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2018年1月14日日曜日

電動車いすの女性が死亡~JR神戸線東川踏切~

 報道によると、1月12日午後3時半ころ、兵庫県高砂市米田町島のJR神戸線東川(あずまがわ)踏切(遮断機、警報機付き)で、ハンドル型電動車いすに乗った女性が、普通電車(網干発米原行8両編成)にはねられて亡くなった。県警は女性の身元などを調べているという。
 高砂署などによると、電車の運転士が踏切の手前約300mで踏切内の車いすを見つけ、非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。踏切は長さ約10m、幅2.4m~2.9mで、女性は南側から渡り始め、下りの線路を過ぎて上りの線路ではねられたとみられている。
 近くの防犯カメラの映像には、遮断機が下りる前の踏切に女性が入り、線路上で約30秒間、車いすの操作をしようとしたり、手をあげたりして立ち往生しているような姿が映っていたという。女性は踏切内に取り残され、どんなに怖かっただろうかと思うと、やりきれない思いになる。

 JR西日本によると、現場には、主に車を検知するための「障害物検知装置」が設置されていたが、今回は車いすが小さいため、装置が検知しなかったという。
 しかし、踏切を渡るのは車ばかりではない。車いすに乗った方や、手押し車を押しながら渡るお年寄り、ベビーカーを押しながら渡る女性もいるだろうと思う。
 障害物検知装置は、踏切を渡る人すべてを検知して、電車が減速したり、踏切の手前で止まれるようにすべきではないかと思う。

 電動車いすで踏切を渡っていて取り残される事故は過去にも多く起きており、鉄道会社や消費者庁は電動車いすで渡る際の注意を呼び掛けてはいる。
 しかし、電動車いすで踏切を渡るお年寄りは、自力で脱出するのが困難だったりする。周囲に通行人がいないと、非常ボタンを押す人や脱出を助ける人がいない。
 また、踏切そのものに問題がある。線路に対して直角に交差しておらず、ななめに交差していたりすると、車いすの車輪が線路の溝に入りやすい。そうすると、自力で車いすを線路の溝から出すのが困難で、動けなくなることもある。

 また、電動車いすの計器異常やバッテリーが上がるといったことも原因として考えられるという。事故の原因を調査して、同様の事故が起きることのないよう、鉄道会社にも対策を考えてほしいと思う。

 宝殿駅と曽根駅の間では、過去にも、別の踏切で高齢の男性が電動車いすに乗っていて、踏切内に入り亡くなっている。今回と原因は異なるが、電動車いすの設計などにも安全対策が必要かどうか、検討してほしいと思う。

 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福をお祈りいたします

<参考記事>
「車いすの女性、電車にはねられ死亡 検知装置作動せず」朝日新聞2018年1月12日
https://digital.asahi.com/articles/ASL1D5Q3JL1DPIHB02T.html

2017年11月29日水曜日

東急田園都市線 男性の白杖をはさんで発車

    報道によると、11月17日、東急田園都市線の二子玉川駅(東京都世田谷区)で、視覚障害のある男性が持っていた白杖(はくじょう)を挟んだまま、電車が発車していたことがわかった。男性は白杖を手放したため、けがはなかったが、白杖は折れたという。

   報道によると、17日午後4時45分ごろ、駅ホームにいた視覚障害者の男性が、白杖の一部を車内に入れ、車両内にいた乗客に「この電車は各駅停車か急行か」と尋ねたところ、乗客の返事がなかったため、男性は乗るのをあきらめてドアから離れた際、ドアが閉まったという。この停車していた押上発中央林間行き下り電車は、男性の白杖を挟んだまま、次の二子新地駅(川崎市)まで運行された。
 当時、車掌はモニターで男性が車両から離れるのを確認したが、白杖が細くて見えなかった。また、ドアに物が挟まったことを感知するセンサーも反応しなかったという。二子玉川駅には、今年度中にホームドアを設置する予定だという。東急電鉄は「ホームドアを設置するだけでなく、社員教育を徹底して再発防止に努めたい」としている。

 駅のホームは、視覚障害者の方のとっては、「欄干のない橋」と同じだという。点字ブロックが設置されているとはいえ、人にぶつかったりすると方向がわからなくなったりするという。狭くて危険なホームが多く、転落事故も後をたたない。一刻も早くホームドアを設置してほしいものだ。

<参考記事>
「田園都市線が白杖はさみ発車 男性けがなし」毎日新聞2017年11月29日東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20171129/ddm/041/040/119000c

2016年8月31日水曜日

横浜市鶴見区生見尾踏切の事故から3年


  3年前の8月23日夕刻、横浜市鶴見区にあるJR京浜東北線の生見尾踏切でお年寄が、踏切を渡り切れず踏切内に取り残され、電車に撥ねられて亡くなった。

 この事故を機に、横浜市と周辺に住む住民、商店街などと、踏切にどのように、線路をまたぐ歩道橋を設置するか、話し合いが持たれたが、未だに工事が始まる気配はない。
 生見尾踏切には、JR東日本の3つの路線と貨物線が走る。横須賀線、京浜東北線を渡ると、いったん踏切が閉まる。退避場所をはさんで、東海道線の踏切を渡ると、頭上に貨物線が走る。貨物線のガードをくぐると、今度は、京浜急行の踏切が待っている。北側の岸谷から、踏切を3つ渡らないと、南側の生麦地区に行かれない。生麦駅に行く歩道橋は急な階段で、足腰の悪い高齢の男性が渡ることはできない。

 
右から、横須賀線、京浜東北線、東海道線の線路が並ぶ。

生見尾踏切の北側から、歩道橋を見る。手前は横須賀線の線路。

 三つの踏切全部の踏切を渡り終えるのに、いったい何メートルあるだろうか?
踏切の周辺に住む人たちは、この踏切を渡らないと、商店街やスーパーに行かれない。
また、子どもを自転車の後ろに乗せて、この踏切を渡って、保育園に通う人もいると聞く。

 朝夕のラッシュ時は、通勤や通学、保育園の送り迎えなど、大勢の人で混雑する踏切。
歩道と車道を分けたり、踏切があることを知らせ踏切内で立ち止まらないように注意するアナウンスも設置された。
 しかし、開かずの踏切であることに変わりはない。遮断機が開いたと思うと、踏切を渡り切らないうちに、警報が鳴りだす。私はつまづかないように慌ててわたり、渡り切ると、ほっとする。

 そんな不安な思いをしながら渡るのは、嫌だと思う。早く、古い急な階段の歩道橋を改善し、エレベーター付きの歩道橋を設置してほしいものだと思う。
 鉄道会社と地元自治体、周辺の住民、皆さんで知恵を出し合って、一刻も早くこの踏切の状況を改善してほしい。

 最後になりましたが、3年前の8月23日、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

《参考》
拙ブログ
「88歳の男性死亡、踏切渡り切れず~JR京浜東北線生見尾(うみお)踏切」2013年8月25日
http://tomosibi.blogspot.jp/2013/08/88jr.html

《参考記事》
「踏切事故防止 地域の知恵を集めよう」朝日新聞2016年5月10日社説(2016年5月10日アクセス)
http://www.asahi.com/paper/editorial2.html?iref=editorial_news_one

2015年7月22日水曜日

認知症のお年寄りが亡くなった事故~JR東海道線共和駅をたずねて

 2007年12月愛知県大府市JR東海共和駅で、認知症の症状のある男性(当時91歳)が、電車に撥ねられて亡くなった事故をめぐり、JR東海は男性の遺族に対して損害賠償請求をもとめていた。
 2014年4月24日、名古屋高裁で、この裁判の控訴審判決が言い渡された。
 裁判長は、判決で、認知症だった男性の配偶者として、男性の妻に民法上の監督義務があったと認定して、損害賠償の支払いを命じた。また、男性の長男には見守る義務はなかったとして、JR東海の請求を棄却した。一審の名古屋地裁では、男性の介護に携わっていた妻と男性の長男に対して、JR東海の請求通り約760万円の支払いを命じていた。
JR東海共和駅のホーム端には、階段が設置されている。施錠されていなければ
階段を下りて、線路に出られる。              2015年7月12日撮影

