2012年10月14日日曜日

東電原子力改革監視委員会、初会合開く

 10月12日、東京電力は、原子力部門の改革を監督する第三者委員会「原子力改革監視委員会」の初会合を開いた。 
  先月11日、東京電力は、社外の専門家による第三者委員会を立ち上げ、福島第一原発事故の反省を踏まえて、原発の安全対策を強化し、廃炉や除染技術を向上させることにした。
 第三者委員会のメンバーには、アメリカ原子力委員会(Nuclear Regulatory Commission、略称:NRC)の委員長だったデール・クライン氏のほかに、日立製作所の原子力技術者出身で経営コンサルタントの大前研一氏、元名古屋高検検事長で国会事故調査委員会の委員を務めた桜井正文氏らが参加している。

 この第三者委員会の初会合が、12日開かれ、検討テーマを提出した。報道によると、常に最悪の事態を想定して事故防止対策を講じる取り組みを強化することや、人材育成手法の見直しも重点項目に挙げられたという。
 また、東京電力の広瀬直己社長をトップとする特別チーム(原子力改革特別タスクフォース)は、津波や過酷事故の対して、「事前に対処は可能だった」と指摘した。今年6月の社内事故調査報告書をまとめた時点では、東京電力は「結果的に備えに甘さがあったが、できる限りのことは尽くした」としていたが、これを否定する認識を示した。

 原子力改革監視委員会の委員長に選ばれたデール・クライン氏は、日本経済新聞の取材に対して、福島第1原子力発電所の事故の責任は、東京電力にあると指摘、「安全文化を経営トップから組織の隅々まで浸透させねばならない」と答えている。
 クライン氏は、原発事故の安全対策や事故対応について、「規制当局と東京電力は、大きな過ちを犯した」と強調し、「違った対策をとっていれば事故は防げたという事実を受け入れることが重要だ」と指摘した。今後策定される再発防止策の効果を検証するとともに、社員一人一人が「安全に責任を負っている自覚を持つべきだ」とも訴えている。
 
 クライン氏は、また、日本の経産省が、NRCがアメリカ同時多発テロ後策定した安全指針「B5b」()を導入していれば、福島第1原発事故は防げたと断言しているともいう。官民挙げた過酷事故への備えが必要だとしている。
 アメリカでは、電力会社が、事故や運転の情報を共有する業界団体、アメリカ原子力発電運転協会(Institute of Nuclear Power Operations、略称:INPO)がある。INPOは、規制当局の基準を上回る安全策をとりいれているという。クライン氏は、日本にもINPOのような組織が必要だと提案している。

 原子力発電の規制にかかわる官庁や東京電力が国民から信頼を回復し、同じような事故を二度とおこさない組織をつくっていくには、さまざまな改革が必要なのだと思う。時間をかけて、改革に取り組んでもらいたいと思う。

《参考記事》
「東電原子力改革委が初会合 危機対応 米国流を導入」日本経済新聞2012年10月13日朝刊
「原発事故『対処可能だった』東電タスクフォースが見解」朝日新聞デジタル
http://digital.asahi.com/articles/TKY201210120529.html
「原発テロ対策『B5b』松永前経産事務次官『記憶にない』」2012.5.16 19:49 産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120516/dst12051619500011-n1.htm

0 件のコメント: