ページ

2009年10月29日木曜日

国交省、「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報」を公表

 27日、国土交通省は、「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成20年度)」(以下「情報」と略)を公表した。「情報」は、平成18 年10 月1 日に施行された「運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律」により新たに加えられた鉄道事業法第19 条の3(軌道法第26 条において準用する場合を含む。)の規定に基づき、国土交通省が毎年度整理し、公表しているものである。
 
 この中で、踏切問題について、「課題のある踏切が依然として数多く存在していることから、歩道が狭隘な踏切の拡幅等による踏切の解消や改良にスピード感を持って取り組んでいくことが重要である。」と記している。

 また、「情報」の中で、警報機はあるが遮断機のない第3種、警報機・遮断機ともにない第4種踏切での事故の割合が、警報機遮断機がある第1種踏切と比較して依然として高いとしている。
 「平成20 年度における踏切道100 箇所当たりの踏切事故件数は、第3種踏切道が1.37 件、第4種踏切道が1.62 件となっており、これらと比較すると一般的には道路の交通量若しくは列車の本数が多く、又は列車の速度が高い傾向にある第1種踏切道の0.82 件」よりも割合が高いと分析している。 

 国交省は、今後15年間で鉄道運転事故を3割減らすという目標をうち出している。鉄道運転事故の4割近くを占める踏切事故の対策が早急に求められる。
 特に、事故の割合が高い第3種、第4種踏切は、JRの地方の路線や中小民鉄の路線に多く、資金難から踏切設備を整備できないところが多い。国交省や地方自治体は、事業者への補助金交付などを通じて、踏切の安全対策を進めることが必要である。

国土交通省「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報」(平成20年度)
http://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk8_000009.html

2009年10月27日火曜日

トヨタ車暴走事故:アメリカ当局、車両の欠陥を指摘

   今年8月、アメリカのカリフォルニア州サンディエゴ郊外の高速道路で、トヨタ自動車がアメリカで販売した「レクサスES350」が時速190キロで暴走し、他の車と衝突して、乗っていた4名が亡くなった。

 この事故は、フロアマットにアクセルが引っ掛かって戻らなくなり、止まらなくなったものだが、事故を調査していた米道路交通安全局(NHTSA)は、アクセルペダルの形状がフロアマットに引っ掛かる可能性があったとして車両の欠陥を指摘しているという。

 トヨタは、この事故後、フロアマットがずれてアクセルが戻らなくなる可能性があることから、フロアマットの固定金具をはずしたりしないよう購入者によびかけていた。トヨタは車両本体に欠陥はないとの立場だったが、アメリカ当局の指摘を受けて、対応を検討することになるのだろうか。

 8月の事故では、運転手が非常時にエンジンを停止させる方法がわからなかったらしい。
 最近の自動車は、アクセルが戻らない場合の対処法が、わかりにくいという。ボタンでエンジンを始動・停止させる車は、高級車を中心に普及した。走っている最中にエンジンを止めるには、ボタンを3秒以上押し続けなくてはならない。この特殊な操作は、事前に知らなければとっさにはできないと思う。
 簡単に見える操作だが、とっさの場合にすぐできる操作やわかりやすい操作が必要ではないだろうか。
 
 アクセルペダルやフロアマットの構造は、日本とアメリカで大差ないというから、同じような事故が起きる可能性はある。早急に対策を取る必要があるのではないだろうか。


《記事から》
米当局「アクセル欠陥の可能性」 トヨタ車事故で指摘
2009/10/26 08:53 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102601000082.html

2009年10月26日月曜日

JR山田線踏切で車の親子が死亡、事故現場を県警本部が視察

 報道によると、10月20日午前7時40分ごろ、岩手県宮古市八木沢のJR山田線の踏切で、宮古発花巻行きの普通列車が乗用車と衝突した。この車を運転していた宮古市八木沢のパート豊間根節子さん(50)と、息子の高校2年晃太君(17)が全身を強く打ち、亡くなった。

 JR東日本盛岡支社などによると、現場の踏切は遮断機や警報機がない第4種踏切で、単線で見通しは良いという。県警は、車が周囲をよく見ないまま踏切に進入したとみているが、2006年2月にも衝突事故が起きているため、踏切に問題はないかどうか、22日視察した。

 現場を見ていないので一概に言えないが、単線とはいえ、乗用車が通れる幅の踏切に、警報機も遮断機もないというのは踏切の安全対策が不備ではないだろうか?
 踏切からの見通しは良いということだが、列車のくる方向に建物があったりすると見えにくいこともある。また、単線だと、道路の道幅がせまいと遠くがよく見えないのと同じで、両脇に家々が並んでいたりすると、踏切の入口に立っても遠くまで見えないこともある。