JR東海大府駅の改札口。男性は、切符を持っていなかったが、駅改札を通って
隣の駅へ行ったとみられている。               2015年7月12日撮影
判決では、男性の妻が、人の出入りを検知する入口のセンサーのスイッチを切っていたことから、「徘徊の可能性のある男性の監督が十分でなかった」と判断した。
 一方で、判決は、男性の長男の妻は、長男夫妻の住む横浜から、男性の住む大府市に転居し、男性の妻とともに男性を在宅介護をしていたことを評価した。そして、JR東海が駅で利用客等に対して十分な監視をしていれば、また、共和駅先端のフェンス扉が施錠されていれば、事故の発生を防止することができたとした。
共和駅ホーム端にはフェンスがあり、階段が設置されている。
                                 2015年7月12日撮影
事故当時は、施錠されていなかった。施錠されたのは、地裁判決の
後だった。事故当時は、回転式の留め具だけだった。
留め具は写真のように簡単に回せるから、男性は扉をあけることが
できただろう。                    2015年7月12日撮影
2015年7月12日、愛知県大府市にある、亡くなった男性のお宅を訪ねた。駅前に店を出すことを夢見ていた男性は、駅の目の前に店を出せたことをことのほか喜んでいたに違いない。
 男性の長男は、「父は、当日夕方、店の前を通る通勤客の流れにのるように歩いて行って、駅に入ったのではないか。改札を通り、突き当たると右に東海道線のホームに下りる階段がある。その階段を下りると、電車が来たので、乗車した。隣駅の共和駅でおり、ホーム端に行き、施錠されていなかった扉を開けて、階段を下りた。階段をおりたものの、今度はホームに戻る道がわからず、線路に出たところに新快速が来て撥ねられたのではないか…」と事故当時のことを振り返る。冬の夕方は暗くなるのが早い。ホームの端は暗く、共和駅手前の線路がカーブしているため、新快速の電車の運転士からは男性が見えなかったという。

JR共和駅のホーム端。男性は階段を下りた後、線路内に入ったとみられている。
新快速は共和駅を高速で通過する。            2015年7月12日撮影
男性は、出かけるときは、探しものをするように「かばんはどこか?」と聞いたりしていた。だから、出かけたいときは何となくわかったという。そんなとき、家族はいっしょに外に行き、散歩をする。外を歩くのは、気になる場所があるからだ。昔住んでいたところや、子供時代を過ごしたところへ行こうとするという。少し歩いて、それとなく「もうそろそろ帰りましょうか」と声をかける。
 認知症の人に対して、はじめから外に出てはいけないと家の中に閉じ込めるのではなく、外に出ても、安全に歩いて帰って来られることが大事なのではないか。
 
 安全に歩き戻って来られるように、町ぐるみで、認知症の人を見守る取り組みをしているところもあると聞く。認知症の人の介護を家族だけに任せるのではなく、社会で見守る取り組みがすすんでほしいと思う。

 名古屋高裁は、判決の中で、「被控訴人(注)が営む鉄道事業にあっては、専用の軌道上を高速で列車を走行させて旅客等を運送し、そのことで収益を上げているものであるところ、社会の構成員には、幼児や認知症患者のように危険を理解できない者なども含まれており、このような社会的弱者も安全に社会で生活し、安全に鉄道を利用できるように、利用客や交差する道路を通行する踏切等の施設・設備について、人的な面も含めて、一定の安全を確保することが要請されているのであり、鉄道事業者が、公共交通機関の担い手として、その施設及び人員の充実を図って一層の安全の向上に努めるべきことは、その社会的責務でもある」と、鉄道事業者の責務にふれている。
 2013年の名古屋地裁の判決に対して、認知症の人の介護をする家族や関係者からは、驚きと不安の声があがり、それに対して社会的な支援の必要を訴える識者の意見も聞かれた。
 鉄道事業者も、認知症の人への理解を進め、ホームや踏切の安全対策を検討し進めてほしい。

最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

≪参考≫
●名古屋高等裁判所判決 平成25年(ネ)第752号 損害賠償請求控訴事件 [原審・名古屋地方裁判所 平成22年(ワ)第819号]
●この事故については、以下に詳しく書かれている。
「踏切事故はなぜなくならないか」 安部誠治編著:高文研発行
  p.107~148 「介護ができない―JR東海認知症事故」 銭場裕司(毎日新聞)

≪注≫ JR東海をさす。
 

2015年4月21日火曜日

「私たちのJR福知山線脱線事故-事故から10年展」~東京・駒込で

 今月25日で、2005年に起きた福知山線脱線事故から10年がたつ。
 兵庫県尼崎市のJR福知山線の尼崎駅手前の急カーブで、事故は起きた。快速電車が制限時速70kmの急カーブを時速116kmで進入し、曲がりきれずに脱線転覆、線路脇にある9階建てのマンションに衝突し、乗客106人と運転士が死亡、526人が負傷した。
 2007年6月、国交省の航空・鉄道事故調査委員会は、運転士のブレーキ操作が遅れたことが、脱線の原因とする事故調査報告書を公表した。

 事故は、朝の満員電車で起きた。もし、東京で、朝の通勤・通学の時間帯で起きたらと、不安に駆られて毎日、乗車する人も少なくないだろうと思う。
 私自身も、乗車している電車がスピードを出してくると、気分がよくない。スピード重視の運行で本当に安全なのかと疑問を持つ。しかし、私は他に移動手段がないので、しかたなく鉄道を利用している。
 報道によると、横浜の女性が、脱線事故で負傷した男性や女性の書いた絵や模型を展示することを企画、今月22日から26日まで駒込で企画展を開くという。
 女性は、フリーライターの木村奈緒さんで、昨年、テレビのドキュメンタリー番組で2両目で負傷した小椋聡さんが事故現場の絵画や模型を製作していることを知り、企画を思い立った。
 東京で、小椋さんらの絵を見ることができれば、福知山線脱線事故を考える機会になるのではと思う。

 場所は、豊島区駒込のKOMAGOME1-14cas。午前11時から午後8時まで。入場無料。22日は午後6時半から小椋さんらのトークイベントも開催される。トークイベントは要予約。
詳しくは、「私たちのJR福知山線脱線事故-事故から10年展」http://fukuchiyama10years.tumblr.com/
≪参考記事≫
「福知山線の教訓 東京も忘れずに 横浜の女性が企画展」東京新聞2015年4月8日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015040802000118.html

2015年2月18日水曜日

大型トラックと普通列車が衝突~倉敷市JR山陽線八人山踏切

 
 報道によると、2月13日午前8時20分頃、岡山県倉敷市船穂町船穂にある八人山踏切で、大型トラックと福山行きの普通列車が衝突した。
 トラックは踏切で立ち往生したため、運転手がトラックから降りて、非常ボタンを押したが、列車は非常停止したものの、間に合わず、トラックと衝突したという。踏切は、JR山陽線西阿知駅と新倉敷駅との間にあり、遮断機と警報機が設置されている第1種踏切だった。列車内には通勤や通学の乗客ら300人が乗っていた。乗客ら18人が負傷し、そのうちの20代の男性が意識不明の重体だという。

 トラックの運転手は、大型トラックはエンジントラブルが続き、昨年12月に修理したばかりだったが、事故当時もエンジンが動いてもギアが入らず、踏切内で動けなくったと話しているという。

 2月17日、岡山県警は、トラックを所有する運送会社と、販売・修理を担当した自動車販売会社の水島支店を、過失往来危険の疑いで捜索した。
 運送会社によると、立ち往生した三菱ふそうトラック・バスの「ふそうスーパーグレート」は約3年前に購入、これまでも動かなくなるトラブルがあったため、昨年2,3,4月に修理した。また、7月には、リコールの対象になったため、12月にも修理したという。県警は、過去の整備記録なども調べ、事故との関係を調べる方針。

 この捜索を受けて、三菱ふそうトラック・バスは、捜査や関係機関の車両調査の要請に対して、全面的に協力して、原因究明を行うとするコメントを発表した。

 この事故は、直後の報道でも、トラックの運転手が、エンジンの不調を訴えていたことが報じられている。運輸安全委員会では、なぜ踏切内でトラックが立ち往生することになったのか、十分調査してほしい。

 最後になりましたが、負傷された方々が一刻も早く回復されることを祈ります。

≪参考記事≫
「JR山陽線 乗客10人が病院に搬送」毎日新聞 2015年2月13日
http://mainichi.jp/select/news/20150213k0000e040207000c.html
「運送会社とトラック販売会社を捜索 踏切事故で岡山県警」朝日新聞2015年2月17日
http://digital.asahi.com/articles/ASH2K2JH1H2KPPZB002.html

2014年11月27日木曜日

電動車いすのお年寄りが亡くなった踏切~滋賀県長浜市JR北陸線木之本踏切

 報道によると、10月24日、午前10時20分頃、長浜市木之本町木之本のJR北陸線木之本踏切で、電動車いすに乗って、踏切を渡っていた高齢の男性が、木之本駅を通過する名古屋発和倉温泉行きの特急電車に撥ねられて亡くなった。特急の運転士が踏切内の男性に気が付いて非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。
 警察によると、木之本踏切の警報機・遮断機は、正常に作動していたという。
 
