2016年4月1日金曜日

危険な踏切をなくす、実効性のある対策を~改正踏切道改良促進法が成立

 3月31日、踏切道改良促進法の改正案が参院本会議で、全会一致で可決、成立した。
国土交通省は、2016年度中に、全国で危険性の高く改良の必要な踏切を1000か所程度指定し、20年度までに、対策をとるように鉄道会社と自治体にもとめる。

 鉄道会社と自治体が具体的な対策で合意していなくても、国の判断で指定する。踏切の安全対策が迅速に進められることを期待したい。

 国交省によると、指定に当たっては、以下の点に留意して決めるという。
   [例]課題のある踏切
     ・開かずの踏切(ピーク時の遮断時間が40分以上の踏切道)
     ・踏切交通遮断量が一定以上の踏切道
     ・歩道が狭隘な踏切道
     ・通学路における小学生等の通行の安全確保が必要である踏切道
     ・高齢者等の通行の安全確保が必要である踏切道等

 踏切は危険なところだ。根本的な対策は踏切をなくすことだが、鉄道の立体化などは時間や費用がかかる。危険な踏切や事故のあった踏切をかかえる自治体も、根本対策にすぐにとりかかることは難しいと言うところが多い。しかし、当面できる対策もあると思う。歩道を広げカラー舗装してわかりやすくするとか、凹凸のある踏切の路面をなくすなどの対策は、すぐにできるのではないか。

 踏切の対策に関わる全ての人に、命を守るために安全対策を論議してほしい。通院や買い物で通らねばならない高齢者や、通学でわたる子ども、車いすで渡らねばならない人たちが安全にわたれるよう、実効性のある対策を検討してほしいと願っている。

≪参考≫
●拙ブログでは、「危険な踏切の対策を急げ」(2015年12月15日)でもとりあげた
http://tomosibi.blogspot.jp/search?updated-min=2015-01-01T00:00:00%2B09:00&updated-max=2016-01-01T00:00:00%2B09:00&max-results=22
●国土交通省ホームページ
「踏切道改良促進法等の一部を改正する法律が成立し、その施行に必要な関係政省令が公布されました。」平成28年3月31日
http://www.mlit.go.jp/common/001125900.pdf
≪参考記事≫
「危険踏切1000カ所改良へ 安全対策、自治体と鉄道に義務」共同通信 2016/3/31 18:34
http://this.kiji.is/88201596619605492?c=39546741839462401

2016年1月29日金曜日

繰り返されたツアーバスの事故~長野県軽井沢町の事故

 2週間前、1月15日の未明、軽井沢でツアーバスの事故が起きた。将来のある多くの若者たちが犠牲となった。
 
 バスは、国道のセンターラインを越えて、ガードレールを突きやぶり、3m崖下に転落した。運転手や学生など15人が亡くなり、26人が負傷した。
 事故から日が経つにつれ、報道から、バス会社が運転手の健康管理を怠っていたことや、運行ルートを変更したこと、バス会社が国が定める基準の金額よりも安くツアーを受注していたことなどがわかってきた。また、バスが転落する寸前の監視カメラの映像が公開され、バスが時速100km前後のスピードを出していたらしいこともわかってきた。
 また、ギアがニュートラルに入っていたので、ブレーキが利かなくなっていたのではないかと言われている。運転手がバス会社に入社したばかりで、大型バスの運転に不慣れだった可能性があるという。

 事故のあった15日午後、国交省はバス会社に特別監査に入った。その結果、バス会社はバスの「運行指示書」に運行ルートを書いていなかったり、バスの運行が終わっていないのに、終わって運転手の点呼を済ませたとする書類をあらかじめ書いておくなど、道路運送法に違反している実態があった。
 運行会社は、事故の2日前、「運転手の健康管理が不十分」だとして、行政処分をうけたばかりだとも聞く。運転手の健康管理や勤務状態はどうだったのかも調査する必要がある。

 報道を見聞きしていると、次々とあきれることばかり出てくる。格安・激安をうたったツアーの裏にこんな危険があったとは、誰が想像しただろう。ゼミやサークルの友人たちと、楽しい旅を計画して出かけた学生らが一瞬のうちに、命を奪われるとは…

