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2009年10月2日金曜日

運輸安全員会の発足から1年

 2008年10月、航空・鉄道事故調査委員会は、海難審判庁の事故調査部門を統合して、新たに運輸安全委員会として発足した。
 運輸安全委員会は、事故の原因調査をし、二度と同じような事故を起こさないようにするため、再発防止策を各方面に提言する。
 発足から1年がたつが、旧事故調から、どのように変わっただろうか。
 
 運輸安全委員会は、鉄道事故の調査範囲を拡大し、踏切事故やホームでの事故の場合、死者が1名であっても、係員のミスや鉄道側に問題があると思われる場合は調査を開始することになった。しかし、鉄道側に問題があるかどうかは、調査しなくてはわからない。少なくとも死者があった場合は、すべて事故調査をすべきである。

 また、運輸安全委員会の事務局によれば、運輸安全委員会は発足以降、ヒューマンファクターの要素に力を入れて事故を分析してきたということである。 
 
 事故調査報告書をわかりやすくするため、記述の項目もかえられた。
 今年度初めに出された湘南モノレール事故の報告書は、
 1.鉄道事故調査の経過、2.事実情報、3.分析、4.結論(分析の要約、原因)、5.意見、6.参考事項 という項目立てになった。分析の結果、推定される原因について、すべて書き出し、安全管理の問題点や、再発防止のための方策について、意見を述べている。
 
 従来の報告書は、1.は同じだが、2.は認定した事実、3.事実を認定した理由、4.原因、5.参考事項という項目立てだった。福知山線事故の報告書をご覧になった方はわかると思うが、従来は、「4.原因」の記述が、簡単だった。分析の中で、推定される原因について触れながら、なぜ、原因は、簡単な記述のかと批判されたりしていた。

 事故の原因をさぐることは難しいと思う。事故情報を集め、事故の分析を通じて考えられる原因や要因を洗い出し、事故の再発防止のために役立ててほしい。
 そのためには、十分な予算と専門のスタッフが必要である。国交省から人事交流で事故調査官が委員会にくるのではなく、事故調査の専門家を養成して、委員会が独自に採用すべきである。
 そうでなければ、国交省のつくった安全基準や監督官庁としての指導に問題があって事故が起きたとしても、十分に分析・批判できないと思う。

《運輸安全委員会のHP》
http://www.mlit.go.jp/jtsb/index.html

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