 県警や鉄道事業者には、踏切を通行する歩行者や、運転手の立場から事故現場の問題点を検討し、事故を防ぐ手立てを講じてほしいものだと思う。
 
 踏切で亡くなったお二人のご冥福を祈ります。

《参考記事》
親子死亡の踏切事故現場、県警幹部視察  (10/22 19:33)
http://news.tvi.jp/index_7892847.html

2009年10月25日日曜日

車いす転落事故、鉄道各社対策強化へ

 報道によると、今年9月に、東急多摩川駅で、車いすに乗った女性がホームから転落し、死亡した事故から1ヵ月、鉄道各社が対策を急いでいるという。

 駅のホームは、雨水がたまらないように、どのホームにも1メートルで1㎝程度下がる傾斜が付けられている。そのため、車いすに乗ったままホームからすべり、転落する事故が起きている。先月死亡事故のあった多摩川駅でも、2007年に車いすの女性が転落してけがをしていた。
 多摩川駅では、駅の構造上から、傾斜が標準よりも大きく、1メートルで、2.5㎝下がっていた。
 またこの他にも、東京メトロの上野広小路駅や、JR上諏訪駅でも同じような事故でけがをする人が出ているそうだ。

 これらの事故後、JR東日本では、社員に ①車いすの乗客を案内する際は線路に平行に誘導する。②止まる場合は必ず車いすのストッパーをかける―よう指示しているという。東急電鉄でも同様の指示を出していたが、ハード面での対策が必要とまで考えていなかったことが、今回の事故を引き起こしたといえる。

 今回の事故で、各社は対策を強化するそうで、東急電鉄は全駅のホームを調査。2%以上の傾斜がみつかった7駅と多摩川駅に警備員を置き、転落防止用の策も11月末までに順次設置するとのこと。
 JR東日本も全駅を調査中で、柵の設置や舗装の改良を進め、他の鉄道会社も車いすやベビーカーの利用者に注意を呼び掛けるなどの対策を行っているそうだ。

 有効な事故の再発防止策として、専門家は、ホームドア-の設置を挙げる。ホームドア-は乗降時のみ開くもので、車両によって異なるドアの位置や数などの統一を図り、駅に導入しやすくすることが必要だという。今のところ、東京メトロ丸の内線や新幹線の一部の駅に設置されているが、費用の面などから普及に時間がかかっている。
 
 ホームドア-は、車いすやベビーカーを利用する方だけでなく、目の不自由な方にとっても必要である。また、誤って転落する事故を防ぐこともできる。混雑したホームではホームのへりを歩くこともあり、列車と接触する危険がある。利用者の注意徹底を呼びかけることに加え、ホームドア-などの対策を早急に検討してほしいものだ。

《記事》
車いす動き死亡事故 ホーム傾斜、転落防げ 鉄道各社対策急ぐ
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20091024AT1G2302F24102009.html

2009年10月24日土曜日

特定保健用食品(トクホ)の見直しへ

 「特定保健用食品」は、健康増進法に基づく制度で、消費者庁の発足で、所管が厚労省から消費者庁へうつった。
 
 10月8日、花王の食用油「エコナ」に発がん性物質に変わる可能性の物質が多く含まれていることがわかり、花王が「トクホ」の表示をとりやめる届を出し、「トクホ」制度が始まってはじめて、「トクホ」の取り消しが出た。
 
 福島消費者担当相は、これを機会に、トクホ制度を見直すことを決めた。
トクホを申請する食品の効能や安全性に関するデータは、企業が準備したもので、厚労省はデータを検証して「トクホ」表示を許可していないという。データを検証していないのに許可を出して、お墨付きを与えてよいのだろうか。
 厚労省の「トクホ」というお墨付きがあるだけで、効能は「トクホ」でないものと特段変わらないのに、価格が高くなっているものもあるのではないだろうか。

 「トクホ」制度を見直しして、健康ブームに乗って、効能や安全性が不確かな食品が高く売られることがないように、ぜひ、消費者庁で検討してもらいたい。

《参考記事》
トクホ、廃止も含め見直しへ 福島・消費者担当相 2009年10月23日15時3分
http://www.asahi.com/politics/update/1023/TKY200910230260.html

2009年10月23日金曜日

JR西、ほかの事故調委員にも組織的働きかけ

 JR西日本の幹部らが、旧航空鉄道事故調査委員会の委員に、事故調査の情報を得ようとして組織的にかかわり、調査報告書に内容の書き換えや削除などを図っていたことが、この間の報道や運輸安全委員会の発表などによって明らかになっているが、また、JR西日本がほかの委員にも接触していたことが、JR西日本の社内調査でわかった。

