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2009年7月10日金曜日

すべての踏切事故の調査を

 7月9日、都内の機械振興会館で、安全工学シンポジウムがあった。
このシンポジウムは、40近い学協会の共催で開かれる学者、研究者のシンポジウムだ。
毎年、テーマを決めて開かれるが、これだけの数の学会が、いっしょに討論するというのはすごいと思う。
 
 中には、失礼な言い方になるが、学者とは思えないくらい熱く語る方もいる。そんな方々が、行政の設置する審議会や委員会などにいれば、何年かかけて、事故の再発防止策をいろいろと検討してくださることもあるだろう。
 
 安全にかかわる仕事や研究をされる方、実際にいろいろな機関で事故調査にあたる方々に、専門家ではない私が、疑問に思ったことを話すのは、正直言って迷った。でも、誰も踏切事故のことをきちんと調べないのだから、話さねばならないと、腹をくくった。

 はじめ、事故の現場を訪れることに、ためらわれることもあった。ご遺族の中には、じっさいに、お子さんや妻が亡くなった現場の踏切に行けない方もいる。私自身が現場に立つのが、つらくなることもある。
 
 そんな気持ちを奮い立たせてくれるのは、亡くなった方がたの無念さが、現場に立つと伝わってくる気がするからだ。現場に行っても、ご冥福を祈ることができない。まだまだご遺族は、そんな気持ちになれない、まだお子さんや妻が亡くなったと思えないのではないか、だから、わたしも、「安らかに眠ってください」とは思えないのだ。

 踏切事故そのものが、国交省の統計では「踏切障害事故」とよばれる。踏切をわたる命ある通行者も、鉄道事業者にとっては、通過する列車の障害物でしかないような呼び方に、憤りを感じる。

 踏切をわたる通行者の不注意だけを責めないで、事故の原因をいろいろな角度から、調査して再発防止に役立ててほしい。それが、亡くなった方々へのせめてもの供養ではないかと思える。

《記事》
すべての事故、調査を 東武線踏切事故遺族が講演2009年7月9日 13時09分
 2005年に東武伊勢崎線竹ノ塚駅(東京都)の踏切事故で母親=当時(75)=を亡くした加山圭子さん(54)が9日、都内で開かれた「安全工学シンポジウム」で、鉄道事故防止に向けた取り組みについて講演し「関係機関や事業者がすべての事故を調査し、安全対策を検討することが必要」と訴えた。

 8日にJR西日本の山崎正夫社長が業務上過失致死傷罪で在宅起訴された尼崎JR脱線事故については「JR西の組織の問題が明らかになってほしい」と話した。

 踏切事故根絶を目指す加山さんは、06年に広島県東広島市で起きたJR山陽線踏切事故や、長野県内の踏切で07年(08年:筆者が訂正)の4カ月間にJR東日本の特急「スーパーあずさ」に3人が相次いではねられた事故現場を視察。いずれも現場近くに学校や住宅があったという。

 事業者や警察などは事故後、注意喚起の看板を置いたり、安全キャンペーンを展開したりするが「人間に厳しく注意を促すだけで事故はなくならないことは、ヒューマンエラーの研究から明らか」と述べた。

(共同)
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2009070901000541.html

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