、列車の接近を知らせる汽笛が鳴らされない。列車の接近を知るには、湯沢踏切の付近にある唐沢踏切や、座光寺踏切の警報音などに頼らなくてはならないということだ。
 

 警報機や遮断機のない踏切では、どちらから列車が来るのかわからない。湯沢踏切のような列車の来る方角が見通しの悪いところでは、踏切通行者にとっては列車の接近していることが、列車の運転士にとっては踏切の異常事態がわからず、危険だと思う。
湯沢踏切から元善光寺駅方面を見る。100mほど先に警報機・遮断機のある
座光寺踏切がある。                      2014年4月29日撮影

  遮断機のない踏切で事故調査を開始するにあたり、運輸安全委員会の後藤委員長は、3月26日の会見で「運輸安全委員会としては、原因究明のための適確な調査を行うことで、踏切障害事故の再発防止及び被害軽減に寄与して参りたい」と語っていた。
 遮断機のない踏切で事故調査が開始され、踏切事故の実態が広く一般に知られることになった。踏切事故を無くしていくために、さまざまな分野の方々の知見と英知が集まることを期待したい。

≪参考≫
運輸安全委員会ホームページ
「RA2014-9 鉄道事故調査報告書 Ⅲ 東海旅客鉄道株式会社 飯田線 伊那上郷駅~元善光寺駅間  踏切障害事故 平成26年10月30日」
http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/RA2014-9-3.pdf
拙ブログ、湯沢踏切については
「遮断機のない踏切で事故調査~JR飯田線湯沢踏切」2014年4月30日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/04/jr_30.html
≪参考記事≫
「トラクター進入 内容違う2標識 飯田署事故後に1つ撤去」信濃毎日新聞2014年10月31日付

2014年7月26日土曜日

乗用車と電車が衝突・脱線~千葉県流鉄流山線の踏切事故

 報道によると、7月11日午後2時5分ころ、千葉県流山市と松戸市を結ぶ流鉄流山線の踏切で、線路内に入ってきた乗用車と2両編成の電車が衝突し、1両目が脱線した。
 踏切は、小金城趾駅と幸谷駅の間にあり、警報機・遮断機はない。幅は1.5mくらい、長さも4mくらいだろうか。現地に行って驚いたのは、踏切の周辺が住宅地だということだった。東京に近い住宅地の松戸市に、いまだに警報機も遮断機もない踏切があることに驚いた。
 乗用車は電車に衝突したあと、電車に約30m引きずられて大破した。乗用車に乗っていたのは、踏切のすぐ前に住む夫妻で、車内から救出されたものの、亡くなった。

千葉県流山市流鉄流山線の踏切。警報機や遮断機がない。
事故のあった午後2時ころ。 2014年7月23日撮影。
警報機・遮断機のない踏切の手前では、電車の運転士は警笛を鳴らすことになっている会社が多いと思うが、今回の事故の際、事前に鳴らしていたかどうかわからない。
 
 
 また、踏切の手前はカーブしている。列車の運転士からは踏切がどの程度の距離からみえるのだろうか。線路内に入って来た乗用車に気付いて急ブレーキをかけたが間に合わなかったという。
 車庫から出ようとする乗用車からは、家のフェンスなどで列車の来るのが見えにくい。
 危険だから、踏切に警報機などを設置してほしいと住民の方から要望が出されていたという。

 ダイヤを見ると、列車の本数も1日上下144本あった。事故のあった昼間の時間帯では1時間に上下各3本ある。1時間に6本、平均10分毎に列車が踏切を通過する。朝6時・8時台は、1時間に上下10本の電車が、警報機も遮断機もない踏切を通過する。平均して6分おきに、電車が通過する計算になる。
列車の来た小金城趾駅の方角を見る。乗用車が
止まっていたところからは、電車の来るのが見えにくい。
                        2014年7月23日撮影

乗用車が列車が通過するのを待っていたところ。路面には、電車が
脱線したときの衝撃のせいか、ひびが入っているところがある。
                            2014年7月23日撮影
事故のあった踏切の前後にも第4種の踏切が2か所あった。住民の方が生活に必要としている踏切で、ここを渡らないと外に出られない。踏切を通行する人は少ないかもしれないが、運行本数が増えた鉄道にとって、いったん踏切で事故が起きれば、重大な問題になる。それなら、通行者の多少にかかわらず、警報機や遮断機を設置すべきではないかと思う。
 
 運輸安全委員会は、この事故の調査のため、鉄道事故調査官を派遣した。事故調査がすみやかに行われ、事故の再発防止に役立てられるよう、願うばかりだ。
 最後になりましたが、亡くなられたご夫妻のご冥福を祈ります。

《参考記事》
「衝突した乗用車の夫婦死亡 千葉・流山線」
毎日新聞 7月12日(土)0時21分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140712-00000001-mai-soci

2014年7月14日月曜日

千葉県流山市:流鉄流山線第11号踏切で、脱線事故

 報道によると、7月11日午後2時ころ、千葉県流山市と松戸市を結ぶ流鉄流山線の第11号踏切(松戸市大谷口)で、踏切内に入ってきた乗用車と列車が衝突、1両目が脱線した。また、乗用車は衝突で大破し、乗っていた近くに住む夫妻は救出されたが、病院で死亡が確認された。

