2005年4月、JR福知山線で起きた脱線事故の事故調査をしていた国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(08年10月運輸安全委員会に改組)の山口浩一元委員が、JR西日本の山崎前社長に、調査の状況や報告書案を伝えていたことがわかった。山口元委員は、最終報告書案のコピーを山崎前社長に渡し、山崎前社長から報告書の修正もしくは削除をもとめられていたという。
山口元委員の発言は、委員会の懇談会の席で認められなかったというものの、最終報告書は、事故は、運転士がブレーキ操作を誤り、制限速度をオーバーして現場カーブに進入したことが原因だとしている。
時間と労力をかけたJR福知山線脱線事故調査報告書の公正さ・中立性が、問われてくる。
JR西日本の山崎前社長は、記者会見で、「情報を知りたいという一念でやったことだが、不適切で軽率だった」と話し、謝罪した。しかし、同社取締役は辞任せず、引き続き被害者対応にあたるという。
航空・鉄道事故調査委員会の委員は、職務で知りえた情報の守秘義務があるが、罰則はない。しかし、航空・鉄道事故調査委員会(運輸安全委員会)が行う事故調査は、事業者からも行政からも中立で公正でなくてはならないのだから、今後このようなことのないよう違反に対しては、委員を解任するなどの罰則を設けるべきである。また、事故の当事者である事業者に関わりの深い人間は、運輸安全委員会の委員にすべきでない。
旧航空鉄道事故調査委員会が改組され、運輸安全委員会が昨年10月に発足してまもなく1年がたつ。私は、新しい事故調査機関によって事故調査が公正・中立に行われ、事故の再発防止に役立てられるものと期待していたものの一人である。
今後、二度とこのようなことがないよう、再発防止のためのルールをつくり、国民の期待に答えていただきたいと思う。
《参考記事》
宝塚線脱線、事故調委員が情報漏らす JR西前社長に (2009年9月25日)
http://www.asahi.com/national/update/0925/TKY200909250186.html
0 件のコメント:
コメントを投稿