 亡くなった学生の父親が事故は「社会のひずみをあらわしている」と語っていた。親はやりきれない思いだったにちがいない。学生の中には就職も決まり、学年末試験なども済んで、ぐっすり休んでいただろう。事故は、そんなささやかなひとときの幸せさえも奪ったのだ。
 バスツアーの企画や運行にかかわる業者は、相次ぐ事故を自らのこととして受け止め、乗客の命を預かる公共交通機関としての使命を改めて肝に銘じてほしい。
 また、事故の原因を徹底的に調べ、バス会社やツアー会社などへ適切に行政処分を下すことは当然だ。その上に、今回のバスの事故の背景にある問題点も十分検討して、今後のバスツアーの安全対策につなげてほしい。

 最後になりましたが、亡くなられた方々のご冥福と、負傷された方々の一刻も早い回復を祈ります。  
 
≪参考記事≫
「繰り返されたバス事故の悲劇 」日本経済新聞2016/1/16
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO96195280W6A110C1EA1000/

2015年12月15日火曜日

危険な踏切の対策を急げ

報道によると、12月12日、国土交通省は、歩行者が事故に遭う可能性のある危険な踏切の対策を加速させる方針を固めた。

踏切内の歩道の拡幅、道路と鉄道の連続立体化などの改良の方法が決まらなくても、国の判断で「改良が必要な踏切」に指定し、自治体と鉄道会社に取り組みを促すことを柱とするという。
対象となる踏切は全国1000か所以上になる見込み。次期通常国会に踏切道改良促進法改正案を提出する。

国土交通省鉄道局の「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報 平成26年度」によると、2014年度(平成26年度)には、踏切では246件、事故が発生、92人が死亡している。亡くなった人の約8割は歩行者で、そのうちの4割が65歳以上の高齢者である。

2012年、2013年と、二人の女性が、踏切で倒れていた高齢者を助けようとして亡くなるという痛ましい事故がおきた。

女性が亡くなった踏切の横に、JR東が献花台を設けた。
朝早くから、献花に訪れた人がいた。2014年9月30日撮影

他の交通事故と同様、踏切においても、歩行者、特に高齢者が関わる事故が増えている。国交省は、今年10月「高齢者等の踏切事故防止対策について」も公表し、対策を強化する予定だ。

平成28年度から「第10次交通安全基本計画」がはじまる。この中でも、踏切道における事故対策が重視されている。鉄道と道路が平面交差する踏切は、もっとも危険な場所といえる。にもかかわらず、遮断棹は簡単にくぐれてしまうし、警報機は遠くからは見えにくい場所もある。カーブにある踏切道は、でこぼこしていて歩きにくく、お年寄りでなくても、躓いたり転んだりしかねない。

踏切を通らなくては、生活できない人がたくさんいる。私もその一人だ。
踏切の道路を管理する自治体と、踏切の施設を管理する鉄道事業者は、協力して安全対策を進めてほしいと、切に願う。
 