 同踏切は、警報機・遮断機がない第4種踏切で、付近の住民の生活道路として使われており、亡くなった夫妻の家も踏切の近くだという。
 住民が取材に答えているところによれば、以前にも列車と自動車が衝突する事故があり、踏切に警報機を設置してほしいと要望していたという。また流鉄も住民と対策を話し合っていたと答えている。安全対策が決まらないうちに起きた悲惨な死亡事故に、何ともやりきれない思いがつのる。

 ニュース映像をみると、事故のあった流山線の周辺は住宅地化しており、このような東京近郊の住宅街に、第4種踏切が残っていることに驚いた。
 事故がどのように起こったのかまだ定かではないが、踏切からの見通しが悪く列車がくるのが分かりにくくなかったかどうか、踏切の路面などが悪くなかったか、運輸安全委員会において十分調査されることを望みたい。
 国交省は、事故率の高い第4種や第3種踏切(警報機あり遮断機なし)を、第1種踏切に改善するよう鉄道事業者に働きかけているという。補助金制度なども含めて、中小私鉄が改善を進めやすいよう、安全対策を進めてほしい。

最後になりましたが、亡くなられたご夫妻のご冥福を祈ります。

《参考記事》
「千葉の踏切事故 乗用車の夫婦2人死亡」NHKオンラインニュース2014年7月12日1:08
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140712/k10015954251000.html
「踏切事故:衝突した乗用車の夫婦死亡 千葉・流山線」毎日新聞2014年7月12日00時21分
http://mainichi.jp/select/news/20140712k0000m040140000c.html

2014年4月30日水曜日

遮断機のない踏切で事故調査~JR飯田線湯沢踏切

 報道によると、4月12日、午後1時15分ころ、長野県飯田市座光寺にあるJR飯田線元善光寺―伊奈上郷(いなかみさと)駅間の遮断機のない湯沢踏切で、トラクターに乗って踏切を渡っていた男性(77歳)が、天竜峡発茅野行き普通列車(2両)に撥ねられて亡くなった。
 電車の運転士は、踏切の手前100mほどのところで、トラクターに気付き非常ブレーキをかけたが、間に合わず、踏切を140mほど過ぎて停車した。

 運輸安全委員会は、今年4月から遮断機のない踏切で起きた死亡事故全てを、事故調査対象に加えたが、その調査の新しいルールをこの事故に初めて適用。鉄道事故調査官2名を13、14日、現地に派遣した。
 
 4月29日、諏訪市の踏切で次男を亡くされた遺族と湯沢踏切を訪ねた。
湯沢踏切の元善光寺駅寄り100mほどのところには警報機・遮断機の設置された第1種踏切がある。また、伊奈上郷駅寄り150mほどのところにも、第1種踏切が設置されている。

 湯沢踏切では、木道でレールをはさんでいるが、その前後は大きな砂利が敷かれていた。
 亡くなった男性は、写真のこちら側から、向こうへ渡っていたようだ。入口からななめに踏切に入るのは、渡りにくい。ましてトラクターなどが砂利の上をななめに入っていくのは、バランスをくずし、倒れたりしないかと思った。(写真1)
 踏切の路面は、レールの前後入口付近は、砂利が敷かれており、舗装されていなかった。私たちが歩いても歩きにくかった。(写真2)

 
  写真1  飯田市座光寺にある湯沢踏切。踏切の入り口から
  線路まではななめに入らねばならない。2014年4月29日撮影


       写真2  線路の周りには砂利が敷かれていた。2014年4月29日撮影
 
湯沢踏切から、電車の来た方角を見る。急カーブで、
登り坂になっている。             2014年4月29日

 列車の来た方は、左にカーブして登り坂になっており、踏切を渡る人からすると、草なども繁っていて近付く電車が見えにくい。電車の運転士からも、湯沢踏切が見えるのは、120~130mくらい手前まで近付いてからではないだろうか。それから、ブレーキをかけても踏切手前で安全に停止することはできない。
  また、この踏切はカーブの終わりあたりにあるせいか、カーブの外側が内側よりも少し高くなっており、男性が渡りはじめた側は、段差がある。踏切に入ろうすると砂利がある上に、木道がすこし高くなっているのだ。
 湯沢踏切の前後には第1種踏切が2か所あるが、電車が近付くと、この前後の踏切の警報機が鳴りだす。しかし、遮断機が降り切ると二つの踏切の警報機の音が小さくなった。そのため、電車が来るのが分からなくなる。こういう時に、この踏切に差し掛かると、通行者は電車がくるのがわからないのではないだろうか。
 第4種踏切の手前では、電車が近付いていることを通行者に知らせるため、運転士は踏切手前で警笛を鳴らした方がよいと思う。

 また、この湯沢踏切は、報道によると、車両通行禁止だそうだが、実際は農作業のために、トラクターに乗って渡る人もいるだろう。車両全面通行禁止にするなら、踏切道の真ん中にポールなどを立てるべきだ。

 昨年度まで、踏切やホームでの事故は、①死傷者が5名以上であること、②鉄道係員の取り扱い誤りまたは車両や鉄道施設の故障などが原因と思われるものでないと、運輸安全委員会の調査対象にはならなかった。
 踏切事故の調査報告書が出されているのは、平成20年に運輸安全委員会が発足してから平成24年度までに、わずか5件である。因みに、平成20年から24年までに、踏切死亡事故は、599件起きている。
 今回、運輸安全委員会の事故調査対象が拡大され、危険な第3種・4種踏切の死亡事故が調査されることになった。事故調査されることで、事故の事実、原因が明らかになり、踏切事故が減ることに役立つものと思う。今後の運輸安全委員会の事故調査に期待したいと思う。

 最後になりましたが、踏切で亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

《参考》
運輸安全委員会ホームページ 
調査中の案件については「鉄道事故の概要」
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail2.php?id=1855
《参考記事》
「運輸安全委 新ルールで調査へ 踏切事故で男性死亡」(2014年4月12日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/532960.html
「踏切事故遺族の会 飯田を訪問 国の調査対象拡大受け」(2014年4月30日)
http://www.shinmai.co.jp/news/20140430/KT140429FTI090036000.php

2014年3月28日金曜日

運輸安全委員会、踏切事故の調査対象拡大へ

 3月26日、運輸安全委員会の後藤昇弘委員長は、記者会見で、4月から遮断機のない踏切で起きた死亡事故について、運輸安全委員会の調査対象にすることを発表した。
 
①乗客・乗務員に死亡者がある場合
 今回は、これに加えて、第3種(警報機有り、遮断機無し)・第4種踏切(警報機・遮断機とも無し)の死亡事故についても、事故調査の対象にする。
 
 現在、全国にある踏切道33、710箇所のうち、第3種・第4種踏切は、3、850カ所(全体の11%)ある。
3・第4種踏切では、事故が平成24年度は44件(踏切障害事故295件のうちの約15%、国土交通省の統計)起き、死亡事故は13件起きている。
 遮断機のない踏切では、事故の起きる割合が、遮断機のある踏切よりも高いことが、国交省の統計でわかっており、運輸安全委員会の後藤昇弘委員長は、記者会見で「リスクの高い踏切での死亡事故を調査することで、再発防止や被害の軽減に寄与したい」と話していたという。
国土交通省鉄道局が毎年まとめている「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成23年度)」(以下、「情報」と略)(p.14~15)によると、平成19~23年度の5箇年における踏切道100箇所1年あたりの踏切障害事故発生率は、第3種踏切(警報機あり遮断機なし)では1.43件、第4種踏切(警報機なし遮断機なし)では1.57件である。

この「情報」の中で、国交省鉄道局も認めるように、一般的には道路の交通量や列車の
踏切の方が交通量なども少ないことを考えると、遮断機のない踏切は事故発生率が非常に高いといえる。
運輸安全委員会が、踏切事故の調査対象を広げ、安全対策を提言していくことで、踏切事故を無くすことに大きく貢献されることを期待したい。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2605F_X20C14A3CR0000/

2014年1月27日月曜日

遮断機のない踏切の事故~調査対象拡大について~

 1月24日、国土交通省は、踏切事故の調査対象拡大について意見募集をする旨、ホームページに公表した。

 改正案は、第3種(警報機有り、遮断機無し)・第4種踏切(警報機、遮断機とも無し)の死亡事故について、事故調査の対象にするというもので、運輸安全委員会(以下、JTSBと略)の踏切事故の調査対象が拡大されることになる。

  
事故調査は、遺族にとって、大切な人がなぜ、突然この世を去らねばならなかったのか、その理由を知り、その死を受け入れる上で、必要なことだ。
 事故調査が公正に中立な立場で徹底して行われ、事故の再発防止に役立てられることが何よりも亡くなった人の命を生かすこと、決して私たちのところに戻ることのない命に、生きていた意味を持たせていただくことだと思う。

  私たち遺族の会では、以前から、JTSBや国交省鉄道局に対して、踏切での事故を調査すべきと要望してきた。
  今回の事故調査対象の拡大は、事故の再発防止にとって大きな前進といえる。遮断機のある踏切よりも遮断機のない踏切で事故が起きている割合が高いということから、危険性の高い踏切の事故調査から始めるということだ。

 
 現在は、JTSBが調査を開始する際、踏切やホームでの事故は、以下の要件がある。
①乗客乗務員に死亡者がある場合
②死傷者が5名以上の場合 
③鉄道係員の取扱い誤り又は車両・鉄道施設の故障、損傷などに原因があるおそれがあると認められるもので、死亡者を生じたもの(2008年、JTSBが発足する際あらたに付け加えられたもの)
④特に異例と認められる場合

 今回は、これに加えて、第3種・第4種踏切の死亡事故について、事故調査の対象にするというものだが、現在、全国の踏切道33,710箇所のうち、3種・第4種踏切は、3,850カ所(11%)ある。また、3種・第4種踏切では、事故が44件(踏切障害事故295件のうちの約15%、平成24年度)起きている。

《参考》
 ●改正案の概要等については、
  「パブリックコメント:意見募集中案件詳細」一覧に資料配布案内があります。
「鉄道事故等報告規則及び運安全委員会設置法施行規則の一部を改正する省令案等に 対す  る意見」
 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=675000001

●踏切箇所数、事故件数などは、
 国土交通省鉄道局「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成24年度)」

~~・~~~・~~~・~~~・~~~・~~~・~~~・~~~・~~~・~~~・~~~・~~
(以下、国交省の資料まとめ)