 11月23日、木之本踏切に行った。木之本踏切は、JR北陸線木之本駅のホームのそばにあった。警報機・遮断機のある第1種踏切で、非常ボタンも設置されていた。木之本駅には各駅電車は停車するが、特急は高速で通過する。駅を出て踏切を渡ると、国道に出るために信号がある。踏切の長さは20m位で幅は8~9mはあるだろうか。
 踏切道は駅と国道を結び、北陸自動車道の木之本インターチェンジも近くにあるためか、車両の通行が多かった。歩行者用の路側帯は両脇にあるが、それぞれ1mもなく狭い。歩行者は車をよけながら、踏切を渡らねばならない。
写真① JR北陸線木之本踏切。左に見えるのは、木之本駅のホーム。手前の
線路が下り線。男性はこちら側から踏切に入ったが、線路を渡りきれなかったらしい。
下りの特急は右側から来て、木之本駅を高速で通過する。2014年11月23日撮影
私が訪れた日は、SL北びわこ号が運行される日だった。木之本駅には、SLの運行予定を調べて行ったのではなく、偶然SLに出会ったのだが、SLファンが多いのには驚いた。木之本駅はSL北びわこ号の終点で、ここからSLは機関車にひかれて米原へもどる回送電車になる。そのせいか、駅周辺は、SLを撮影に来た人たちの車両が駐車していたり、SLに乗車して木之本駅まで来た子供連れの人たちで混雑していた。
 木之本踏切を渡って100mほど先に信号があるので、車両が踏切と信号の間に多く入ってしまわないように、この日は、警備員の男性が車両の誘導にあたっていたが、SLの運行のない日は、警備員が踏切に立つことはないという。
写真② 木之本駅に到着したSL北びわこ号。2014年11月23日撮影
電動車いすを運転する男性が、どういう状況で踏切内に取り残されたのか、報道では定かではない。しかし、踏切道の路側帯をみると、幅が狭いうえに、途中に、車両が路側帯に入らないようにするためなのか、小さなU字型の柵がある。(下の写真③)
写真③ 路側帯にU字型の柵がある。      2014年11月23日撮影


写真④ 木之本踏切を通過する下りの特急電車。   2014年11月23日撮影
電動車いすの男性が、写真③のこちら側から、下り線路を渡ったところで、写真のような小さくても、柵があったら、通行できない。後戻りして、車道に入り直して先に進まなくてはならない。
 後進しようと、電動車いすを操作しているうちに、早い特急電車は踏切に来てしまう(写真④)。
男性がどちらの路側帯を通行していたのかわからないが、いずれにしても狭い路側帯を車両に注意しながら、踏切を通行するのは大変だ。
 
 
 電動車いすの事故は、(独)製品技術評価基盤機構が事故調査にあたる。また、今度、消費者庁の消費者安全委員会も、新しく電動車いすの事故を調査することを決めた。
 調査にあたる委員会には、男性の乗っていた電動車いすが製品として問題がなかったかどうかだけでなく、踏切の安全対策に問題はなかったかどうかも調査して、事故が減るよう、対策を検討してほしいと思う。
 急速に高齢化が進んでいるという日本。お年寄りは、一人で自立して行政や周囲に頼らずに生きていくように言われている。また、お年寄り自身もなるべく人に迷惑をかけないように、子供らの負担にならないようにと懸命に生きている。電動車いすや手押し車などに頼って必死に歩いて買い物や通院に出かけるお年寄りが増えている。そんな中、町の中はバリアフリーが十分進んでいるとは言いにくい。とくに踏切やホームでは危険が大きいと感じる。
 高齢者に「自立せよ」というばかりではなく、自立して安心して生きていけるよう住みやすい環境をつくるべきではないだろうか。

最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福を祈ります。
 
≪参考記事≫
「特急と衝突、車いすの男性死亡 誤って進入? 長浜の踏切 /滋賀県」朝日新聞大阪2014年10月25日
http://digital.asahi.com/article_search/detail.html?keyword=%E6%9C%A8%E4%B9%8B%E6%9C%AC%20%E8%B8%8F%E5%88%87&kijiid=A1001220141025M-SI-1A-014&version=2014112605

2014年11月8日土曜日

再発防止と事故調査~JR飯田線湯沢踏切の事故調査報告書

 
  10月30日、運輸安全委員会は、今年4月12日に長野県飯田市のJR東海飯田線湯沢踏切(第4種、警報機・遮断機なし)で起きた踏切死亡事故について、事故調査の結果を公表した。
 遮断機のない踏切については、今年4月から、死亡事故に限り、運輸安全委員会の事故調査対象に加えられた。
 4月以降、運輸安全委員会は、8件の鉄道事故に事故調査官を派遣している。残念ながら、その        うち6件は踏切事故である。また、5件は、遮断機のない踏切で起きた死亡事故である。
 
 JR東海飯田線湯沢踏切の事故調査報告書(以下、報告書と略)については、運輸安全委員会のホームページで公表されている。報告書を読んで感じた疑問点を挙げてみたい。
 
 
 今年4月12日、長野県飯田市にあるJR飯田線湯沢踏切(第4種、警報機・遮断機なし、以下湯沢踏切と略)で、近くに住む男性の運転する農耕トラクタ(以下、トラクタと略)と、飯田線天竜峡駅発中央線茅野駅行の下り普通列車(2両編成)が衝突し、運転していた男性が亡くなった。
 報告書の「4原因」(7ページ)では、事故が、男性が「小型特殊自動車の通行が禁止されている湯沢踏切道に、トラクタが侵入したものの通過しきれず、列車と衝突したことにより発生したものと考えられる」と書かれている。
 また、報告書「4原因」では、列車が湯沢踏切に接近していることに気付かずに運転者がトラクタを踏切に進入させたのは、湯沢踏切の幅員が狭く、通常はトラクタで通行しない踏切道であったことから、運転者が運転に意識が集中していたことが影響した可能性があると考えられるという。

1. なぜ、トラクターの運転者は踏切を渡ったのか?
 報告書3ページで、湯沢踏切の交通規制について、事故当時、異なる標識があったことを指摘している。
 踏切の両脇には、「二輪の自動車以外の自動車通行止め」の標識が設置されている。一方、湯沢踏切の20m手前、踏切を通る市道と県道との交差点には、「二輪の自動車以外の自動車通行止め、小特を除く」の規制予告を表示する指示標識が設置されていた。「小特」とは、小型特殊自動車のことで、農耕トラクタも含まれる。
 しかし、自動車通行禁止であるなら、踏切の入口にポールなどを設置して、自動車が進入できないようにすべきだと思うが、事故当時は設置されていなかった。報告書には、道路管理者が再発防止策として、事故後今年9月に金属製の杭を設置したとある。


JR東海飯田線湯沢踏切。男性はこちら側から、トラクタに乗って踏切に入って
渡ろうとしていた。柵があるので、斜めに入らねばならない。2014年4月29日撮影

   報告書4ページには、この指示標識が、踏切に設置されている標識と相違した表示であることから、本事故後に、この標識は撤去されたとあるが、どうしてこのような矛盾する表示がされていたのか、報告書には記述がない。
 信濃毎日新聞の報道によると、どのような経緯で異なる規制が表示されたのか、飯田署や長野県警に取材したが、警察ではわからないとの返答だった。
 報告書では、亡くなったトラクタの運転者がトラクターの通行禁止を知っていたかどうかはわからないとしている。
 事故がなぜ起きたのかを考える上で、交通規制がどうなっていたのかという点は重要なことだと思う。
 一人の人間の命が関わっているのだ。いつから、異なる交通規制の表示があったのか、もし調査したのなら記載されるべきだし、調査していないのなら調査すべきだと思う。

2. なぜ、トラクターの運転者は列車を確認できなかったのか?
 報告書の中で、湯沢踏切から列車の来た方の見通しについて、調査した結果が記されている。
 湯沢踏切付近は半径400mの右曲線(列車の進行方向に対して、以下、左右は列車の進行方向に対して)で、列車からすると線路は下り坂である。同踏切の左側は、市道が踏切で左に曲がり上り坂になっている。そのため、トラクタの男性が来た踏切左側から、列車の来た伊那上郷方面を見ると、この坂道が邪魔をして見通しが悪い。

湯沢踏切の周辺図と事故現場略図。豊橋を起点として
距離が書かれているので、わかりにくい。
図の中に本文中で説明されているポイントを記入するとよい。
(図は、運輸安全委員会事故調査報告書よりコピー)

