2009年10月23日金曜日

JR西、ほかの事故調委員にも組織的働きかけ

 JR西日本の幹部らが、旧航空鉄道事故調査委員会の委員に、事故調査の情報を得ようとして組織的にかかわり、調査報告書に内容の書き換えや削除などを図っていたことが、この間の報道や運輸安全委員会の発表などによって明らかになっているが、また、JR西日本がほかの委員にも接触していたことが、JR西日本の社内調査でわかった。

 事故調査官や事故調査委員会の委員が、事故調査にあたり、事故の当事者と会わなくてはならないことは、当然あるだろう。事故の当事者らに会わなければ、事故にいたる事情を聞けないのだから。だから、当事者と会うべきではないと言うのではない。

 しかし、この問題は、そのような調査方法についての一般的なことではなく、JR西日本が組織的に元委員らに接触し事故調査報告書の改竄を図っていたということが問題なのである。
 その意図を、元委員らが知ろうが知るまいが、事故調査にあたる人間が元同僚のつながりなどから、個人的に事故の当時者と秘密裏に会っていたことが問題なのである。
 
 警察の捜査と一緒にしては悪いが、取り調べにあたる警察官が容疑者や容疑者の家族らといっしょに飲食ををしたり土産をもらったりするだろうか。取り調べは警察で、記録を取りながら話を聞くように、事故調査も、公の場所で、記録をとりながら正々堂々と事情を聴きだせばよい。

 JR西の内部事情を「調査」するのが目的と言いながら、土産をもらったり、馳走になっていては、元委員のモラルやひいては事故調査報告書そのものも疑われてもしかたないことである。

 しかし、多くの方々の多大な労力と税金を投じた事故調査と報告書が疑念を持たれるのは、再発防止に役立つ事故調査を望んできたわたしたちにとっては、残念でしかたない。

 事故調査報告書が外部の専門家のみなさんによって、公正・中立に科学的に検証されることに期待したい。
 
 また、事故調査に携わる調査官や委員には、被害者・遺族をはじめ多くの国民の期待を背負っているのだということ、二度と国民を悲惨な事故に遭わせないために、事故の再発防止のために事故調査をするのだという自覚をもってほしい。

《参考記事》
「JR西の垣内元社長も委員と会食 脱線事故の聴取会前に」
2009/10/23 14:01 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102301000410.html

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