《改正案の内容》

.背景

 第9次交通安全基本計画において、鉄軌道交通の安全に関して、運転事故全体の死傷者数減少を目指すこととしているが、踏切障害事故については近年、死亡数が120人前後で推移している。
 踏切障害事故について、独立性・中立性を有する運輸安全委員会の機動的な調査が、事故の再発防止や被害軽減に寄与すると考えられることから、事故リスクの高い第3種・第4種踏切道(以下、第3種踏切道等)における踏切障害事故について、調査対象を拡大する。

 これに関連して、鉄道事業者による地方運輸局への速報対象についても整備する。再発防止への寄与度が低いと思われるものについては、調査対象から除外する。

 (※)第3種踏切道:遮断機が設置されいないが、警報機が設置されいる踏切道
    第4種踏切道:遮断機も警報機も設置されていない踏切道

.概要

(1)鉄道事故等報告規則等の一部改正、
    3種踏切道等における死亡者を生じた踏切障害事故について、速報対象に追加
【鉄道 事故、軌道事故】
(2)運輸安全委員会設置法施行規則等の一部改正
   ①第3種踏切道等における死亡者を生じた踏切障害事故について、調査対象に
 追加する。【鉄道事故、軌道事故】
  ②その他
   a.作業中の除雪車の列車脱線事故について、調査対象から除外【鉄道事故】
      b.踏切障害事故、道路障害事故、鉄道人身障害事故に係る死傷者の
    調査対象要件について5人以上の死傷者を生じたものであって、死亡者を
    生じたもの」に変更 【鉄道事故、軌道事故】

 パブリックコメント募集
 「鉄道事故等報告規則及び運安全委員会設置法施行規則の一部を改正する省令案等に対する意見」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=675000001

 

2013年10月24日木曜日

近畿行政評価局、踏切調査結果を発表

 今年2月、山陽電鉄荒井駅で起きた特急電車とトレーラー車との衝突事故を受けて、近畿行政評価局は、4月から7月にかけて、大阪府内の踏切道の安全確保に関する行政評価・監視を実施、その結果を公表した。

 近畿2府4県内のJR・私鉄の踏切4389カ所のうち、大阪府内の約3分の1にあたる239カ所を対象とした。対象となった踏切は無人で、警報機・遮断機つき、または警報機つき遮断機なしを対象とした。
 
 その結果、
①非常押しボタンの位置が不適切で、扱いにくいもの11カ所
②ボタン位置が見にくいもの5カ所
③路面劣化により、安全面で問題のあるもの1カ所
④異常の際の連絡先掲示が分かりにくいもの55カ所
⑤踏切内が狭く歩車道が分離されておらず、歩行者の安全のため、対策が必要なもの5カ所
⑥電動車いす利用者が横断に際し、開いている時間が短く渡り切れない恐れのある踏切4カ所
⑦踏切での車いすの利用者実態そのものを把握していない事業者が、調査対象5社のうち4社に     上った。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         
これらの点について、いずれも近畿運輸局を通じて各鉄道事業者に通知された。

 
 私たちが「運転事故等整理表」(国土交通省鉄道局)の踏切事故について集計したところ、大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)では、東京圏(東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県)より、踏切事故の件数が多いことがわかった。
 東京圏では、平成17年度から平成24年度までの8年間の踏切事故の合計件数は387件であるのに対し、大阪圏では、平成17年度から平成24年度までの踏切事故の合計件数が514件と、東京圏よりも多い。
 
 
 近畿行政評価局が、踏切の実態を調査し、近畿運輸局や近畿整備局を通じて各鉄道事業者に対して、踏切道の改善を勧告したことは、踏切の安全対策にとって大きな意味がある。
 踏切事故が減らない状況を一刻でも早く無くすこと、そのために鉄道事業者や行政は積極的に対策に取り組むべきだと思う。

《参考》
「踏切道の安全確保に関する行政評価・監視 結果報告書」
総務省近畿管区行政評価局2013年10月23日
http://www.soumu.go.jp/main_content/000255651.pdf

《参考記事》
「踏切調査の結果発表 近畿行政評価局」大阪日日新聞 2013年10月23日
 
 http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/131023/20131023022.html

2013年9月12日木曜日

国交省、踏切事故調査の強化もとめ概算要求

 平成25年8月27日、国土交通省は、「平成26年度予算概算要求概要」を公表した。 
 
 平成26年度予算は、日本がデフレからの早期脱却を図り、防災対策、強い経済、暮らしの安心、地域の活性化等を実現していく上で重要なものとしている。
 
 
 国交省は「東日本大震災からの復興加速」、「国民の安全・安心の確保」及び「経済・地域の活性化」を三本柱として据え、具体的には、被災地の復興に取り組むとともに、防災・減災や老朽化対策を推進し、経済成長や生活向上の大前提である安全・安心の確保を図ることとしている。
 国交省は「平成26年度予算概算要求概要」の中で、公共交通等の安全・安心の確保のためには、鉄道の安全対策の強化が必要であるとして、
 「鉄道の車両に起因する事故等の発生を踏まえ、再発防止にとどまらず、未然に防止するための調査等を行い、安全・安定輸送の取組を強化するとともに、特に踏切事故について、運輸安全委員会の調査機能を拡充する。」(概算要求概要24ページ)としている。
 
 
 事故を未然に防ぐには、事故調査等を行い、安全対策に生かしていくことがもとめられているが、特に、踏切事故は、運輸安全委員会の調査対象として、厳しい要件があるため、ほとんど事故調査されてこなかった。
 
