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2011年7月30日土曜日

中国高速鉄道事故~徹底した事故調査と情報の公開を

 7月23日夜、中国浙江省杭州発福建省福州行きの高速鉄道が、浙江省温州付近で前に停車していた列車に衝突脱線し、高さ20~30mある高架橋から4両が転落、多数の死傷者が出た事故から1週間がたった。
 なぜ、前を走る列車には「赤」信号を送り、後ろからくる列車には「赤」信号が届かなかったのか。又、信号が落雷で故障したというが、そういう場合は、列車が停車するように、安全な方に信号が変わるのではないか。そのようなフェールセーフの仕組みが働かなかったのはなぜなのか。まだ、調査中なのでわかっていない。

 24日朝のニュースでは、脱線した先頭の車両を重機で破壊し穴に埋める作業をしているところが映された。まだ事故原因も調査されていないだろうに、追突した先頭車両を穴を掘って埋めるとは、なぜだと驚くほかなかった。

 それ以来、驚くことばかりだった。死傷者の数は日を追うごとに増えて、死傷者数は200人を超えるという。当局が把握していないのか、わからないが、死者の数も41人といわれている。

 一方で、救援にあたった医師らの話として、死者は100人を超えるのではないかという報道もある。報道によると、脱線した車両は、前の車両と合わせて6両だそうで、追突した後続の列車は4両が高架橋から落ちていることから、もっと死傷者数は多いのではないかと私は思っていた。各車両の定員は100人程度、ほぼ満席だったというから、転落した車両に乗っていた人だけでも、負傷者は400人くらいにならないだろうか。転落した車両の乗客は少なくともけがはしているに違いない。

 もちろん、けがをされた乗客や亡くなった方が少ない方がよいに決まっている。しかし、もし、当局が、事故現場の混乱から正確な数字を把握できていなかったり、被害を小さく見せようとして、数字を偽って発表しているとしたら、許されることではない。

 事故後28日、温家宝首相は、事故現場を訪れて記者会見し「調査のすべてを公開、透明を原則とし、社会の監督のもとで進めなければならない」と述べたという。また、「安全を失えば、信頼も失う」とし、「(発展が)早ければいいのではなく、質や効率などを考慮し、何より安全を最優先させる」と強調。「人災か」という記者の質問には、「歴史の検証に堪えうる結論を出す。腐敗問題があれば、法に基づいて対処し、手加減はしない」と厳しく対処する姿勢をみせたという。

 中国当局の対応は、報道でしかわからないが、もっと情報を正確に迅速に公開すべきではないかと思う。被害者の家族や友人にとって、家族や友人がどこの病院に収容されているのか、無事なのかどうかといった安否情報は早く知りたいことだ。また、なぜこのような事故が起きたのかということは、ぜひ正確に知りたい。

 中国当局は今回の事故調査をあいまいにしたり、適当な原因をあげて事故調査を終わらせず、事故調査を徹底して行い、結果を遺族に誠実に説明し補償すること、同時に同じような事故を起こさないよう、緊急に高速鉄道の点検を行うことが必要だと思う。 

《参考記事》
「温首相、事故現場で異例の会見 『安全最優先させる』」 朝日新聞2011年7月28日
http://www.asahi.com/international/update/0728/TKY201107280755.html

「中国、プログラム設計に重大欠陥 当局が鉄道事故原因に言及」 2011/07/30 12:24 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201107/CN2011073001000293.html

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