 事故調査官や事故調査委員会の委員が、事故調査にあたり、事故の当事者と会わなくてはならないことは、当然あるだろう。事故の当事者らに会わなければ、事故にいたる事情を聞けないのだから。だから、当事者と会うべきではないと言うのではない。

 しかし、この問題は、そのような調査方法についての一般的なことではなく、JR西日本が組織的に元委員らに接触し事故調査報告書の改竄を図っていたということが問題なのである。
 その意図を、元委員らが知ろうが知るまいが、事故調査にあたる人間が元同僚のつながりなどから、個人的に事故の当時者と秘密裏に会っていたことが問題なのである。
 
 警察の捜査と一緒にしては悪いが、取り調べにあたる警察官が容疑者や容疑者の家族らといっしょに飲食ををしたり土産をもらったりするだろうか。取り調べは警察で、記録を取りながら話を聞くように、事故調査も、公の場所で、記録をとりながら正々堂々と事情を聴きだせばよい。

 JR西の内部事情を「調査」するのが目的と言いながら、土産をもらったり、馳走になっていては、元委員のモラルやひいては事故調査報告書そのものも疑われてもしかたないことである。

 しかし、多くの方々の多大な労力と税金を投じた事故調査と報告書が疑念を持たれるのは、再発防止に役立つ事故調査を望んできたわたしたちにとっては、残念でしかたない。

 事故調査報告書が外部の専門家のみなさんによって、公正・中立に科学的に検証されることに期待したい。
 
 また、事故調査に携わる調査官や委員には、被害者・遺族をはじめ多くの国民の期待を背負っているのだということ、二度と国民を悲惨な事故に遭わせないために、事故の再発防止のために事故調査をするのだという自覚をもってほしい。

《参考記事》
「JR西の垣内元社長も委員と会食 脱線事故の聴取会前に」
2009/10/23 14:01 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102301000410.html

2009年10月22日木曜日

神戸検察審査会、JR西日本歴代社長3名「起訴相当」を議決

 今年7月、神戸地検は、業務上過失致死傷容疑で遺族から告訴を受けていたJR西日本の歴代の社長3名を不起訴処分(嫌疑不十分)としていた。これを不服とした遺族から審査の申し立てを受けていた神戸第一検察審査会は、10月22日、「起訴相当」を議決した。

 報道によると、検察審査会は、福知山線脱線事故当時の相談役井手正敬氏(74)、同会長南谷昌二郎氏(68)、同社長垣内剛氏(65)の歴代社長3人は、安全対策を怠ったとしている。
 議決書の中で、歴代社長3人は収益拡大のため現場カーブの危険性を格段に高めたのに自動列車停止装置(ATS)の整備を指示しなかったと指摘し、山崎前社長が(尼崎の)現場の危険性を認識すべき立場だったとした上で、「最高責任者の3人が刑事責任を問われないとの結論は到底賛同できない」とした。

 脱線事故の遺族35人が8月に検察審査会を申し立てていたが、審査会は4回の会議を開き、約1カ月半という異例の早さで議決、公表した。
 これを受けて、神戸地検は3名の過失について、再捜査をすることになる。

《参考記事》
宝塚線脱線事故 JR西の歴代3社長「起訴相当」議決  2009年10月22日15時21分
http://www.asahi.com/national/update/1022/OSK200910220077.html?ref=any

運輸安全委員会へ申し入れ~元事故調委員の調査情報漏洩問題に関連して

 10月21日午前、「事故防止のあり方を考える会」では、運輸安全委員会へ申し入れをした。航空・鉄道事故調委員会の元委員らが、JR西日本と接触し、事故調査の情報を最終報告書のできる前に渡していたなどの問題で、問題の徹底的な調査をもとめるとともに、事故調査機関と事故調査のあり方についての意見書を提出した。
 この中で、運輸安全委員会と事故調査報告書の公正・中立性をもとめ、これを担保するには、調査過程や調査結果を公開することや広く事故の情報を集めることが必要であることなどを提案した。
 
 運輸安全委員会では、事務局長の大須賀英郎氏をはじめ、主席鉄道調査官の大野正人氏らが対応、漏えい問題発覚後、以下の規定を決め、再発防止策に取り組むことにしたと説明があった。
①運輸安全委員会の委員の倫理に関する規定
②職務従事に関する制限など(以上2点はHPにあり)

 また、福知山線脱線事故報告書の検証についても、説明があった。外部の有識者、弁護士、遺族・被害者の指導のもとに、報告書の検証を行うこと、この検証チームには、今のところ、ジャーナリストの柳田邦男氏らが決まっているということである。
 