 
 今夏、公表された「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成24年度)」(国土交通省鉄道局)によると、踏切事故は295件起きており、鉄道運転事故の36.4%をしめている。また死亡者数は121人と、同41%をしめている。
 しかし、運輸安全委員会では、これらの事故は事故調査の対象になっていない。今年2月に起きた山陽電鉄の事故が、踏切で車両と衝突した列車脱線事故であるため調査中であるほかは調査されていない。
 列車の衝突・脱線・火災事故以外の事故の調査対象は
1 乗客・乗務員の死亡、 2 死傷者5名以上、 3 鉄道係員の取り扱い誤り又は車両若しくは鉄道施設の故障、損傷、破壊等に原因があると認められるもので、死亡者を生じたもの 3 特に異例とみとめるものに限るとしている。
 
 踏切事故で死傷者が5名以上あることはまれであるし、事故調査してみなければ、直接原因や背景要因はわからない。死亡事故はすべて、調査官が現場に行って調査すべきである。
 
 
 平成24年度は、たしかに踏切事故の件数は減っている。しかし、死亡者は121人と2名増えている。どんな状況でどんな方が亡くなっているのか、踏切事故の実態を把握することが、事故を無くしていくことにつながる。事業者や行政などから中立に公正に、事故の調査をして、原因や背景を明らかにすることで、事故を防ぐ対策も明らかになるのではないか。
 運輸安全委員会の体制を強化して、踏切事故の調査を拡大・強化することが必要だと思う。

《参考》
「平成26年度予算概算要求概要」国土交通省ホームページ
https://www.mlit.go.jp/common/001008721.pdf

運輸安全委員会ホームページ
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/investigation.php 調査中の案件(鉄道)
http://www.mlit.go.jp/jtsb/jikorail.html 調査の流れ(鉄道) 委員会の調査対象

2012年9月13日木曜日

秩父鉄道脱線事故:事故調査報告書まとまる

 今年8月31日、運輸安全委員会(以下、JTSBと略)は、昨年起きた秩父鉄道の事故についての鉄道事故調査報告書 を公表した。

 同報告書によると、平成23年(2011年)11月1日午前11時14分ころ、秩父鉄道の秩父本線三峰口発羽生駅行きの上り普通列車(3両編成)と、大型ダンプが樋口№3踏切で衝突した。列車の運転士は踏切の約200m手前で大型ダンプが踏切道上で停止しているのを発見し、汽笛を吹鳴したが、間に合わず、同ダンプと衝突、1両目の車両の全4軸が脱線し、踏切から約30m行きすぎて停止した。
 列車には、乗客約40名と運転士が乗車、乗客4名と運転士が負傷した。ダンプの運転手は、降りていたため、けがをしなかった。列車は1両目の前面などが損傷、ダンプは大破した。

 列車の運転士は、半径600mの右曲線を約78kmで運転していたところ、右カーブを通過し終えるあたりで、踏切が見えるようになり、見え始めてすぐの約200m手前で、踏切にダンプが停止しているのが見えた。運転士は、ダンプの運転手が列車に向かって手を振っていることや踏切動作確認灯が点灯していることを確認していた。

 ダンプの運転手は、事故当日の朝、同ダンプがアクセルを踏んでもエンジンの回転数はあがるが、速度が上がらない現象に気付き、荷物を下ろした後、ダンプを会社の整備工場で点検することになっていた。
 ダンプの運転手が、会社の整備工場に向かう途中、同踏切の途中でアクセルを踏んでもダンプが前に進まなくなった。会社が踏切の近くにあるので、ダンプを降りて社員の助けを求めに行こうとしたら、踏切の警報が鳴りだしたので、助けを求めるのをあきらめた。非常ボタン(踏切支障報知装置)を探したが見つからず、ボタンを探している途中で、列車が来るのが見えた。止まれの意味をこめて列車に向かって手を振った。
 遮断かんは、ダンプの後部は降りていたが、前部はダンプにぶつかっていた。また、運転手は、ダンプに備えられていた発炎筒を使うことは思いつかなかったという。

 この踏切には、警報機と遮断機が設置されているが、踏切障害物検知装置と踏切支障報知装置は設置されていなかった。
 秩父鉄道は、交通量の多い箇所や過去の事故の状況などを考慮して、踏切支障報知装置などの設置を計画することを基本としているが、平成23年度までの設置数は、踏切311か所中20か所(うち、踏切障害物検知装置と踏切支障報知装置両方とも設置されているのは19か所)と少ない。
これらを設置するのは、鉄道会社の任意であるとはいうものの、埼玉県内の他の鉄道会社はほとんどの踏切に設置している。自治体などの支援も得て、踏切の安全対策を進めてほしい。

 また、報告書によると、道路と踏切との交角は31度で、踏切道を渡る際には、自転車などは車輪が線路にはさまって、走りにくいこともあるかもしれない。京王線東府中の踏切のような、道路と急な角度で交差する踏切は、歩きにくかったり、車輪がレールの中に入り、危険だと思う。

