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2011年9月28日水曜日

駅のホームドア、新型ドアの開発進む

 今年1月、JR山手線目白駅で全盲の男性がホームから転落して亡くなる事故が起きたことなどから、駅のホームに可動式ホーム柵を設置する要望が強まっている。
 
 全日本視覚障害者協議会の調査によると、視覚障害者のホームからの転落事故は、1994年から全国で少なくとも38件起きており、そのうち18人が亡くなっているという。

 だが、路線によってはいくつもの鉄道会社が乗り入れ、車両のタイプによって扉の位置が異なるため、ホームドアの設置がなかなか進んでいない。
 8月に国土交通省は、1日の利用者が10万人以上の駅に、優先的にホームドアを設置する基準を示した。しかし、全国で設置されているのは、509駅で全体の5%にすぎないという。

 このように、ホームドアの設置が難しいとされる中、新型の開発がすすんでいるという。新型は、ホーム上にレールを設け、その上を戸袋とドアが移動し、列車の扉の位置に応じて組み合わせを変えて会浩一を調整する仕組みだという。移動するドアに乗客が巻き込まれる事故を防ぐため、速度などを試験中で、神戸製鋼所と東京大学が共同で研究、13年度中の商品化を目指しているそうだ。
 

 東京メトロによると、ホームドアを設置した駅では、故意ではない転落事故は起きていないという。ホームドアがあることで、転落事故を防ぐことができる。利用者の多い駅では、転落事故が後をたたない。狭いホームなど、危険なホームをなくすには、ホームドアの設置は有効だと思う。新しいホームドアの開発に期待するとともに、一刻も早い設置をのぞみたい。

 《参考記事》
「ホームドア 移動自在 異なる列車に扉に秘策」 2011年9月28日朝日新聞http://www.asahi.com/national/update/0928/TKY201109280229.html
 

2011年9月27日火曜日

CR機能のない使い捨てライター販売禁止

 9月27日から、チャイルドレジスタンス(CR)機能のない使い捨てライターは販売が禁止される。東京消防庁によると、2006年から2010年の間に、12歳以下の子供による火遊びが原因の火事は328件あり、7人が死亡、125人がけがをしている。そのうち、7割が使い捨てライターを使っていた。幼い子どもの火遊びが原因で火事になり、子供らが亡くなる火事が多発していたことから、昨年12月、使い捨てライターも、第三者機関の検査が義務付けられている消費生活用製品安全法の「特別特定製品」に追加された。
レバーを重くするなど、安全基準に合格したことを示す「PSCマーク」がないライターは販売できなくなる。

子供が火遊びをしないよう指導するとともに、子供がライターを簡単に着火できない仕組みも必要と安全基準が決められた。
幼い子らが犠牲となることのないよう、喫煙などでライターを使う大人たちには十分な安全なライターを使ってほしい。

《参考》
拙ブログでは、以下で取り上げました
「ライター火災、消費者庁などが全国調査実施 」2010年4月4日
http://tomosibi.blogspot.com/2010/04/blog-post_04.html

 (独)製品評価技術基盤機構は、子どものライターなどの事故について注意喚起している。
「子どもによるライター等の事故の防止について(注意喚起) 」2011年9月22日
 http://www.nite.go.jp/jiko/press/prs110922.html

《参考記事》
 「CR機能なしライター きょうから販売規制 園児に絵本で呼び掛け」 東京新聞2011年9月27日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20110927/CK2011092702000029.html

2011年9月19日月曜日

東京電力、黒塗りの資料を提出~福島原発事故

 9月12日、東京電力は、衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会(川内博史委員長)の求めに応じて、過酷事故(シビアアクシデント)に対する手順書の一部を開示した。

 東京電力は、「1号機運転操作手順書(シビアアクシデント)」の表紙と目次、A4判計3枚を開示した。保安院を通じて、非公開の同委員会理事会に提出されたが、閲覧後東京電力の求めにより回収されたという。川内委員長によると、手順書は2003年7月1日に作成され、今年2月1日に改定されたと記されていた。目次の序文など50行のうち48行が黒塗りにされ、読めたのは目次の「消火系」「不活性ガス系」という単語だけで、内容は不明だという。

