3月4日、神戸地裁で、JR福知山線脱線事故の第11回公判が開かれた。この裁判では、JR西日本前社長山崎正夫(67)被告が業務上過失致死傷罪に問われている。
報道によると、この日は、事故当時、兵庫県警の依頼で、事故を鑑定した松本陽(あきら)氏(62)が出廷し、証言した。鑑定書では「ATS(自動列車停止装置)を最優先に整備すれば事故は防げた」とし、証拠採用されている。
松本氏は、事故当時、(独立行政法人)交通安全環境研究所員で、現在は、国土交通省運輸安全委員会委員で、鉄道部会長をつとめる。
松本氏は、法廷で、事故のあった現場カーブについて「最優先にATS(自動列車停止装置)を設置すべきだった」と証言した。
現場のカーブは、1996年、半径600メートルから304mに付け替えられ、カーブ手前との制限速度差は、最大で50キロに拡大した。松本氏はこの速度差について、「相当例外的。大きな減速を必要とする箇所は、(安全対策上の)重要なファクターという考えは昔からあった」と指摘し、国の省令で線区の最高速度が110キロ以上の場合、カーブの半径は600mにとどめるべきだとしていることを紹介した。そのうえで、「現場カーブはリスクが高く、速度をチェックできるATSの設置が適当だった」という見解を示したという。
また、ATSを現場にいつ設置すべきだったかという弁護側の質問に対しては、「判断できない」と述べ、あくまでも、事故後に鑑定書を作成した時点での認識だと述べた。
今回の松本氏の証言は、事故の鑑定を行った専門家の証言としてとても重いものだと思う。
この裁判によって、福知山線脱線事故の原因やその背景、JR西日本の安全対策の問題点があきらかになることを期待したいと思う。
《参考記事》
「JR福知山線脱線:JR西前社長公判 「ATS必要だった」事故鑑定人が証言」2011年3月5日毎日新聞
http://mainichi.jp/kansai/news/20110305ddn041040004000c.html
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