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2011年7月5日火曜日

来年度から中学武道必修~求められる柔道の安全指導

 7月5日(火)の朝日新聞オピニオンには、来年度から始まる中学の武道必修化について意見が寄せられていた。
 愛知県がんセンター総長の二村雄次さんは、がん治療の最前線で働くかたわら、柔道家としても知られ、名古屋大学柔道部師範として、学生を指導する。

 その二村さんによると、1983~2009年度の27年間で学校で柔道をしていて亡くなった生徒が110人もいたという(名古屋大学内田良准教授のデータ)。中学37人、高校73人、大半はクラブ活動中だった。また、けがも多く、軽度のものも含め、後遺症が残る障害事例は同じ期間に275件あった。

 二村さんによると、死亡した学年は中高とも1年生が5割を超えており、初心者が多いこと、受け身などの基本技術が未熟な子供への無理な指導や、体調が急変した際の対処の仕方がよくなかったケースもあるという。

 一方、中学では、武道の必修が2012年度に迫っており、生徒は男女とも剣道・柔道・相撲から選択して履修するが、柔道を選択する生徒が多いとみられている。二村さんは、柔道経験の豊富な体育教師の絶対数が足りない、各都道府県の教育委員会では、中学教員の講習会を開かれているが、日程が短いと指摘する。二村さんは対策として ・補佐役に外部講師を招く ・けが防止のために、ある程度体力をつけてから、投げ技を教えたらどうかと語る。
 
 事故を防ぐ手立ても考えられてはいる ・全日本柔道連盟医科学委員会では、頭部外傷発生時のマニュアルを作成 ・同連盟安全指導プロジェクト特別委員会は、冊子『柔道の安全指導』を改訂 ・2013年度から指導者資格制度を始める
 
 そういった対策を講じても、不幸にして事故が起きた時は、第三者による柔道事故調査委員会を設置して、原因を突き止め、再発防止策までつくるべきだと、二村さんはいう。
 
 昨年設立された「全国柔道事故被害者の会」では、二度と被害者を出さないために安全指導を徹底するよう訴えている。

《参考》
7月12日(火)、横浜市奈良中柔道部でおきた柔道事故の裁判で、証人尋問が行われる。
当時15歳の男子生徒が講道館杯優勝の柔道部顧問との乱取りで投げられ急性硬膜下血腫を発症。現在も重篤な高次脳機能障害を抱える。
場所:横浜地裁101号法廷(最寄駅 みなとみらい線「日本大通り駅」直近)
証人尋問:脳神経外科医2名 柔道家1名
詳しくは、全国柔道事故被害者の会ホームページ
http://judojiko.net/

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