 
 そして、最後に報告書では、列車脱線事故の「原因」として、
「本件ダンプが本件踏切を通過中にアクセルを踏んでも前に進まなくなり停止していたところを本件運転士が発見し、非常ブレーキを使用したが間に合わず、本件列車が本件ダンプと衝突したことにより、1両目の前台車全2軸が右へ、後台車全2軸が左へ脱線したものであると考えられる。」としている。
 脱線の原因としては、上のように言えるかもしれないが、ではなぜ、ダンプが動かなくなったのか、踏切道の路面や交差角などに問題はなかったのかといったことも、調べる必要があるのではないだろうか。                                                                                                                             
 事故の調査を、事故の再発防止に役立てるため、もっと事故原因に迫った調査が必要ではないかと思う。

《参考》
「鉄道事故調査報告書 Ⅰ 秩父鉄道株式会社秩父本線樋口駅~野上駅間列車脱線事故(踏切障害に伴うもの)」運輸安全委員会 平成24年8月31日
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/report/RA12-6-1.pdf

《参考》拙ブログでは、以下で扱った
「非常ボタン未設置の秩父鉄道踏切で衝突脱線事故」
http://tomosibi.blogspot.jp/2011/11/blog-post.html

2012年3月15日木曜日

竹ノ塚踏切事故から七年~高架化工事着工へ

 竹ノ塚駅の開かずの踏切の事故から、7年がたとうとしている。

 踏切の遮断機を上げ下げしていた保安係が、準急列車がくるのを忘れて、警報音を消したまま、遮断機を上げた。そのため、歩行者やオートバイなど多数の通行人が踏切内に入り、そこへ、準急電車が時速90㎞で踏切に進入し、通行人を撥ねた。2名が死亡、2名が重傷を負った。その中に私の母もいた。
 
 

 事故当時、竹ノ塚踏切では、日比谷線、半蔵門線の乗り入れ等で通過列車が1日900本以上に増加し、ラッシュ時には、1時間のうち57分も踏切がしまったままという状態で、交通渋滞が多発していた(「開かずの踏切」)。

 事故後、当時の航空・鉄道事故調査委員会は、竹ノ塚踏切事故を、鉄道事故の調査対象の規定である「死傷者5名以上」にあてはまらない、「鉄道局の要請」がないという理由で調査しなかった。

 刑事裁判では、踏切保安係が禁固1年6月の刑が決まり、元駅長や本社の運転化課長補佐などは不起訴となった。遺族は、この不起訴を不服として検察審査会に申し立てをし、審査会は「不起訴不当」の議決をしたが、検察は再び元駅長らを不起訴とした。

 東武鉄道は、事故から4ヶ月後に社内調査報告書を公表し、事故が起きた背景に現場の状況を把握する社内の体制が不十分だったことをあげたが、会社の組織的な問題点を十分明らかにしたとは思えなかった。

 2008年10月、航空・鉄道と船舶の事故調査をいっしょに行う運輸安全委員会が発足した。その際、運輸安全委員会は、鉄道事故の調査範囲を拡大した。あらたに、「鉄道係員の取り扱い誤りまたは車両若しくは鉄道施設の故障、損傷、破壊等に原因があると認められるもので、死亡者を生じたもの」を調査対象に加えた。この規定によれば、「東武伊勢崎線竹ノ塚踏切事故」のような死傷者が5名未満の事故でも事故調査の対象になる。
 この結果、ホームや踏切で死亡者が1名であっても、事故調査されることになり、JR舞子駅の転落事故やJR飯山線踏切事故のような事故も、運輸安全委員会で調査され、事故調査報告書が公表されることになった。

 しかし、調査してみなければ、直接原因や背景原因はわからない。ホームや踏切などの死亡事故はすべて調査すべきだと思う。

 踏切事故で毎年100名以上の方が亡くなっており、踏切事故は鉄道事故の約三分の一をしめる。
 国交省鉄道局が毎年公表する「鉄軌道輸送の安全に係る情報(平成22年度)」によると、平成18年度から、22年度までの5年間に、踏切で命を落とした人は全国で、612人にのぼる。開かずの踏切など、交通量の多い踏切では、列車と車が衝突する事故も多発しており、先日もJR西明石駅の踏切で衝突事故が起きた。
 
 また、警報機や遮断機のない危険な踏切で亡くなる方の割合は、警報機・遮断機のある踏切より高いことも、上記の統計でわかった。
 危険な踏切を放置していては、事故は無くならない。鉄道の高架化に取り組むのが時間のかかることならば、できることから取り組んでほしい。個々の踏切の実情にあった対策があるはずだと思う。自治体や事業者など、各方面の事故防止・安全性向上の取り組みを期待したい。

《参考》
 3月15日、竹ノ塚駅付近鉄道高架化促進連絡協議会(足立区、足立区選出議員、地元自治会、PTA、商店街などで構成)の主催による献花式が行われる。
  
   1 日時:平成24年3月15日(木)

       16時50分から(16時45分集合)

   2 場所:竹ノ塚駅南側の大踏切(第37号踏切)東側

   3 内容:黙祷、 献花

2012年2月19日日曜日

特急とトラックが衝突~明石踏切事故

報道によると、2月17日午後4時50分ころ、兵庫県明石市のJR神戸線西明石駅付近の踏切で、特急とトラックが衝突し、乗客8人とトラック運転手の計9人が軽傷を負うという事故がおきた。
特急は倉吉発京都行きの特急列車「スーパーはくと10号」(5両編成、乗客146人)で、踏切に進入してきた2トントラックと衝突したという。

