7月25日、埼玉県秩父市大滝の山中で、県の防災ヘリコプター「あらかわ1」が、沢登りの途中滝つぼに落ちた女性を救助中に墜落し、ヘリに搭乗していた7人のうち5人が亡くなった。この事故の原因については運輸安全委員会の事故調査官が現地に入るなどして調査中だ。
31日、この事故の取材のため、現場に入って地上から墜落した防災ヘリを撮ろうとしていた日本テレビの記者とカメラマンが遭難した。翌1日朝、墜落現場から約2キロの滝つぼで、二人が心肺停止の状態で発見された。
現場は、標高2000m級の山々が連なる奥秩父の山中で谷は急峻で、雷雨などがあると急に水位が1,2メートルは上がるという。
二人を案内した山岳ガイドによれば、当日、記者らはガイドと現場に行こうとしたが、ガイドに水も冷たく雲行きも怪しいのでやめましょうといわれ、一旦はガイドと出発地点に戻った。その後、二人は「機体が見える場所をさがす」といって、尾根の方を見てみたいと再び二人だけで入山したと言う。二人がどのようなルートをたどったのかまだ分からない。なぜ、尾根に登るといっていた二人が、沢で発見されることになったのかわからないが、急に沢が増水して流された可能性もあるという。
31日は、熊谷気象台によれば現場周辺は午後3時ころから1時間に10ミリ以上の雨が観測されていたという。
報道によると、日本テレビには、災害取材時などに備えた「取材安全基準」は設けているが、山岳取材に関する細かい規定はないという。山岳ガイドの方は、遭難した二人について「装備的にも技術的にも不安があったので、早くやめようと思った」と語っている。
危険な現場で取材する際には、会社が現場と連絡を密にして経験あるガイドの情報やアドバイスを参考にして判断し、取材するかどうかの判断を現場任せにしないことが大切だと思う。
現場に一歩でも近くたどり着き、生の映像を撮りたいと思う記者たちの気持ちはわからないでもない。しかし、本当に安全に行かれるかどうか、装備や天候など検討して、他の日に出直すことを考える余裕が会社や記者たちに必要だったのではないだろうか。
亡くなった記者の方々を非難するような言い方になってしまって申し訳ないと思う。しかし、明るく皆から親しまれていたというカメラマンや物静かで子煩悩だったという記者の方が突然の事故で亡くなったことはやはり残念で仕方ない。同じような事故で尊い命が犠牲とならないように、報道に携わる方々には、危険な事故の現場の取材のしかたについてよく検討してほしい。
《参考記事》
「2人の死因は水死 天候不良で捜査中止 日テレ記者遭難」 2010年8月3日(火) 埼玉新聞
http://www.saitama-np.co.jp/news08/03/07.html
「県警、日テレ記者らの所持品回収 遺体発見現場を調査」 2010/08/03 19:20 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201008/CN2010080301000963.html
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