 検証の結果によっては、報告書を書きなおすこともありうるということだった。事務局長の大須賀氏は、以上の取組と、検証作業を通じて、事故調査機関と事故調査報告書の信頼回復に努めたいと話していた。
 かねてから、JR福知山線脱線事故報告書の「原因」の記述については、市民の目から見て納得がいかないとの指摘もあったのだから、この際、徹底して検証していただききたいと申し上げてきた。

 今後とも、運輸安全委員会において、再発防止策が十分検討され、調査機関と事故調査報告書に対する国民の信頼と期待にこたえる努力がなされることを願ってやまない。

《参考》
運輸安全委員会へは、以下の意見書と、すでに平成19年12月12日に提出した「運輸安全委員会の体制に対する意見」も合わせて提出した。

「JR福知山線事故の調査情報漏洩事件に関連して運輸安全委員会のあり方に対する意見」
 (事故防止のあり方を考える会  2009年10月21日)

Ⅰ.はじめに
  今年9月25日、「福知山線列車脱線事故」(平成19年6月28日事故調査報告書の公表)の事故調査に関連して、運輸安全委員会の前身である航空・鉄道事故調査委員会の元委員が、JR西日本の幹部らに情報漏えい等を行い、事故調査報告書のJR西日本に都合の悪い部分を修正・削除することを図っていたことが判明しました。
 また、その後も、鉄道部門の責任者の元委員が、JR西幹部と接触するなど、事故調査の公正・中立性が疑われる行為があったことがわかりました。
公正・中立であるべき運輸安全委員会の活動および事故調査報告書に、このような国民が疑念をいだくような行為は、断じてあってはならないことであります。
私たちは、運輸安全委員会において、今回の漏洩事件が徹底して調査され、再発防止策が検討されること、そして事故調査機関と事故調査に対する国民の信頼を回復する努力がなされることを期待するものです。
私たち「事故防止のあり方を考える会」は、2006年から、事故の遺族・弁護士・医師・研究者・学生などさまざまな立場の市民が参加して、安全で安心な社会をめざして事故防止のあり方を考えてまいりました。
私たちは、今回の事態から、運輸安全委員会のあり方について、次のように考えます。

Ⅱ.意見
1.委員の選出:事故調査中の事業者と利害関係のある委員は調査チームに含めない。
事故調査には、事故を起こした当事者・利害関係者から一切影響を受けない、中立性・公正さが重要である。独立した事故調査機関が事故調査の第三者性を確保し、信頼性を担保するためには、疑念の持たれる事由を排除することが原則である。

2.職務に係る倫理:委員による事故調査情報の漏洩は、職業倫理・技術者倫理上許されるべきものではない。
特に、事故当事者等利害関係者との個人的面談や情報の漏洩は、委員の罷免事由とすべきである。事故調査の専門家は、事実・真理に忠実でなくてはならず、公正不偏の姿勢をもって事故調査を遂行し、国民の信頼に応える責任がある。

3.情報の公開:事故調査情報や重要な審議の内容は、公開が必要である。
  事故調査における客観性や中立性を担保するためには、「調査プロセス」と「調査結果」を関係者だけでなく、広く一般に早期に公開することが必要である。
  また、調査結果を「安全性向上」、同種事故の再発防止に役立てるためにも、事故調査情報を早期に公開するべきである。

4. 情報の収集:事故にかかわる情報を広く集める機会を設ける。
  広く事故情報を収集し、科学的知見を集め、事故原因の究明や安全性向上、再発防止に役立てる。事故情報を判断する委員は、利害関係者を除くべきであるが、事故情報、専門的知見等の提供の機会は、広く保障すべきである。

5.事故の再調査:事故調査報告に対する再調査のための第三者機関を設ける。
  事故調査は、その時点で得られた証拠に基づき、適切なプロセスを経て、調査報告書にまとめられる。しかし、その後新たな重要証拠が見つかった時や調査プロセスに重要な欠陥が認められたときは、信頼性が担保できないのだから、再調査が必要である。
今回の不祥事については、運輸安全委員会として第三者による調査委員会を設け、調査結果を公表すべきである。

6.被害者支援と事故調査:被害者・遺族の思いに応える。
被害者・遺族へは心のケア、事故情報の提供、事故原因についての説明など、さまざまな点で支援が必要である。中でも、正確な事故情報は重要である。疑義がある調査報告書や情報は、正確な事故の情報や原因を知りたいと望む被害者・遺族を失望させ、傷つけることになりかねない。

