2010年6月19日土曜日

教育への公的支出の拡大を~文部科学白書

 報道によると、18日、文部科学省は同省の取り組みをまとめた「文部科学白書」を発表、初めて教育費の問題をとりあげた。「日本は国際的にみて家計の教育費負担が大きく、公的支出が少ない」と強調、「教育に十分な資源を振り向けることが喫緊の課題」だという。

 高校卒業後の進路について、親の年収別に調べたところ、3年前のデータで、年収400万円以下の家庭では大学進学率が31%なのに対し、年収1000万円を超える家庭では大学進学率が62%となっていることがわかった。年収の差によって教育機会の格差が明確になっているとしている。また、毎年行われている全国学力テストでは、いずれの教科でも、親の収入が高いほど、平均正答率も高い傾向になっている。

 また、白書の特集では、教育費について、子ども1人が幼稚園から高校まで公立、大学は国立に通った場合、約1千万円、すべて私立に通った場合は約2300万円かかることがわかった。「子ども2人が私立大学に通っている場合は、勤労世帯の可処分所得の2分の1超を教育費が占める」と、家計への負担の重さを強調しているという。

 教育支出に占める私費と公費の負担割合の国際比較では、日本は大学などの高等教育段階では私費が7割、公費は3割(先進国平均=私費3割、公費7割)と、家計への負担が重い。政府支出に占める教育支出の割合が先進27カ国中最下位だということだが、すぐに先進国並みに…とは言わない。大学への補助金を増やすなどして授業料を値下げするなど、家計への負担を減らし、教育費以外への支出を増やせるようにしてほしいものだ。そうすれば、日本の経済にとってもよい効果があるのではないだろうか。

 日本は、明治維新後、近代的な国家をつくるため、教育に何よりも力を入れてきたはずだ。すべての国民が教育を受け、読み書き計算ができ自分で問題解決できる力を持つことが、産業を支え国の発展につながると考えて、明治の政府は、日本全国津々浦々小学校を建てて、子供たちを教育してきたはず。

 日本の近代化をみてもわかるように、教育は個人にとって利益となるだけではなく、国の発展、ひいては国際社会の発展と平和を支えるものではないかと考えると、国民が経済的な理由で教育を受ける機会を失うことのないように、教育の予算をふやすことが必要ではないかと思う。

《参考》
「平成21年度文部科学白書の公表について」 文部科学省 平成22年6月18日
6月末刊行予定の文部科学白書について、要旨が発表されている
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/06/1294984.htm

《参考記事》
・「日本は家計の教育費負担大きい」文部科学白書が特集    2010年6月18日朝日新聞
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201006180281.html

・白書 教育への公的投資充実を   6月18日 10時57分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100618/t10015198071000.html

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