11月25日、須坂市小河原の南沖踏切をたずねた。
この踏切は、須坂駅から北須坂に向かう途中の第4種踏切で、今年9月、夕方6時ころ、部活動が終わり自転車で帰宅する途中の中学生が、踏切を横断していたところ、渡り切れず、自転車の後部が列車にぶつかって、数メートル飛ばされた。中学生は、病院に運ばれたが、手当の甲斐なく、4時間後に亡くなった。
ここは以前にも、事故があり1名亡くなっているというのに、なぜ今回また事故が起きたのだろうか。前回の事故後、何らかの対策はとられていなかったのだろうか。
長野から長野電鉄に乗り、須坂に向かう沿線に目をやると、思っていたよりも住宅地が広がっていて驚いた。須坂駅や踏切周辺には、農業大学校や中学などがあり、住民が利用する公共施設などもあるため、日常的に、中学生や住民の皆さんが、踏切を通って、学校に通ったり、買い物に出かけたりするそうだ。
事故のあった南沖踏切から左右130メートルほどのところに第1種踏切があり、車両が行き来しているのが見える。列車が踏切に近付くと警報機が鳴るのが聞こえる。しかし、この第1種踏切の方を回ると遠回りになるため、第4種の南沖踏切を利用する人が多いという。
また第1種踏切は、車両も通るため、自転車に乗る人や高齢者からすると、車両をよけて通らなくてはならず、危険である。そのため、あえて第4種などの車両が入らない踏切を通る人もいる。
事故のあった踏切道は、線路と斜めに交差しており、直角に交差していないため、単線を横切るのに意外と長さがある。線路をななめ横断しなくてはならないのである。
その上、踏切周辺には、照明も警報機も遮断機もない。中学生が渡った夕方の時間帯は、踏切はうす暗く、列車と自分との距離がわかりづらかったのではないかと思う。
地方では、高校生や中学生が通学に自転車を使うのは、当たり前。安全に通えるように、子どもらを取り巻く環境を点検し整備するのは、おとなたちの務めではないだろうか。
長野電鉄では、警報機・遮断機のない第4種踏切での事故が相ついでいることから、今月18日、長野電鉄・沿線自治体・県・県警・国土交通省が、事故の再発防止に向けて第1回対策会議を開いた。県は今後も、事故がなくなるまで会議を続けるという。前回のように、検討会がいつの間にか立ち消えになることのないよう、ぜひ、続けてほしい。
長野電鉄だけでは、数多い第4種踏切の安全設備を整備・維持するのは困難にちがいない。だからといって、住民にとって不便になる踏切の廃止ばかりを考えるのではなく、周辺の自治体や国交省などといっしょに事故の再発防止策を考えてほしい。専門家のみなさんであれば、踏切の設備も、いろいろな考えが出るのではないかと思う。
また、踏切設備を整えるために、国などが補助を出す制度もあると聞く。事故を防ぐためにはいろいろな手立てがあるはずだ。
踏切を渡る中学生や住民に注意を喚起するだけでは、事故は無くならない。それは、一旦事故が起きれば、渡った人が不注意だったからだと片づけてしまい、鉄道事業者が本当の事故原因を取り除く努力をしなくなるからだ。
踏切事故を無くすためには、踏切を渡った人だけを責めるのではなく、事故原因を調査し、事故をなくす努力をしてほしい。
踏切で亡くなった高校生、中学生の尊い命を無駄にしないため、関係する方々には、ぜひ、事故を未然に防ぐ手立てを講じてほしい。
《参考記事》
相次ぐ長野電鉄踏切事故、県や沿線市町が対策会議 11月19日(木)信濃毎日新聞
http://www.shinmai.co.jp/news/20091119/KT091118SJI090018000022.htm
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