2009年4月13日、電動車いすに乗って踏切を横断しようとした女性(当時86歳)が、踏切内に取り残されて、出られなくなり、特急電車に撥ねられて亡くなった。昨年8月、亡くなった女性の遺族が、踏切の安全対策に不備があるとして、JR四国に損害賠償を求めて訴訟をおこしていたが、今月17日、高知地裁(小池明善裁判長)で和解が成立した。
和解の主な内容は、
①JR四国は、事故のあった踏切などに、踏切の緊急事態を運転手に知らせる非常ボタン(踏切支障報知装置)の設置を検討する。②車いすの利用者や高齢者など、交通弱者の安全確保のため、踏切の事故防止に努める。③双方が損害賠償請求権を放棄する。④JR四国は亡くなった女性に対して哀悼の意を表する、など。
亡くなった女性の遺族である長女(60歳)の話によると、裁判長は、JR四国に対して事故のあった白倉踏切に、非常ボタンを取りつけるよう要望したという。
また、女性の長女は、「JR四国は障害者や高齢者など交通弱者に対する安全の確保のため、安全対策につとめる」という内容が盛り込まれ、訴訟を起こした意味があったと、感慨深げにこの1年あまりをふりかえった。
女性の遺族は、事故の後、「母の命を無駄にしたくない。同じような事故をなくしたい」と、JR四国の安全対策の問題点を指摘し、踏切の安全対策を求めてきた。今回の和解の内容は、事故をなくし、安全対策をすすめてほしいという遺族の思いに答えるものだと思う。
JR四国をはじめ、鉄道各社には、亡くなった方の命を無駄にしないため、踏切事故の原因を調べて事故の再発防止に努めてほしい。高齢の方や、障害を持った方、小さなお子さんを連れた方などが、安心して渡れるよう、踏切の安全確保に努めてほしい。
《参考》 高知県佐川町白倉踏切の事故については当ブログ
「踏切事故の現場をたずねて~高知県佐川町白倉踏切」
http://tomosibi.blogspot.com/2010/04/blog-post_26.html
《参考記事》
「車いす女性踏切事故死:賠償訴訟、和解 遺族、安全対策を要望--地裁 /高知」 毎日新聞 9月18日(土)16時49分配信
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20100918ddlk39040629000c.html
「佐川町のJR踏切事故で和解」 09月17日 20時14分 NHK高知
http://www.nhk.or.jp/lnews/kochi/8014055241.html
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