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2010年6月5日土曜日

明石歩道橋事故、元明石署地域官ら実刑確定へ…最高裁が上告棄却

 平成13年(2001)年7月21日夜、兵庫県明石市の朝霧駅歩道橋で、駅に向かう通行人と会場に向かう花火大会の見物客とが異常に集中し、群衆雪崩が発生、11人が死亡、247人が負傷するという事故が起きた。
 
  事故当時、通行人が滞留した橋の上では、1㎡あたり、13~15人もの人がとじ込められたという。橋はボトルネック構造になっている。駅から100mほどの長さで幅6mあるが、下りる階段は幅3mで片側しかなく、踊り場で花火を見物する人が滞留し、駅から来る通行人と夜店が並ぶ歩道から上がってくる見物客とで橋の上は身動きが出来なくなった。
 
  橋はプラスチック製の屋根でおおわれているため、事故当時、大勢の人が押しとどめられた橋の中は、蒸し風呂のように熱くなったという。
(写真は2007年7月撮影 国道28号の方からみる。 左手が朝霧駅、右手が大蔵海岸)

 この事故について、5月31日、最高裁判所第1小法廷は、事故当時、現場の警備にあたっていた元明石署地域官・金沢常夫被告(60)と警備会社の元大阪支社長・新田敬一郎被告(68)の上告を棄却する決定をした。同小法廷は、「機動隊に出動を要請して歩道橋への立ち入りを規制していれば事故は回避できた」と判断、「事故を容易に予測できたのに、事故は起きないと軽信し、必要な措置を講じなかったために多数の死傷者が出た」と認定した。両被告は、業務上過失致死傷罪で、禁固2年6月の刑が確定する。
 
 この花火大会では、主催者の明石市とともに明石署も事前の計画段階から、警備計画にあたっていた。
 しかし、この花火大会の7カ月前の平成12年12月31日に同じ会場で行われたカウントダウンイベントの際、歩道橋の上で、異常な密集状態となって雑踏事故の一歩手前だったのに、このときの警備計画を見直さず、7月の花火大会の際に分断規制や入場規制などの雑踏事故防止の対策を怠ったとされている。
 また当日は、明石警察署では、テレビモニターや警察無線などで、歩道橋内の混雑状況が把握できたにもかかわらず、元署長らは現地の部下に適切な指示を怠り、事故の発生を防止しなかったとされ、元副署長らは、今年4月、神戸第2検察審査会の「起訴議決」を受けて全国で初めて強制起訴された。

《参考》
明石歩道橋事故は、民事裁判については、平成17年6月、神戸地裁が原告である遺族側の主張を認め、花火大会の主催者である明石市や警備会社、兵庫県に損害賠償の支払いを命じた。
 (判例)平成14年(ワ)2435損害賠償事件 平成17年6月28日神戸地方裁判所
《参考記事》
歩道橋事故、明石署元幹部ら実刑確定へ…最高裁が上告棄却 (2010年6月3日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20100603-OYO1T00206.htm?from=top

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