7.その他、別紙「運輸安全委員会の体制に対する意見」を参照のこと

以上

2009年10月21日水曜日

エレベーター事故、運輸安全委員会の調査対象へ

 2006年に東京港区の公共住宅で、高校生が、開いたまま上昇したエレベーターにはさまれて亡くなった。10月21日午前、亡くなった高校生の両親の市川さんらは、前原国交相と面談、エレベーター事故などを調査する独立した調査機関の設置を要望した。前原大臣は、これに対して、運輸安全委員会の調査対象を拡大し、エレベーターやエスカレーターなどの事故も対象とする考えであることを伝えたという。

 これによって、運輸安全委員会の事故調査の対象が広がり、身近なところで起きる事故についても、立ち入り調査や事業者に勧告を行う権限のある運輸安全委員会で事故調査を行うことになる。

 運輸安全委員会で、事故原因が徹底して調査され、有効な再発防止のための安全対策が講じられることをのぞむ。
  
《参考記事》
エレベーター事故「運輸安全委の対象に」 前原国交相 2009年10月21日13時51分
http://www.asahi.com/national/update/1021/TKY200910210264.html

2009年10月19日月曜日

静かすぎるハイブリッド車にエンジン類似音、義務化へ

 ハイブリッド車は低速で走る際、音が静かすぎて、歩行者に接近してもわからず、歩行者が気がつかず危険だいう指摘が、視覚障害者団体などから出されていた。国交省は、有識者会議で対策を検討していたが、低速時にエンジンに似た音を出すようメーカーに義務付ける方針を決めた。

 国交省は、11月に「パブリックコメント」を実施して、広く国民の意見を募ったうえで年内に最終的な方針を決める方針。
 自動車メーカーによると、開発には2年ほどかかるそうで、実施は先になるという。
また、すでに販売されている車にも義務づけるかどうかは、今後も検討する。

 車が静かで騒音が少ないのはありがたいと思っていたが、静かすぎるとかえって危険なこともある。
 中央本線を走る特急あずさなども、乗っている私たちは快適だが、安全装置のない踏切を渡る住民や児童生徒からすると、列車の接近に気付きにくいという問題がある。
 特急列車でも、警報機や遮断機のない踏切付近では警笛を鳴らすなど、対策を考えるべきではないかと思う。

《参考記事》
HVにエンジン類似音装置 国交省が義務化の方針
2009/10/15 20:56 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009101501000935.html

2009年10月16日金曜日

東広島市堀川踏切訴訟、広島高裁が和解を勧告

 報道によると、2009年2月25日広島地裁でJR西日本に賠償命令が出たことに対し、JR西日本が控訴していた踏切訴訟で、広島高裁は、和解勧告を出したことがわかった。

 広島地裁は、2006年12月12日午後6時半ごろ、男子高校生(3年生)が東広島市の堀川踏切(警報機遮断機なし、照明なし)を自転車で渡っていたところ、3台の列車に轢かれて死亡した踏切事故について、危険な踏切の安全対策をとらなかった鉄道事業者の責任を認め、損害賠償を命じた。
 
 広島地裁は、事故のあった踏切は「夜間は踏切を渡る際、列車と県道を走る車のライトが区別付きにくく、また線路がロングレールのため、列車の振動と車の騒音とを区別しにくい」「警報機・遮断機がないことで通行者への危険が少なくない状態だった」として、亡くなった高校生の両親の主張をほぼ認め、踏切が危険だったことを認めた。

 この地裁判決を不服として、JR西日本が控訴していた。高裁の和解勧告を双方とも、受け入れ、次回から協議に入るという。

なお、事故の詳細については、「踏切事故の現場を訪ねて」
http://tomosibi.blogspot.com/2009/08/2009424.html

《参考記事》
JR踏切訴訟で和解を勧告 広島高裁  '09/10/14
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200910140330.html

2009年10月15日木曜日

JR西、聴取会公述人にも介入

 JR西日本が、JR福知山線脱線事故の調査に関する意見聴取会の公述人に、JR西に不利となる公述内容をしないよう働きかけていたことがわかった。

 意見聴取会は、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会設置法(当時)にもとづき、事故調査委員会が調査報告書をまとめるために、広く学識経験者らの意見を聴く目的で、開かれる。2007年2月1日開かれた意見聴取会では、公募して応募があった20人以上の中から、事故調が選定した10人と事故調が依頼した専門家3名が公述した。

 今回、JR西が働きかけていたことがわかったのは、公述人の一人で、当時JR西の安全諮問委員会委員長だった永瀬和彦・金沢工業大客員教授。JR系の研究機関「鉄道技術総合研究所」のOBで、JR西幹部は、永瀬氏に、公述人になることを求め、公述の際にJR西に不利になるグラフを使わないよう求めていたことがわかった。

 永瀬氏はJR西の要請を断ったとしているが、意見聴取会の前に、公述書をJR西の求めに応じてにJR西に見せており、意見聴取会で永瀬氏が公述する際に影響はなかっただろうかと疑念をもってしまう。
 
 JR西日本が、自分に不利な事故調査報告書ができないよう、あらゆる方面に働きかけていたことがわかり、驚きとしか言いようがない。
 
 また、公正・中立であると思っていた意見聴取会の専門家の公述に疑問が出てきたことは、残念でしかたがない。
 公述人の選定方法なども、今後検討されなくてはならないと思う。 

《記事》
JR西、事故調委聴取会の公述人に介入 宝塚線事故 2009年10月15日12時17分
http://www.asahi.com/national/update/1015/OSK200910150069.html?ref=any

2009年10月14日水曜日

ハンドル形電動車いす、安全基準の設定へ

 電動車いすの中でも、ハンドル形の電動車いすの事故が増えている。
製品評価技術基盤機構(以下、NITE)の調査によれば、1986年から、平成20年1月末までに96件の事故情報が寄せられているということだ。
 
 最近、足腰が弱るなど日常生活で移動に不自由なお年寄りが、買い物などの移動手段として、ハンドル形電動車いすを利用しているのを見かける。スクーターのような乗り物だが、歩行者扱いなので、商店街などでよく見る。
 しかし、ハンドル形電動車いすは、段差でバランスを崩して転倒し、お年寄りが亡くなったり、溝にはまって倒れるなど、大きな事故がおきているそうだ。

 調査によれば、2002年以降、事故は増加傾向にあり、このうち、死亡、重傷にいたる重大事故が53% を占めているという。そのため、平成19年、経済産業省が試買テスト事業を、NITEに委託し、NITEがハンドル形電動車いすの安全性の調査を実施、20年3月報告と提言を出した。
 
 その後、経産省では、多発する事故を防ぐため、ハンドル形電動車いすについて、JIS規格の改正を検討していたが、12月20までに制定することを決めた。

 高齢化が進むにつれ、ハンドル形電動車いすなどの利用はますます増えるのではないかと思うが、利用者に安全な乗り方を周知するとともに、誤って操作しても事故を起こさないよう電動車いすそのものの安全対策もすすめてほしい。
 
《参考》
「NITE ハンドル形電動車いすの安全性調査結果」 
http://www.nite.go.jp/jiko/journal/journal_vol7_pdf/journal_vol7_p026tokusyu.pdf
経済産業省「ハンドル形電動車いすの安全性・利便性を高めるため、JISの改正を行います」
http://www.meti.go.jp/press/20091009004/20091009004.pdf


《記事》
ハンドル形電動車いすの事故防止へJIS規格改正
更新:2009/10/13 20:35   キャリアブレイン
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/24755.html

2009年10月13日火曜日

車いす転落事故、駅ホーム通常より急な傾斜

 9月13日、東京都大田区の東急東横線多摩川駅で、車いすに乗った女性が亡くなった事故では、ホームが通常よりも傾斜が急だったことがわかっている。しかし、東急電鉄では、2年前の車いすの女性が転落した事故の後、ホームの傾斜の危険性を重視せず、係員に乗客へ注意徹底するように指示しただけだった。

 駅のホームは、雨水の水はけを良くするために、傾斜をつけている。通常は1mで1㎝下がる1%の傾斜だが、多摩川駅はこれよりも急な傾斜だった。
 車いすやベビーカーは、坂ではストッパーをかけないと、自然に動き出す。もし、利用者がホームが坂になっていることに気づかないと、ストッパーをかけないこともある。乗っているのが体の不自由な方や子供なら、急に動き出した車いすやベビーカーに、なすすべがない。

 ホームに転落防止のために、ホームドアを設置したり、転落防止策を設置することが必要だと思う。体の不自由な方やお年寄り、子供にやさしい駅や町であってほしい。

《参考記事》
傾斜2.5%、危険なホーム 車いす転落の東急多摩川駅  2009年10月13日13時27分
http://www.asahi.com/national/update/1013/TKY200910130084.html

2009年10月11日日曜日

「事故調査も被害者支援の一つ」~JR事故の被害者、要望書提出

 10月9日、JR福知山線脱線事故の報告書が、航空・鉄道事故調査委員会が公表する前にJR西日本側に元委員が漏えいしていた問題で、事故の負傷者や家族が、国交省と運輸安全委員会に、事故調査機関のあり方の見直しなどを求める要望書を提出した。

