2010年12月8日水曜日

踏切事故の現場をたずねて~秩父鉄道持田24号踏切と桜町踏切

 今年9月8日、埼玉県熊谷市にある秩父鉄道持田24号踏切では、大学生が自転車で渡っていたところ、列車に撥ねられるという事故が起きた。ここは事故当時、警報機や遮断機がなく、踏切の標識と、踏切入口にポールが3本立っているだけだった。

 事故当時の状況はよくわかっていないが、大学生は当時携帯音楽プレイヤーをしていたとみられ、踏切を渡る人のあとについて続いてわたり、列車に撥ねられたという。事故当時は重体で、いまだに意識がもどらない状況だと伝え聞く。
 イヤホンをつけていても、警報機の音は大きいので、よほどでなければ聞こえると思うし、点灯する警報機の赤ランプがあれば、目でわかる。持田踏切が警報機や遮断機もない踏切であることが事故を引き起こしているといえるのではないか。
 その後、事故のあった持田24号踏切は、廃止が決まり、年内にはガードレールなどを設置して入れないようにするという。

 現在は、木杭を立てワイヤーをかけて、踏切内に人が入れないようになっている。

(持田24号踏切 2010年12月8日撮影)
  この踏切の右には、大きな建物があり、踏切停止線に立たないと列車が来るのが見えない。
(持田24号踏切 2010年12月8日撮影)

 持田24号踏切のすぐ駅寄りには、踏切~見えるところに第1種の踏切がある。しかし、付近の住民の人たちは、第4種の方が近道で車両も通らないので、持田24号踏切を渡る人も多いと聞く。
 しかし、踏切道の路面を見ると、レールとレールの間に陥没した所があり、自転車のタイヤがはさまったり、足がかかってつまづいたりしないかと気になる。(下の写真)
(持田24号踏切の路面  2010年12月8日撮影)
一方、2009年12月と、2008年9月に死亡事故があった東行田にある桜町踏切(東行田第5踏切)は、住民へのアンケートの結果、存続が決まり、今年度中には警報機と遮断機が設置され、第1種に改善されるということが決まった。
 
(桜町踏切(東行田5号踏切) 2010年12月8日撮影)
桜町踏切では、1年余りのうちに、中学生が亡くなる事故と、幼いお子さんが線路内に入って亡くなる事故が起きており、踏切の安全対策がもとめられていた。

 そのため、この夏、秩父鉄道は事故のあった踏切や人通りの多い第4種踏切21か所に、音声で注意をうながす装置を設置した。2mほどの鉄柱の先に音声装置がついている。(下の写真)
 踏切入口に人が来ると、センサーが働き、音声で、「危ない。踏切では止まって、右、左を確認してから渡りましょう」と注意を促す。又、桜町踏切では、ポールのほかに、U字型の柵も設置され、自転車などがすぐに入れないようにしている。
 
(桜町踏切の音声装置 2010年12月8日撮影)
  桜町踏切から、列車の来た方を見ると、第1種踏切が見え、線路が緩くカーブしているのが見える。冬のせいか、木々の葉も落ち雑草が枯れているため、線路の周辺が明るく感じた。
 私が、2008年10月にはじめて、桜町踏切に来たときは、もっと雑草が青くしげり、線路のカーブもよく見えず、見通しが悪いのではないかと思った。
(桜町踏切から列車のきた方を見る 2010年12月8日撮影)

(桜町踏切から列車の来た方を見る 2008年10月9日撮影)

 踏切事故を減らすためには、小さな子どもや児童たちには、ただ注意を促す看板を増やすのではなく、具体的にどんな点に注意をしたらよいか指示してほしいものである。
 踏切から列車が見えていても、どの程度踏切から離れているのか、大きなものは距離感がわかりにくいとヒューマンエラーの専門家は指摘する。警報機や遮断機もない踏切では、大人は、具体的に、どのあたりに列車がみえていたらもう渡るのは危険だから踏切内に入らないほうがよいなどと、具体的に教えるべきだ。
 
 また、踏切を第1種にすれば、安全対策が万全かといえばそうではないと思う。スピードがあり重量の大きな列車が通過する踏切や線路そのものが危険なところなのだから、踏切そのものをなくすための根本的な解決(高架化や地下化など)を目指しながら、当面できる踏切保安設備の設置や線路内に入れないように柵を設けるなどの安全対策をつみ重ねていくべきではないかと思う。

 最後になりましたが、事故に遭われた大学生が一刻も早く回復されることを祈ります。

《参考記事を追加:12月9日》
「東行田第5踏切:連続死亡事故 遮断機・警報機を設置 秩父鉄道、年内着工 /埼玉」
http://mainichi.jp/area/saitama/news/20101209ddlk11040298000c.html

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