≪参考記事≫
「踏切改良、国の後押し加速 歩行者事故対策で国交省」東京新聞2015年12月13日

2015年11月8日日曜日

第10次交通安全基本計画(中間案)についての意見

 交通安全基本計画は、交通安全基本法に基づき、陸上、海上及び航空交通の安全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等を定めるものだ。
 現在、内閣府では、平成28年度から始まる第10次交通基本計画の作成に向け、作業が進められている。これまでの中央交通安全対策会議での検討を踏まえて、中間案がまとめられ、11月6日、公聴会が開催された。
 この公聴会には、関係する各省庁と各都道府県・政令指定都市の担当者も傍聴した。
 私も幸い公述する機会をいただいたが、公述する時間が8分と短いため、問題を絞って意見を述べさせていただいた。(公聴会で述べたことをまとめたので、以下に掲載します)
 なお、昨年9月に、内閣府は意見聴取会を開催して、交通事故被害者団体などから、交通安全基本計画にたいする意見を聴取、踏切事故遺族の会「紡ぎの会」も意見を述べさせていただいた。

~~~~第10次交通安全基本計画(中間案)にたいする意見~~~~
                                       平成27年11月6日
1.中間案の理念について
(1)事故を無くすには、なぜ事故が起きたのかを調査することが必要であり 各交通おける事故  調査体制を充実させることが肝要です
従って「理念」に「事故調査体制の充実」という項目を設定し、大きな目標に挙げることが必要です
(2)事故情報は当該事業者だけでなく、技術者や研究者、市民等各方面で共有されるべきと考えます。そのため「事故情報の共有・公開」という項目をたてるべきと考えます。
又、公的機関や鉄道事業者等、専門機関の事故調査にあたり、事故当事者の個人情報は直接個人を特定できる情報以外の情報は制限せず、情報公開すべきです。事故情報は再発防止や類似事故の未然防止という公益性があり、交通安全に資するものです。

2.「第3章踏切道における安全
(1)踏切事故が毎年300件前後起き、100人前後の方が踏切で死亡しています。しかし、25年度26年度と事故は300件を下回り、死亡者も100人を切りました
なぜ事故が減少したのか検討し、どんな対策が効果をあげたのか検討するならば、一層事故を減少させることができます。「平成32年度までに踏切事故件数を平成27年度と比較して約5割削減することをめざす」と目標を設定すべきです。(86ページ「目標」踏切事故件数約1割減に対して)
2)踏切事故の多くは鉄道事業者と踏切道管理者が協力すれば防止できます。今後の踏切道における交通安全対策を考える上で「道路管理者と鉄道事業者が協力し踏切安全通行カルテを作成・公表」(中間案89ページ)は有益です
具体策の実現にあたり、予算の後押しをお願いします。
3)被害者支援について、鉄道交通及び道路交通では、項目をとり詳細に記載されていますが、踏切交通については記載がありません。踏切道も鉄道交通のように、公共交通事故の被害者である場合は、支援の対象と考え、対策を講じるべきです
従って「被害者支援の実施」という項目をたてていただきたいと思います。
                                                          以上
≪参考≫
 内閣府は、この第10次交通安全基本計画(中間案)に対する国民からの意見を募集している。意見募集の締め切りなどについては、内閣府ホームページ
http://www8.cao.go.jp/koutu/kihon/keikaku10/kaisai.html

2015年10月31日土曜日

高齢者などの踏切事故防止対策を検討、公表~国土交通省

 国土交通省は、10月7日、高齢者や移動に制約を受けている人たちの踏切事故防止対策について、昨年7月から検討してきた結果を公表した。
 踏切事故は、長期的には減少傾向にあるとはいえ、最近は、高齢者(65歳以上)や移動に制約のある人(以下「高齢者等」と略)が車いすに乗るなどしていて、踏切道を渡りきれずに死亡する事故が相次ぎ、事故をどのように防止すべきか、検討が迫られていた。

 国土交通省が今回公表した「高齢者等の踏切事故防止対策について」によると、踏切事故件数290件のうち、歩行者は約3割、死亡者の約7割は歩行者である。また、死亡した歩行者のうち、約4割は65歳以上の高齢者である。
 このように、踏切事故において、65歳以上のお年寄りなどが事故に遭う割合が大きいことがわかった。そのため、踏切事故防止対策の検討会では、鉄道事業者から踏切で記録された画像を提供してもらい、具体的な事例を分析することにした。事例を、警報機及び遮断かんの動作状況と高齢者等の通行状況を整理し、事故原因を分析、事故防止対策について検討した。

 ここでは、12例を警報機が鳴りだす前に進入した場合と警報機が鳴動中に進入した場合とに分けて分析している。
 踏切道を渡りきれない場合の原因として、歩行速度が遅いこと、踏切内の段差やレールと路面との隙間に歩行者の足やシルバーカートの車輪等がひっかかり転倒すること、歩道がないか歩道幅員が狭いために自動車とすれ違う際に歩行を中止することがあげられている。
 遮断かんに阻まれて踏切道から出ることができないのは、遮断かんを持ち上げたり、くぐることができないことが原因であることがわかった。また、警報機鳴動後に踏切道に進入するのは、警報機が見えづらい等により踏切を認識していない可能性があることもわかった。

 これらの分析から、比較的短期間で技術的に実現性が高いと考えられる14の対策を検討、そして、それぞれの踏切道の状況に応じて、各対策の採択や組み合わせを考えるよう、提言している。
 
 今回の事故防止対策は、踏切に設置されたカメラの画像を分析して、具体的に対策を検討していることが注目に値すると思う。また、踏切の道路管理者と鉄道事業者が協力して「踏切安全通行カルテ」を策定・公表し、重点的に対策を推進していくよう求めている。

 今後も、踏切事故を無くす対策を着実に進めるために、関係機関が協議を重ねっていいてほしいと思う。

≪参考≫
国土交通省ホームページhttp://www.mlit.go.jp/common/001105649.pdf
「高齢者等の踏切事故防止対策について」高齢者等による踏切事故防止対策検討会
平成27年(2015年)10月