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2010年6月5日土曜日

港区エレベーター事故から4年~柳田邦男氏が講演

 6月3日、港区のマンションでシンドラーエレベーター社製のエレベーターに乗っていて、扉が開いたので降りようとした市川大輔さんが、突然上昇したエレベーターに挟まれて亡くなった事故から4年がたった。

 3日、大輔さんの両親が主催した講演会では、作家でジャーナリストの柳田邦男氏が2時間にわたり、「生きる力」と題して講演をおこなった。柳田氏はジャーナリストとして50年間、さまざまな事故や事件に関わってきた。柳田氏は、日航ジャンボ機墜落事故や信楽高原鉄道事故、エレベーター事故などの遺族・被害者の置かれてきた状況を目の当たりにしてきた。切実に、事故の原因究明をもとめる遺族の思いをひしひしと感じてきたのだと思う。
 
 柳田氏は「重大事故でさえ、これまで被害者は行政や警察に置き去りにされてきた」と指摘、被害者が事故調査に加わる意義を語った。

 遺族は、大切な人を奪った事故がなぜおきたのか、なぜ大切な人が亡くなったのかと問う。なぜ、事故を防げなかったのか、なぜ、事故が起きても助かる術がなかったのかと、悲しみの中から問いかける。その問いかけが、車両の安全性向上や座席の安全性を高め、安全を語り継ぐ場をつくることにつながってきたという。
 
 事故から今年8月で25年になる日航ジャンボ機墜落事故の遺族は、事故直後から残存機体などを廃棄処分しようとしていた日航にたいして、機体や遺品の保存を求め続けた。事故から20年以上たって、2006年4月、日航はトラブルが続いたことを反省して、日航機事故などを語り継ぐ場として、社員教育のための安全啓発センターをつくり、遺品や事故機の圧力隔壁などを展示することにした。柳田氏は、遺族の声はそのきっかけになったと指摘した。

  また、さまざまな生活空間の事故の遺族同士のつながりができつつあるが、それは遺族の生きる支えになっている。国交省では、事故被害者の支援について検討を始めているが、今後、被害者支援が政策としてまとめられることを期待しているとも語った。
 
 講演会の最後に、挨拶に立った大輔さんの母正子さんは、亡くなった人の命を無駄にしないため、(監督官庁から)独立した公正で中立な事故調査機関の設置と徹底した事故の原因究明をもとめて、さまざまな遺族や被害者と絆を深めていきたいと語っていた。

《参考記事》
エレベーター死亡事故から4年 原因調査めぐり柳田氏講演
2010/06/03 21:22 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010060301000664.html

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