JR西によると、現場は西明石駅から東に約800mの位置にある業務用の踏切で、車両のメンテナンスをする網干(あぼし)総合車両所明石支所の敷地内にあり、JR関係者以外は立ち入りできないという。列車が時速約100kmで踏切を通過しようとした際、運転士が踏切内に進入したトラックに気付き非常ブレーキをかけたが、間に合わず、先頭車両などにぶつかった。JR西は、事故当時、踏切に遮断機は設置されていないが、警報機は鳴っていたとみている。
国土交通省の運輸安全委員会は、18日鉄道事故調査官2人を現地に派遣し、現場周辺の調査に入った。また、兵庫県警は、トラックの運転手が、現場の踏切を通ったのは初めてで、不慣れだったのではないかとみている。

この踏切では、過去に2度同様の事故が起きていることもわかった。2003年と2006年に列車と車両が接触する事故が起きていた。JR西は対策として、警報ボタンを設置したという。警察の調べに対してトラックの運転手は、「警報音は聞こえたが、遮断機もなく、列車は来ないだろうと思った」と語っている。
現場の踏切には警報機だけで、遮断機が設置されていないという。 特急などの速度の速い列車が通過する踏切には遮断機が設置されるべきではないだろうか。

《参考記事》
「特急とトラック衝突、乗客ら9人けが 明石のJR神戸線」朝日新聞2012年2月18日
「県警が特急車両を検証、事故調は現地調査 明石踏切事故」朝日新聞 2012年2月18日
 
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201202180033.html
「西明石駅踏切事故 過去に2度、同様の事故」日本テレビ2012年2月18日
http://news.livedoor.com/article/detail/6291188/

2012年2月2日木曜日

JR飯山線踏切事故から1年

 2011年2月1日午後0時12分ころ、新潟県津南町上郷寺石の大根原踏切で、JR東の社員が車を誤って踏切内に誘導したため、車と列車が衝突し運転していた男性が亡くなった。

 踏切は、事故当時朝から遮断機が故障し警報が鳴ったままだったため、通行者があるとJRの社員が踏切の遮断機を手で上げていた。JRの社員は、遮断機を上げて車を踏切内に誘導したところ、長野発十日町行普通列車(1両)が来て車と衝突、車に乗っていた男性が死亡した。

 JR社員が車を誘導する際に、列車の運行状況などの安全確認を怠ったとみられているが、当時は大雪のため、踏切周辺は雪が壁になり2.4mに達していた。そのため、見通しも悪かったという。  

 国土交通省の運輸安全委員会は、事故後、事故調査を行っており、事故調査報告書は作成中である。(ホームページhttp://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail.php?id=1794

 
 列車は自動車よりも何倍もの重量とスピードがあるのだから、もし車や人と列車が衝突したら、人や車はひとたまりもない。そんな危険な踏切の遮断機を上げる際には、係員はダイヤや列車の運行状況などを確認してほしい。

 
 最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福を祈ります

《参考記事》
「飯山線踏切事故から1年 JR東社長ら現場で冥福祈る」 新潟日報2012年2月1日
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/pref/

2011年8月26日金曜日

運輸安全委員会、初めての定例会見

 8月24日、運輸安全委員会は定例会見を開いて、浜松市で起きた天竜川下り船転覆事故などの事故調査の途中経過について、報告した。
 定例会見は、同委員会の業務改善の一環で、今回が第一回となる。JR福知山線脱線事故調査報告書の漏えい問題をうけて、被害者や遺族や有識者らがもとめた「運輸安全委員会の今後のあり方についての提言」では、業務の改善がもとめられていた。
 事故調査の経過を報告し、透明性を高め、事故を起こした事業者や被害に遭われtた方々や遺族に、随時、わかりやすく説明することで、事故調査機関の信頼を回復していくことがもとめられている。
 
 今回は、天竜川下りの事故をはじめ、JR北海道石勝線の特急脱線事故などについても、途中経過が報告された。
 このような運輸安全委員会の努力によって、事故調査機関が社会的に認められ、事故を無くしていく上で事故調査が必要であることが広く理解されることを期待したいと思う。

《参考》
運輸安全委員会ホームページ 事故等調査の進捗状況については
http://www.mlit.go.jp/jtsb/flash/flash.html
《参考記事》
「運輸安全委員長、初の定例会見」(山崎史記子)(神戸新聞2011/08/24 21:02)

2011年8月13日土曜日

安全への祈り~日航ジャンボ機墜落事故から26年

 8月12日、日航ジャンボ機が御巣鷹山の尾根に墜落して、乗員乗客520名が亡くなった事故から、26年がたった。
 前夜の11日、ふもとの上野村を流れる神流川では、事故の遺族でつくる8・12連絡会、高崎のアコーデオンサークル、ふじおか・おすたかふれあいの会、アマービレ・オカリナ会の共催で、灯ろう流しが催された。日航機事故の遺族をはじめとして、JR福知山線脱線事故の負傷者らでつくる「空色の会」やシンドラーエレベーター事故などさまざまな事故の遺族も参加した。
 
 また、今年は、福島県相馬市の被災者も参加し、犠牲者を悼み、安全な社会と東日本の復興を祈った。群馬県内には、高崎や藤岡などに被災地から避難して生活を送る人たちがいる。8・12連絡会や高崎アコーデオンサークルの人たちの呼びかけで参加することが決まった。

