2009年7月27日月曜日

開かずの踏切の事故から3年~北池袋


 2006年7月21日、夏休みに入ってまもなく、近くの図書館に行こうと踏切が開くのを待っていた親子が、踏切がなかなか開かないので、遮断機をくぐって入った男性に続いて踏切内に入ったらしい。普通列車に撥ねられてお母さんが亡くなり、子供さんも重傷を負うという痛ましい事故が起きた。
 
 当時、事故は大きく報道されたが、今までにどんな安全対策が取られたのだろうか。

 この踏切は、警報機と遮断機がある第1種踏切である。ここを東武東上線と埼京線の線路4本が並んで通っており、事故当時埼京線のダイヤが乱れていて、70~80分間遮断機が上がらない状態が続いていたという。 
 この親子が踏切でどのくらいの時間待っていたのかわからない。しかし、どのくらい待てば開くのかわからないで長時間警報音を聞いて待たされていると、ストレスがたまると思う。
 
 その上、当時は雨も降っていたという。かさをさしていたので、踏切からは列車が来るのが見えにくかったのではないかとも言われている。
 
 地図を見ると、池袋から北池袋にかけて、線路はまっすぐで見通しがよいように思われる。しかし、親子が待っていた踏切の入口に立つと、池袋方面には家が建っているので列車が直前まで見えない。
 列車が1本通過したので、親子は遮断機を上げて前の男性に続いて渡ろうとしたところ、別の列車が来ていたようだ。

 ここは1時間に40分以上閉まっている「開かずの踏切」で、踏切がいったん閉まると、東武東上線の列車、埼京線の列車が交互に行きかい、昼間の時間帯でも5分くらいは開かない。開いたと思うとすぐに、警報機が鳴り、あわてて渡らねばならず、こわかった。
 
 また、ここは、2001年(平成13年)にも、踏切がなかなか開かないので待ち切れずに渡った男性が、埼京線の列車にはねられて亡くなる事故が起きているという。

 地図で見ると踏切の幅は約2m、長さ30mはあるのだろうか。東上線の北池袋駅はホームが地上で島形になっているので、上下線の線路の間にホームがある。そのホームの端に踏切があり、踏切に立っている私のすぐそばを駅を通過する急行列車や準急列車が通り過ぎていく。
 
 踏切は、車両通行禁止で、ポールが立っており、自転車や歩行者しか通れない。私が立っていたのは昼間の暑い日ざしが照りつける時間だったが、自転車に乗った親子連れや高齢者の方がよく通る踏切だった。 
 北池袋駅周辺は静かな住宅地であり、付近には小中学校が3校、大学や高校、公園や集会所などもあるから、ここを通る住民や小中学生は多いようである。

 この踏切から、駅の改札口側にある踏切下を通る地下道まで、迂回すると300m近くある。そちらを回って親子が行こうとしていた図書館に行くと、500m位は余分に歩くと思う。
 
 事故の後、踏切には、警報機が鳴ったら渡らないという注意喚起および迂回路を知らせる看板が立てられた。また、事故直後1週間朝夕、警察やJR職員らが踏切に立って啓もう活動を行ったそうだ。事故後とられた対策は、その程度なのである。

 しかし、踏切入口に踏切危険と書いたり、看板を立てるだけでは、安全対策は十分といえない。
 行政は、踏切の向こう側に図書館や公園をつくるなら、子供たちが渡る道路や踏切を整備(歩道橋や地下道などをつくるとか)して、安全に通えるようにしてほしいものだと思う。
 
 鉄道事業者は列車の急行などを増やすだけでなく、住民や利用者のために、踏切や駅の設備も改善するべきではないかと思う。

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