 同委員会は、8月26日、保安院を通じて、東京電力に対して、過酷事故の手順書を提出するよう要請していたが、9月2日に提出された「事故時運転操作手順書」などは、過酷事故の手順書でないばかりか大半が黒塗りだった。東京電力は、「知的財産が含まれる」「安全確保・核物質防護上の問題が生じるおそれがある」という理由で、黒塗りにしていたが、同委員会は、再度過酷事故の手順書を提出するように要請していた。

 しかし、今回提出された資料もまたほとんど黒塗りで、国会での事故の解明に支障をきたすことになるという。同委員会は、原子炉等規制法と電気事業法に基づく書類提出を求めることを決定、経済産業相に要請した。

 この問題について記者に質問された枝野経済産業相は、「一定の公開について制約があることは十分承知している」と前置きした上で、「私は納得できるような説明は受けておりません」「黒塗りをして公表できないというのであれば、そのことについて国会関係者はもとより、国民の皆さんが納得できるような説明をする責任が東京電力にはある」と述べたという。

 又、同委員会は、政府の福島原発事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)を訪問、同委員会として、事故原因の徹底検証などを求める要望書をわたした。

 過酷事故(シビアアクシデント)に対する手順書がどの程度整備されていたのか、またどんな点が不十分だったのか検証することは、全国の原子力発電所の事故対策にとっても重要だと思う。東京電力は、国民の生命にとって重要な事故の資料をすみやかに提出して、事故原因の検証と事故の説明に努めるべきだと思う。

《参考記事》
「50行中48行黒塗り 東電、国会に原発事故手順書提出」朝日新聞2011年9月12日
http://www.asahi.com/national/update/0912/TKY201109120347.html

「東電の原発事故時手順書の"黒塗り"問題、枝野経産相『納得できる説明受けていない』」
ニコニコニュース(オリジナル) 2011年9月13日(火)12時23分配信
http://news.nicovideo.jp/watch/nw113629

2011年9月13日火曜日

JR越後線第二下原踏切事故の遺族、JR東日本に損害賠償請求

 2010年8月19日午前7時ころ、柏崎市橋場町にあるJR越後線第二下原踏切で、近くに住む小学校5年生の児童が普通電車に撥ねられて亡くなった。児童は、夏休み中、朝早くトレーニングのため、自宅周辺を自転車で走り、帰宅する途中、踏切を横断しようとして列車に撥ねられたとみられている。
  2011年7月20日、亡くなった児童の両親は、踏切を管理するJR東日本に対して、損害賠償をもとめる訴えをおこした。

 訴状によると、事故当時、第二下原踏切には、警報機・遮断機がなく、音声警報装置や電光表示板も故障していた。
 また、児童が来た側は、列車の来た方角の線路の周辺に草が高く茂っており踏切から列車の来る方向が見えにくいこと、過去にも踏切で女性が撥ねられて亡くなっているため付近の住民からは安全対策をのぞむ声があったこと、また踏切周辺には集会所や商業施設があり、住民が生活道路として踏切を頻繁に利用していることなどから、踏切警報機の設置などの安全対策が求められていたのに、JR東日本は、故障していた音声警報装置を放置し、警報機や遮断機をつけずにいた。

 児童の両親は、踏切に少なくとも踏切警報機が設置されていれば、児童は列車の接近を知ることができ、事故は発生しなかったとしている。
 事故後、JR東日本に対して児童の両親は、なぜ事故が起きたのか説明してほしいと要望してきたが、JR東日本からは事故の説明がなされていないという。
 JRのマニュアルでは警報機などの無い第4種踏切では、運転士は踏切の手前で警笛を鳴らすことになっているが、両親が踏切で調べたところによると、警笛を鳴らさない運転士もおり、両親は、「息子は見通しの悪い踏切で列車の接近に気付かなかったのではないか、せめて警報機があれば息子は事故に遭わなかったのではないか」と語る。

