国交省は、29日までに事故を起こしたバス運行会社・陸援隊について、行政処分の中でもっとも重い事業取り消し処分を下す方針をかためた。
28日、群馬県警は、事故を起こしたバス運転手に会社の名義を貸して、違法に営業をさせていたとして、道路運送法違反の名義貸しの疑いで、陸援隊・社長を逮捕した。
又、バスの運転手も道路運送法の無許可営業の疑いで再逮捕した。陸援隊については、このほかに、国交省の監査で、日雇い運転手を雇っていた、運転手に長時間運転をさせていたなどの法令違反があったことがわかった。国交省は、これらの法令違反と、今回の事故を重く見て、事業許可取り消しもやむなしと判断、陸援隊の主張も聴いた上で、決定を下す方針だ。
全長約12mのバスは、左前部から防音壁のコンクリート製基礎部分(高さ約1m)にめりこみ、約10.5mまで防音壁全体が入り込んでいた。
事故については、防音壁と防護柵(ガードレール)との間に隙間があったことが、被害を大きくしたのではないかという指摘が当初あった。
しかし、バスが時速90kmという高速でガードレールにぶつかった衝撃で、ガードレールが外側に傾き、大きな隙間があったように見えていたと判明、東日本高速道路会社は「構造上の問題はない」と県警に報告した。
2007年2月には、スキー客ら27人が死傷するというバスの事故が起きた。2010年9月、貸切運転手へのアンケートを参考に、総務省は国交省に対して、運転手一人が安全運航できる乗務距離について基準を見直すよう改善を勧告していた。しかし、国交省は運転手一人の1日の最大運転距離の基準「670km」を変更しなかった。
今月27日、陸援隊が開いた被害者説明会で、今の気持ちを語ったという遺族の一人は、「加害者側にやっと思いを聞いてもらえた」と語る一方、出席した関係者の態度には誠意は感じられず、質問に対する答えも納得のいくものではなかったという。
事故の原因を徹底的に究明してほしい、そして二度と同じような悲惨な事故を繰り返さないよう、安全対策を考えてほしい。
バスの運行に関わる人たちには、バスを利用する人の命を大切に考え、安全なバスツアーの基準や安全対策を再度検討してほしい。
《参考記事》
「陸援隊、バス事業許可取り消しへ 国交省方針」 朝日新聞デジタル 2012年5月29日16時39分
「高速ツアーバス事故から1ケ月」(チューリップテレビ 2012年05月29日 19時14分)
http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/?TID_DT03=20120529191635
《参考》5月30日追記
国土交通省: 関越自動車道における高速ツアーバス事故を受けた安全性向上の取り組み
関越道における高速ツアーバス事故を受け、高速ツアーバス関連事業者に対する重点的な立入検査等の実施、過労運転防止対策の強化、貸切バス事業者に対する安全規制の強化等に取り組んでいる。
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_002069.html
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