 運輸安全委員会の後藤委員長らと会談後、記者会見した小椋さんらの話によれば、今後の事故調査について「段階的に議事録を公開するなど、開かれた調査を検討している」と説明があったという。

 公表された事故調査報告書については、報告を読んだ第三者が事故報告書を検証できるように、資料や実験データを公開することが必要である。
 そして、事故の原因を知りたいと思う遺族や被害者の方々がわかりやすい書き方や説明を心がけてほしい。
 
 負傷者の方の中には、調査の専門家でない市民が参加することに不安を持つ方もおられると思うが、むしろ、市民の視点から疑問を提示することが大切ではないかと思う。
 福知山線脱線事故報告書が公表されたときも、原因の記述などについて、事故の遺族や有識者から疑問の声や批判が出されていた。
 事故調査機関は、そのような外からの批判や疑問も受け止めて報告の内容と再発防止への提言を充実させていくことが大事だと思う。

《参考記事》
尼崎脱線被害者が安全委に訴え 「事故調査も支援の一つ」
2009/10/09 21:50 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009100901000983.html

2009年10月9日金曜日

JR福知山線脱線事故報告書、中立性の検証へ

 運輸安全委員会は、事故調査報告書の内容が事前にJR西日本側に漏れていた問題で、有識者による第三者機関を作り、事故の被害者・遺族にも参加してもらい、報告書の内容を検証することを決めた。

 この第三者機関から、問題が指摘されれば、報告書の書き直しも検討するとしている。
報告書の書き方も含め、内容を再検討することは大切ではないかと思う。

 これを機会に、①運輸安全委員会が第三者機関として中立、公正な立場を貫くことができる委員を選出し、国会の承認を得る ②事故調査には利害が関係すると思われる委員は関与しない、③委員が情報等を漏えいした場合は委員をやめさせるなどの罰則をきめることが必要ではないか。

 一方、今回のことで、事故に関する情報を事業者や被害者・遺族に公開されることがためらわれてはならない。事故原因などに関する情報を迅速に公開し透明性を保つことは、事故の再発防止にとって重要であるばかりか、被害者・遺族にとって少しでも大切な人や肉親の情報を得ることは自分自身の立ち直りにもつながる。
 
 事故報告書の再検討が、JR西日本の再生につながること、事故の再発防止に役立つことを期待したいと思う。 

《ニュース》
漏えい問題で中立性再検証へ   10月9日 4時29分
http://www3.nhk.or.jp/news/k10013003771000.html

2009年10月8日木曜日

花王「エコナ」、特定保健用食品(トクホ)表示許可を取り下げ

 食品安全委員会では、花王の食用油「エコナ」の安全性について審議しているが、結論が出るのは、花王が調査結果を出す11月以降になる。
 そのため、消費者委員会では、8日、食品安全委員会の結論を待たずに、トクホ(特定保健用食品)の許可を取り消すか一時停止すべきだという意見をまとめ、消費者庁に提出していた。

 これを受け、消費者庁では、エコナの特定保健用食品(特保)の表示許可を取り消す再審査手続きに入ることを決めた。
 
これに対して、花王はエコナの表示許可を取り下げる「失効届」を提出したという。
今後、花王はエコナのジアシルグリセロールを減らすよう努め、改良した新たなエコナを許可申請したいとしている。
 
 食用油として、人気のあった商品だけに、安全性が問題になったことは残念だ。私たち消費者は、自分では、科学的に食品の安全性を確かめることはできない。メーカーや行政は、消費者に対して安全性を保証する責任がある。

 消費者庁や消費者委員会には、消費者の安全に関する問題に迅速に対応してほしい。

《参考記事》
花王、エコナの特保表示を返上 消費者庁の再審査止まる
2009/10/08 20:56 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009100801000411.html

2009年10月7日水曜日

リニア実験線延長工事で、水源枯渇

 東京・大阪間を約1時間で結ぼうというリニア中央新幹線構想は、2025年に東京と名古屋を結ぶ路線を開通させることを目標に、今、ルートの検討や地質調査などが行われている。

 そんな中、実験線の延長工事で、地元の簡易水道の水源が枯渇していたことがわかった。(以下の記事参照)

 今、リニア新幹線の最短ルートとしては南アルプスを貫通するルートが有力だが、南アルプスは3000メートル級の山々が並び、地層が複雑だといわれる。
 
 東側には糸魚川静岡構造線、西側には中央構造線がある。南アルプスは海が隆起してできた山脈で、隆起は現在も続いているという。ところどころに亀裂が走り、崩壊も起こるなど、地質が不安定な面もあり、トンネルを掘削すれば、大量の湧水、崩落・変形などがあるかもしれないという。
 
 今回のような帯水層を壊してしまう事態は、直接今後の工事と関係があるわけではない。しかし、南アルプスを貫通するリニア新幹線の工事は、南アルプスの手つかずの自然を破壊することにならないかと想像され、気になる。

《参考記事》 
リニア工事で水源枯渇 笛吹・御坂 生活・農業用水の地層を誤掘削  2009年10月06日(火)
http://www.sannichi.co.jp/local/news/2009/10/06/1.html

2009年10月4日日曜日

シベリア抑留全体像の解明へ新資料

 今年7月、シベリアなど旧ソ連に抑留された日本の軍人や軍属、民間人ら約70万人分を記録した新資料が、モスクワのロシア国立軍事公文書館に保管されていることが確認された。
 日本政府は、資料内容の提供のしかたなど、ロシア側と調整を進めている。第2次世界大戦後、シベリアに抑留者された日本人の数や死者数、死亡した時期や埋葬地など、空白を埋めることにつながるとされている。
 
 戦後64年を経てなお、明らかになる事実がある。なるべく早くご遺族に、亡くなった方に関する情報が提供されるとよいと思う。

《参考記事》
シベリア抑留、75万枚の証し 個人カードをロシア公開  2009年9月8日0時29分
http://www.asahi.com/national/update/0906/TKY200909060236.html

2009年10月2日金曜日

神戸地検、4度目の不起訴~明石歩道橋事故

 神戸検察審査会が3度「起訴相当」とした議決を、今回もまた、神戸地検は、不起訴にした。
 2001年の明石歩道橋事故で、業務上過失致死傷容疑で書類送検された元明石署副署長(62)を、神戸地検が不起訴としたことに対して、遺族が検察審査会に不服申し立てをして、3回目になる。

 そのたびに、神戸地検は再捜査をして不起訴にしてきた。市民が参加する検察審査会の議決を毎回無視してきた。
 2006年、起訴を要請しに遺族が最高検に行った際、遺族に不適切な対応をしたことを反省して、松尾邦弘検事総長が「『被害者とともに泣く検察』というが、泣いていなかったのではないか」と言った。そういうことは、神戸地検ではもう忘れられているのだろうか。

《参考記事》
明石歩道橋事故、元副署長4度目の不起訴 神戸地検   2009年10月2日13時27分
http://www.asahi.com/national/update/1002/OSK200910020068_01.html

運輸安全員会の発足から1年

 2008年10月、航空・鉄道事故調査委員会は、海難審判庁の事故調査部門を統合して、新たに運輸安全委員会として発足した。
 運輸安全委員会は、事故の原因調査をし、二度と同じような事故を起こさないようにするため、再発防止策を各方面に提言する。
 発足から1年がたつが、旧事故調から、どのように変わっただろうか。
 
 運輸安全委員会は、鉄道事故の調査範囲を拡大し、踏切事故やホームでの事故の場合、死者が1名であっても、係員のミスや鉄道側に問題があると思われる場合は調査を開始することになった。しかし、鉄道側に問題があるかどうかは、調査しなくてはわからない。少なくとも死者があった場合は、すべて事故調査をすべきである。

 また、運輸安全委員会の事務局によれば、運輸安全委員会は発足以降、ヒューマンファクターの要素に力を入れて事故を分析してきたということである。 
 
 事故調査報告書をわかりやすくするため、記述の項目もかえられた。
 今年度初めに出された湘南モノレール事故の報告書は、
 1.鉄道事故調査の経過、2.事実情報、3.分析、4.結論(分析の要約、原因)、5.意見、6.参考事項 という項目立てになった。分析の結果、推定される原因について、すべて書き出し、安全管理の問題点や、再発防止のための方策について、意見を述べている。
 
 従来の報告書は、1.は同じだが、2.は認定した事実、3.事実を認定した理由、4.原因、5.参考事項という項目立てだった。福知山線事故の報告書をご覧になった方はわかると思うが、従来は、「4.原因」の記述が、簡単だった。分析の中で、推定される原因について触れながら、なぜ、原因は、簡単な記述のかと批判されたりしていた。

 事故の原因をさぐることは難しいと思う。事故情報を集め、事故の分析を通じて考えられる原因や要因を洗い出し、事故の再発防止のために役立ててほしい。
 そのためには、十分な予算と専門のスタッフが必要である。国交省から人事交流で事故調査官が委員会にくるのではなく、事故調査の専門家を養成して、委員会が独自に採用すべきである。
 そうでなければ、国交省のつくった安全基準や監督官庁としての指導に問題があって事故が起きたとしても、十分に分析・批判できないと思う。

《運輸安全委員会のHP》
http://www.mlit.go.jp/jtsb/index.html