灯ろうは300個ほどつくられ、遺族や関係者が灯ろうを神流川に流した

日航機事故などで亡くなった人たちを悼む-群馬県上野村神流川で
2011年8月11日 撮影

 日航機事故の原因をめぐっては、事故調査報告書について、遺族や専門家から原因の記述に疑問がある、説明がわかりにくいなどといった意見が出されていた。これにたいして、国の運輸安全委員会は、昨年秋から遺族へ事故原因を説明するため、8・12連絡会と検討を重ねてきた。連絡会が事故調査や報告書について遺族にアンケートをとり、疑問を出し、これに応える形で、運輸安全委員会が報告書の解説をわかりやすくまとめ、今年7月、事故調査報告書の解説書を公表した。

 運輸安全委員会の大須賀英郎事務局長は、今年灯ろう流しに初めて参加。大須賀氏は、「運輸安全委員会が変わっていく契機の年なので、初めて参加した。遺族に寄りそっていく姿勢を大切にしたい」とあいさつした。

 2008年、運輸安全委員会が発足するにあたり、設置法で、運輸安全委員会は被害者遺族に対して、事故調査等に関する情報を適時に適切に提供することがきめられた。
 また、今年4月には、「運輸安全委員会の今後のあり方についての提言」が、福知山線列車脱線事故調査報告書に関わる検証メンバーによって提出された。

 この中で、「今回の不祥事の発生と事故調査報告書に対する不信感の背景には、事故調査の過程の透明性の不足や公開・提供される情報の少なさの問題がある。このため、今後は事故調査の過程において、可能な限り、国民や被害者(被害者及びその家族又は遺族)、さらには原因関係事業者に対して必要な情報の提供・開示を行い、透明性の確保に努めるべきである。」としている。
そして、これは再発防止を目的とする事故調査が社会に信頼されるために必要なことだとしている。

 今年、はじめて国の機関によって、日航機事故の原因について、遺族にわかりやすく説明する努力がなされた。遺族の方々が画期的なこととして受けとめる一方、いまだ原因の究明には、いくつかの疑問も残ることだと思う。
 これからも、可能な限り、事故調査機関によって、日航機事故の遺族の方々の納得の得られる事故調査と報告がなされることを願っている。

《参考記事》
「思い幾重にも重ねて 神流川で灯籠流し」2011年08月12日朝日新聞群馬
「祈り 安全と平和と」2011年08月13日朝日新聞群馬

2011年7月29日金曜日

運輸安全委員会、業務改善有識者会議(第1回)を開催

 7月27(水)、運輸安全委員会は、業務改善有識者会議(第1回)を東京都内で開催した。

 平成21年9 月に発覚した福知山線列車脱線事故調査報告書の漏洩に関わる問題から、運輸安全委員会は、脱線事故の調査報告書の内容や運輸安全委員会のあり方について検討する有識者や脱線事故の被害者・遺族からなる検証委員会を設け、検討を重ねてきた、
 今年4月、検証委員会は、その結果をまとめ、「運輸安全委員会の今後のあり方についての提言」を提出した。
 この中では、必要な業務の見直しを積極的に進めるために、外部の有識者を入れて組織と業務の改善を具体化する会合を設け、提言その他必要な事項の改革に取り組むべきであるとされ、今回の第1回の会議が開催された。
 
 この有識者会議は、検証メンバーであった関西大学の安部誠治教授や、弁護士で鉄道安全推進会議の佐藤健宗氏、作家の柳田邦男氏など、5名の委員からなる。会議は非公開。
 報道によると、会議後記者会見した座長の安部誠治氏は、検証メンバーが提言した事故調査の透明性確保や、被害者への情報提供の充実など10項目について、運輸安全委側が取り組みの状況を説明したという。
 これに対して、有識者からは「何のために事故調査をするのか社会に理解を得ることが大切」
「事故の背景にある組織の問題にまで踏み込もうという姿勢が見られるがより一層の努力を」などの指摘が出たという。

 また、報道によると、8月から、運輸安全委員会の委員長会見が定例化する。
事故調査の過程が、逐次情報公開され、事故情報が被害者や遺族に、わかりやすく説明されること、そして、事故がなぜ起きたのかていねいに説明されることが大切だと思う。
 日航機墜落事故の調査については、当時の事故調査報告書がわかりにくいという遺族の指摘を受けて、運輸安全委員会では報告書をわかりやすく説明する努力が進められ、近く解説書が公表されるという。このような作業をていねいに積み重ねていってほしい。

 専門家だけでなく、遺族や被害者や事故に関心を持つ人々誰でもがわかるような事故調査報告書を、そして何よりも、悲惨な事故を防ぐために役に立つ調査と報告書であってほしいと思う。

《参考》運輸安全委員会
「運輸安全委員会業務改善有識者会議(第1回)の開催について」(開催案内)
http://www.mlit.go.jp/jtsb/gyomukaizen/kai1-hou20110725.pdf
(7月29日追加)「運輸安全委員会業務改善有識者会議について」(配布資料など)
http://www.mlit.go.jp/jtsb/gyomukaizen/gyomukaizen.html

《参考記事》
「業務改善状況を確認 運輸安全委有識者会議」神戸新聞(2011年7月27日 山崎史記子)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004310118.shtml