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2012年11月1日木曜日

あってはならないエレベーターの戸開走行事故

 報道によると10月31日午後2時55分ころ、金沢市広岡にある「アパホテル金沢駅前」で、清掃会社従業員の女性が、突然動き出した業務用エレベーターのかごと上部の枠に体を挟まれて亡くなった。

 報道によると、亡くなった女性は、帰宅するために4階から地下1階に下りるため、エレベーターを待っていた。扉が開いたので、乗りこもうとしたら、急にかごが上昇し、つまづいて上半身だけがかご内に転倒した。そのまま、上昇を続けたかごとエレベータ入口上部の枠に体を挟まれた。かごは、女性の上半身が中に入ったまま上昇したという。女性は、45分後に救出されたが、病院で死亡が確認された。

 シンドラー社製のエレベーターでは、2006年、港区で、エレベータの扉が開いたままかごが上昇し、下りようとしていた高校生がエレベータに挟まれて亡くなるという事故が起きた。この事故の後、高校生の遺族などの要請も受けて、国土交通省は安全対策としてエレベーターの二重ブレーキの設置を義務付けるなど、安全対策が強化された。
 しかし、二重ブレーキは新設のエレベーターについて適用されるもので、既存のエレベータには適用されない。そのため、全国に約70万台あるといわれる既存のエレベーターの安全対策をどうするのかが問題になっていた。国交省は、今年度、既存のエレベーター数千台について、改修費の3分の1を補助する取り組みを始めたばかりだった。

 国交省社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会と、消費者安全調査委員会は、情報を共有して、事故調査にあたるとしているとしている。

 6年前に、同じような戸開走行事故を起こしていたシンドラー社製のエレベーター。高校生の大輔さんを事故で亡くした市川正子さんは、かねてから、息子さんのエレベーター事故の調査が不十分だと語っていた。事故調査が不十分であれば、事故原因や事故の背景の分析があいまいになる。それで、同じような事故を防ぐための十分な事故の安全対策を講じることができたのだろうか。

 市川さんや、パロマのガス湯沸かし器の事故で息子さんを失った上島さんらの活動が実って、消費者庁や消費者安全委員会が発足した。
 今度こそ、それぞれの事故調査機関には十分な調査活動を行って、事故原因を解明してほしい。そして、同じような事故が決して起こることのないよう、安全対策に生かしてほしい。

《参考記事》
「エレベータ急上昇、清掃員挟まれ死亡」朝日新聞デジタル2012年10月31日
http://digital.asahi.com/articles/OSK201210310076.html

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