2022年4月1日、伊豆箱根鉄道の三島館踏切に行った。
ここでは、2021年8月14日、弱視の男性が踏切の中に取り残され、列車に撥ねられて亡くなった。
この事故のことを12月のニュースで知った。
今回、記者の取材で踏切には大きな問題があると思い、現地を訪ねた。
三島館踏切は、三島広小路駅から歩いて7~8分くらいのところにある。
変則的に交わる交差点の上に踏切があり、一方通行だが自動車がひっきりなしに通行する。踏切の幅は約8m、長さは7mほどだろうか。単線で、警報機、遮断機がある。また、非常ボタンが設置されているが、障害物検知装置はない。点字ブロックは設置されていなかった。
真ん中の交差点上に三島館踏切がある
報道によると、近隣の防犯カメラの映像などから、男性は踏切の中で、スマホを見て道を確認しているようだったという。踏切の中にいると思わず、遮断機の外にいると思っていた節があるという。
警報が鳴りだして何秒かたつと、遮断機は左側から下り、次に右側が下りる。男性は、まだ下りてきていない右側から入り、踏切の向こうに着いたとき、遮断機が下りているので、そこで立ち止まった。遮断機があるので、踏切の外側と思ったのではないか、というのが取材した記者の推測だ。
列車の運転士が、男性が踏切内にいることに気づき、警報を鳴らしたが、男性は後ろの下がったため、かえって列車に近づくことになった。
伊豆箱根鉄道は運転席にドライブレコーダーがあり、運転の記録を画像で保存していた。
そこには男性が映っていたが、事故当時、国交省の中部運輸局は、鉄道会社に確認していなかったという。事故の事実を正確に確認していないことに驚いた。
ひとつひとつの事故を調査するのは大変だと思うし、通行していた人が亡くなっていれば、事故の原因を特定するのは難しいかもしれない。
しかし、特定できなくても、踏切の状況から考えられる再発防止策があるのではないかと思う。
ここでは、点字ブロックが設置されていなかったが、少なくとも、踏切の外側なのか内側なのかわかるよう、点字ブロックなどを設置すべきではないかと思う。
全国では、踏切に点字ブロックが設置されているところが少ない。大阪府豊中市にある服部踏切では、2011年に試験的に入り口に点字ブロックとエスコートゾーンを設置、その後2014年に正式に設置されたのを機に、大阪府内では4箇所ほど設置されている。しかし、全国的には、広がっていないという。
公共施設や道路、駅などについては点字ブロックについての設置基準があるが、踏切については、設置基準がない。踏切そのものが危険なので、視覚障害者の方を誘導しないようにしているからだという。
しかし、視覚に障がいのある方が白杖を持って、どこへでも自由に移動できることが当たり前になろうとする時代に、遠回りになるう回路を使ってくださいというのは現実的ではない。
国交省では、6月中に視覚障がい者団体や、専門家などに意見を聞き、踏切の点字ブロック設置基準を作成するという。二度と同じような事故を繰り返さないため、視覚障がい者の方が安心して踏切を通行できるよう安全対策を検討してほしい。
最後になりましたが、亡くなられた男性のご冥福をお祈りいたします。
《参考記事》
〇NHK 記者取材note 2022年4月28日
踏切事故 視覚障害者の男性はなぜ亡くなったのか|NHK事件記者取材note
〇毎日新聞社説 2022年6月4日
社説:視覚障害者の踏切事故 再発防止へ国の対策急務 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
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