報告書には、踏切の左側から伊那上郷駅方面を見た列車見通距離は、150mとある。また、トラクタが進んだとされる経路上で、もっとも列車を見通せる位置についても検討している。
 6ページには、トラクターが列車と衝突した踏切右レール上から約10m手前の位置付近が、最も列車の見通しがよいが、トラクタがその位置にいたとき、列車は踏切から約370m付近を走行していたから、トラクタの運転者は、接近する列車を確認することはできなかったものと考えられると指摘している。
 トラクタの運転者が、近づく列車に気が付かなかったのではなく、そもそも踏切から見える位置に列車が来ていなかったのである。


湯沢踏切の入口に立って、列車の来た伊那上郷駅方向を見る。
左には草が茂り、右側には鉄塔があって、列車の来た方角は
上り坂になっており、見えにくい。150mほど先に、警報機・
遮断機のある第1種踏切の唐沢踏切がある。2014年4月29日撮影
 また、列車の運転士からも踏切が直前まで見えない。報告書によると、運転士は約70m前方にある湯沢踏切道内の右レール付近に、右側を向いたトラクタを認めたと話している。運転士は、すぐに非常ブレーキを使い汽笛を鳴らしたが、踏切の右側にいたトラクタと列車の右側が衝突し、約140m走って止まった。
  唐沢踏切から見た湯沢踏切方面。下り坂になっている。列車の運転士は、
  踏切手前70mあたりで、湯沢踏切にトラクターに乗った男性がいることに
     気付いたという。唐沢踏切と湯沢踏切は150mほど離れている。
  報告書によると、運転士からの踏切見通しは40m。  2014年4月29日撮影
列車の運転士がトラクタを認めてから止まるまでの距離140mと70mを、単純にたすと210m。これからすると、この列車が、踏切の手前で安全に止まるには、210m以上必要だということだ。それなら、運転士が気が付いた70m手前よりも、もっと手前から、踏切の異常が運転士にわかるための対策をとるべきではないだろうか。

3. なぜ、トラクタは踏切内に取り残されたのか?
 ①湯沢踏切の入口には踏切注意柵があるため、トラクタは斜めに踏切に進入する。そのため、踏切を斜めに横断することになる。ななめに横断すると、レールに車輪がはさまったり、ハンドルをとられやすい。
 ②湯沢踏切に接続する道路は市道で、舗装されていない。踏切には、レールをまたぐ幅1.8m長さ2mの敷板が敷設されているが、敷板が短く、敷板と市道までの間はバラストと呼ばれる砕石が敷かれている。市道と踏切の敷板との間がゴロゴロとした石では歩きにくいし、トラクタでは、ハンドルをとられやすいと思う。
 ③幅が1.8m、長さ2mしか敷板のない踏切を渡るには注意が必要だ。トラクタ本体と田畑の耕うんを行うロータリー装置を含め、トラクタの全長は3.2m、全幅1.40m、全高1.24mある。トラクタが脱輪しないように速度を落としてゆっくりと渡らねばならない。
 報告書によると、トラクタの運転者は、変速レバーが前進2段(時速1.62km、秒速約0.45m)と、速度を落として踏切に入っている。男性は、踏切をゆっくりと慎重に渡っていたのだろうと思う。  トラクタの最高速度は前進6段(時速12.56km、秒速約3.49m)だが、走行中に変速できない構造だった。
 列車の汽笛を聞いた男性は、間近に迫っている列車に気付き、どれほどの恐怖を覚えたことだろうか。当時の男性の心境を思うと、やりきれない。

男性は、こちらからトラクタで踏切を渡ろうとした。敷板と市道の間は
舗装されていない。ゴロゴロとした砕石が敷かれ、渡りにくい。
                                 2014年4月29日撮影

4. 運転者に唐沢踏切の警報音は聞こえただろうか?
 報告書5ページには、湯沢踏切の手前150mにある唐沢踏切(第1種、警報機・遮断機あり)と、約100m先にある座光寺踏切(第1種、警報機・遮断機あり)の両踏切の警報音は、湯沢踏切で聞くことができたとある。また、座光寺踏切の全方位型警報灯が明滅するのが見えたと記述されている。
 湯沢踏切を通行する者は、湯沢踏切に警報機がなくても、列車の来た方角150m先にある唐沢踏切の警報音や、元善光寺方向100m先にある座光寺踏切の警報音と警報灯の明滅を見て、列車の接近に気付かなくてはいけないとうことだろうか?

  しかし、トラクタを運転していたら、トラクタの走行する騒音(報告書によると、定常走行騒音75dB)で、列車の来た方角にある唐沢踏切の警報音は聞こえないだろうと思う。
 また、報告書によると、この湯沢踏切手前の付近は住宅があることから、第4種踏切の手前では汽笛合図を行うことを指示する標識が、設置されていないという。
 つまり、湯沢踏切の手前では、列車の接近を知らせる汽笛が鳴らされない。列車の接近を知るには、湯沢踏切の付近にある唐沢踏切や、座光寺踏切の警報音などに頼らなくてはならないということだ。
 

 警報機や遮断機のない踏切では、どちらから列車が来るのかわからない。湯沢踏切のような列車の来る方角が見通しの悪いところでは、踏切通行者にとっては列車の接近していることが、列車の運転士にとっては踏切の異常事態がわからず、危険だと思う。
湯沢踏切から元善光寺駅方面を見る。100mほど先に警報機・遮断機のある
座光寺踏切がある。                      2014年4月29日撮影

  遮断機のない踏切で事故調査を開始するにあたり、運輸安全委員会の後藤委員長は、3月26日の会見で「運輸安全委員会としては、原因究明のための適確な調査を行うことで、踏切障害事故の再発防止及び被害軽減に寄与して参りたい」と語っていた。
 遮断機のない踏切で事故調査が開始され、踏切事故の実態が広く一般に知られることになった。踏切事故を無くしていくために、さまざまな分野の方々の知見と英知が集まることを期待したい。

≪参考≫
運輸安全委員会ホームページ
「RA2014-9 鉄道事故調査報告書 Ⅲ 東海旅客鉄道株式会社 飯田線 伊那上郷駅~元善光寺駅間  踏切障害事故 平成26年10月30日」
http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/RA2014-9-3.pdf
拙ブログ、湯沢踏切については
「遮断機のない踏切で事故調査~JR飯田線湯沢踏切」2014年4月30日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/04/jr_30.html
≪参考記事≫
「トラクター進入 内容違う2標識 飯田署事故後に1つ撤去」信濃毎日新聞2014年10月31日付

2014年9月25日木曜日

踏切事故情報の開示と事故の再発防止

 今年7月15日付で、国土交通省に、「運転事故等整理表」の開示をもとめ、情報公開請求した。
これに対して、8月27日付で、国交省情報公開室は、備考欄に記入された年齢・性別と、事故を報告した鉄道事業者以外の法人を特定できる情報について開示しないと回答してきた。
 国土交通省鉄道局がホームページで毎年公表する「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報」(以下、「情報」と略)の1ページには、「この情報により、鉄道事業者の安全の確保に対する意識
が高まるとともに、鉄道の利用者や沿線住民等の安全利用等に関する理解が促進されるよう期待しています」と書かれている。
 
 
 この「情報」の統計のもととなる「運転事故等整理表」は、さまざまな鉄道事故を分析し、再発防止策を検討して行く上で、重要である。特に、事故関係者の性別や年齢は、個々の事故の特徴を分析する上で欠かせない情報である。
 各運輸局には、毎月、鉄道会社から事故の届け出が提出される。この届け出の1年分を国土交通省鉄道局がまとめ、統計をとり、「情報」として、毎年公表している。
 
 

 鉄道局が、平成22年4月1日付で出した通達(国鉄施第88号、国鉄安第90号「『鉄道事故等報告規則等の事務取扱いについて』の一部改正について」)により、鉄道事業者が、事故関係者の性別・年齢を「鉄道運転事故等届出書」の「備考」欄に記入することが義務づけられた。
 その結果、平成22年度より、鉄道局においてこの情報を集計し、事故関係者を年齢別に集計した結果が「情報」の中で公表されることとなった。
 この統計から、踏切事故の半数近くに60歳代以上の高齢者が関わっていることがわかり、踏切事故においても、高齢者に対する安全対策を講じる必要があることがわかった。
 このように、踏切事故を無くすための対策を考える上で、事故関係者の性別や年齢は重要で、欠かすことができない。
 
