消費者庁は、イラクやスーダンの通貨を本来のレートの何倍ものレートで買わされる被害が多発している事態を重く見て、東京都内などの13の業者に報告を求めることをきめた。
国民生活センターや消費者生活センターなどには、昨年夏ごろから相談があり、特に今年の夏ごろからは相談が急増しているという。昨年8月からの累計相談件数は800件以上になり、特に65歳以上の高齢者からの相談が大半だという。また、契約総額は、10月末時点で、20億2千万円に達した。
今回問題となったイラクの通貨ディナールの最近のレートは、2万5千イラクディナールが約1800円で、50スーダンポンドが約1700円だという。
これに対して、業者は、「絶対に価値が急激に上がるから、今買えば、将来円に両替したときに儲かる」などと言って、2万5千イラクディナール紙幣1枚を10万円で売るなど、暴利で販売している。また、いつでも換金できるといっているが、実際には、担当者が今は換金できないと言って断るなど、ディナールの買い取りは行われていないことが、相談などからわかった。
国民生活センターによれば、イラクディナールなどは、日本国内の銀行では取り扱いがないなど、取引が困難で、換金性にとぼしいという。また、将来通貨の価値があがるかどうかは不確定で、消費者が支払った金額や利益は保証されたものではないのに、「絶対もうかる」など断定して説明するのは、問題がある説明である。
また、「劇場型」や「被害回復型」といった手口もみられるという。業者からの勧誘前後に、別の業者が「ディナールを購入すれば、それを数十倍の高値で買い取る」と消費者の投資欲をあおり契約させる(劇場型)。
過去に未公開株の被害にあった消費者に対して「過去の未公開株を買い取るが、ディナールの購入が必要」とうたって契約させる(被害回復型)といった手口である。ふつう、知りえない未公開株購入の情報など、個人情報を知っているのはおかしいので、契約しないことが大切だ。
消費者庁や国民生活センターは、業者が何度も家に押しかけてきて、断り切れずに契約してしまったり、少しでもおかしいと思ったら、すぐに警察や消費者生活センターなどに連絡してほしいと、注意を呼びかけている。
《参考》
「未公開株など新たな手口による詐欺的商法にご注意!」(平成22年9月24日、消費者庁)
http://www.caa.go.jp/adjustments/index_3.html
「イラク通貨(イラクディナール)の取引に要注意!‐高齢者等をねらった新手の投資トラブル‐」
(平成22年6月22日、独立行政法人国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100624_1.pdf
《参考記事》
「イラクやスーダン通貨のもうけ話、ご注意を 相談急増中」
2010年12月22日15時0分 (朝日新聞 茂木吉信)
http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY201012220236.html
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