 事故後、JR東日本は事故のあった第二下原踏切に警報機・遮断機の設置を決めたことからもわかるように、JR東日本自身が、この踏切が危険な踏切であることを認識していたともいえる。にもかかわらず、児童の不注意が事故の原因であるかのように主張して、JR東日本が今回の踏切事故についてなんら責任がないようにふるまうのは、児童の両親からすると納得がいかないことだろうと思う。

 踏切は、高速でしかも圧倒的な重量の危険な列車が通過するところである。踏切を管理する者は、踏切を利用せざるを得ない地域住民や児童、生徒が安全に通行できるように、安全対策を講じる義務があると思う。JR東日本には、亡くなった児童の両親に対して納得のいく説明をしてほしい。そして、踏切の十分な安全対策と事故の再発防止策を講じることをのぞみたいと思う。

《参考》
柏崎市第二下原踏切の事故については、拙ブログの以下を参照してください
「踏切事故の現場をたずねて~新潟県柏崎市JR越後線第2下原踏切」
http://tomosibi.blogspot.com/2010/11/2.html
「柏崎市の第2下原踏切、警報機・遮断機設置へ」
http://tomosibi.blogspot.com/2010/12/blog-post_16.html

2011年9月9日金曜日

JR山陽線倉敷市寿町踏切事故の裁判~遺族の訴えを棄却

 2009年5月11日、倉敷駅そばの寿町踏切で、自転車を押して渡っていた女性が踏切内に取り残され、列車に撥ねられて女性が亡くなった。
 その後、2010年5月、亡くなった女性の遺族が、運転士が踏切の安全確認を怠ったことや、踏切の非常ボタンの設置位置が分かりにくいなど踏切設備の不備などが事故を引きおこしたとして、JR西日本に対して損害賠償を請求して裁判を起こした。
 今年7月21日、この裁判の判決が岡山地裁倉敷支部で言い渡された。判決は、遺族の請求を棄却した。

 遺族の代理人の弁護士によると、判決では、踏切の障害物検知装置(自動車などを検知するセンサー)については、鉄道省令で、自動車を検知するものとされているので、人を検知するものではないから、踏切内に取り残された女性を感知できなくても、踏切の安全装置として瑕疵があるとはいえないとしたという。
 また、判決は、障害物検知装置が検知すると特殊信号発光器が発光するが、この発光を見落とした運転士の過失については、運転士は、入駅のための一連の重要な確認作業中であり、特殊信号の発光に気づかない、踏切上の人を確認することできないとしても当然だとした。判決は、JR西日本の主張をそのまま認め、遺族が、寿町踏切の設備に不備があること、運転士が安全確認を怠ったことが事故の原因であると指摘したことを無視したものとなった。

 事業者は、列車の運行を増やして、この倉敷駅横にある寿町踏切を開かずの踏切にしておきながら、自転車や高齢者が通行しやすいエレベーター付きの歩道橋などを設置せず、開かずの踏切を解消する努力をしていないと思う。
 また、センサーで踏切内に人がいるのを検知しておきながら、運転士が駅に入る作業をしている最中だという理由で運転士がその信号を見落とし、踏切内の通行者に気がつかなくてもよいのだろうか。運転士の行う入駅の安全確認の中に、倉敷駅のすぐそばにある寿町踏切の安全確認も含まれるのではないのだろうか。

 たしかに列車はレールの上を走るからすぐには止まれないし、踏切にいる通行者をよけることができない。だから、事業者や運転士は、踏切に取り残された通行者の方が、踏切に近づく列車をよけるべきだと考えているのだろう。
 それなら、通行者が踏切内に取り残されたときに、近付く列車を避けることのできる場所を、待避できる場所を確保するべきだと思う。

 また、運転手から特殊信号発光器の信号が見えにくいのなら、見やすい信号に変える必要があると思うし、列車の運転席にいる運転士に検知の結果を伝えるようにすべきだと思う。

《参考》
2009年の寿町踏切の事故等については、拙ブログの以下の記事を参照してください
「踏切事故の現場をたずねて~倉敷市寿町踏切事故から2年」2011年5月18日
http://tomosibi.blogspot.com/2011/05/2.html