 
 また、「運転事故等整理表」で、事故を報告した鉄道事業者以外の法人名および法人が識別できる情報等については、事故情報の基礎的な情報であり、事故の再発防止にとって重要であり、開示される必要がある。事故情報の開示は、事故の事実の開示であり、事故に関係した法人に対する評価をするものではない。事故の事実全体を把握することで、再発防止策が検討できる。
 事故の情報が公開され、鉄道事業者のみならず、行政、沿線住民、鉄道利用者など、あらゆる人々と共有することで、事故を無くすための英知、経験が集まり、事故を無くすことにつながると思う。
 

 事故の状況を正確に知ることは、私たち遺族の願いでもある。突然、大切な人がなぜ、この世を去らねばならなかったのか、納得のいく説明を受けたいと思っている。病気で亡くなるのであれば、医師から 病気について説明を受け、大切な人の死を受け入れる準備ができる。
 しかし、私たちは、事故で突然大切な人を失い、混乱している。葬儀をしたのに、どこからか、「ただいま!」と、亡くなった人が帰ってきそうな気がする。亡くなった人の使っていたものを片付けることができない。
 正確な情報をわかりやすく説明され、同じような事故が起きないよう、事故の対策を講じていただくことは、私たちが大切な人の死を受け入れる上で必要であり、亡くなった人の命を生かすことでもあると思う。
 踏切事故の状況は、事故の現場にだれか居合わせればわかることだろうが、事故のほとんどは、事故調査もされないため、私たち遺族は事故の状況を正確に知ることができない。鉄道会社が、事故の情報を正確に把握し、届け出ることが必要である。そして亡くなった人たちの命を無駄にしないよう、二度と同じような事故が起きないよう、再発防止に取り組んでいただきたいと思う。 
 


2014年9月5日金曜日

認知症のお年寄り、線路内に迷い込む~JR根岸線本郷台駅

 報道によると、9月4日午後6時20分ころ、横浜市栄区小菅ケ谷のJR根岸線の線路上で、81歳の男性が大船発大宮行きの普通電車に撥ねられて亡くなった。
 警察によると、男性は、妻と二人暮らしで認知症の診断をうけており、この日は現金を持たないまま、午前9時ころ一人で家を出たと言う。妻は、自宅で客と対応中で、その間に、男性は家を出たようだ。男性の自宅から、本郷台までは、約50km離れている。

 男性は、本郷台の駅のホームから線路内に下りたと見られている。どのように男性が線路内に入ったのか、事故の状況はまだ詳しく分からない。しかし、判断力が下がったお年寄りや幼い子供らが、線路内や踏切内に簡単に入れてしまうのはおかしいと思う。
 鉄道会社は、線路内に人が入れないようにフェンスをつくるとか、ホームから線路内に入れないようにする対策を進めるべきだと思う。
 高齢化が進み、判断力が弱くなって来たお年寄りも増えてきているという。実際、国交省の統計でも、踏切事故も60歳以上の人が関わる事故が半分ちかいことがわかっている。
 鉄道会社や自治体は、高齢化に合わせた安全対策を急ぐべきだと思う。

■2014年9月6日追記
《参考》今年1月、拙ブログで、認知症のお年寄りの事故についてとりあげた。
「お年寄りの踏切事故、実態調査を」2014年1月27日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/01/blog-post_27.html
《参考記事》
「東京の認知症男性 横浜の線路上ではねられ死亡」毎日新聞 9月5日(金)1時11分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140905-00000001-mai-soci


2014年7月31日木曜日

国交省「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成25年度)」を公表

 7月30日、国土交通省のホームページによると、国交省鉄道局は「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成25年度)」を公表した。

 それによると、平成25年度は、踏切事故が前年度にくらべて、8件減って287件、死亡者数は30人減って90人となった。
 死亡者数が大きく減ったのは、自動車などの「直前横断」が減って、「直前横断」の死亡者数が26人減って61人となったことが大きい。
 踏切の安全施設を管理する鉄道関係者や踏切道を管理する自治体などが、事故防止キャンペーンなどに取り組んだ成果だろうと思う。

 しかし、死亡者数が大きく減ったとはいえ、昨年度の踏切事故の中には、お年寄りが渡り切れずに踏切内に取り残されて電車に撥ねられたり、踏切内のお年寄りを助けようとした女性が電車に撥ねられて亡くなるなどの踏切事故が相つぎ、踏切事故の問題が報道などで大きく取り上げられた。深刻な問題を抱える踏切の事故が多かった。
 また、第3種(警報機あり、遮断機なし)・第4種(警報機なし、遮断機なし)踏切の事故は、合わせると44件で、前年度に比べて変わらなかった。遮断機のある踏切に比べて、事故が起きる割合が大きい状況は、変わっていない。第3種・第4種踏切の割合は全体の11%だが、事故は踏切事故全体の15.3%をしめている。

 お年寄りが渡り切れない長い踏切や、凹凸のある歩きにくい踏切の問題は、どう解決されるのか。踏切を渡る人や電車を運転する人の注意に頼る「安全対策」ではなく、具体的な対策をとるべきではないのか。
 鉄道会社が踏切警報時間を設定する際の人の歩く速さが、お年寄りが歩く速さよりも早いため、お年寄りが警報時間内に渡り切れないことがわかっている。踏切ごとに、通行者の実態を把握して、お年寄りが多ければ、警報時間の設定を検討した方がよいと思う。
昨年8月、お年寄りが渡り切れずに電車に撥ねられて亡くなった。
横浜市鶴見区生麦にある生見尾踏切。  2013年8月24日撮影
また、凹凸のある踏切道は、健常者だけでなく、お年寄りや車いすに乗って渡る人や、ベビーカーや手押し車を押しながら渡る人にとって、大変渡りにくいことが、テレビの報道などからわかった。
昨年4月、電動車いすに乗って渡っていた男性が亡くなった。
大阪府高石市羽衣7号踏切。カーブの途中にある。2014年7月20日撮影
線路のカーブにある踏切では、線路の外側が内側よりも高くなっているため、どうしても道路に凹凸ができる。特急や急行がカーブでスピードを落とさないためには、線路の高低差が必要なのだろう。しかし、踏切を渡らねば、生活できないお年寄りや近くに住む人のことも考えてほしい。毎日、小学校へ通学するために、危険な長い踏切を渡らねばならない子どもたちのことを考えてほしい。

 事故を減らすには、一つ一つの事故の実態を把握しなくてはならないと思う。数字の中の一つ一つの事故を具体的にみることで、それぞれの踏切にあった安全対策が出てくるのではないか。
 
 

今年2月、自転車で横断していたお年寄りが取り残されて亡くなった。
カーブの途中にあるため、凹凸が大きい。
東京都足立区千住東1丁目にある踏切。 2014年2月12日撮影。
《参考》
写真の踏切の事故については、それぞれ拙ブログでとりあげた。

なお、「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成25年度)」は国土交通省鉄道局ホームページ
http://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr8_000019.html

《追記》
第3種・第4種踏切の事故件数について、記述追加しました。(2014年8月2日)

2014年7月22日火曜日

電動車いすのお年寄りが亡くなった事故~大阪府高石市南海本線羽衣7号踏切

 報道によると、昨年2013年4月15日午後0時40分ころ、大阪府高石市加茂にある南海本線の踏切で、電動車いすに乗った男性が亡くなる事故が起きた。
 
 事故のあった踏切は、南海本線の羽衣と高石駅の間にあり、警報機・遮断機が設置された第1種踏切である。幅約2m、長さ約9mで、踏切がカーブの途中にあるため、線路の外側は脱線を防ぐため、内側よりも高くなっている。そのため、踏切道に起伏ができ、高低差が20~30センチあるという。
 四輪車は通行止めのため、事故当時、障害物検知措置はなかった。また、非常ボタンは設置されていた。
 目撃した人の話によると、男性が乗っていた車いすが踏切内に立ち往生していたという。列車の運転士が、約110m手前で、踏切内の男性に気が付き、非常停止をかけたが、間に合わなかったという。
 
