2012年1月17日火曜日

新築マンションで、高い放射線量

報道によると、15日、福島県二本松市は、昨年7月市内に完成した3階建ての賃貸マンションの1階室内で、屋外よりも高い毎時1マイクロ・シーベルトを超える放射線量を計測したと発表。東京電力福島第一原発事故で出た放射性物質で汚染されたコンクリートが使われていたことがわかった。

 同原発事故で計画的避難区域になった福島県浪江町のエリアにある採石場の砕石を原料とするコンクリートが使われていた。原発事故後も、この採石場からは、事故後も計画的避難区域に指定される4月22日まで出荷を続け、福島県内の19社に合計約5200トンの砕石が出荷された。このうち、マンションにコンクリを納入した二本松市の会社からは県内の百数十社に販売され、道路工事など、数百カ所の工事に使われたという。経済産業省などが最終販売先を調べている。

 マンション1階の室内に24時間滞在すると仮定すると、年間の線量は10ミリシーベルト前後になるという。マンションには原発事故で避難している人たちが多く住んでいる。二本松市は、1階の4世帯には転居してもらう方向で国や県などと協議する。

 17日、枝野経済産業相は閣議後の記者会見で、「発表まで時間がかかたのは事実で、残念」と述べ、対応が迅速さに欠けていたことを認めた。
 昨年12月29日、同省に二本松市から「マンション1階で高い放射線量が計測された」と内閣府を通じて連絡があった。線量が高かったのは1階部分だけだったため、コンクリートが原因と判断せず、本格的に調査を始めたのは、市側から「砕石を用いたコンクリートの可能性が高い」と報告を受けた今月6日からで、公表は15日だった。

 枝野経済産業相は「少しでも詳細な情報がほしいという当事者の思いを受け止めなくていかねばならない」と述べたという。又、前田国土交通相はマンション1階部分の住民支援について、「くぁりの住居の手当ても含め、できるだけのことをしたい」と述べたという。

 原発事故後、放射性物質がどのように拡散していくのか、気象条件などを加味して予測するシステム「SPEEDI(スピーディ)」などがありながら、住民の避難指示などにこれらの情報が十分いかされなかったことがこのような事態を招いたともいえる。放射性物質に汚染された大量の砕石がどこにどのように使われたのか、早急に調査して対策を講じてほしい。

《参考記事》
「新築マンションに浪江の砕石、高い放射線量」(2012年1月16日08時17分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20120115-OYT1T00582.htm
「汚染コンクリの対応、迅速さ欠いた…枝野経産相」(2012年1月17日13時01分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120117-OYT1T00612.htm

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