高石市南海本線羽衣7号踏切 男性の来た方から
踏切内をみる。路面に高低差があり、歩きにくい。
                  2014年7月20日撮影
   現場は、カーブするレールを跨ぐ踏切で、半径は300mくらいだろうか、運転士からすると、カーブを曲がって踏切が見えた時には、100mくらいまで接近しており、非常停止が間に合わないのだろう。それならば、見えてからブレーキをかけるのではなく、踏切内で取り残されている人をもっと早く検知して、電車が止まれるようにすべきではないだろうか。
 高低差のある踏切道の中で、車輪がレールなどに挟まったりしたのか、事故の状況は定かではないが、踏切に取り残された男性の恐怖は如何ばかりだっただろうと思うと、胸が苦しくなる。
羽衣7号踏切から列車の来た方(高石方面)を見る。
                         2014年7月20日撮影
  事故のあった踏切の付近は、南海本線の高架化工事が行われている。
南海本線・高師浜線(高石市)連続立体交差事業は、南海本線の羽衣駅から高石駅までの約3.1kmと高師浜線の約1.0kmで、鉄道を高架化することにより、13ヶ所の踏切を除却、都市内交通の円滑化を図るとともに、分断された市街地の一体化により都市の活性化を図る事業だとされている。2019年度完成予定で、総事業費約550億円にのぼる。
 高架化工事が進められている中で起きた今回の事故、残念で仕方がない。工事の間だけでも、踏切の幅を広げたり、路面を整備して通りやすくするとか、誘導員を置くこといったことはできないのだろうか?
羽衣7号踏切を斜め横からみると、起伏があるのがわかる。
右手に高架化工事途中の橋脚がみえる。
                        2014年7月20日撮影
この踏切の前後には、同じカーブの上にあるために、羽衣7号踏切と同様の起伏のある踏切が2か所、羽衣6号踏切と羽衣9号踏切がある。踏切の幅が狭い上に、起伏があって歩きにくく、電動車いすで渡ろうとすると、入口の車両通行止めのポールに車いすがあたってバランスをくずしたりしかねない。また、路面の起伏に、車いすの底面があたって、車いすの前輪が浮いて動けなくなったりしないだろうか?
 車高の低い車が、踏切の凸凹した路面にあたって動けなくなることがあるというが、そのような状況が車いすにもあるかもしれない。
 周辺は住宅街で、多くの人が生活道路として通行する。電動車いすの男性も日ごろから、この踏切を利用していたと言う。踏切道を管理する自治体や、安全装置を管理する鉄道事業者には、高架化工事を進めながら、既存の踏切の安全対策も十分考えてほしい。
 
 
 
 最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福をいのります。
《参考記事》
「車いす男性 踏切で死亡 大阪・高石 起伏で立ち往生か」2013年(平成25年)4月16日読売新聞
「電動車椅子の男性死亡 踏切で立ち往生? はねられ」2013年(平成25年)4月16日毎日新聞 

2014年7月14日月曜日

千葉県流山市:流鉄流山線第11号踏切で、脱線事故

 報道によると、7月11日午後2時ころ、千葉県流山市と松戸市を結ぶ流鉄流山線の第11号踏切(松戸市大谷口)で、踏切内に入ってきた乗用車と列車が衝突、1両目が脱線した。また、乗用車は衝突で大破し、乗っていた近くに住む夫妻は救出されたが、病院で死亡が確認された。

 同踏切は、警報機・遮断機がない第4種踏切で、付近の住民の生活道路として使われており、亡くなった夫妻の家も踏切の近くだという。
 住民が取材に答えているところによれば、以前にも列車と自動車が衝突する事故があり、踏切に警報機を設置してほしいと要望していたという。また流鉄も住民と対策を話し合っていたと答えている。安全対策が決まらないうちに起きた悲惨な死亡事故に、何ともやりきれない思いがつのる。

 ニュース映像をみると、事故のあった流山線の周辺は住宅地化しており、このような東京近郊の住宅街に、第4種踏切が残っていることに驚いた。
 事故がどのように起こったのかまだ定かではないが、踏切からの見通しが悪く列車がくるのが分かりにくくなかったかどうか、踏切の路面などが悪くなかったか、運輸安全委員会において十分調査されることを望みたい。
 国交省は、事故率の高い第4種や第3種踏切(警報機あり遮断機なし)を、第1種踏切に改善するよう鉄道事業者に働きかけているという。補助金制度なども含めて、中小私鉄が改善を進めやすいよう、安全対策を進めてほしい。

最後になりましたが、亡くなられたご夫妻のご冥福を祈ります。

《参考記事》
「千葉の踏切事故 乗用車の夫婦2人死亡」NHKオンラインニュース2014年7月12日1:08
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140712/k10015954251000.html
「踏切事故:衝突した乗用車の夫婦死亡 千葉・流山線」毎日新聞2014年7月12日00時21分
http://mainichi.jp/select/news/20140712k0000m040140000c.html

2014年6月4日水曜日

踏切事故防止対策の強化を~警視庁が要請

 報道によると、6月3日、警視庁は高齢者が踏切を横断中に、電車に撥ねられて亡くなる事故が相次いでいるため、鉄道事業者を集めて、踏切事故防止のための安全対策を強化することを要請した。鉄道事業者10社の安全対策の責任者を同庁に集めた「踏み切交通事故防止対策会議」の開催は初めてだという。会議の冒頭、広田耕一同庁交通部長は、「危険な踏切は高齢者の生活の大きな障害となっている。今回の会議を契機に有効な安全対策を進めて行きたい」と会議の参加者を前に話した。
 
  
 会議には、国土交通省、東京都交通局、JR東日本、私鉄大手各社が参加した。
警視庁が要請した主な内容は、
①踏切内の障害物を検知し、運転士に知らせる高感度のセンサーの設置
②非常通報装置の増設
③路側帯の整備など
①について
踏切に障害物検知装置が設置されていも、踏切内に取り残された自動車を検知するのが目的で、人を検知する設定になっていない。そのため、昨年10月横浜市で、高齢者を助けようとした女性が検知されず電車に撥ねられて亡くなるなどの事故が起きていた。このような事故を防ぐには、高感度のセンサーを人を検知できるように設定したりする必要がある。
                           
JR横浜線川和踏切   駅寄りにある障害物検知装置
(ポストのような形のもの)
                           2013年10月2日撮影
②について
第1種(警報機・遮断機付き)の踏切には、非常ボタンが設置されているところが多いが、踏切の出入りする双方に一つずつ計2カ所しか設置していないことが多い。しかし、幅の広い踏切では、片側の非常ボタンに行くのに何秒か、時間がかかってしまう。一秒を争う緊急事態に、近くに非常ボタンがなかったり、手が届かない位置に非常ボタンがあっては、押すことができない。非常通報装置を増設する必要がある。
                              
JR高崎線の上り快速列車が上町踏切(埼玉県本庄市)を通過する
非常ボタンは踏切の片側にしかない
                      2012年12月29日撮影
③について
踏切道の片側にしか歩道(路側帯)がないため、狭い路側帯で通行者が行きかい、混雑する踏切では、路側帯を整備する必要がある。
2月6日、北千住東1丁目の踏切を、自転車で渡っていたお年寄りが取り残された事故の現場は、路側帯が片側にしかなかった。そのため、途中で警報機が鳴りだし、お年寄りが後ずさりしながら、踏切の外に出ようとしたが、出られなかったことが、防犯カメラの映像からわかったという。

千住東1丁目にある踏切 東武伊勢崎線の線路と引き込み線の計5本が通っている。
                       路側帯が片側にしかない                       2014年2月12日撮影
                                                             

 踏切事故をなくすためには、さまざまな対策が考えられると思う。できることはたくさんあるはず。鉄道事業者や関係する自治体には、一つ一つ確実に取り組んでほしい。

《参考》北千住東1丁目の踏切事故について、拙ブログでは
「急カーブにある踏切~東武伊勢崎線北千住東踏切」2014年2月
http://tomosibi.blogspot.jp/2014_02_01_archive.html
《参考記事》
○「踏切事故防止対策強化を要請=鉄道各社に、高齢者死亡で-警視庁」 
 時事通信社2014年6月3日
http://i.jiji.jp/jc/i?g=soc_30&k=2014060300860
○(6月5日追加)「 踏切事故 目に見える対策実現を 警視庁と鉄道各社が会議」東京新聞2014年6月5日朝刊 
○「第9次交通安全基本計画」内閣府
http://www8.cao.go.jp/koutu/kihon/keikaku9/keikakuall.html

2014年6月2日月曜日

3人が死傷した踏切~広島市JR芸備線無連地第2踏切

 報道によると、2013年12月5日、広島市安佐北区白木町秋山のJR芸備線無連地(むれんじ)第2踏切で、介護福祉施設の車が広島発三次行き普通電車(2両)と衝突して、車を運転していた介護施設職員の女性と、乗っていたお年寄りが亡くなった。同乗していたお年寄りの妻も重傷を負った。

 事故後、広島テレビが、事故がなぜ起きたのか、警報機・遮断機のない踏切がいかに危険か検証、ドキュメンタリーとして放送した。
 この番組によると、現場は、遮断機・警報機のない第4種踏切で、電車が来た方はカーブしているため、見通しが悪かった。電車が無連地第2踏切に近づくと手前で、警笛を4秒鳴らすが、鳴り終えるとすぐに踏切に着く。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          踏切入口から電車が見えにくいため、カーブミラーが設置されていたが、朝や雨の時などはミラーが曇っていて、電車が来るのが見えにくいこともあったという。番組では、踏切の手前で、車から助手席の人が車から降りて、電車が来るかどうか確認する場面もあった。
 事故の前に、付近の住民からはJRに対して、踏切に警報機を設置してほしいという要望が出されていた。
 また、報道によると、40年前にも、踏切でバイクに乗った近くに住む女性が、電車に撥ねられて亡くなる事故が起きており、女性の夫がお地蔵さんを踏切近くに建てていた。
 

 事故後、付近の住民や警察、JR西日本広島支社などで、安全対策について検討した。その結果、今年5月になって、JR西日本は、現場の踏切に、警報機と遮断機を設置することを決めた。
 
 番組が放送される前は、JR西日本の担当者は、「遮断機や警報機の設置には、3,000万円かかる」「設置には、交通量などを考慮して決める優先順位があり、無連地第2踏切は優先順位が低かった。」などと、ニュースで語っていた。
 事故から半年も経たずに、このような安全対策を決めた背景には、住民のみなさんの強い要望や、広島テレビはじめ各社の報道の力が大きいだろうと思う。

 しかし、事故が起きて尊い命が奪われてから、安全対策を考えるのではなく、変化しているひとつひとつの踏切の実態を把握して、積極的に事故を未然に防ぐ対策を講じてほしいというのが、正直な気持ちだ。

 最後になりましたが、亡くなられたお二人の方のご冥福を祈ります。

《参考記事》
「介護送迎、2人衝突死 遮断機ない踏切 1人重体−−広島」
毎日新聞 2013年12月07日 大阪夕刊
http://mainichi.jp/area/news/20131207ddf041040025000c.html
「安全過疎 取り残された危険な踏切」 2014年5月26日放送 広島テレビ制作
http://www.ntv.co.jp/document/back/201405.html

2014年5月31日土曜日

お年寄りが取り残された踏切事故~阪急宝塚線北ノ口踏切

 今年4月26日、阪急宝塚線服部天神駅近くの北ノ口踏切に行った。
報道によると、2012年10月22日午後2時10分ころ、大阪府豊中市服部元町にある、阪急宝塚線北ノ口踏切で、73歳の女性が、雲雀丘花屋敷発梅田行き普通電車(8両)に撥ねられて、亡くなった。

 北ノ口踏切は、曽根駅と服部天神駅の間にあり、曽根駅から来ると、線路が右へ大きくカーブした先にある。第1種踏切で、警報機・遮断機が設置されている。しかし、車両通行止めで車両が通行しないからか、障害物検知装置はない。また、非常ボタンも設置されていない。幅は2.2m、長さ8.6mで、歩行者専用である。

 事業者の事故の届出によると、事故当時、電車が時速55kmで北ノ口踏切に差し掛かった際、踏切道手前82mで運転士が女性を発見、非常停止の措置を取ったが、間に合わず、女性と接触、踏切を約28m過ぎて停止したとある。
阪急宝塚線北ノ口踏切   2014年4月26日撮影
報道によると、亡くなった女性は呼吸器系の病気のため、外出時には酸素ボンベを載せたキャスター付きの台車を引いていたそうで、この日も台車を引いて踏切を渡っていたようだ。渡っている途中で警報機が鳴ってしまい、踏切内に取り残されたらしい。台車の車輪がレールの溝に入ってしまって動けなくなり、踏切内から出られなかったのかもしれない。

阪急宝塚線北ノ口踏切。線路の外側の方が内側よりも高い。
事故から1年半経つが、踏切道の改善はされたのだろうか?
                  2014年4月26日撮影
 
 北ノ口踏切から普通電車の来た方、曽根駅方面を見る。
 左へ大きくカーブしている。     2014年4月26日撮影
北ノ口踏切は、カーブの終わるあたりにあり、線路の外側は電車の脱線を防ぐため、内側に比べて高くなっている。そのため、踏切道の路面が波を打つようだ。 ここのカーブが半径何mなのか、線路わきに表示が見当たらなかったが、上の写真の注意書きが見つかった。黄色い張り紙には、「注意 この区間見通し悪し 早期待避」とあった。
 
 
 お年寄りが酸素ボンベを引きながら歩いたり、手押し車を押しながら、凹凸があるところを渡るのは、歩きにくいと思う。車輪ががたがたとして進みにくいと思う。
 
 ここは、運転士から見ても危険だ。カーブを曲がったと思ったらすぐに踏切があり、運転士が踏切内で人が取り残されているのを発見しても、すぐに電車は止まれない。
 電車が踏切の手前で安全に止まれるように、障害物検知装置を設置し、踏切内に取り残された人を検知して電車が自動的に止まれるようにすべきだと思う。多くの事業者は、障害物検知装置は車両を検知するための装置で、人を検知する設定をしていないという。
 しかし、踏切を通行するのは、車両ばかりではない。北ノ口踏切のような、住民に必要な生活道路では、お年寄りや子どもを連れた人、児童や生徒も通行する。すべての通行者が踏切内で、取り残された際に、通行者を検知して、電車が止まれるようにすべきではないのか。
 踏切内に取り残された人を発見したときに、運転士に知らせる非常ボタンも設置すべきだと思う。踏切に設置されていれば、取り残されたお年寄り本人だけでなく、踏切の近くにいる通行者が、非常ボタンを押して、電車を踏切の手前で止めることができるのではないか。
 事故が起きて尊い命が奪われる前に、ひとつひとつの踏切を点検して、必要な装置を設置したり、歩道の凹凸をなくすなど、早急にできる対策に取り組んでほしいと思う。
 
 
 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福を祈ります。
 
《参考記事》
「73歳女性はねられ死亡 阪急宝塚線」毎日新聞2012年10月22日

2014年5月6日火曜日

電動車いすの女性が亡くなった事故~阪急神戸線旧庄本踏切

 4月26日、大阪府豊中市の阪急神戸線神崎川~園田の間にある、旧庄本(きゅうしょうもと)踏切に行った。
 ここでは、2012年11月5日、電動車いすに乗っていた女性が特急電車に撥ねられて亡くなった。事業者の報告によると、事故当時、特急電車は、踏切を時速110kmで通過している。
 報道によると、旧庄本踏切で、電動車いすのそばに女性が倒れているという110通報があった。豊中南署の調べでは、女性(79歳)は、歯の治療を終えて帰宅する途中だったようだ。

 旧庄本踏切には、遮断機、警報機があり、非常ボタンと障害物検知器が設置されている。踏切の幅は約2.5m、長さ約8mくらいだろうか。
 事業者が運輸局に提出した事故報告の「概況」欄には、「担当運転士は、通過中に電動カートに乗車していた当該女性は確認していない」と記入されている。特急電車の運転士は、女性に気付かずに踏切を高速で通過していたらしい。
 

阪急神戸線旧庄本踏切 2014年4月26日撮影
旧庄本踏切     踏切道が線路に対してななめに交差している。
ななめに黄色線が引いてあるが、歩道といえない。2014年4月26日撮影
踏切道は、上の写真を見てもわかるように、線路にななめに交差している。その上に、歩行者が通る踏切道の端は、ぎざぎざで歩道といえない。歩道を確保してほしいと思う。
 また、線路は踏切の前後の道に比べて高いため、電動車いすで通行しようとすると、走りにくいのではないだろうか。

 踏切が開くのを待っていた女性が、何らかの理由で、踏切内に進入してしまい、梅田行きの特急電車(8両)の7両目側面に接触したが、なぜ進入したのかはわかっていない。
 この事故は、製品事故として、メーカーから連絡が入り、(独)製品評価技術基盤機構(以下NITEと略)が、事故の際に女性が乗っていた電動車いすの調査を行っている。
 このNITEの事故情報の「事故原因」欄には、
「当該製品が踏切内に進入した原因は不明であり事故原因の特定には至らなかったが、当該製品は、前進・後進等の捜査に対して正常に反応し、ブレーキ機構にも異常は認められてなかったことから、製品に起因しない事故と推定される」とある。
 なお、このNITEの情報には、製品が原因とされる事故ではないため、メーカー名の記載はない。また、亡くなった方の個人情報の記載もない。そのため、事故発生日と事故発生地の情報から、この事故情報が、旧庄本踏切の事故と推測した。

 なぜ、事故が起きたのか、十分調査されないまま、危険な踏切が放置されていないだろうか。
この旧庄本踏切に立ってみると、そんな思いが大きく膨らんでくる。

 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福をお祈りいたします。

《参考記事》
「踏切事故 車椅子の女性はねられ死亡 阪急神戸線」2012年11月5日(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20121105k0000e040167000c.html

2014年4月30日水曜日

遮断機のない踏切で事故調査~JR飯田線湯沢踏切

 報道によると、4月12日、午後1時15分ころ、長野県飯田市座光寺にあるJR飯田線元善光寺―伊奈上郷(いなかみさと)駅間の遮断機のない湯沢踏切で、トラクターに乗って踏切を渡っていた男性(77歳)が、天竜峡発茅野行き普通列車(2両)に撥ねられて亡くなった。
 電車の運転士は、踏切の手前100mほどのところで、トラクターに気付き非常ブレーキをかけたが、間に合わず、踏切を140mほど過ぎて停車した。

 運輸安全委員会は、今年4月から遮断機のない踏切で起きた死亡事故全てを、事故調査対象に加えたが、その調査の新しいルールをこの事故に初めて適用。鉄道事故調査官2名を13、14日、現地に派遣した。
 
 4月29日、諏訪市の踏切で次男を亡くされた遺族と湯沢踏切を訪ねた。
湯沢踏切の元善光寺駅寄り100mほどのところには警報機・遮断機の設置された第1種踏切がある。また、伊奈上郷駅寄り150mほどのところにも、第1種踏切が設置されている。

 湯沢踏切では、木道でレールをはさんでいるが、その前後は大きな砂利が敷かれていた。
 亡くなった男性は、写真のこちら側から、向こうへ渡っていたようだ。入口からななめに踏切に入るのは、渡りにくい。ましてトラクターなどが砂利の上をななめに入っていくのは、バランスをくずし、倒れたりしないかと思った。(写真1)
 踏切の路面は、レールの前後入口付近は、砂利が敷かれており、舗装されていなかった。私たちが歩いても歩きにくかった。(写真2)

 
  写真1  飯田市座光寺にある湯沢踏切。踏切の入り口から
  線路まではななめに入らねばならない。2014年4月29日撮影


       写真2  線路の周りには砂利が敷かれていた。2014年4月29日撮影
 
湯沢踏切から、電車の来た方角を見る。急カーブで、
登り坂になっている。             2014年4月29日

 列車の来た方は、左にカーブして登り坂になっており、踏切を渡る人からすると、草なども繁っていて近付く電車が見えにくい。電車の運転士からも、湯沢踏切が見えるのは、120~130mくらい手前まで近付いてからではないだろうか。それから、ブレーキをかけても踏切手前で安全に停止することはできない。
  また、この踏切はカーブの終わりあたりにあるせいか、カーブの外側が内側よりも少し高くなっており、男性が渡りはじめた側は、段差がある。踏切に入ろうすると砂利がある上に、木道がすこし高くなっているのだ。
 湯沢踏切の前後には第1種踏切が2か所あるが、電車が近付くと、この前後の踏切の警報機が鳴りだす。しかし、遮断機が降り切ると二つの踏切の警報機の音が小さくなった。そのため、電車が来るのが分からなくなる。こういう時に、この踏切に差し掛かると、通行者は電車がくるのがわからないのではないだろうか。
 第4種踏切の手前では、電車が近付いていることを通行者に知らせるため、運転士は踏切手前で警笛を鳴らした方がよいと思う。

 また、この湯沢踏切は、報道によると、車両通行禁止だそうだが、実際は農作業のために、トラクターに乗って渡る人もいるだろう。車両全面通行禁止にするなら、踏切道の真ん中にポールなどを立てるべきだ。

 昨年度まで、踏切やホームでの事故は、①死傷者が5名以上であること、②鉄道係員の取り扱い誤りまたは車両や鉄道施設の故障などが原因と思われるものでないと、運輸安全委員会の調査対象にはならなかった。
 踏切事故の調査報告書が出されているのは、平成20年に運輸安全委員会が発足してから平成24年度までに、わずか5件である。因みに、平成20年から24年までに、踏切死亡事故は、599件起きている。
 今回、運輸安全委員会の事故調査対象が拡大され、危険な第3種・4種踏切の死亡事故が調査されることになった。事故調査されることで、事故の事実、原因が明らかになり、踏切事故が減ることに役立つものと思う。今後の運輸安全委員会の事故調査に期待したいと思う。

 最後になりましたが、踏切で亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。

《参考》
運輸安全委員会ホームページ 
調査中の案件については「鉄道事故の概要」
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail2.php?id=1855
《参考記事》
「運輸安全委 新ルールで調査へ 踏切事故で男性死亡」(2014年4月12日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/532960.html
「踏切事故遺族の会 飯田を訪問 国の調査対象拡大受け」(2014年4月30日)
http://www.shinmai.co.jp/news/20140430/KT140429FTI090036000.php

2014年4月13日日曜日

福知山線脱線事故から9年~追悼のつどい

 2005年4月25日、JR福知山線尼崎駅近くのカーブで、快速電車が転覆脱線、線路横のマンションに激突し、107人が亡くなり、562人が負傷した。
 
   あれから、9年がたとうとしている。
 しかし、大切な家族を失った遺族や友人、負傷した方々の苦しみや悲しみは、いまだに癒えることはない。

 今年も、事故現場から遠くないアルカイックホールで「追悼と安全のつどい」が開かれる。
 脱線事故の遺族の中では、事故を起こしたJR西日本と、今後の鉄道事業の安全に向けた取り組みについて、検討を続けてきた。

 「つどい」では、その2年間のまとめと到達点が語られる。
 














































2014年2月8日土曜日

自転車を押した女性、戻り切れず~東武伊勢崎線千住東の踏切

 報道によると、2月6日午後7時半ごろ、東京都足立区千住東の東武伊勢崎線北千住-牛田間の踏切で、自転車を押しながら横断していた女性が、急行電車に撥ねられて亡くなった。
 踏切は、北千住駅の南約670メートルのところにあり、長さ23メートル、計5本の線路が東西方向に横切っており、女性は南側から渡り始め、最後の5本目の線路付近で撥ねられたという。

 
 この踏切は、2007年4月、国土交通省が「緊急対策が必要な『開かずの踏切』」として、公表した全国589カ所のうちの一つにあたっていた。
 国交省の資料によると、東武鉄道は踏切内の歩道と車道をカラー舗装で分離するなどの対策をとっていた。しかし、立体化などの抜本的な対策はとっていなかったという。

 
 東武伊勢崎線には、東京メトロ半蔵門線が乗り入れるようになり、便利になる一方、ダイヤが過密化しており、東武鉄道の踏切は開かずの踏切(1時間の遮断時間が40分以上)になっているところが多いと思う。
 このような踏切では、遮断機があいたと思うと、数秒でまた警報機が鳴りだし、踏切道の途中にいるなら、慌てて踏切を横断しなくてはならなかったりする。
 警察が付近の防犯カメラの映像を確認したところ、この女性は、無理に踏切を渡らずに戻ろうとしたらしい。しかし、女性が踏切の外に出る前に電車が来てしまったらしい。
 お年寄りや障害のある方も余裕を持って渡れるように、警報時間の見直しをしてほしいと思う。
国交省の技術基準は、踏切を渡る人の歩行速度を時速5キロメートルとして、警報時間を設定している。これは、若い男性ならいざしらず、女性やお年寄りでは、早すぎると思う。
 道路の横断歩道では、青信号の時間を、歩く人の速度秒速1メートルで設定しているところが多いと聞く。

 鉄道事業者は、踏切を渡る人の実態を把握し、渡る人の歩行速度などを考慮して、警報時間を設定すべきだと思う。

《参考》
総務省近畿管区行政評価局は
 「踏切道の安全確保にかんする行政評価・監視」(平成25年10月22日公表、12p)で、以下の ように指摘している 
http://www.soumu.go.jp/main_content/000255651.pdf
 「1 調査した鉄道事業者は、解釈基準の解説に記載されている、人が5km/hの速度で踏切道を通過するとした踏切遮断機の遮断装置の警報開始から遮断完了までの時間を標準としており、踏切道の長さ及び鉄道の跨線数に応じて時間を延長しているものの、踏切遮断機の遮断装置の警報開始から遮断完了までの時間は高齢者や障がい者に配慮したものとなっていない 」
 

《参考記事》
 「<東武線>自転車押す高齢者、踏切ではねられ死亡 東京」
 毎日新聞 2月6日(木)23時41分配信 【袴田貴行】
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140206-00000126-mai-soci
 「踏切事故 引返したが戻り切れず 東京・足立」NHK2014年2月7日
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140207/k10015102091000.html